2011年10月9日、ツアー・オブ・北京(UCIワールドツアー)を締めくくる第5ステージが行なわれ、デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)が集団スプリントを制した。TT世界チャンピオンのトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)が初代王者に輝いている。

天安門広場を通過するプロトン天安門広場を通過するプロトン photo:Sonoko Tanaka北京中心部の周回コースで行なわれたツアー・オブ・北京最終ステージ。天安門広場をスタートし、鳥の巣スタジアムを中心とした7.5kmの周回コースを12周する全長118km。完全なるフラットステージだ。

レースはリエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、アレクサンドル・プリウスチン(モルドバ、カチューシャ)、フランチェスコ・レーダ(イタリア、クイックステップ)の3名が長く逃げる展開。3名は最大2分のリードを得て合計90kmを逃げたが、ゴールまで1周を残して吸収される。

高層ビルがスモッグに霞む高層ビルがスモッグに霞む photo:Sonoko Tanaka最後は今大会3回目の集団スプリント。好位置から飛び出したグリーンジャージ(ポイント賞ジャージ)のガリムジャノフが、フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード)を寄せ付けないスプリントで勝利。余裕のガッツポーズでゴールラインを駆け抜けた。

第2ステージで僅差の2位に入り、ポイント賞トップに立っていたガリムジャノフが念願のステージ優勝。自身初のワールドツアーレース勝利を中国の地で掴んだ。

90kmにわたって逃げたアレクサンドル・プリウスチン(モルドバ、カチューシャ)ら90kmにわたって逃げたアレクサンドル・プリウスチン(モルドバ、カチューシャ)ら photo:Sonoko Tanaka「これがプロツアー(UCIワールドツアー)レース初勝利なんだ。とてもとても嬉しい。勝負の鍵は、ラスト数キロで集団先頭に連れて行ってくれるチームがいたこと。チームメイトたちは良いポジションまで引き上げてくれた。グリーンジャージも嬉しいけど、このステージ優勝のほうが嬉しい。シーズン最後のレースで勝てたなんて信じられない気分だ」。

昨年のジャパンカップ・クリテリウムで2位に入っているガリムジャノフ。今年はデパンヌ3日間レースでステージ優勝し、パリ〜ブリュッセルで優勝。ロシアを代表するスプリンターとして一気に頭角を現した。

鳥の巣スタジアムもスモッグの中鳥の巣スタジアムもスモッグの中 photo:Sonoko Tanakaそしてツアー・オブ・北京初代王者の栄冠は、TT世界チャンピオンのマルティンの手に。マルティンは初日の個人タイムトライアルで稼いだリードを、1秒も失うことなく最終日まで守り抜いた。

「初開催のこのレースで勝ったことを誇りに思う。この勝利は、4日間ずっとレースをコントロールしてくれた強いチームがあってこそ。彼らの走りに感謝したい」。

最終スプリントを制したデニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)最終スプリントを制したデニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ) photo:Sonoko Tanakaマルティンは2週間前のロード世界選手権のタイムトライアルで優勝し、そしてこのツアー・オブ・北京で総合優勝。シーズン終盤に2つのビッグタイトルを手にした。UCIワールドツアーのステージレースとしては、昨年のエネコ・ツアー、そして今年のパリ〜ニースに続く総合優勝だ。

「今年は沢山の夢が叶った1年だった。来年はより多くのレースで勝利したい。この先、どんなタイプのタイムトライアルでも勝てるという自信がある。そして山岳が厳しくなければ、総合争いにも絡むことができる」。

1985年生まれのマルティンは、まだ26歳と若い。「来年の大きな目標はロンドン五輪だ」。大成功のシーズンを最高の形で締めくくった。

総合表彰台、左から2位デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)、優勝トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)、3位クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)総合表彰台、左から2位デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)、優勝トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)、3位クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:TDWsport.com/Tour of Beijing


レース内容や選手コメントはレース公式リリースより。

ツアー・オブ・北京2011第5ステージ結果
1位 デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)         2h19'44"
2位 フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード)
3位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)        
4位 マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップ)
5位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、チームスカイ)
6位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、クイックステップ)
7位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)
8位 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、レオパード・トレック)
9位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
10位 セバスティアン・イノー(フランス、アージェードゥーゼル)

個人総合成績
1位 トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)          13h39'11"
2位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)       +17"
3位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)             +26"
4位 スティーブ・クミングス(イギリス、チームスカイ)          +35"
5位 オリヴィエ・カイセン(ベルギー、オメガファーマ・ロット)      +39"
6位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク)          +41"
7位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル)     +43"
8位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)
9位 ダリオ・カタルド(イタリア、クイックステップ)
10位 ニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップ)         +46"

ポイント賞
デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)

山岳賞
イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)

新人賞
ベンジャミン・キング(アメリカ、レディオシャック)

チーム総合成績
チームスカイ

text:Kei Tsuji
photo:Sonoko Tanaka
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