2011/09/23(金) - 16:43
ロード世界選手権出場のため、デンマーク・コペンハーゲン入りした新城幸也(ユーロップカー)、別府史之(レディオシャック)、宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)。日本を背負って立つ3名は「簡単なコースではなく、逃げの展開も有り得る」と口を揃える。インタビューはレースを3日後に控えた9月22日に行なった。
No.151 新城幸也(ユーロップカー)
「今回のコースはずっとアウター固定です。ちょっとした登りはあるけど、インナーに落とすような登りじゃない。コースの中で一番キツいのはゴール地点。勾配は5%ぐらい。去年の(ジーロングの)最後と一緒ぐらいです。大集団でのスプリントの可能性は高いけど、コース前半の住宅街を抜ける短い登りが“くさい”ですね。4車線から一気に2車線に絞って、そこからクネクネと登りが200mぐらい続く。そこで選手が飛び出して、集団がお見合いを始めると、そのまま前が行ってしまう可能性もあります。前のグループが(ローテーションを)回すと、集団が一列になって追っても追いつかない。」
「まだチームとしてどう動くかは決まっていなくて、金曜日と土曜日のレースを参考にしたいと思います。誰か1人をエースにして闘うのではなくて、3人全員がみんな(スプリントで)もがけるので、状況によって展開は変わります。おそらくカヴェンディッシュでも最後まで残れると思う。でもゴールのレイアウト的に、サミュエル・ドゥムランのような軽快に飛び出す選手向きかもしれない。自分的には終盤の逃げでも、スプリントでも、どちらでも良いです。」
「去年は2つの登りが厳しくて、そこでセレクションがかかるのは分かっていた。つまりそこだけ頑張れば良かった。でも今回は周回コースが短くて速いので、勝負どころで決まるというよりは、レースの展開が勝敗を分ける感じ。集団がボロボロに分裂することはあまり考えられなくて、それよりも不意に飛び出したグループがそのまま行く気がします。だからポジション取りをしっかりして、タイミングを間違えないようにしないといけない。乗り遅れないようにしないと。」
「(石田宗男マッサーにマッサージを受けながら)久しぶりにお尻を押されて気持ちいいです。マッサージはやはり日本ですね(笑)コンディションは良いですよ。先日のフランスのレースは気温が10度しかなくて、雨が降っていた。そこで免疫がついたので、この気候は問題ないです。でも、雨が降ると悲惨です。テクニカルなコーナーも多いし、コース上に滑りやすい白線も多い。雨が降ると脚が冷えて動かなくなるので、それが心配です。なかなか難しいコースです。」
No.152 別府史之(レディオシャック)
「今まで走った世界選手権の中で、チポッリーニが勝った(2002年・ベルギー)ゾルダー大会に次ぐ平坦なコース。でもゾルダーよりもコーナーが多くてトリッキーです。角度があって危険なコーナーが数カ所ある。道幅は全体的にミディアム(普通)で、ペースが上がった時には前に上がりづらい。集団の前にいないと厳しいコースだという印象です。特にゴール手前は、常に前に位置していないと絡めない。ハイスピードな展開になるだろうけど、自分的にはこういうポジション取りが重視されるスピードレースが好き。だから結構いいポジションで走れると思います。」
「自分が想像しているのは、有力チーム(国)がペースを上げて、集団を伸ばして、そこでアタックを仕掛ける。そしてそれが決まったら、そのまま行ってしまうようなコースです。ジルベールやボアッソンら有力どころが行ったらそのまま行くので、そこに気をつけないといけない。でも逆に集団から簡単に遅れるようなコースでないので、オーストラリアやドイツ、アメリカなど、メンバーを揃えたスプリント狙いのチームが集団を牽くはず。展開的には(選択肢の多い)イタリアが面白いと思う。ベンナーティ一本で来るとは思えない。それよりもヴィスコンティのような選手で攻撃を仕掛けるはず。」
「シーズン後半に入って、UCIワールドツアーのエネコ・ツアーとクラシカ・サンセバスティアンをアシストとして走って、GPウエストフランス・プルエーは自分のために走りました。プルエーは世界選手権が開催された場所で、しかも250km近い距離のレースだったので、世界選手権に向けてのテストだった。最後まで力を残して勝負に絡んで(8位)、ワールドツアーのポイントも穫ったので、良いモチベーションになりました。そこからスケジュールを変更して、時差ボケを避けるためにカナダの2レースをキャンセル。GPワロニーとフランドル選手権、そしてイズベルグでコンディションを調整するプログラムに変更しました。目標のイズベルグで集団スプリント4位(全体で6位)という結果を残して、良いコンディションでコペンハーゲンに到着。モチベーション、気持ち、フィジカルな面で整っています。」
No.153 宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)
「キツいコースです。展開的にハイスピードになって、集団が一列になるキツいコースです。でも勝ちに来ているからこそ“キツイ”もしくは“難しい”のであって、完走だけを狙っているだけなら簡単なコースです。」
「周回コース前半の登りがテクニカルで、そこで集団が伸びて、前が別れればそのまま行くと思う。集団スプリントになれば、軽量系のスプリンター、もしくは登りゴールが得意なサガンやボアッソン向き。でも逃げの展開の可能性が高いと思う。」
「天候は何も問題ないけど、デンマークの道はパンクが多い。試走したイギリスチームは6回パンクしたと言っていた。タイヤに刺さる尖った小石が多くて、雨が降るとさらにパンクのリスクが増える。でもこればっかりは運なので。」
「僕らは展開を作るチームではないので、そういう意味では3人という数字は関係ないです。むしろ、3人がエースというチームなんて他に無い。僕としては、最後まで集団に残って、集団スプリントになるのを願うだけです。ベルギーレースで勝って、今回のゴールに似たパリ〜ブリュッセルでスプリントに絡んで、コンディション的には非常に良いです。」
「おそらく、残り1時間を切ってから逃げの展開になるなら、自分よりもユキヤやフミの方が得意。キンキンにペースが上がった状態からアタックが決まるような状況には、得意不得意があって、自分はそういう脚質ではない。実際そこで自分が逃げに乗る確率は低いので、ユキヤやフミが“乗る”と思うなら行くべき。集団スプリントになった場合は、最後の状況によるけど、3人のうち1人がなるべく1位に近い順位でゴールできるように動くことになります。もし自分がすごく調子が良くて“今日行くわ!”と思うなら手を挙げるけど、日本チームとして何ができるかが一番大事。決して弱気ではなくて、現実的に、状況によってはアシストに回る方が良いかもしれない。コース的にも好きですし、楽しみです。精神的にも身体的にも、とてもリラックスして世界選手権に挑めています。」
text:Kei Tsuji in Copenhagen, Denmark
No.151 新城幸也(ユーロップカー)
「今回のコースはずっとアウター固定です。ちょっとした登りはあるけど、インナーに落とすような登りじゃない。コースの中で一番キツいのはゴール地点。勾配は5%ぐらい。去年の(ジーロングの)最後と一緒ぐらいです。大集団でのスプリントの可能性は高いけど、コース前半の住宅街を抜ける短い登りが“くさい”ですね。4車線から一気に2車線に絞って、そこからクネクネと登りが200mぐらい続く。そこで選手が飛び出して、集団がお見合いを始めると、そのまま前が行ってしまう可能性もあります。前のグループが(ローテーションを)回すと、集団が一列になって追っても追いつかない。」
「まだチームとしてどう動くかは決まっていなくて、金曜日と土曜日のレースを参考にしたいと思います。誰か1人をエースにして闘うのではなくて、3人全員がみんな(スプリントで)もがけるので、状況によって展開は変わります。おそらくカヴェンディッシュでも最後まで残れると思う。でもゴールのレイアウト的に、サミュエル・ドゥムランのような軽快に飛び出す選手向きかもしれない。自分的には終盤の逃げでも、スプリントでも、どちらでも良いです。」
「去年は2つの登りが厳しくて、そこでセレクションがかかるのは分かっていた。つまりそこだけ頑張れば良かった。でも今回は周回コースが短くて速いので、勝負どころで決まるというよりは、レースの展開が勝敗を分ける感じ。集団がボロボロに分裂することはあまり考えられなくて、それよりも不意に飛び出したグループがそのまま行く気がします。だからポジション取りをしっかりして、タイミングを間違えないようにしないといけない。乗り遅れないようにしないと。」
「(石田宗男マッサーにマッサージを受けながら)久しぶりにお尻を押されて気持ちいいです。マッサージはやはり日本ですね(笑)コンディションは良いですよ。先日のフランスのレースは気温が10度しかなくて、雨が降っていた。そこで免疫がついたので、この気候は問題ないです。でも、雨が降ると悲惨です。テクニカルなコーナーも多いし、コース上に滑りやすい白線も多い。雨が降ると脚が冷えて動かなくなるので、それが心配です。なかなか難しいコースです。」
No.152 別府史之(レディオシャック)
「今まで走った世界選手権の中で、チポッリーニが勝った(2002年・ベルギー)ゾルダー大会に次ぐ平坦なコース。でもゾルダーよりもコーナーが多くてトリッキーです。角度があって危険なコーナーが数カ所ある。道幅は全体的にミディアム(普通)で、ペースが上がった時には前に上がりづらい。集団の前にいないと厳しいコースだという印象です。特にゴール手前は、常に前に位置していないと絡めない。ハイスピードな展開になるだろうけど、自分的にはこういうポジション取りが重視されるスピードレースが好き。だから結構いいポジションで走れると思います。」
「自分が想像しているのは、有力チーム(国)がペースを上げて、集団を伸ばして、そこでアタックを仕掛ける。そしてそれが決まったら、そのまま行ってしまうようなコースです。ジルベールやボアッソンら有力どころが行ったらそのまま行くので、そこに気をつけないといけない。でも逆に集団から簡単に遅れるようなコースでないので、オーストラリアやドイツ、アメリカなど、メンバーを揃えたスプリント狙いのチームが集団を牽くはず。展開的には(選択肢の多い)イタリアが面白いと思う。ベンナーティ一本で来るとは思えない。それよりもヴィスコンティのような選手で攻撃を仕掛けるはず。」
「シーズン後半に入って、UCIワールドツアーのエネコ・ツアーとクラシカ・サンセバスティアンをアシストとして走って、GPウエストフランス・プルエーは自分のために走りました。プルエーは世界選手権が開催された場所で、しかも250km近い距離のレースだったので、世界選手権に向けてのテストだった。最後まで力を残して勝負に絡んで(8位)、ワールドツアーのポイントも穫ったので、良いモチベーションになりました。そこからスケジュールを変更して、時差ボケを避けるためにカナダの2レースをキャンセル。GPワロニーとフランドル選手権、そしてイズベルグでコンディションを調整するプログラムに変更しました。目標のイズベルグで集団スプリント4位(全体で6位)という結果を残して、良いコンディションでコペンハーゲンに到着。モチベーション、気持ち、フィジカルな面で整っています。」
No.153 宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)
「キツいコースです。展開的にハイスピードになって、集団が一列になるキツいコースです。でも勝ちに来ているからこそ“キツイ”もしくは“難しい”のであって、完走だけを狙っているだけなら簡単なコースです。」
「周回コース前半の登りがテクニカルで、そこで集団が伸びて、前が別れればそのまま行くと思う。集団スプリントになれば、軽量系のスプリンター、もしくは登りゴールが得意なサガンやボアッソン向き。でも逃げの展開の可能性が高いと思う。」
「天候は何も問題ないけど、デンマークの道はパンクが多い。試走したイギリスチームは6回パンクしたと言っていた。タイヤに刺さる尖った小石が多くて、雨が降るとさらにパンクのリスクが増える。でもこればっかりは運なので。」
「僕らは展開を作るチームではないので、そういう意味では3人という数字は関係ないです。むしろ、3人がエースというチームなんて他に無い。僕としては、最後まで集団に残って、集団スプリントになるのを願うだけです。ベルギーレースで勝って、今回のゴールに似たパリ〜ブリュッセルでスプリントに絡んで、コンディション的には非常に良いです。」
「おそらく、残り1時間を切ってから逃げの展開になるなら、自分よりもユキヤやフミの方が得意。キンキンにペースが上がった状態からアタックが決まるような状況には、得意不得意があって、自分はそういう脚質ではない。実際そこで自分が逃げに乗る確率は低いので、ユキヤやフミが“乗る”と思うなら行くべき。集団スプリントになった場合は、最後の状況によるけど、3人のうち1人がなるべく1位に近い順位でゴールできるように動くことになります。もし自分がすごく調子が良くて“今日行くわ!”と思うなら手を挙げるけど、日本チームとして何ができるかが一番大事。決して弱気ではなくて、現実的に、状況によってはアシストに回る方が良いかもしれない。コース的にも好きですし、楽しみです。精神的にも身体的にも、とてもリラックスして世界選手権に挑めています。」
text:Kei Tsuji in Copenhagen, Denmark
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