2011/08/15(月) - 12:00
フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)を中心としたライバル勢の攻撃を全て封じ込め、ゴール前の落車を回避したエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)がステージ優勝。ボーナスタイム10秒を加算したボアッソンが文句無しの総合優勝に輝いた。
エネコ・ツアー2011第6ステージ・コースプロフィール image:www.enecotour.com第7回エネコ・ツアーはオランダ南部リンブルグ州で決着。アムステル・ゴールドレースと同地域で行なわれ、スタート&ゴール地点はシッタートへレーン。アムステル名物のカウベルグなど、合計22カ所の登りが最終ステージに詰め込まれている。
オランダ南部リンブルグ州の丘陵地帯 photo:Cor Vos前日の第5ステージを終えた時点で、総合首位ボアッソンと総合2位ジルベールの総合タイム差は12秒。ゴール地点(10秒、6秒、4秒)と3つのスプリントポイント(3秒、2秒、1秒)のボーナスタイムによる逆転は可能。この手の起伏に富んだレースは、今年アルデンヌ・クラシック3連勝を飾ったジルベール向きだ。
そのジルベールのボーナスタイム獲得を阻止すべく、チームスカイはフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)を逃げに送り込んだ。結果的にフレチャはメカトラで脱落するが、デーヴィッド・タナー(オーストラリア、サクソバンク・サンガード)やマチュー・ウィルソン(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)ら5名が逃げ続ける展開に。スプリントポイントは全てこれらの逃げ選手によって消化された。
フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)らを先頭にカウベルグを登るメイン集団 photo:Cor Vosゴールまで70kmを残したドーデマンの登りで総合3位のデーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)が動いたが、ジルベールはもちろんのこと、ボアッソンが直ぐさまチェックに入って封印する。ハードな展開に持ち込みたいオメガファーマ・ロットが懸命にメイン集団のペースを上げた。
ゴール7km手前のシャッツベルグ(1100m/2.7%)でイェーレ・ファネンデルト(ベルギー、オメガファーマ・ロット)がペースを上げるも、ボアッソンは千切れない。逃げ続けていたウィルソンをラスト4kmで捉えたメイン集団は、最後のシント・ペルガミン(800m/3.8%)へ。この短い登りで飛び出したラルスイティング・バク(デンマーク、HTC・ハイロード)が独走に持ち込んだ。
後続を振り切ってゴールするエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) photo:Cor Vosしかしバクはチームスカイが牽引するメイン集団を引き離せず、ラスト250mで惜しくも吸収。その直後の最終コーナーに先頭で突っ込んだユルゲン・ルーランズ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)がバランスを崩して落車してしまう。
2番手を走っていたボアッソンはルーランズの落車を回避。しかしその後方のデニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)やテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)が相次いで落車。この落車によって一人飛び出した形になったボアッソンがスプリント体勢に入り、マヌエル・カルドソ(ポルトガル、レディオシャック)らを振り切ってゴールした。
総合表彰台、左から2位フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)、優勝エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)、3位デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ) photo:Cor Vos結果、ボアッソンがボーナスタイム10秒を獲得して文句無しの総合優勝。2009年大会に続く2度目のエネコ・ツアー制覇を達成したボアッソンは「(最終コーナーで)ルーランズは少し速すぎた。自分は少しだけ減速してコーナーに入ったんだ。後続の選手が落車したので簡単な勝利だったよ。今日の目標はただ一つ、フィリップ・ジルベールから目を離さずに走ることだった。チームがその他の任務を全てこなしてくれたんだ。チームメイトたちは1週間にわたってトップレベルの走りを見せてくれた。彼らがいなければこの勝利は無い。自分にとって大きな価値のあるこのステージレースで勝てて本当に嬉しいよ」とコメント。
今年ツール・ド・フランスでステージ2勝を飾るなど、大活躍のシーズンを送っているボアッソン。シーズン後半のレース、そして世界選手権への期待が高まる。「次のレースはハンブルグ(ヴァッテンフォール・サイクラシックス)。その後プルエー(GP西フランス・プルエー)に出場し、カナダ(GPケベック&GPモントリオール)に渡る。そして今シーズンの目標の一つであるコペンハーゲン(世界選手権)に出場する。これからもジルベールと何度も闘うことになりそうだ」。
全日本チャンピオンジャージを着る別府史之(レディオシャック)は54名のメイン集団に最後まで残ってゴール。しかし体調は思わしくなかったとレース後のツイートで明かしている。「今朝から体調が悪くて抗生物質を2錠取って走った。走りはじめてからあまりにも具合が悪く、監督にチームの仕事をした後フィードゾーンで止めるように言われたけど、焦らず落ち着いて走り続けて無事に先頭集団でフィニッシュした。落車もせず仕事をこなせてよかった」。レディオシャックはチーム総合成績トップに輝いている。
レース内容と選手コメントは公式サイトならびにストリーミングより。
エネコ・ツアー2011第6ステージ結果
1位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) 4h53'06"
2位 マヌエル・カルドソ(ポルトガル、レディオシャック)
3位 ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)
4位 グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ・ISD)
5位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
6位 アンドレアス・スタウフ(ドイツ、クイックステップ)
7位 トーマス・ヴァイクス(リトアニア、アスタナ)
8位 シモーネ・ポンツィ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
9位 クーン・デコルト(オランダ、スキル・シマノ)
10位 ウラディミール・グセフ(ロシア、カチューシャ)
45位 別府史之(日本、レディオシャック)
個人総合成績
1位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) 22h54'22"
2位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +22"
3位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ) +28"
4位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム) +35"
5位 ヨス・ファンエムデン(オランダ、ラボバンク) +57"
6位 ヨースト・ファンレイエン(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) +1'04"
7位 ドミニク・コルニュ(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン) +1'07"
8位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップ) +1'08"
9位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、レディオシャック) +1'09"
10位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック) +1'13"
29位 別府史之(日本、レディオシャック) +2'13"
ポイント賞
エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
新人賞
エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
チーム総合成績
レディオシャック
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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そのジルベールのボーナスタイム獲得を阻止すべく、チームスカイはフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)を逃げに送り込んだ。結果的にフレチャはメカトラで脱落するが、デーヴィッド・タナー(オーストラリア、サクソバンク・サンガード)やマチュー・ウィルソン(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)ら5名が逃げ続ける展開に。スプリントポイントは全てこれらの逃げ選手によって消化された。
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ゴール7km手前のシャッツベルグ(1100m/2.7%)でイェーレ・ファネンデルト(ベルギー、オメガファーマ・ロット)がペースを上げるも、ボアッソンは千切れない。逃げ続けていたウィルソンをラスト4kmで捉えたメイン集団は、最後のシント・ペルガミン(800m/3.8%)へ。この短い登りで飛び出したラルスイティング・バク(デンマーク、HTC・ハイロード)が独走に持ち込んだ。
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2番手を走っていたボアッソンはルーランズの落車を回避。しかしその後方のデニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)やテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)が相次いで落車。この落車によって一人飛び出した形になったボアッソンがスプリント体勢に入り、マヌエル・カルドソ(ポルトガル、レディオシャック)らを振り切ってゴールした。
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今年ツール・ド・フランスでステージ2勝を飾るなど、大活躍のシーズンを送っているボアッソン。シーズン後半のレース、そして世界選手権への期待が高まる。「次のレースはハンブルグ(ヴァッテンフォール・サイクラシックス)。その後プルエー(GP西フランス・プルエー)に出場し、カナダ(GPケベック&GPモントリオール)に渡る。そして今シーズンの目標の一つであるコペンハーゲン(世界選手権)に出場する。これからもジルベールと何度も闘うことになりそうだ」。
全日本チャンピオンジャージを着る別府史之(レディオシャック)は54名のメイン集団に最後まで残ってゴール。しかし体調は思わしくなかったとレース後のツイートで明かしている。「今朝から体調が悪くて抗生物質を2錠取って走った。走りはじめてからあまりにも具合が悪く、監督にチームの仕事をした後フィードゾーンで止めるように言われたけど、焦らず落ち着いて走り続けて無事に先頭集団でフィニッシュした。落車もせず仕事をこなせてよかった」。レディオシャックはチーム総合成績トップに輝いている。
レース内容と選手コメントは公式サイトならびにストリーミングより。
エネコ・ツアー2011第6ステージ結果
1位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) 4h53'06"
2位 マヌエル・カルドソ(ポルトガル、レディオシャック)
3位 ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)
4位 グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ・ISD)
5位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
6位 アンドレアス・スタウフ(ドイツ、クイックステップ)
7位 トーマス・ヴァイクス(リトアニア、アスタナ)
8位 シモーネ・ポンツィ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
9位 クーン・デコルト(オランダ、スキル・シマノ)
10位 ウラディミール・グセフ(ロシア、カチューシャ)
45位 別府史之(日本、レディオシャック)
個人総合成績
1位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) 22h54'22"
2位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +22"
3位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ) +28"
4位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム) +35"
5位 ヨス・ファンエムデン(オランダ、ラボバンク) +57"
6位 ヨースト・ファンレイエン(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) +1'04"
7位 ドミニク・コルニュ(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン) +1'07"
8位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップ) +1'08"
9位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、レディオシャック) +1'09"
10位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック) +1'13"
29位 別府史之(日本、レディオシャック) +2'13"
ポイント賞
エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
新人賞
エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
チーム総合成績
レディオシャック
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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