集団ゴールスプリントとなった第6ステージを制したのは昨年ステージ4勝を挙げているケニー・ファンヒュメル(スキル・シマノ)。アジアのスプリンターたちに欧州で通用するその力を誇示した。盛一大は位置取りに奮闘しながらもステージ7位でフィニッシュした。

スタートを待つ綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)スタートを待つ綾部勇成(愛三工業レーシングチーム) (c)Sonoko.Tanakaスタートを待つ木守望(愛三工業レーシングチーム)スタートを待つ木守望(愛三工業レーシングチーム) (c)Sonoko.Tanaka

平均時速44.2km/hのハイスピードレース

澄万からスタートする172.8kmで開催されたツアー・オブ・ハイナン第6ステージ。レースは折り返しを過ぎて、125人でスタートした選手たちが105人に減り、集団の大きさが一回り小さく感じるようになった。落車に加え、連日の暑さや油っこい食事などで体調を崩す選手が多いという。

澄万の中心部を駆け抜ける選手たち澄万の中心部を駆け抜ける選手たち (c)Sonoko.Tanaka

多くの観客が見守る街中の周回コースからレースがスタート多くの観客が見守る街中の周回コースからレースがスタート (c)Sonoko.Tanaka第6ステージの天候は曇り。しかし、気温は高く湿気を含む蒸し暑いコンディションでスタートを迎えた。レースは序盤から激しいアタックの潰し合いとなる。山岳ポイントやスプリントポイント狙いの選手が逃げ、ポイントを獲得しては集団に吸収されるという繰り返しで、終始ハイペースでレースは進んでいった。

最後の逃げがラスト3kmで吸収されると集団スプリントの体制となった。昨日ステージ優勝を飾ったトレンガヌがいい位置をキープしながらゴールに向かったが、ポイント賞ジャージを着るケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)が彼らを危なげなくかわし、ファンヒュメルが先頭でゴールに飛び込んだ。

残り3.5kmの右コーナーでスキル・シマノのエース、トム・フィーラース(オランダ、スキル・シマノ)が落車に巻き込まれてしまったため、アシストに徹すると話していたファンヒュメルが勝利を狙う形になった。2位にハレ・サリフ(マレーシア、トレンガヌ)、3位にペーター・エルディン(スイス、アトラスパーソナル・ジャクロー)が続いた。

ポイント賞ジャージを着るケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)がステージ勝利ポイント賞ジャージを着るケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)がステージ勝利 (c)Sonoko.Tanaka

観戦にきていた地元の小学生たち観戦にきていた地元の小学生たち (c)Sonoko.Tanaka疲れが出てきたリーダーチーム、ジュルとラポム・マルセイユ

総合首位はジャスタン・ジュル(フランス、ラポム・マルセイユ)がキープ。中間スプリントでのボーナスタイムにより、2位のヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)が1秒追い上げ、最新のタイム差は6秒だ。

ジュルのチームメイト、山岳賞ジャージを着るジュリアン・アントマルシュ(フランス、ラポム・マルセイユ)は山岳ポイントを獲得できず、マウリツィオ・ゴラト(イタリア、ジェオックス・TMC)にジャージを奪還される結果となった。
ゴラトは「第7、8ステージにも山岳ポイントがあるが、ラポム・マルセイユの疲労が溜まっていたので、今日のステージで勝負に出た」と話す。

第7、8ステージは距離が長く、途中に山岳ポイントを含む難関ステージとなっている。4選手で総合リーダーを守ってきたラポム・マルセイユ。平坦ステージでは、ステージ優勝を狙うスキル・シマノの動きが味方となっていたが、明日からの2ステージは、総合順位、山岳賞ともに逆転のチャンスとなるため、そう一筋縄にはいかない。力を温存してきた強豪チームの攻撃が始まるはずだ。


ハイスピードなレースを終えた盛一大と木守望(愛三工業レーシングチーム)ハイスピードなレースを終えた盛一大と木守望(愛三工業レーシングチーム) (c)Sonoko.Tanaka限られたメンバーで積極的に戦う愛三工業

愛三工業レーシングチームは盛一大がスプリント7位でフィニッシュ。総合順位を上げるために中間スプリントを狙いたかったが、うまく逃げに乗ることができず総合順位は12位となった。しかし、秒単位の僅差となっているため、最終日まで総合ランクアップのチャンスは大きい。


盛一大のコメント
「木守、綾部さんに牽引されるいい形でラスト500メートルまで来ました。そこから最終的なスプリントがかかるラスト300メートルまでの位置取りが今日の反省点です。もっと冷静に周りを見て、タイミング良く前に上がらないといけませステージ優勝したケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)と上位選手ステージ優勝したケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)と上位選手 (c)Sonoko.Tanakaん。

明日からも中間スプリントを取るために逃げに乗りたいと思いますが、疲れも溜まってきているので、確実性を大事にして行きたいと思います。中間スプリントを狙ったあとは、ゴールスプリントになるなら、引き続きチーム一丸となって、スプリントに挑んでいきたいですね」

別府匠監督のコメント
「チームはほとんどのアタックに反応できていますし、若い選手を中心に動きは良くなってきています。盛選手の7位もUCIポイント獲得圏内になるので、良かったと思いますが、本人は納得していません。悔しく感じるからには、もっと良くなるのではないかと思っています。

明日からがレースの正念場です。各チームの思惑が絡み合い、アタックにしてもすべての利害が一致することは難しいでしょう。したがって強い選手だけが逃げられる、勝てる…、力尽くの展開になってくると思います。チームは人数が少ないこともあって、疲労が隠せませんが、チャンスがあるからには、できるかぎりのことをしないといけません。集中力と気持ちの勝負でしょう」


なぜかシャンパンの集中攻撃に遭うハレ・サリフ(マレーシア、トレンガヌ)なぜかシャンパンの集中攻撃に遭うハレ・サリフ(マレーシア、トレンガヌ) (c)Sonoko.Tanakaツアー・オブ・ハイナン2011 第6ステージ結果
1位 ケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ) 3h54'22"
2位 ハレ・サリフ(マレーシア、トレンガヌ)
3位 ペーター・エルディン(スイス、アトラスパーソナル・ジャクロー)
4位 リコ・ロジャース(ニュージーランド、ジャイアント・ケンダ)
5位 ファルスコール・マーテン(オランダ、タイプ1)
6位 マルコ・コンプ(スロベニア、ジェオックス・TMC)
7位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)
8位 チェン・ジャン(中国、中国361°)
9位 スチュアート・ショウ(オーストラリア、ドラパック)
10位 クリスティアン・ポース(ルクセンブルク、ディフェールダンジュ)
ツアー・オブ・ハイナン第6ステージ、各賞受賞選手たちツアー・オブ・ハイナン第6ステージ、各賞受賞選手たち (c)Sonoko.Tanaka55位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)
57位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)
91位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
93位 木守望(愛三工業レーシングチーム)+18"

個人総合成績
1位 ジャスタン・ジュル(フランス、ラポム・マルセイユ)22h56'47"
2位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)+6"
3位 アレクサンドル・シュミット(ドイツ、エディ・メルクス)+7"
4位 ウラディミール・エフィムキン(ロシア、タイプ1)+9"
5位 ワン・メイリン(中国、中国ナショナル)+10"
6位 レイノルド・ランスブルグ(南アフリカ、MTNキュベカ)+11"
7位 アダム・フェラン(オーストラリア、ドラパック)+12"
8位 アレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ)+13"
9位 ジュリアン・アントマルシュ(フランス、ラポム・マルセイユ)
10位 アディ・オスマン(マレーシア、ドラパック)+14"
12位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)+15" 
34位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)+29"
42位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)+2'19"
49位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)+3'53"
65位 木守望(愛三工業レーシングチーム)+5'40"

山岳賞
マウリツィオ・ゴラト(イタリア、ジェオックス・TMC)

ポイント賞
ケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)

アジアンリーダー
ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)

チーム総合成績
ジェオックス・TMC


photo&text:Sonoko.Tanaka