美しく厳しいカルストロードをめぐるコースは、その後の平坦が長い。ここで逃げが吸収され成年は吉田隼人(奈良、鹿屋体大)が、少年は高士拓也(三重、朝明高)がそれぞれ数十人でのゴールスプリントを制した。

少年 カルストロードを行くメイン集団少年 カルストロードを行くメイン集団 photo:Hideaki.TAKAGI/美祢市実行委員会
10月9日(日)、山口国体5日目最終日はロードレース。
美祢市内を出発して秋吉台をめぐるカルストロードを少年は1周、成年は2周して、ふたたび美祢市内へ戻ってくるコース。少年は116.0km、成年は144.1km。カルストロードへ至る上りが厳しく、それ以外は緩いアップダウンや平坦。

少年 75km地点 11人の先頭集団少年 75km地点 11人の先頭集団 photo:Hideaki.TAKAGI/美祢市実行委員会少年 高士拓也(三重、朝明高)が優勝少年 高士拓也(三重、朝明高)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGI/美祢市実行委員会少年男子 45人のゴールスプリント

少年は成年の10分後にスタート。10km地点ではすでに11人が逃げる。カルストロードを経て9人の先頭集団は逃げるが、メイン集団も迫る。
メイン集団から徳田優(京都、北桑田高)、山本大喜(奈良、榛生昇陽高)が追走でアタック、先頭に合流する。安原大生(奈良、榛生昇陽高)、入佐直希(鹿児島、南大隅高)、西村大輝(東京、昭和第一学園高)も追走アタックに出たがスピードを上げたメイン集団が吸収、さらに先頭の11人も吸収し、90km地点でレースは振り出しに。
大水峠トンネルへの上りで保坂陽次郎(茨城、取手一高)と西村大輝(東京、昭和第一学園高)が、また徳田優(京都、北桑田高)、小橋勇利(愛媛、松山工高)、山本大喜(奈良、榛生昇陽高)の3人がそれぞれアタックするが、トンネル内ですべて吸収、緩い下り区間では道幅一杯になって牽制状態に。

ゴールまで20kmを切り、山本らが単発のアタックをするがどれも決まらない。ラスト2kmで入佐直希(鹿児島、南大隅高)がアタック、10秒差でリードするがペースを上げた集団に吸収され、最後は45人によるゴールスプリントに。これを高士拓也(三重、朝明高)が制し優勝。
高士は今夏8月のジュニア世界選手権トラックのオムニアムで11位に入っており、得意のスピード展開に持ち込んでの勝利だ。

成年 地元山口県の白石真悟(シマノ)と白川巧(山口県連盟)成年 地元山口県の白石真悟(シマノ)と白川巧(山口県連盟) photo:Hideaki.TAKAGI/美祢市実行委員会成年 45km地点、西薗良太(鹿児島、シマノレーシング)、井上和郎(福井、チームブリヂストン・アンカー)、青柳憲輝(栃木、シマノレーシング)ら成年 45km地点、西薗良太(鹿児島、シマノレーシング)、井上和郎(福井、チームブリヂストン・アンカー)、青柳憲輝(栃木、シマノレーシング)ら photo:Hideaki.TAKAGI/美祢市実行委員会成年 56km地点、逃げる7人成年 56km地点、逃げる7人 photo:Hideaki.TAKAGI/美祢市実行委員会有力選手が揃った成年男子

昨年まで6年間で5回優勝の福井県勢を中心に、シマノレーシングなど強豪選手が揃った今年の国体成年ロード。
スタート直後からアタックが始まり、白川巧(山口県連盟)が抜け出すのをきっかけに先頭集団が形成される。5km過ぎて先頭は8人に、後続の選手たちはしだいにメイン集団へ戻っていく。先頭8人は、早川朋宏(愛知、法政大)、中根英登(愛知、中京大)、村上純平(山形、シマノレーシング)、平塚吉光(静岡、シマノレーシング)、白川巧(山口県連盟)、野中竜馬(広島、鹿屋体大)、中里仁(群馬、湘南ベルマーレ)、山崎航(石川、チームユーラシア・フォンドリエストバイクス)で、愛知県勢が2人入っている。

逃げる6人

先頭8人とメイン集団とは15km地点で1分差、さらには2分40秒にまで広がる。先頭は逃げ切る意思で踏み続ける。40km地点の上りでで白川が先頭から離れる。メイン集団ではこの上りで山本元喜(奈良、鹿屋体大)と堀内俊介(神奈川、中央大)が抜け出すが、下り区間を経て吸収。カルストロードへの上りに入る。

ここで先頭から山崎が離れ、逃げは6人になる。1回目のカルストロードを先頭6人で越えて下りへ。メイン集団がここで追い上げ、さらに2回目カルストロードへの上りでペースを上げて逃げる6人を吸収。下りを経て30人余りの先頭集団に。

ゴールまで30kmを切り集団はひとつで活性化。山本がアタックを繰り返す。ラスト20kmで中島康晴(福井、愛三工業レーシングチーム)、村上、西薗、普久原奨(沖縄、チームブリヂストン・アンカー)の4人が、さらに山本、真鍋和幸(香川、マトリックスパワータグ)が、中西重智(滋賀、龍谷大)が単独逃げるがいずれも吸収。

成年 カルストロードのメイン集団、先頭は吉田隼人(奈良、鹿屋体大)、向川尚樹(大阪、マトリックスパワータグ)、白石真悟(山口、シマノ)、板橋義浩(青森、日本大)、久保田元気(福島、日本大)ら成年 カルストロードのメイン集団、先頭は吉田隼人(奈良、鹿屋体大)、向川尚樹(大阪、マトリックスパワータグ)、白石真悟(山口、シマノ)、板橋義浩(青森、日本大)、久保田元気(福島、日本大)ら photo:Hideaki.TAKAGI/美祢市実行委員会
22人のゴールスプリント

成年 吉田隼人(奈良、鹿屋体大)が優勝成年 吉田隼人(奈良、鹿屋体大)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGI/美祢市実行委員会ラスト10kmを切って普久原、山本に真鍋、村上、青柳、西薗、中島、山根理史(島根、湘南ベルマーレ)、中尾佳祐(埼玉、順天大)、山本隼(山梨、中央大)が合流し10人の逃げに。しかしこの逃げもラスト2kmで吸収される。
ここからさらに山本、西薗、青柳、中島がアタックするがゴール前で吸収されて22人によるゴールスプリントに。ラスト100mほどから鋭く伸びた吉田が圧倒的スプリントで優勝。

吉田は先頭付近でただひとり違うスピードを見せた。そしてここにいたるまでは同県同大のチームメイト、山本の強力な動きがあったからこそだ。「前日のミーティングそのままの展開で勝てた」と言う吉田。逃げで山本、スプリントなら吉田の作戦で、レース中は展開が変わる中でも2人は会話せずに予定通りの作戦をこなした。

近年まれに見る美しいコースで行われた山口国体ロード。上位10位までに大学生が8人を占めた。実業団など強豪選手は井上の4位以外は平塚の10位以下などに軒並み沈んだが、もちろん途中で強力に動いた結果だ。それら強豪選手がレースをつくり、集団をリードしていた。だが大学生がこれだけ上位に入れることも評価に値することだろう。

地元山口県勢は、少年で相本が10位に、成年では白川が逃げて白石が11位と十分に存在感を見せた。

結果
少年 116.0km
1位 高士拓也(三重、朝明高) 2時間52分20秒
2位 橋本英也(岐阜、岐南工高)
3位 西村大輝(東京、昭和第一学園高)
4位 宮内渉(愛媛、松山聖陵高)
5位 城田大和(沖縄、北中城高)
6位 岡本隼(和歌山、和歌山北高)
7位 前田元気(佐賀、龍谷高)
8位 小橋勇利(愛媛、松山工高)
9位 中井路雅(滋賀、瀬田工高)
10位 相本祥政(山口、防府高)

成年 144.1km
1位 吉田隼人(奈良、鹿屋体大)3時間23分4秒
2位 中尾佳祐(埼玉、順天大)
3位 山本隼(山梨、中央大)
4位 井上和郎(福井、チームブリヂストン・アンカー)
5位 逢坂弘記(青森、日本大)
6位 窪木一茂(福井、日本大)
7位 大中巧基(京都、早稲田大)
8位 木村圭佑(滋賀、京都産業大)
9位 久保田元気(福島、日本大)
10位 平塚吉光(静岡、シマノレーシング)

text:高木秀彰 photo:高木秀彰/美祢市実行委員会