2011/09/21(水) - 15:20
ロード世界選手権2日目、午後にかけて冷たい雨に降られたコペンハーゲン。27.8kmで行なわれたエリート女子タイムトライアルで、35歳のユーディト・アルント(ドイツ)が初優勝を飾った。
デンマークの街並を抜ける photo:Kei Tsujiエリート女子タイムトライアルに挑んだのは、33カ国・51名の選手たち。ジュニア男子と同様13.9kmの周回コースを2周するため、4グループに別れての出走となる。
午後にかけて天候は下り坂で、第3グループにかけて灰色の空から雨粒が落ちる。気温15度前後の寒さの中、雨が静かにコースを濡らした。
濡れた石畳を攻めるユーディト・アルント(ドイツ) photo:Kei Tsujiタイトなコーナーや石畳を含むコースにおいて、ウェットとドライのコンディションの差は歴然。雨に降られる前にゴールしたクラーラ・ヒューズ(カナダ)が37分44秒の暫定トップタイムを維持したまま、最終グループのスタートが始まる。
最終グループの出走時には雨は上がり、路面は徐々にドライに。タラ・ホイッテン(カナダ)がヒューズのタイムを11秒更新すると、更に昨年のトップスリーが脚の違いを見せつける。
ディフェンディングチャンピオンのエマ・プーリー(イギリス)は24秒差の3位に photo:Kei Tsuji昨年3位のリンダ・ヴィルムセン(ニュージーランド)がまず37分29秒で暫定トップに立ち、更にユーディト・アルント(ドイツ)がこれを22秒も更新。ディフェンディングチャンピオンで最終走者のエマ・プーリー(イギリス)は2周目に失速して24秒遅れ。アルントの初優勝が決まった。
「ようやく勝てた」。アルントはレース後の記者会見でそう話す。現在35歳のアルントはロード世界選手権のロードレースで2004年に優勝。1997年にはトラック世界選手権の個人追い抜きでも金メダルを獲得している。
ゴール直後、スタッフを喜ぶユーディト・アルント(ドイツ) photo:Riccardo Scanferla世界選手権タイムトライアルでは1997年と2008年に3位。2003年から2年連続で2位。そして昨年3回目の2位を経験している。15年目の挑戦で、念願のタイトルを獲得した。
「長い間、ずっとこのアルカンシェルが目標だった。銀メダルと銅メダルは獲得していたけど、周りの人々に支えられ、今こうしてようやく金メダルを手にしている。この感情はうまく表現できない」。
表彰台、左から2位リンダ・ヴィルムセン(ニュージーランド)、優勝ユーディト・アルント(ドイツ)、3位エマ・プーリー(イギリス) photo:Kei Tsuji他選手がチームカーから無線で逐一ラップタイムやコースといった情報を得ている中、アルントは無線無しでレースに挑んだ。「無線を聞きながらレースするのは好きじゃない。一人になって、レースに集中するのが好き」。アルントは一人で時間との闘いに勝利した。
表彰台のトップスリー、アルント、ヴィルムセン、プーリーは、昨年の表彰台トップスリー。アルントとヴィルムセンが順位を1つ上げ、プーリーが2つ下げた。平坦コースは小柄なプーリー向きではないが、それでもタイトルホルダーとしての意地を見せ、最後まで挑み続けての3位。失意の表情を浮かべながらも、表彰台では照れくさそうに銅メダルを見せた。
毎年表彰台に選手を送り込み、史上最多の5個の金メダルを獲得しているアメリカは、2008年の世界王者アンバー・ネーベンの8位が最高位。一方で、同じ北米のカナダは4位(ホイッテン)、5位(ヒューズ)、7位(ショウ)と、3名をトップ10に送り込むことに成功した。
タイムトライアルは4種目を終え、残るはエリート男子タイムトライアル。すでにスタートリストが発表されており、最終走者は王者ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)。果たして王座を揺るがす挑戦者は現れるのだろうか。レース当日の天気予報は雨だ。
濡れたコースで最速タイムを叩き出したユーディト・アルント(ドイツ) photo:Kei Tsuji
石畳コースを進むリンダ・ヴィルムセン(ニュージーランド) photo:Kei Tsuji
最終走者のエマ・プーリー(イギリス)は24秒差の3位 photo:Kei Tsuji
ロード世界選手権2011エリート女子タイムトライアル結果
1位 ユーディト・アルント(ドイツ) 37'07"
2位 リンダ・ヴィルムセン(ニュージーランド) +22"
3位 エマ・プーリー(イギリス) +24"
4位 タラ・ホイッテン(カナダ) +26"
5位 クラーラ・ヒューズ(カナダ) +37"
6位 エレオノラ・ファンダイク(オランダ) +39"
7位 ラエクリスティー・ショウ(カナダ) +39"
8位 アンバー・ネーベン(アメリカ) +41"
9位 エミリア・ファリン(スウェーデン) +55"
10位 マリアンヌ・フォス(オランダ) +56"
text&photo:Kei Tsuji in Copenhagen, Denmark
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午後にかけて天候は下り坂で、第3グループにかけて灰色の空から雨粒が落ちる。気温15度前後の寒さの中、雨が静かにコースを濡らした。
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最終グループの出走時には雨は上がり、路面は徐々にドライに。タラ・ホイッテン(カナダ)がヒューズのタイムを11秒更新すると、更に昨年のトップスリーが脚の違いを見せつける。
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「ようやく勝てた」。アルントはレース後の記者会見でそう話す。現在35歳のアルントはロード世界選手権のロードレースで2004年に優勝。1997年にはトラック世界選手権の個人追い抜きでも金メダルを獲得している。
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「長い間、ずっとこのアルカンシェルが目標だった。銀メダルと銅メダルは獲得していたけど、周りの人々に支えられ、今こうしてようやく金メダルを手にしている。この感情はうまく表現できない」。
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表彰台のトップスリー、アルント、ヴィルムセン、プーリーは、昨年の表彰台トップスリー。アルントとヴィルムセンが順位を1つ上げ、プーリーが2つ下げた。平坦コースは小柄なプーリー向きではないが、それでもタイトルホルダーとしての意地を見せ、最後まで挑み続けての3位。失意の表情を浮かべながらも、表彰台では照れくさそうに銅メダルを見せた。
毎年表彰台に選手を送り込み、史上最多の5個の金メダルを獲得しているアメリカは、2008年の世界王者アンバー・ネーベンの8位が最高位。一方で、同じ北米のカナダは4位(ホイッテン)、5位(ヒューズ)、7位(ショウ)と、3名をトップ10に送り込むことに成功した。
タイムトライアルは4種目を終え、残るはエリート男子タイムトライアル。すでにスタートリストが発表されており、最終走者は王者ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)。果たして王座を揺るがす挑戦者は現れるのだろうか。レース当日の天気予報は雨だ。
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ロード世界選手権2011エリート女子タイムトライアル結果
1位 ユーディト・アルント(ドイツ) 37'07"
2位 リンダ・ヴィルムセン(ニュージーランド) +22"
3位 エマ・プーリー(イギリス) +24"
4位 タラ・ホイッテン(カナダ) +26"
5位 クラーラ・ヒューズ(カナダ) +37"
6位 エレオノラ・ファンダイク(オランダ) +39"
7位 ラエクリスティー・ショウ(カナダ) +39"
8位 アンバー・ネーベン(アメリカ) +41"
9位 エミリア・ファリン(スウェーデン) +55"
10位 マリアンヌ・フォス(オランダ) +56"
text&photo:Kei Tsuji in Copenhagen, Denmark
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