2011/07/18(月) - 09:06
横風が吹こうが向かい風が吹こうが、一日中メイン集団の先頭に立っていたHTC・ハイロードがゴール前で更に加速。力強いトレインに発射されたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)が今大会4勝目をマークし、シャンゼリゼでのマイヨヴェール獲得に一歩近づいた。
ピレネーでの山岳3連戦を終えたプロトンは、次なる決戦地アルプスに向けて東に進む。第15ステージはリムーから平野部を抜け、モンペリエにゴールする192.5km。途中4級山岳を含む短いアップダウンが続くが、ゴール勝負に影響するほどの難易度ではない。
スプリンターに残されたチャンスは、このステージを含めて僅かに2つ。マイヨヴェールの行方を占う上で重要なステージになるのは明らか。モンペリエでの大集団スプリントに注目が集まった。
この日もFDJがアタックを真っ先に仕掛ける。ミカエル・ドラージュ(フランス、FDJ)にニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップ)、サミュエル・ドゥムラン(フランス、コフィディス)、ミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)、アントニー・ドゥラプラス(フランス、ソール・ソジャサン)が合流する形で逃げグループが形成された。
すでに総合で大きく遅れている5名による逃げだが、メイン集団に許されたリードは上限4分。レース序盤からHTC・ハイロードが集団コントロールを担い、逃げとの間合いを調整しながらレースを進める。
レースが動いたのは、ゴールの46km手前に設置されたスプリントポイント。先頭5名の通過から僅か1分でやってきたメイン集団は、激しいスプリントの末、カヴェンディッシュが先頭通過を果たす。全体で6番手の通過となったカヴェンディッシュは10ポイント獲得。
レース後半は、横風を警戒して多くのチームが集団前方に集まるナーバスな展開に。HTC・ハイロードが一貫してコントロールするメイン集団は、横風で斜めに隊列を組みながら、先頭5名の追撃を続けた。
モンペリエの街まで22kmを切ってタイム差が1分を割り込むと、逃げグループからイグナチエフがアタックし、これにテルプストラが合流。そこから更に加速したテルプストラが粘り強い走りで抵抗したが、ゴールまで3kmを残して集団に引き戻された。
HTC・ハイロードが牽引するメイン集団からは、フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)がアタックを仕掛ける。しかしこの奇襲攻撃は功を奏さず、HTC・ハイロードが主導権を握ったままフラムルージュ(ラスト1km)を通過。ゴス、レンショー、カヴェンディッシュの黄金ラインが先頭に立った。
ラスト600mまでゴスが牽き、そこからレンショーがカヴェンディッシュを連れて先頭へ。ライバルたちに付け入る隙を与えないリードアウトを見せたレンショーが、ラスト200mでカヴェンディッシュを解き放つ。
後方からタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)やダニエル・オス(イタリア、リクイガス)が勢い良く追い上げたが、スプリント開始時点ですでにリードしていたカヴェンディッシュは止まらない。低い体勢のマイヨヴェールが、片手、そして両手でガッツポーズを作ってゴールした。
「正直言って、今日は調子が悪いと思っていた。でもそう思っていたのは自分だけじゃないようだ」。山岳ステージをグルペットで乗り越え、残り数少ないチャンスをものにしたカヴェンディッシュはそう語る。
カヴェンディッシュはこれがステージ4勝目。ツールで通算ステージ19勝目をマークした(2008年4勝、2009年6勝、2010年5勝)。
カヴェンディッシュはチームメイトたちの奮闘を讃える。「今日はアップダウンの連続で、しかも横風を警戒してどのチームも集団前方に位置していたから一日中ナーバスだった。頼れるチームメイトたちに囲まれている自分はとても恵まれている。彼らは最後の200mまで完璧にレースを運んでくれたんだ」。
スプリントポイントで10ポイントを獲得し、更にステージ優勝で45ポイント獲得。現在ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)を37ポイント、ジルベールを71ポイント引き離してポイント賞ランキング首位を快走中。しかしカヴェンディッシュは決して油断しておらず、スプリントポイントでのポイントを積極的に狙うことを宣言する。
「今の時点ではマイヨヴェールを守りきれるかどうか分からない。まだ逆転の可能性は残されているので、出来る限り多くのポイントを稼いで、シャンゼリゼに挑みたい。(ポイント賞争いのライバル)ジルベールがアタックした時も、チームメイトはパニックになることなく仕事を完遂した。チームメイトを誇りに思うよ」。
その他、マイヨジョーヌ、マイヨアポワ、マイヨブランともに変動は無し。トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)は2分近いリードを保ったままアルプスに挑む。
選手コメントはレース公式サイトより。
ツール・ド・フランス2011第15ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)
2位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
3位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
4位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
5位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
6位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
7位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、クイックステップ)
8位 トニー・ギャロパン(フランス、コフィディス)
9位 フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)
10位 セバスティアン・イノー(フランス、アージェードゥーゼル)
個人総合成績 マイヨ・ジョーヌ
1位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) 65h24'34"
2位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック) +1'49"
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +2'06"
4位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック) +2'15"
5位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +3'16"
6位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +3'44"
7位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード) +4'00"
8位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD) +4'01"
9位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) +5'46"
10位 ケヴィン・デウェールト(ベルギー、クイックステップ) +6'18"
ポイント賞 マイヨ・ヴェール
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード) 319pts
2位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター) 282pts
3位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) 248pts
山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
1位 イェーレ・ファネンデルト(ベルギー、オメガファーマ・ロット) 74pts
2位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) 72pts
3位 ジェレミー・ロワ(フランス、FDJ) 45pts
新人賞 マイヨ・ブラン
1位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ) 65h32'29"
2位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス) +1'07"
3位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) +1'25"
チーム総合成績
1位 レオパード・トレック 195h47'43"
2位 ユーロップカー +06"
3位 アージェードゥーゼル +2'32"
敢闘賞
ニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップ)
text:Kei Tsuji
photo:Makoto Ayano, Cor Vos
ピレネーでの山岳3連戦を終えたプロトンは、次なる決戦地アルプスに向けて東に進む。第15ステージはリムーから平野部を抜け、モンペリエにゴールする192.5km。途中4級山岳を含む短いアップダウンが続くが、ゴール勝負に影響するほどの難易度ではない。
スプリンターに残されたチャンスは、このステージを含めて僅かに2つ。マイヨヴェールの行方を占う上で重要なステージになるのは明らか。モンペリエでの大集団スプリントに注目が集まった。
この日もFDJがアタックを真っ先に仕掛ける。ミカエル・ドラージュ(フランス、FDJ)にニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップ)、サミュエル・ドゥムラン(フランス、コフィディス)、ミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)、アントニー・ドゥラプラス(フランス、ソール・ソジャサン)が合流する形で逃げグループが形成された。
すでに総合で大きく遅れている5名による逃げだが、メイン集団に許されたリードは上限4分。レース序盤からHTC・ハイロードが集団コントロールを担い、逃げとの間合いを調整しながらレースを進める。
レースが動いたのは、ゴールの46km手前に設置されたスプリントポイント。先頭5名の通過から僅か1分でやってきたメイン集団は、激しいスプリントの末、カヴェンディッシュが先頭通過を果たす。全体で6番手の通過となったカヴェンディッシュは10ポイント獲得。
レース後半は、横風を警戒して多くのチームが集団前方に集まるナーバスな展開に。HTC・ハイロードが一貫してコントロールするメイン集団は、横風で斜めに隊列を組みながら、先頭5名の追撃を続けた。
モンペリエの街まで22kmを切ってタイム差が1分を割り込むと、逃げグループからイグナチエフがアタックし、これにテルプストラが合流。そこから更に加速したテルプストラが粘り強い走りで抵抗したが、ゴールまで3kmを残して集団に引き戻された。
HTC・ハイロードが牽引するメイン集団からは、フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)がアタックを仕掛ける。しかしこの奇襲攻撃は功を奏さず、HTC・ハイロードが主導権を握ったままフラムルージュ(ラスト1km)を通過。ゴス、レンショー、カヴェンディッシュの黄金ラインが先頭に立った。
ラスト600mまでゴスが牽き、そこからレンショーがカヴェンディッシュを連れて先頭へ。ライバルたちに付け入る隙を与えないリードアウトを見せたレンショーが、ラスト200mでカヴェンディッシュを解き放つ。
後方からタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)やダニエル・オス(イタリア、リクイガス)が勢い良く追い上げたが、スプリント開始時点ですでにリードしていたカヴェンディッシュは止まらない。低い体勢のマイヨヴェールが、片手、そして両手でガッツポーズを作ってゴールした。
「正直言って、今日は調子が悪いと思っていた。でもそう思っていたのは自分だけじゃないようだ」。山岳ステージをグルペットで乗り越え、残り数少ないチャンスをものにしたカヴェンディッシュはそう語る。
カヴェンディッシュはこれがステージ4勝目。ツールで通算ステージ19勝目をマークした(2008年4勝、2009年6勝、2010年5勝)。
カヴェンディッシュはチームメイトたちの奮闘を讃える。「今日はアップダウンの連続で、しかも横風を警戒してどのチームも集団前方に位置していたから一日中ナーバスだった。頼れるチームメイトたちに囲まれている自分はとても恵まれている。彼らは最後の200mまで完璧にレースを運んでくれたんだ」。
スプリントポイントで10ポイントを獲得し、更にステージ優勝で45ポイント獲得。現在ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)を37ポイント、ジルベールを71ポイント引き離してポイント賞ランキング首位を快走中。しかしカヴェンディッシュは決して油断しておらず、スプリントポイントでのポイントを積極的に狙うことを宣言する。
「今の時点ではマイヨヴェールを守りきれるかどうか分からない。まだ逆転の可能性は残されているので、出来る限り多くのポイントを稼いで、シャンゼリゼに挑みたい。(ポイント賞争いのライバル)ジルベールがアタックした時も、チームメイトはパニックになることなく仕事を完遂した。チームメイトを誇りに思うよ」。
その他、マイヨジョーヌ、マイヨアポワ、マイヨブランともに変動は無し。トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)は2分近いリードを保ったままアルプスに挑む。
選手コメントはレース公式サイトより。
ツール・ド・フランス2011第15ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)
2位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
3位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
4位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
5位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
6位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
7位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、クイックステップ)
8位 トニー・ギャロパン(フランス、コフィディス)
9位 フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)
10位 セバスティアン・イノー(フランス、アージェードゥーゼル)
個人総合成績 マイヨ・ジョーヌ
1位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) 65h24'34"
2位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック) +1'49"
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +2'06"
4位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック) +2'15"
5位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +3'16"
6位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +3'44"
7位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード) +4'00"
8位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD) +4'01"
9位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) +5'46"
10位 ケヴィン・デウェールト(ベルギー、クイックステップ) +6'18"
ポイント賞 マイヨ・ヴェール
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード) 319pts
2位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター) 282pts
3位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) 248pts
山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
1位 イェーレ・ファネンデルト(ベルギー、オメガファーマ・ロット) 74pts
2位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) 72pts
3位 ジェレミー・ロワ(フランス、FDJ) 45pts
新人賞 マイヨ・ブラン
1位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ) 65h32'29"
2位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス) +1'07"
3位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) +1'25"
チーム総合成績
1位 レオパード・トレック 195h47'43"
2位 ユーロップカー +06"
3位 アージェードゥーゼル +2'32"
敢闘賞
ニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップ)
text:Kei Tsuji
photo:Makoto Ayano, Cor Vos
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