2011/11/24(木) - 01:21
激戦区のため今年から年齢別にクラス分割がされた市民50km。U29クラスのゴールスプリントを制したのは遠藤優(SFIDA Cycling Team)。途中何度も逃げを試みるなど、積極的な走りが光った。
遠藤優はレース後、インタビューに対して「昨年は100kmで優勝できたのですが、今年は申し込みの時期に体調が悪く全く自転車が乗れない状況でした。その後にいくらか体調が戻ってきて耐久系のレースでいい結果を出せるまでになりました。それでもレースは水物なので。30mほど離して勝てたようですが振り返る余裕はありませんでした」と話した。遠藤自身のレポートでレースを振り返る。
市民50km(U29) ゴール photo:Hideaki.TAKAGI
スタートラインに並んだ市民50kmU29の選手たち (c)Makoto.AYANO一昨年の市民50km部門で優勝、昨年の100km部門で優勝。これが私の過去2年の成績です。こう書くと今年は140km、210kmに挑戦するのが当然と思われるかもしれません。しかし私が今年エントリーしたのは50kmでした。なぜ50kmにエントリーをしたのかという理由は、ここでは省略させていただきます。
7:10のスタートにあわせてスタート地点に並ぶものの、無通告で7:35にレーススタートが変更されました。クリテリウムのルール変更もしかり、今回の大会の運営には疑問を持つことも多々ありましたが、トイレに行ったり、一緒のレースをする方々と話をして気を取り直してスタートしました。
スタート前に仲間たちと気合をこめる (c)Makoto.AYANO今回の作戦は特に考えていませんでしたが、とにかく勝つことだけを考えて走りました。そのために負けないためには?と、勝つためには?の両面から考えて小集団のスプリント勝負をすることが理想的ですが、臨機応変に対応することを肝に銘じました。大事なのは勝ち方ではなく、勝つことと。
前半は非常にゆっくりとした展開。ローテーションが上手く回らず走りにくかったのを覚えています。みんな足が余っている状態で、小集団にはなりにくい状況。去年の100kmレースのような何もかもが上手くいったのとは真逆の状況です。
スプリントポイント後の急激なペースダウンや、ちゅら海水族館の坂で前に出てペースを上げてみても、誰も前に出た
市民50km(U29) スタート photo:Hideaki.TAKAGIくないのか、辛いのか、ハイスピードが維持されないちぐはぐとした展開でした。調子も絶好調ではなく、何もかもが噛み合っていない、自分が燃えるような気持ちがなかったのを覚えています。
レースを動かしたのは今帰仁のスプリントポイント。一昨年の逃げを決めたポイントでレースを動かすと決めると、冷めた気持ちが熱をもってきました。
スプリントポイントを取りに行くのではなく、集団を破壊するために坂の下からじわっと上げていきます。
一昨年の記憶や一昨日の車での試走で、下りまでの距離は覚えていたので勾配が緩くなってもパワーメーターだけ
遠藤優(SFIDA Cycling Team)がアタックして独走する (c)Makoto.AYANOを見て400Wを下回らないように回し続けました。気がつくと他の人の気配が消えて、振り返っても誰も見えなません。一人逃げになっていました。レースで一人逃げをするのは初めてなので300~320Wの苦しすぎない負荷で一定ペースで逃げ続けました。
しばらくすると後ろからゼッケン55番の伊地選手が追いついてきて2人逃げになりましたが、後ろが30人の集団ひとかたまりで追っているとの情報が入り、無理しないように逃げていると、国道58号線に入ったところで捕まってしまいました。
しかし、余裕をもって逃げていたので通称「ジャスコ坂」(現在はAEON)でもう一回アタックをしかけました。全開で行くのではなく、5人くらいの選手が着いてこられるようにあえて抑えながらのアタックをすると、伊地選手、渡慶次選手、風戸選手の3選手が着いてきました。
メイストームの風戸選手は辛いのかローテーションに入れない状況ですが、後ろをコントロールしているのは50kmアンダークラスで一番多く参加しているメイストームのチームメイト。後ろをコントロールしてくれるに違いないと思い、あえてちぎらないように逃げることにしました。
一昨年は、トライアスロンのオリンピック選手である山本選手との逃げでしたが、その時よりは追い風が若干弱かった気がします。選手とかなり積極的に引きましたが、ゴール前3kmほどで再度捕まってしまいました。
伊地裕麿( チーム けんしん)と遠藤優(SFIDA Cycling Team)が2人で逃げる (c)Makoto.AYANO2度逃げて2度捕まって、しかもそれがゴール3km手前。展開としては非常に厳しいと思いきや、追走集団もかなり消耗しているのかペースが上がっていません。ラスト1km、メイストームの方々がトレインを組んでペースを上げていく。かなり混沌とした集団の中でチームでレースを制するという意思が見えた唯一のチームです。
ラスト500mで前から15番手から10番手位まで上げて1列の列車に乗る。
ラスト400m、横からも上がってきて前に出られない。
ラスト300m、誰かが飛び出している。まだ腰を上げるのは早い。左右を塞がれている。
ラスト270m、右の進路が空いた。踏んでしまってからまだ早いと思いながらも一気に突き放す。
ラスト200m、完全に先頭にたっているが仕掛けが早いスプリントは怖くてしょうがない。
ラスト100m、やはり仕掛けが早かった、苦しい、ゴールが遠い。
ゴールスプリントで2位を1.5秒離しての勝利のゴール。スプリントとしては完璧。今シーズン7勝目にして一番良いガッツポーズと、仕事の習慣である「指差確認」でゴール。ラストで踏み込んだときは1470W、スプリント時のMAXスピードは64.8km/hです。
市民50km(U29) ゴール photo:Hideaki.TAKAGIゴール後は優勝の気持ち良さよりも、プレッシャーから開放された安堵感の方が強かったのが本音です。去年100kmで優勝しておきながら今年50kmに出場。色々なことを言われ、勝てても複雑な気持ちでしたが、ゴール地点で待っててくれたチームメイトの笑顔をみてホッとしました。
来年のことはまだ何も決まっていません。何を目標とするか、どこで何を走るのか等、短いオフシーズンの間に考えたいと思います。
最後になりますが、大会関係者、ボランティアの方々等、ツール・ド・おきなわに関わるすべての方々に感謝致します。来年のことはまだ決まっていませんが、来年のおきなわにも帰ってきますのでよろしくお願いします。
遠藤優(SFIDA Cycling Team)
市民50km(U29) 表彰 photo:Hideaki.TAKAGIツール・ド・おきなわ2011市民50kmU29結果
1位 遠藤優(SFIDA Cycling Team)1時間20分31秒670
2位 風戸哉男 +01秒
3位 高嶺寛己
4位 高良和郎(沖縄国際大学)
5位 池田雅信(名桜大学)
6位 松岡慎司(GIOCARE)
ツール・ド・おきなわ2011全クラスフォトギャラリー(picasa)
ギャラリー1
ギャラリー2
遠藤優はレース後、インタビューに対して「昨年は100kmで優勝できたのですが、今年は申し込みの時期に体調が悪く全く自転車が乗れない状況でした。その後にいくらか体調が戻ってきて耐久系のレースでいい結果を出せるまでになりました。それでもレースは水物なので。30mほど離して勝てたようですが振り返る余裕はありませんでした」と話した。遠藤自身のレポートでレースを振り返る。
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7:10のスタートにあわせてスタート地点に並ぶものの、無通告で7:35にレーススタートが変更されました。クリテリウムのルール変更もしかり、今回の大会の運営には疑問を持つことも多々ありましたが、トイレに行ったり、一緒のレースをする方々と話をして気を取り直してスタートしました。
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前半は非常にゆっくりとした展開。ローテーションが上手く回らず走りにくかったのを覚えています。みんな足が余っている状態で、小集団にはなりにくい状況。去年の100kmレースのような何もかもが上手くいったのとは真逆の状況です。
スプリントポイント後の急激なペースダウンや、ちゅら海水族館の坂で前に出てペースを上げてみても、誰も前に出た
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レースを動かしたのは今帰仁のスプリントポイント。一昨年の逃げを決めたポイントでレースを動かすと決めると、冷めた気持ちが熱をもってきました。
スプリントポイントを取りに行くのではなく、集団を破壊するために坂の下からじわっと上げていきます。
一昨年の記憶や一昨日の車での試走で、下りまでの距離は覚えていたので勾配が緩くなってもパワーメーターだけ
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しばらくすると後ろからゼッケン55番の伊地選手が追いついてきて2人逃げになりましたが、後ろが30人の集団ひとかたまりで追っているとの情報が入り、無理しないように逃げていると、国道58号線に入ったところで捕まってしまいました。
しかし、余裕をもって逃げていたので通称「ジャスコ坂」(現在はAEON)でもう一回アタックをしかけました。全開で行くのではなく、5人くらいの選手が着いてこられるようにあえて抑えながらのアタックをすると、伊地選手、渡慶次選手、風戸選手の3選手が着いてきました。
メイストームの風戸選手は辛いのかローテーションに入れない状況ですが、後ろをコントロールしているのは50kmアンダークラスで一番多く参加しているメイストームのチームメイト。後ろをコントロールしてくれるに違いないと思い、あえてちぎらないように逃げることにしました。
一昨年は、トライアスロンのオリンピック選手である山本選手との逃げでしたが、その時よりは追い風が若干弱かった気がします。選手とかなり積極的に引きましたが、ゴール前3kmほどで再度捕まってしまいました。
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ラスト500mで前から15番手から10番手位まで上げて1列の列車に乗る。
ラスト400m、横からも上がってきて前に出られない。
ラスト300m、誰かが飛び出している。まだ腰を上げるのは早い。左右を塞がれている。
ラスト270m、右の進路が空いた。踏んでしまってからまだ早いと思いながらも一気に突き放す。
ラスト200m、完全に先頭にたっているが仕掛けが早いスプリントは怖くてしょうがない。
ラスト100m、やはり仕掛けが早かった、苦しい、ゴールが遠い。
ゴールスプリントで2位を1.5秒離しての勝利のゴール。スプリントとしては完璧。今シーズン7勝目にして一番良いガッツポーズと、仕事の習慣である「指差確認」でゴール。ラストで踏み込んだときは1470W、スプリント時のMAXスピードは64.8km/hです。
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来年のことはまだ何も決まっていません。何を目標とするか、どこで何を走るのか等、短いオフシーズンの間に考えたいと思います。
最後になりますが、大会関係者、ボランティアの方々等、ツール・ド・おきなわに関わるすべての方々に感謝致します。来年のことはまだ決まっていませんが、来年のおきなわにも帰ってきますのでよろしくお願いします。
遠藤優(SFIDA Cycling Team)
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1位 遠藤優(SFIDA Cycling Team)1時間20分31秒670
2位 風戸哉男 +01秒
3位 高嶺寛己
4位 高良和郎(沖縄国際大学)
5位 池田雅信(名桜大学)
6位 松岡慎司(GIOCARE)
ツール・ド・おきなわ2011全クラスフォトギャラリー(picasa)
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