2011/07/24(日) - 12:44
ツール・ド・フランス2011第20ステージは総合優勝が決する個人TT。ステージを制したのはトニ・マルティン。エヴァンスがアンディとの57秒差を逆転し、悲願の総合優勝を決めた。新人賞はピエール・ロランが死守した。
ステージ優勝したトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)
今日はスタートからとても調子がよかった。自分のリズムをすぐに掴めたし、すべての丘を速く登れるだけの力が出せた。ダウンヒルでも充分なスピードを出せた。カデル・エヴァンスのタイムを見たときは、かなり不安になった。
初めは充分なリードがあったんだけど、彼がだんだん詰めてきて、僕の7秒差まで迫ったんだ。だから、最後の1kmでは、僕よりもいいタイムを出すんじゃないかと思った。とてもストレスがたまったね。ツール・ド・フランスでのステージ優勝は長年の目標だった。だから僕にはすばらしい一日だ。
ステージ2位・マイヨジョーヌを獲得したカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
去年アルド・サッシ(2010年12月に逝去した名トレーナー)がこう言ったんだ。「君は世界選手権で勝った。選手として完璧だ。でも、君はグランツールでも勝てる。わたしは君にツール・ド・フランスで優勝してほしいんだ」って。彼は2001年から僕を信じてくれた。僕の能力を一度も疑わなかった。いいときも悪いときも、見捨てることなく指導してくれた。
この10年のあいだに悪いときも多かった。だけど、この経験が良いときをさらに輝かせるんだ。
ここ数年の(最終週の)タイムトライアルは……2007年だとコンタドールが絶好調で、僕は普通の日だった。7位か8位だったと思う……悪い日はなかったんだ。2008年はケガをしていた。毎日限界ぎりぎりの走りをして疲れ切っていた。ベッドで横になったりシャワーを浴びたりするだけでも疲れてストレスがたまった。肉体的にも感情的にも、とても辛かった。そんなときにタイムトライアルを走るんだ。おかげで、あらゆる弱点が判明した。あのときはみんなが「きっと君が勝つよ……」と言ってくれていた。でも、僕は止まってしまった。今でもあれが、人生で一番つらいツールだった。
今日僕は、単純に毎日やっている作業をしただけなんだ。まず計画を立てる。今日の場合はA、B、C、Dの4つだった。この計画に従って、できるだけ全力を尽くした。ただステージ優勝に向けて、わずかな秒数を縮めただけなんだ。でも、いつか時間ができて、今日のことを振り返ったら、きっとこのことを楽しめると思う。
今回のツールはずっと少し奇妙だった。山岳で圧倒的な強さを持つチームがいなかった……でも僕たちのチームはひとつひとつ、すべてを完璧にこなしていった。今日の順位を獲得するために、できることはすべてやってきたんだ。
今でも完全には信じられない。今日の日に貢献してくれたみんなに感謝したい。20年間の努力が実を結んだと思う。たくさんの努力の背後には、多くの選手の存在がある——現役の選手もいれば、レースから離れた選手もいる。明日のシャンゼリゼに太陽の光が注ぐなかを、僕たちが問題なくゴールすることを願う。
なにかにつけ批評をしたがる人も多いけど、彼らは自分でやってみるべきだよ。
マイヨヴェールのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)
今日はマン島と英連邦の旗がたくさんあった。長い3週間だった。見るのもまぶしいほどだ。サポートしてくれたみんなに感謝したい。トニ・マルティンの今日のTTの勝利を誇りに思う。まだ先のことになるけど、伝説になるよ。それから、このハードなツール・ド・フランスでのエヴァンスのゴールも素晴らしかった。おめでとう。
新人賞を死守したピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
昨夜、うれしいことに、チームのみんなは僕がマイヨブランをキープできると言ってくれた。レイン(ターラマエ)が打ち負かされて、やっと彼に本当に勝てたことになる。新聞によると、ターラマエはタイムトライアルで僕より強い。しかし、脚がフレッシュな点が異なっている。僕の最大の特徴は回復力なんだ。だから、僕は、このタイムトライアルまでに自分の脚がフレッシュな状態に戻っていると信じていた。今朝は、昨日の走りの後だから自分の脚の調子がわからなかった。チームのトレーナーを訪ねたら、すべてが順調のようだった。
タイムトライアルの最中は、脚がフレッシュなのをまったく信じられなかった。残り5kmで、無線が切れてしまい、タイム差がわからなくなったんだ。あまりにタイムがひどくて、チームのスポーツディレクターが、わざと無線を切ってタイム差を教えないようにしてるかとさえ思ったんだ。僕は、このマイヨブランをキープするためにレースしてきて、第1計測ポイントでトップからわずか1分差であることがわかった。でも、最後にはタイムトライアルのステージ優勝者から2分〜2分半の差がついてしまった。
今は少し迷信を信じることにする。だから、無事にパリでフィニッシュラインを越えるまで、じっと待っているんだ。パリに着いて、表彰台で4賞ジャージだけが並んで、やっと僕は新人賞になるんだ!
総合2位のアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)
僕はこのタイムトライアルに本当に焦点を絞っていたんだ。このタイムトライアルの重要性はよくわかっていた。僕らは今朝下調べをして、余計な考えなどをコースの外に置くことに専念した。
ある意味でがっかりしている。でも、ツールの規模と重要性からすると、自分が2位で、兄がひとつ下の順位にいるのは、とても栄誉なことだと思う。どちらかのシュレクが表彰台のトップに立てればよかったと思う。でも、僕らはお互いのことを誇りに思うし、お互いに自分自身のことを誇りに思っている。
総合3位のフランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)
アンディと僕は、もう何年ものあいだ、今日のことを語り合ってきた。今まで、こんなに近づいたことはなかった。僕たちはある計画を立ててから、フランスにやって来た。それは3週間後にフランスを去るときは後悔しないということだった。
その計画はやり遂げた。僕らは序盤からアルベルト・コンタドールが単なるライバル以上の存在であることを知っていた。そして、エヴァンスが真の競合相手になることと、打ち負かすには厳しい相手であることも理解していた。
母国のオーストラリア勢の躍進を喜ぶサクソバンク・サンガードのブラドリー・マックギー監督
アルベルト(コンタドール)は厳しい登りでアタックを何度も繰り返しただけに、疲れているのは明らかだ。だけど、彼は一流選手として、集中力と意欲を保持して、立派な成績を残した。リッチー(ポルト)も今日は有力選手たちの陰から姿を見せた。彼が優れた才能の持ち主であることを証明した。彼の才能がさらに伸びていくのが楽しみだ。そして、オーストラリアからツール・ド・フランス優勝者が出たことが、どれほど大きな影響があるかよくわかっている。カデル(エヴァンス)は、まさしくこの勝利を受けるにふさわしい。彼は長いあいだ本当に熱心に働いて、この勝利を手にした。その働きがしっかり実を結んだことをただ祝いたい。
ソースは現地取材、記者会見、主催者公式サイト、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation&text:Taiko.YAMASAKI + Seiya.YAMASAKI
ステージ優勝したトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)
今日はスタートからとても調子がよかった。自分のリズムをすぐに掴めたし、すべての丘を速く登れるだけの力が出せた。ダウンヒルでも充分なスピードを出せた。カデル・エヴァンスのタイムを見たときは、かなり不安になった。
初めは充分なリードがあったんだけど、彼がだんだん詰めてきて、僕の7秒差まで迫ったんだ。だから、最後の1kmでは、僕よりもいいタイムを出すんじゃないかと思った。とてもストレスがたまったね。ツール・ド・フランスでのステージ優勝は長年の目標だった。だから僕にはすばらしい一日だ。
ステージ2位・マイヨジョーヌを獲得したカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
去年アルド・サッシ(2010年12月に逝去した名トレーナー)がこう言ったんだ。「君は世界選手権で勝った。選手として完璧だ。でも、君はグランツールでも勝てる。わたしは君にツール・ド・フランスで優勝してほしいんだ」って。彼は2001年から僕を信じてくれた。僕の能力を一度も疑わなかった。いいときも悪いときも、見捨てることなく指導してくれた。
この10年のあいだに悪いときも多かった。だけど、この経験が良いときをさらに輝かせるんだ。
ここ数年の(最終週の)タイムトライアルは……2007年だとコンタドールが絶好調で、僕は普通の日だった。7位か8位だったと思う……悪い日はなかったんだ。2008年はケガをしていた。毎日限界ぎりぎりの走りをして疲れ切っていた。ベッドで横になったりシャワーを浴びたりするだけでも疲れてストレスがたまった。肉体的にも感情的にも、とても辛かった。そんなときにタイムトライアルを走るんだ。おかげで、あらゆる弱点が判明した。あのときはみんなが「きっと君が勝つよ……」と言ってくれていた。でも、僕は止まってしまった。今でもあれが、人生で一番つらいツールだった。
今日僕は、単純に毎日やっている作業をしただけなんだ。まず計画を立てる。今日の場合はA、B、C、Dの4つだった。この計画に従って、できるだけ全力を尽くした。ただステージ優勝に向けて、わずかな秒数を縮めただけなんだ。でも、いつか時間ができて、今日のことを振り返ったら、きっとこのことを楽しめると思う。
今回のツールはずっと少し奇妙だった。山岳で圧倒的な強さを持つチームがいなかった……でも僕たちのチームはひとつひとつ、すべてを完璧にこなしていった。今日の順位を獲得するために、できることはすべてやってきたんだ。
今でも完全には信じられない。今日の日に貢献してくれたみんなに感謝したい。20年間の努力が実を結んだと思う。たくさんの努力の背後には、多くの選手の存在がある——現役の選手もいれば、レースから離れた選手もいる。明日のシャンゼリゼに太陽の光が注ぐなかを、僕たちが問題なくゴールすることを願う。
なにかにつけ批評をしたがる人も多いけど、彼らは自分でやってみるべきだよ。
マイヨヴェールのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)
今日はマン島と英連邦の旗がたくさんあった。長い3週間だった。見るのもまぶしいほどだ。サポートしてくれたみんなに感謝したい。トニ・マルティンの今日のTTの勝利を誇りに思う。まだ先のことになるけど、伝説になるよ。それから、このハードなツール・ド・フランスでのエヴァンスのゴールも素晴らしかった。おめでとう。
新人賞を死守したピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
昨夜、うれしいことに、チームのみんなは僕がマイヨブランをキープできると言ってくれた。レイン(ターラマエ)が打ち負かされて、やっと彼に本当に勝てたことになる。新聞によると、ターラマエはタイムトライアルで僕より強い。しかし、脚がフレッシュな点が異なっている。僕の最大の特徴は回復力なんだ。だから、僕は、このタイムトライアルまでに自分の脚がフレッシュな状態に戻っていると信じていた。今朝は、昨日の走りの後だから自分の脚の調子がわからなかった。チームのトレーナーを訪ねたら、すべてが順調のようだった。
タイムトライアルの最中は、脚がフレッシュなのをまったく信じられなかった。残り5kmで、無線が切れてしまい、タイム差がわからなくなったんだ。あまりにタイムがひどくて、チームのスポーツディレクターが、わざと無線を切ってタイム差を教えないようにしてるかとさえ思ったんだ。僕は、このマイヨブランをキープするためにレースしてきて、第1計測ポイントでトップからわずか1分差であることがわかった。でも、最後にはタイムトライアルのステージ優勝者から2分〜2分半の差がついてしまった。
今は少し迷信を信じることにする。だから、無事にパリでフィニッシュラインを越えるまで、じっと待っているんだ。パリに着いて、表彰台で4賞ジャージだけが並んで、やっと僕は新人賞になるんだ!
総合2位のアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)
僕はこのタイムトライアルに本当に焦点を絞っていたんだ。このタイムトライアルの重要性はよくわかっていた。僕らは今朝下調べをして、余計な考えなどをコースの外に置くことに専念した。
ある意味でがっかりしている。でも、ツールの規模と重要性からすると、自分が2位で、兄がひとつ下の順位にいるのは、とても栄誉なことだと思う。どちらかのシュレクが表彰台のトップに立てればよかったと思う。でも、僕らはお互いのことを誇りに思うし、お互いに自分自身のことを誇りに思っている。
総合3位のフランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)
アンディと僕は、もう何年ものあいだ、今日のことを語り合ってきた。今まで、こんなに近づいたことはなかった。僕たちはある計画を立ててから、フランスにやって来た。それは3週間後にフランスを去るときは後悔しないということだった。
その計画はやり遂げた。僕らは序盤からアルベルト・コンタドールが単なるライバル以上の存在であることを知っていた。そして、エヴァンスが真の競合相手になることと、打ち負かすには厳しい相手であることも理解していた。
母国のオーストラリア勢の躍進を喜ぶサクソバンク・サンガードのブラドリー・マックギー監督
アルベルト(コンタドール)は厳しい登りでアタックを何度も繰り返しただけに、疲れているのは明らかだ。だけど、彼は一流選手として、集中力と意欲を保持して、立派な成績を残した。リッチー(ポルト)も今日は有力選手たちの陰から姿を見せた。彼が優れた才能の持ち主であることを証明した。彼の才能がさらに伸びていくのが楽しみだ。そして、オーストラリアからツール・ド・フランス優勝者が出たことが、どれほど大きな影響があるかよくわかっている。カデル(エヴァンス)は、まさしくこの勝利を受けるにふさわしい。彼は長いあいだ本当に熱心に働いて、この勝利を手にした。その働きがしっかり実を結んだことをただ祝いたい。
ソースは現地取材、記者会見、主催者公式サイト、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation&text:Taiko.YAMASAKI + Seiya.YAMASAKI
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