2011/05/19(木) - 13:09
ジロ・デ・イタリア第11ステージは無数のアップダウンが選手たちを苦しめた。ラスト1kmでは、目まぐるしい攻防が続いた。ステージを狙いたい選手、マリアローザを狙いたい選手たちの思惑は複雑に絡み合っていた。
ステージ優勝したジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル)
ゴール間近で、脚の状態がいいと感じていた。チームには自分のサポートを頼んでいた。彼らは山のふもとから自分をベストな位置に押し上げてくれた。リナルド・ノチェンティーニが完璧にアシストしてくれたんだ。
逃げていた2人(イグナタス・コノヴァロヴァスとダニエル・モレーノ)との差が12秒だとわかったとき、彼らのペースが落ちていると気づいた。残り300mで集団前方の選手たちがペースを落とした瞬間に、ぼくは飛び出した。振り向くのはゴールしてからだと、自分に言い聞かせながら。
とても嬉しい。今日の勝利は、キャリアの中で最も美しい勝利だ。
――ピーター・ウェーニングに敗れた第5ステージについて
ウェーニングに最後までついていけたら、オルヴィエートの登り坂で勝てたかも知れない。でも、振り返る気はつもりはないよ。今日のステージで勝ったしね。でも、ぼくのジロが終わったわけじゃない。ある意味、明日から後の超級山岳になって、やっとジロが始まったと言える。ぼくはステージで1勝できたから、最初の目標は達成できた。今度は総合10位以内で完走することだね。不可能じゃないと思うよ。
ステージ2位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
モレーノは残念だった。勝ちにふさわしい走りだったし、実際に勝てると思っていた。残念だ。ステージの間中、ずっと調子が悪かった。でも集団がモレーノに迫るのに気づいて、スプリントをしようとした。アップダウンてんこ盛りのステージだったよ。
ゴール直前まで逃げ続けたダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
本当に残念だ。勝てると思ってたから、少し落ち込んでいる。ラスト200mで抜かれてしまったけど、最後の局面ではすっかり疲れ切っていて、あれ以上のことはできなかった。後悔が残るとすれば、逃げたときに協調態勢をしっかり取れていたらということ。もしそれができていたなら、ぼくはここでチームメイトが貢献してくれた勝利を称えているだろうね。
マリアローザをキープしたアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)
――今日のステージについて
難しいステージだった。みんなが逃げに入りたがっていた。結果的によかったのは、総合上位のルメヴェルが逃げに入ってくれたことだ。彼がピンクジャージを持っていく可能性があったので、他のチームが仕事をしてくれたうえに、ぼくがリーダーを続けられた。
――現段階でマリアローザであることについて
リーダーでいることは好きだし、マリアローザを着るのは誇りに思う。でも、最終日にリーダーでいるためには、回復する必要がある。冷静な判断をすれば、今はジャージを着るべきではない。
――エトナでのアタックについて
あれはとっさの判断だよ。レース展開も理由のひとつ。
レースの展開からとっさに判断したことだった。有利になるチャンスだとわかれば、脚がすぐ反応して勝ちにいく。日曜日のエトナは、まさに、その例だよ。これはもう治らないね。それに、前に進むのは、つねに良いことだよ。
――記者会見の出席をしなかったことについて
昨日は記者会見に出なかった。とくに語る必要のない通常の日だったし、主役はカヴェンディッシュだったからだ。記者会見が終わるのは、ほんとうに遅いんだ。気に触ったら申し訳ないが、ぼくは記者会見より休息のほうに興味があるんだ。ぼくは選手として、いつも記者と接点を持てるようにしてると思う。
――第14ステージのクロスティス峠の悪路の下りについて
安全にかなりの注意を払ってくれたと思う。下りの大部分が舗装されて、未舗装区間は短くなった。でも、これで充分かは疑問に思う。少しは雑然とした状況だし、車は下りを走れないし、最終的には不確定な要素が多い。この要件を守られてるなら、大きな問題は起きないだろう。でも、守られてないようなら、こういうことはやるべきじゃない。(コンタドールの公式リリース)
誰もが逃げに加わろうとする、難しいステージだった。その結果ルメヴェルが逃げに加わり、ほのチームが懸命に働くことになった。ぼくたちにとっては幸運だった。おかげで総合1位の座を維持できたからね。1位でいるのは悪くない。マリアローザを獲得できるのは誇らしいことだ。でも、ジロの最終日に1位でいたいと思うのなら、回復が必要だ。そのためにはマリアローザを手放すのもよい考えだ。とはいっても、明日はスプリンター向けのステージだけど。(サクソバンクサンガードの公式リリース)
逃げに賭けたクリストフ・ルメヴェル(フランス、ガーミン・サーヴェロ)
マリアローザを獲得しようと毎日挑戦してきたんだ! 今日が最後のチャンスだったんだ。明日はスプリントステージだし、その後は険しい山岳ステージだ。コンタドールやニーバリなどの選手が出てくるだろう。惜しかったね。
だから今日が絶好のチャンスだと思ったんだ。逃げに加わるのは至難の業だった。アタックも多かった。うまくいってやっと逃げに乗れたとき、マリアローザ獲得の夢に賭けてみることにしたんだ。でも集団に残った選手たちは、ぼくを逃がしてタイム差が開くのを警戒していたと思う。コンタドールじゃなく、総合5位以内や総合10位以内の選手たちがね。総合順位を上げたがっているチームはまだたくさんある。そういうチームは、ぼくとの差を2分以上つけたくなかったんだ。
ゴール手前の最後の登りで数秒遅れてしまった。でも今日の挑戦は、それだけの価値があった。ひょっとするとマリアローザを着られたかも知れないからね。危険を冒さなければ、ジロでは何も手に入れられないんだよ。総合順位を落としたけれど、今のところ数秒失っただけだ。今はまだ、1分以内に6人も入ってる。でもこの先の険しい山岳ステージが終われば、タイム差は秒ではなく分単位になっているだろう。
地元での勝利を期待されたミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)
勝利してファンのみんなを喜ばせることができず、残念だ。今日は主役になりたかったし、チームメイトは最高のサポートをしてくれた。でもレース終盤のペースが速すぎて、差をつけることができなかった。ガドレはすばらしかったね。あの走りにはみんな驚いたよ。
逃げに乗ったイグナタス・コノヴァロヴァス(リトアニア、モビスターチーム)
最初にレースガイドを見たときから、逃げが成功する可能性があると思っていた。スタート直後からアタックが頻発したけれど、そのときはうまく脚がまわらなかった。少しずつ調子がよくなってきたので、ようやくアタックできた。ほかの選手たちも苦しそうだったからね。
ダニエル・モレーノがアタックしたとき、彼を追って飛び出すべきだと思った。そうでなければ集団につかまってしまう、と。チームカーがルートの様子を教えてくれてたので、すぐに飛び出した。短くゆるい登りの後にちょっとした下りが続くルートで、ぼくには合っていたからね。
モレーノに追いついたときは、そのまま引き離そうとした。彼がどれだけ疲れているかわからないから。でもその後は2人で協力できた。集団が迫っていたから、難しいのはわかっていた。でも40位よりは2位のほうがいい。結局は吸収されて40位になったけれど。それでも満足している。今日の走りが、今後のやる気に火をつけてくれたように思う。今年最高の調子でジロが始まったし、それはまだ続いている。明日は(チームメイトの)ベントソ向きのステージだし、(総合6位の)アローヨをできる限りサポートするつもりだよ。
69位でゴールした別府史之(日本、レディオシャック)
序盤からアタックとアップヒルが続きハイペースの展開だったけど、ずっと先頭集団に位置して走った。今日は暑くてボトルを何度も運んでみんなの喉を潤した。最後の3kmで落車が起こって道がブロックしてしまったので、そこでペースダウンして今日は走り終えた。
ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、主催新聞ガゼッタ・デッロ・スポルト紙、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation &text : Seiya Yamasaki
photo : Kei Tsuji, Riccardo Scanferla, Graham Watson, Cor Vos
ステージ優勝したジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル)
ゴール間近で、脚の状態がいいと感じていた。チームには自分のサポートを頼んでいた。彼らは山のふもとから自分をベストな位置に押し上げてくれた。リナルド・ノチェンティーニが完璧にアシストしてくれたんだ。
逃げていた2人(イグナタス・コノヴァロヴァスとダニエル・モレーノ)との差が12秒だとわかったとき、彼らのペースが落ちていると気づいた。残り300mで集団前方の選手たちがペースを落とした瞬間に、ぼくは飛び出した。振り向くのはゴールしてからだと、自分に言い聞かせながら。
とても嬉しい。今日の勝利は、キャリアの中で最も美しい勝利だ。
――ピーター・ウェーニングに敗れた第5ステージについて
ウェーニングに最後までついていけたら、オルヴィエートの登り坂で勝てたかも知れない。でも、振り返る気はつもりはないよ。今日のステージで勝ったしね。でも、ぼくのジロが終わったわけじゃない。ある意味、明日から後の超級山岳になって、やっとジロが始まったと言える。ぼくはステージで1勝できたから、最初の目標は達成できた。今度は総合10位以内で完走することだね。不可能じゃないと思うよ。
ステージ2位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
モレーノは残念だった。勝ちにふさわしい走りだったし、実際に勝てると思っていた。残念だ。ステージの間中、ずっと調子が悪かった。でも集団がモレーノに迫るのに気づいて、スプリントをしようとした。アップダウンてんこ盛りのステージだったよ。
ゴール直前まで逃げ続けたダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
本当に残念だ。勝てると思ってたから、少し落ち込んでいる。ラスト200mで抜かれてしまったけど、最後の局面ではすっかり疲れ切っていて、あれ以上のことはできなかった。後悔が残るとすれば、逃げたときに協調態勢をしっかり取れていたらということ。もしそれができていたなら、ぼくはここでチームメイトが貢献してくれた勝利を称えているだろうね。
マリアローザをキープしたアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)
――今日のステージについて
難しいステージだった。みんなが逃げに入りたがっていた。結果的によかったのは、総合上位のルメヴェルが逃げに入ってくれたことだ。彼がピンクジャージを持っていく可能性があったので、他のチームが仕事をしてくれたうえに、ぼくがリーダーを続けられた。
――現段階でマリアローザであることについて
リーダーでいることは好きだし、マリアローザを着るのは誇りに思う。でも、最終日にリーダーでいるためには、回復する必要がある。冷静な判断をすれば、今はジャージを着るべきではない。
――エトナでのアタックについて
あれはとっさの判断だよ。レース展開も理由のひとつ。
レースの展開からとっさに判断したことだった。有利になるチャンスだとわかれば、脚がすぐ反応して勝ちにいく。日曜日のエトナは、まさに、その例だよ。これはもう治らないね。それに、前に進むのは、つねに良いことだよ。
――記者会見の出席をしなかったことについて
昨日は記者会見に出なかった。とくに語る必要のない通常の日だったし、主役はカヴェンディッシュだったからだ。記者会見が終わるのは、ほんとうに遅いんだ。気に触ったら申し訳ないが、ぼくは記者会見より休息のほうに興味があるんだ。ぼくは選手として、いつも記者と接点を持てるようにしてると思う。
――第14ステージのクロスティス峠の悪路の下りについて
安全にかなりの注意を払ってくれたと思う。下りの大部分が舗装されて、未舗装区間は短くなった。でも、これで充分かは疑問に思う。少しは雑然とした状況だし、車は下りを走れないし、最終的には不確定な要素が多い。この要件を守られてるなら、大きな問題は起きないだろう。でも、守られてないようなら、こういうことはやるべきじゃない。(コンタドールの公式リリース)
誰もが逃げに加わろうとする、難しいステージだった。その結果ルメヴェルが逃げに加わり、ほのチームが懸命に働くことになった。ぼくたちにとっては幸運だった。おかげで総合1位の座を維持できたからね。1位でいるのは悪くない。マリアローザを獲得できるのは誇らしいことだ。でも、ジロの最終日に1位でいたいと思うのなら、回復が必要だ。そのためにはマリアローザを手放すのもよい考えだ。とはいっても、明日はスプリンター向けのステージだけど。(サクソバンクサンガードの公式リリース)
逃げに賭けたクリストフ・ルメヴェル(フランス、ガーミン・サーヴェロ)
マリアローザを獲得しようと毎日挑戦してきたんだ! 今日が最後のチャンスだったんだ。明日はスプリントステージだし、その後は険しい山岳ステージだ。コンタドールやニーバリなどの選手が出てくるだろう。惜しかったね。
だから今日が絶好のチャンスだと思ったんだ。逃げに加わるのは至難の業だった。アタックも多かった。うまくいってやっと逃げに乗れたとき、マリアローザ獲得の夢に賭けてみることにしたんだ。でも集団に残った選手たちは、ぼくを逃がしてタイム差が開くのを警戒していたと思う。コンタドールじゃなく、総合5位以内や総合10位以内の選手たちがね。総合順位を上げたがっているチームはまだたくさんある。そういうチームは、ぼくとの差を2分以上つけたくなかったんだ。
ゴール手前の最後の登りで数秒遅れてしまった。でも今日の挑戦は、それだけの価値があった。ひょっとするとマリアローザを着られたかも知れないからね。危険を冒さなければ、ジロでは何も手に入れられないんだよ。総合順位を落としたけれど、今のところ数秒失っただけだ。今はまだ、1分以内に6人も入ってる。でもこの先の険しい山岳ステージが終われば、タイム差は秒ではなく分単位になっているだろう。
地元での勝利を期待されたミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)
勝利してファンのみんなを喜ばせることができず、残念だ。今日は主役になりたかったし、チームメイトは最高のサポートをしてくれた。でもレース終盤のペースが速すぎて、差をつけることができなかった。ガドレはすばらしかったね。あの走りにはみんな驚いたよ。
逃げに乗ったイグナタス・コノヴァロヴァス(リトアニア、モビスターチーム)
最初にレースガイドを見たときから、逃げが成功する可能性があると思っていた。スタート直後からアタックが頻発したけれど、そのときはうまく脚がまわらなかった。少しずつ調子がよくなってきたので、ようやくアタックできた。ほかの選手たちも苦しそうだったからね。
ダニエル・モレーノがアタックしたとき、彼を追って飛び出すべきだと思った。そうでなければ集団につかまってしまう、と。チームカーがルートの様子を教えてくれてたので、すぐに飛び出した。短くゆるい登りの後にちょっとした下りが続くルートで、ぼくには合っていたからね。
モレーノに追いついたときは、そのまま引き離そうとした。彼がどれだけ疲れているかわからないから。でもその後は2人で協力できた。集団が迫っていたから、難しいのはわかっていた。でも40位よりは2位のほうがいい。結局は吸収されて40位になったけれど。それでも満足している。今日の走りが、今後のやる気に火をつけてくれたように思う。今年最高の調子でジロが始まったし、それはまだ続いている。明日は(チームメイトの)ベントソ向きのステージだし、(総合6位の)アローヨをできる限りサポートするつもりだよ。
69位でゴールした別府史之(日本、レディオシャック)
序盤からアタックとアップヒルが続きハイペースの展開だったけど、ずっと先頭集団に位置して走った。今日は暑くてボトルを何度も運んでみんなの喉を潤した。最後の3kmで落車が起こって道がブロックしてしまったので、そこでペースダウンして今日は走り終えた。
ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、主催新聞ガゼッタ・デッロ・スポルト紙、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation &text : Seiya Yamasaki
photo : Kei Tsuji, Riccardo Scanferla, Graham Watson, Cor Vos
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