2011/05/14(土) - 03:18
初めて山頂ゴールが設定されたジロ第7ステージは、残り7kmで飛び出したバルト・デクレルク(ベルギー、オメガファーマ・ロット)がゴールラインで総合争いの選手に並ばれながらも逃げ切り、劇的な勝利を挙げた。総合順位は変動無し。
中休み的な昨ステージを経て、ジロ・デ・イタリア2011はいよいよ最初の山場、山頂ゴールを迎える。2級ながら17kmの登坂距離を誇るモンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノで、総合順位にシャッフルが起こると目された。
200km前後のロングステージが続くこのジロにあって、110kmと短い距離で争われたこの日、5人の逃げが序盤に決まった。メンバーは、フェデリーコ・カヌーティ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)、ジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)、ラルスイティング・バク(デンマーク、HTC・ハイロード)、マッテオ・モンタグティ(イタリア、アージェードゥーゼル)。
5人は最大で3分ほどの差を生み出すも、それ以上はマリアローザのピーター・ウェーニング(オランダ)を擁するラボバンク勢が許さない。さらに早い段階から集団のリードにアックア・エ・サポーネが参加。登りに強いエースのステファノ・ガルゼッリ(イタリア)でのステージ優勝狙いに意志を見せる。
残り50kmを切って、最初の2級山岳でセバスティアン・ラング(ドイツ、オメガファーマ・ロット)がアタック。この動きを見てさらにジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)がペースアップ。ラングを置き去りにして単独で逃げグループの5人を追う展開に。
この2級の山岳ポイントを取りにアタックをかけたのはカヌーティ。一人飛び出した形になったが、下りのタイトコーナーで落車。結局逃げグループは5人に戻り、モンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノを目指す。
23kmの単独走行を耐えたフーガーランドは、残り25kmで逃げグループに追いつくと、さらにそこから加速する積極的な走りでグループを鼓舞する。フーガーランドはこの日が28歳の誕生日。自らの脚でバースデーを祝うかのような力強い走りを見せる。
誕生日男はモンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノにさしかかって再びアタック。この動きで脱落したのはピノーとヴィスコンティの実力者2名。登りに入って残り14.5kmではメイン集団が30秒にまで吸収の手を近づける。
するとそれを嫌いバクがアタック。一気に集団との差を開くがその勢いも長続きしない。各チームの中堅選手がアタックに次ぐアタックを繰り返すが、それも決定力を欠く中、ついにバルト・デクレルク(ベルギー、オメガファーマ・ロット)のアタックが成功。残り7kmで単独先頭に踊り出る。
登りでいいペースを維持するデクレルクに対し、アックア・エ・サポーネがコントロールする集団はペースがあがらない。少しずつデクレルクは集団との差を開いていき、残り3.5kmで30秒差を築き上げる。残り1.5kmを切って業を煮やしたランプレ・ISDがスカルポーニを伴ってペースを上げるが、デクレルクも粘る。
デクレルクが残り300mに差しかかるころ、スカルポーニ、ガルゼッリ、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)、アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク)の激しいスプリント勝負が開始。
伸びるスカルポーニがゴール50m手前でデクレルクを追いつめるが、デクレルクがゴールライン上で追撃をかわし切ってステージ優勝。僅かにスカルポーニら総合の有力選手たちは区間勝利に手に届かなかった。デクレルクは歓喜のガッツポーズを見せる。
総合で上位につける選手は軒並みこのデクレルク・スカルポーニ集団でゴールしたため、総合順位に大きな変動はなく、マリアローザはウェーニングが守っている。ステージ2位でボーナスタイムを獲得したスカルポーニが総合を22秒差の5位に上げている。
優勝したデクレルクは24歳のベルギー・フランドル人。いくつかのレースでは勝利しているが、グランツールでの勝利は初めて。さらに山岳賞マリアヴェルデまで獲得というオプションまでつき、大成功の一日となった。
ジロ・デ・イタリア2011第7ステージ結果
1位 バルト・デクレルク(ベルギー、オメガファーマ・ロット) 2h54'47"
2位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)
4位 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)
6位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
7位 ホセ・ルハノ(ヴェネズエラ、アンドローニ・ジョカトーリ)
8位 ダリオ・カタルド(イタリア、クイックステップ)
9位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク)
10位 クリストフ・ルメヴェル(フランス、ガーミン・サーヴェロ)
86位 別府史之(日本、レディオシャック) +7'57"
個人総合成績
1位 ピーター・ウェーニング(オランダ、ラボバンク) 23h09'59"
2位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、HTC・ハイロード) +2"
3位 マルコ・ピノッティ(イタリア、HTC・ハイロード)
4位 クリストフ・ルメヴェル(フランス、ガーミン・サーヴェロ) +5"
5位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD) +22"
6位 パブロ・ラストラス(スペイン、モビスター) +24"
7位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス) +26"
8位 ステフェン・クルイスウィック(オランダ、ラボバンク) +28"
9位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク) +30"
10位 ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトーリ) +33"
70位 別府史之(日本、レディオシャック) +16'04"
ポイント賞 マリアロッサ・パッシオーネ
アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
山岳賞 マリアヴェルデ
バルト・デクレルク(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
新人賞 マリアビアンカ
ステフェン・クルイスウィック(オランダ、ラボバンク)
チーム総合成績
モビスター
text:Yufta Omata
photo:Kei Tsuji,Riccardo Scanferla,Luca Bettini
中休み的な昨ステージを経て、ジロ・デ・イタリア2011はいよいよ最初の山場、山頂ゴールを迎える。2級ながら17kmの登坂距離を誇るモンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノで、総合順位にシャッフルが起こると目された。
200km前後のロングステージが続くこのジロにあって、110kmと短い距離で争われたこの日、5人の逃げが序盤に決まった。メンバーは、フェデリーコ・カヌーティ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)、ジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)、ラルスイティング・バク(デンマーク、HTC・ハイロード)、マッテオ・モンタグティ(イタリア、アージェードゥーゼル)。
5人は最大で3分ほどの差を生み出すも、それ以上はマリアローザのピーター・ウェーニング(オランダ)を擁するラボバンク勢が許さない。さらに早い段階から集団のリードにアックア・エ・サポーネが参加。登りに強いエースのステファノ・ガルゼッリ(イタリア)でのステージ優勝狙いに意志を見せる。
残り50kmを切って、最初の2級山岳でセバスティアン・ラング(ドイツ、オメガファーマ・ロット)がアタック。この動きを見てさらにジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)がペースアップ。ラングを置き去りにして単独で逃げグループの5人を追う展開に。
この2級の山岳ポイントを取りにアタックをかけたのはカヌーティ。一人飛び出した形になったが、下りのタイトコーナーで落車。結局逃げグループは5人に戻り、モンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノを目指す。
23kmの単独走行を耐えたフーガーランドは、残り25kmで逃げグループに追いつくと、さらにそこから加速する積極的な走りでグループを鼓舞する。フーガーランドはこの日が28歳の誕生日。自らの脚でバースデーを祝うかのような力強い走りを見せる。
誕生日男はモンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノにさしかかって再びアタック。この動きで脱落したのはピノーとヴィスコンティの実力者2名。登りに入って残り14.5kmではメイン集団が30秒にまで吸収の手を近づける。
するとそれを嫌いバクがアタック。一気に集団との差を開くがその勢いも長続きしない。各チームの中堅選手がアタックに次ぐアタックを繰り返すが、それも決定力を欠く中、ついにバルト・デクレルク(ベルギー、オメガファーマ・ロット)のアタックが成功。残り7kmで単独先頭に踊り出る。
登りでいいペースを維持するデクレルクに対し、アックア・エ・サポーネがコントロールする集団はペースがあがらない。少しずつデクレルクは集団との差を開いていき、残り3.5kmで30秒差を築き上げる。残り1.5kmを切って業を煮やしたランプレ・ISDがスカルポーニを伴ってペースを上げるが、デクレルクも粘る。
デクレルクが残り300mに差しかかるころ、スカルポーニ、ガルゼッリ、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)、アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク)の激しいスプリント勝負が開始。
伸びるスカルポーニがゴール50m手前でデクレルクを追いつめるが、デクレルクがゴールライン上で追撃をかわし切ってステージ優勝。僅かにスカルポーニら総合の有力選手たちは区間勝利に手に届かなかった。デクレルクは歓喜のガッツポーズを見せる。
総合で上位につける選手は軒並みこのデクレルク・スカルポーニ集団でゴールしたため、総合順位に大きな変動はなく、マリアローザはウェーニングが守っている。ステージ2位でボーナスタイムを獲得したスカルポーニが総合を22秒差の5位に上げている。
優勝したデクレルクは24歳のベルギー・フランドル人。いくつかのレースでは勝利しているが、グランツールでの勝利は初めて。さらに山岳賞マリアヴェルデまで獲得というオプションまでつき、大成功の一日となった。
ジロ・デ・イタリア2011第7ステージ結果
1位 バルト・デクレルク(ベルギー、オメガファーマ・ロット) 2h54'47"
2位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)
4位 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)
6位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
7位 ホセ・ルハノ(ヴェネズエラ、アンドローニ・ジョカトーリ)
8位 ダリオ・カタルド(イタリア、クイックステップ)
9位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク)
10位 クリストフ・ルメヴェル(フランス、ガーミン・サーヴェロ)
86位 別府史之(日本、レディオシャック) +7'57"
個人総合成績
1位 ピーター・ウェーニング(オランダ、ラボバンク) 23h09'59"
2位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、HTC・ハイロード) +2"
3位 マルコ・ピノッティ(イタリア、HTC・ハイロード)
4位 クリストフ・ルメヴェル(フランス、ガーミン・サーヴェロ) +5"
5位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD) +22"
6位 パブロ・ラストラス(スペイン、モビスター) +24"
7位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス) +26"
8位 ステフェン・クルイスウィック(オランダ、ラボバンク) +28"
9位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク) +30"
10位 ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトーリ) +33"
70位 別府史之(日本、レディオシャック) +16'04"
ポイント賞 マリアロッサ・パッシオーネ
アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
山岳賞 マリアヴェルデ
バルト・デクレルク(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
新人賞 マリアビアンカ
ステフェン・クルイスウィック(オランダ、ラボバンク)
チーム総合成績
モビスター
text:Yufta Omata
photo:Kei Tsuji,Riccardo Scanferla,Luca Bettini
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