2009年2月1日に行なわれたシクロクロス世界選手権で、22歳のニールス・アルベール(ベルギー)がゴールまで独走した。ベルギーは10位以内に6名を送り込む活躍で、昨年ラース・ボーム(オランダ)に奪われたタイトルの奪回に成功。日本勢は小坂正則が51位、辻浦圭一が62位でレースを終えた。

大勢の観客が詰めかけたシクロクロス世界選手権会場大勢の観客が詰めかけたシクロクロス世界選手権会場 photo:CorVos2日間の日程で行なわれたシクロクロス世界選手権ホーヘルヘイデ大会の最終種目は、69名がエントリーした世界一決定戦、エリート男子だ。会場には大勢の観客が詰めかけ、コース上に各国の国旗が翻る世界選手権ならではの雰囲気に包まれた。

参加した23カ国のうち7名の参加枠を保有するのは、タイトルホルダーで開催国のオランダと、輝かしい戦歴を有する伝統国ベルギー。この両国のバトルに注目が集まった。

地元の期待を一身に受けて出場したのは、昨年22歳の若さで頂点を極めたラース・ボーム(オランダ)だ。

序盤は先頭グループでレースを展開するラース・ボーム(オランダ)序盤は先頭グループでレースを展開するラース・ボーム(オランダ) photo:CorVos対するベルギーは、2003年・2004年世界王者のバルト・ウェレンス、2006年・2007年王者アーウィン・ヴェルヴェッケン、2005年王者スヴェン・ネイス、そして昨年のU23チャンピオンのニールス・アルベールらが揃い、選手の層は非常に厚い。レースは序盤からこのベルギー勢が主導権を握った。

シクロクロスの特徴として、選手たちはスタートした瞬間からアクセル全開。一気にリミッターまでペースを上げる。レースは1周目から超ハイスピードな展開で、メイン集団の先頭をベルギー選手が独占する形で1周目を終えた。

2周目に入ると、アルベールがアタックを成功させて独走を開始する。ラップタイム6分04秒(平均30km/hオーバー)で2周目を終えたアルベールは、そのままの勢いで周回を重ねた。

2周目から独走を始めるニールス・アルベール(ベルギー)2周目から独走を始めるニールス・アルベール(ベルギー) photo:CorVos追走グループからはゼネク・スティバル(チェコ)が3周目で飛び出し、遅れてスヴェン・ネイス(ベルギー)が追随。単独で追走するスティバルは先頭のアルベールを視界に捉えたものの、アルベールのハイペースによりその差は思うように縮まらなかった。

一方で、これらの動きに反応できず、後続グループに取り残されたのがディフェンディングチャンピオンのボーム。後半の追い上げが期待されたが、相次ぐマシントラブルの影響でリズムが崩れて後退。そのペースは最後まで上がらなかった。



単独でゴールに飛び込むニールス・アルベール(ベルギー)単独でゴールに飛び込むニールス・アルベール(ベルギー) photo:CorVos先頭アルベールのペースは落ちず、追走するスティバルとネイスとのタイム差は開いたまま最終周回に突入する。結局アルベールは後続を20秒以上引き離したままゴール。昨年のボームと同年齢、つまり22歳のチャンピオンが誕生した。

昨年のU23で世界チャンピオンに輝いたアルベールは、エリート初年度で世界の頂点に上り詰めた。すでにワールドカップを始めとするUCIレースで結果を残しており、その実力はお墨付き。22歳の新鋭チャンピオンにより、ベルギーはアルカンシェル奪還を果たした。

表彰台、左から2位ゼネク・スティバル(チェコ)、優勝ニールス・アルベール(ベルギー)、3位スヴェン・ネイス(ベルギー)表彰台、左から2位ゼネク・スティバル(チェコ)、優勝ニールス・アルベール(ベルギー)、3位スヴェン・ネイス(ベルギー) photo:CorVos
単独での粘り強い走りを見せたスティバルとネイスは、両者とも昨年と同順位の2位と3位でフィニッシュ。ベルギーがトップ10に6選手を送り込む大活躍を見せた一方で、ボームの失速が誤算だったオランダはアル・タイスの12位にとどまった。

このエリート男子に日本からは小坂正則と辻浦圭一の2名が参加。45歳の小坂はその年齢を感じさせない走りで51位。レース数日前に体調を崩した現日本チャンピオンの辻浦は、ラップアウトによって62位でレースを終えている。


シクロクロス世界選手権2009エリート男子結果
1位 ニールス・アルベール(ベルギー)1h02'24"
2位 ゼネク・スティバル(チェコ)+22"
3位 スヴェン・ネイス(ベルギー)+38"
4位 バルト・ウェレンス(ベルギー)+1'10"
5位 フランシス・ムレー(フランス)+1'23"
6位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー)
7位 スヴェン・ファントウレンハウト(ベルギー)+1'24"
8位 シモン・ザフナー(スイス)
9位 ストゥヴ・シェネル(フランス)
10位 クラース・ファントルノ(ベルギー)
51位 小坂正則(日本)+5'24"
62位 辻浦圭一(日本)+5laps

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