ツール・ド・フランス2011第4ステージは、急勾配の坂を擁する登りゴールが勝負の分かれ目。エヴァンスとコンタドールの一騎打ちは、写真判定にもつれ込み、僅差でエヴァンスが下した。

ステージ優勝と山岳賞のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)

ミュール・ド・ブルターニュで牽制するカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)とアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)ミュール・ド・ブルターニュで牽制するカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)とアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード) photo:Cor Vos最後のスプリントに参加したけれど、あまり激しくはするつもりはなかった。他の選手たちに囲まれるかも知れなかったからね。コンタドールが迫ってくるのがわかったけど、振り切るのに必死だった。ラインのギリギリのところ、ちょうどフィニッシュに届いても、誰が最初にラインを越えたかさえわからなかった。正直にいって、自分もわからなかった……ラインに届くことだけに集中してたんだ。公式リザルトが出るまで待って、やっと自分の勝利を知ることができた。

ステージ優勝に輝いたカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)ステージ優勝に輝いたカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:Cor Vos残り20kmあたりでアクシデントがあった。誰かがディレイラーに接触して、ギアにトラブルが起こったんだ。そのときは自転車に問題はなかったけれど、ゴールに向けてすべてを完璧にしておく必要があった。だから少し時間を使って自転車を交換したんだ。それにジョージ(ヒンカピー)も自分の経験から「交換するなら、いまだ!」とアドバイスしてくれた。すぐ前にいて、ぼくを集団まで牽いてくれたのはマークス・ブルグハート。彼のおかげで最後に目的を果たせたよ。

ラスト1kmあたりは自分ひとりなんだけど……残り2〜3kmにはジョージもいたこともわかるはずだ。彼はぼくの面倒を見るためにそこに残っていてくれたんだ。ブルグハートは残り15kmのところまでいた。バイク交換後に、前方までぼくを牽いてくれたからなんだけど、あの交換はそれだけの価値があった。

チームへの感謝は、最終局面で勝ったことで示せた。これが第一の目的だった。このステージでなにかできるか(マイヨジョーヌを獲得できるか)は、また別の問題だ。こうして1週目にステージ優勝できたのは思いがけないボーナス。すべてはチームのおかげだよ。総合成績でもいい位置(1秒差で2位)にいる。今日大きな問題なしに先頭でゴールできたことがうれしい。ステージ優勝に挑んで、それを勝ちとることは、信じられないほどにすばらしいことだ。これからは明日やその先も考えていきたい。

自転車選手なら誰でも、自分に自信を持たなければならない。そして、自信は表情や行動で示すべきだ。そうしないと傲慢だと思われてしまう。だから、重要なのは、自分のチームメイトを信頼し、自分に充分に自信を持つことなんだ。

僅差で届かなかったアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)

ミュール・ド・ブルターニュでアタックするアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)ミュール・ド・ブルターニュでアタックするアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード) photo:Cor Vos負けたけど、自分の調子がいいことを嬉しく思っている。終盤にレースを動かさなければならなかったのはぼくだし、ちょっと勝利に賭けてみたかった。でも今日はライバルの調子を見ること、とくに自分が他の選手よりもタイムを稼げるのかを知ることが目的だったんだ。その意味で満足している。

でも少しがっかりしていることもある。チームが懸命に働いてくれたから、あと少しでステージ優勝できるところだった。ステージがとれれば嬉しかったんだけれど。かなり不運な状態でツールがスタートしたけれど、最終的な目標は総合優勝。だから調子がいいということは励みになる。

たった1kmの上りで8秒も(アンディ・シュレクらとの)差を詰めたのは心強い。チームタイムトライアルで8秒差をつけるには、信じられないほどの努力が必要だからね。少しでもタイムを取り戻せるのはいつだっていいことだよ。

(エヴァンスについて)なにか言うにはまだ早い。今日のはただの坂で、山じゃない。でもエヴァンスの強さは偉大だ。アンディ・シュレクたちが遅れたのは、彼らの調子が悪かったせいじゃない。

ジルベールがアタックすると思っていたし、それを期待していた。でも彼はアタックしなかった。それに、それほど余裕もなかった。ダンシングするとホイールが滑るし、ときどきペダリングをミスることもあって、大きな推進力が得られなかったんだ。結果には満足している。いまの気持ちを維持しておきたい。

(これまでのステージについて)調子はよくなってきている。でもジロで力を使ったことを忘れてはならないし、第1週を終えたときにどの程度回復できているのかはわからない。

マイヨジョーヌを守ったトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)

マイヨジョーヌを死守したトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)マイヨジョーヌを死守したトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ) photo:Cor Vosいまのチームの目的は、マイヨジョーヌを守って、タイラーをまたスプリントで1勝させること。レースをコントロールしていくのは困難だろう。無数のアタックが頻発するだろうし、ステージ優勝を狙う選手も大勢いる。でも、おそらく、厳しいゴールが待ち受ける土曜日のステージまではマイヨジョーヌをキープできるだろう。

今日は登りを完璧にこなせたと思う。ずっと自分のリズムを保って、アタックにはまったくついて行かなかった。これを登りの集団内でやり続けて、先頭集団に復帰できた。彼らと一緒にいるだけで充分だった——だから今日もこの立場でいられて、うれしいよ。

ほんとうに戦わければならなかった。ずっとクライマーたちと一緒に走って、なんとか留まれて、マイヨジョーヌをキープできたことに満足している。(ゴール前は)急勾配になるところがわずかにあって、その直後の頂上では平坦になるんだ。数メートルは遅れをとるだろうと思っていたけど、スプリントして差を埋めることができた。それが今日の最大の成果だった。だから、ステージ優勝を狙って追い抜いたりスプリントに加わったりする機会はなかったんだ。

これまでガーミン・サーヴェロがやってきたことは、美しいの一言に尽きる。夢のような幕開けで、それはまだ終わっていない。この状況がただひたすら嬉しいし、続けていかなければと、チームのみんなが思っている。

マイヨヴェールのホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)

マイヨヴェールのホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)が登場マイヨヴェールのホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)が登場 photo:Makoto Ayano目的はマイヨヴェールを守ることで、それをなしとげた。簡単なことじゃなかった。最後に先頭に残った選手の一覧を見てみるといい。エヴァンス、コンタドール、ヴィノクロフ、(フランク)シュレック……みんなクライマーで総合を狙う選手たちだ。少しでも前にいようとしたけれど、フースホフト以外のマイヨヴェール狙いの選手たちが、後ろに迫ってきていた。これは重大なことだった。今日はジルベールが勝つと、みんな思っていたけれど、彼も人間で、最後はちょっと攻撃力を失っていた。

中間スプリントで2位を取ったこと?中間スプリントは本物のスプリントゴールそっくりになることがある。本物のゴールよりも中間スプリントポイントの方がずっと苦しいんだ。今日はカヴェンディッシュのような、今日のゴールではポイントを取れそうにないから中間でがんばる選手もいた。明日も同じことになるだろう。ステージ優勝とマイヨヴェールのキープを狙うんだ。またチームの力を借りることになる。チームは並外れた働きをしてくれている。とくにフラン・ベントソ。彼には脱帽だよ。彼の助けがなかったら、いまこのジャージを着ていなかったと思う。

逃げて敢闘賞を獲得したジェレミー・ロワ(フランス、FDJ)

3分前後のリードを得て逃げるジェレミー・ロワ(フランス、FDJ)ら3分前後のリードを得て逃げるジェレミー・ロワ(フランス、FDJ)ら photo:Makoto Ayano今日は大雨が降って、滑りやすい路面や寒さで面倒な状況になりそうな気配だった。序盤でもがいて争ったけれど、10kmあたりでなんとか逃げを決めた。逃げ集団に1ダースの選手たちがいてくれたら、集団に対する優位を保てるからよかったんだけど、実際にはたった5人で逃げることになった。とにかく自分の調子はわかっているし、有力勢には勝てそうもない。だからステージ優勝するには、逃げに乗って集団を相手にしなければならないんだ。

目標は優勝だけど、それはお預けだ。大きなリードは取れなくて、ステージ後半で再びペースを上げ始めたときには「ああ、これができていれば……」って思ったよ。でも最終的に残り4kmで捕まってしまった。その時点ではほんとうは、最後の登りのふもとで1分の差が必要だったんだ。

新人賞を維持したジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)

マイヨブランはジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)がキープマイヨブランはジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)がキープ photo:Makoto Ayanoコンタドールが仕掛けるだろうと思っていたし、実際そうなった。

集団で登り始めたときは、ブラッド(ウィギンス)と好位置に付けていた。その後は、頂上まで全力をつくして、できる限り速く駆け上がるだけだった。

残り500mは少しきつかったけれど、前の選手をひたすら追い続けなければならなかったし、考えていたことは、今日一日もチームにとって見苦しくない日にしたいということだけだった。

序盤の集団ではとてもストレスがかかって、長く厳しい一日になった。とくに天候の影響も大きかった。でも気分はとてもいいし、それを毎日維持できている。こんなふうにマイヨブランを着ていたら、アタックして全力を尽くさなければならなくなる。それを楽しんでいるよ。

ソースは現地取材、記者会見、主催者公式サイト、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation&text:Taiko YAMASAKI + Seiya YAMASAKI

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