2011/05/06(金) - 06:55
ジロ・デ・イタリア開幕が迫り、人々はコースマップとスタートリストに見入っている。厳しいコースを見れば見るほど高まるのが、アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)優勢の声。ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)を始めとする地元イタリア勢との攻防は必見だ。
2008年に急遽ジロに出場し、マリアローザを獲得したコンタドールが戻ってくる。3度のツール・ド・フランス覇者であり、母国スペインのブエルタ・ア・エスパーニャを2008年に制しているコンタドールは、間違いなく現役最強のグランツールレーサーだ。
しかしコンタドールにはドーピング疑惑についての審議の行方がいまだに見えないという不安がつきまとう。昨年3度目の総合優勝を果たしたツール期間中のドーピング検査でクレンブテロール陽性が判明。暫定的に出場停止処分が下されたが、今年2月になってスペイン自転車競技連盟が処分取消を決定した。
これに対し、UCI(国際自転車競技連合)はCAS(スポーツ仲裁裁判所)に上訴。その判決が7月のツール出場に影響を及ぼす可能性があるため、コンタドールは早い時期にジロ出場を決めた。
コンタドールは山岳を得意とするクライマーであると同時に、タイムトライアルでも強さを発揮。山岳の厳しさが際立つ今年のジロはコンタドール向きだ。「2008年は何も分からないままジロを走ったけど、確実に今年のコースの方が厳しい。勝負は最後の個人TTまでもつれ込むかもしれない」。
サクソバンク・サンガードのエースとして3週間の闘いに挑むコンタドール。昨年マリアローザを着用し、マリアビアンカ(新人賞)を獲得したリッチー・ポルト(オーストラリア)の出場も決まっており、頼れるアシストたちとともに3週間の闘いに挑む。
そんなコンタドールの最大の対抗馬と目されているのが、昨年ブエルタ・ア・エスパーニャを制したニーバリ。
昨年のジロではイヴァン・バッソ(イタリア)を献身的にアシストし、山岳ステージで優勝するとともに、自身最高のジロ総合3位という成績を残した。そして今年、母国イタリア最大のロードレースで、連覇が懸かったリクイガス・キャノンデールのエースとして、トリノに降り立つ。
シチリア島メッシーナ出身のニーバリは、エトナ火山にゴールする第8ステージでの勝利を切望している。「このジロのために、できるだけのことはやってきた。後は結果を出すだけだ。シチリアのステージでは地元のファンの期待に走りで応えたい」。ジロ初制覇に向けて機は熟した。
リクイガス・キャノンデールと並ぶイタリアチームのランプレ・ISDは、昨年大会総合4位のミケーレ・スカルポーニ(イタリア)をエースに立てる。これまでステージ通算3勝を飾っているスカルポーニは、7度目のジロでマリアローザ獲得を目指す。
近年は登坂力に磨きをかけており、前哨戦のジロ・デル・トレンティーノで総合優勝を果たした。イタリアで巻き起こるドーピング騒動で名前が浮上しているが、問題なくジロをスタートする予定だ。
山岳ステージで注目したいのが、ピュアクライマーとして知られるホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)。「これほど自分向きのジロはかつてない」と語るロドリゲスは、山岳ステージでリードを広げるはず。苦手な個人TTさえ克服することができれば、確実に総合上位に絡んでくるだろう。
ロドリゲスには、2007年大会覇者のダニーロ・ディルーカ(イタリア)という強力な後ろ盾がいる。ロドリゲスが失速した場合は、ドーピングによる出場停止処分から復帰したディルーカがマリアローザを狙うことになる。
今年、コンタドールの離脱によって空いたアスタナのポジションに、2年連続ツール総合トップ10入りを果たしているロマン・クロイツィゲル(チェコ)が就いた。2009年のツール・ド・ロマンディ覇者クロイツィゲルにとって、これが初めてのジロ・デ・イタリア。2007年TOJ(ツアー・オブ・ジャパン)覇者のフランチェスコ・マシャレッリ(イタリア)がアシストを務める。
昨年マリアローザを着用し、総合2位でジロを終えたダビ・アローヨ(スペイン、モビスター)にも注目したい。2009年のTOJ富士山ステージで40分21秒のコースレコードを叩き出し、総合優勝したセルヒオ・パルディージャ(スペイン)がメンバー入り。モビスターはドーピング騒動の影響によりマルツィオ・ブルセギン(イタリア)をメンバーから外している。
他にも、昨年ブエルタで2つの山岳ステージを制し、マイヨロホを着用(第14ステージで落車リタイア)したイゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)や、ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)も要チェック。いずれも山岳力に秀でたオールラウンダーだ。
ワイルドカード枠で出場するプロコンチネンタル5チームも負けてはいない。2009年大会覇者のデニス・メンショフ(ロシア、ジェオックス・TMC)は、持ち前の安定感ある走りで2度目の大会制覇を目指す。プロコンチネンタルチームに移籍してますます影が薄くなった感があるが、その実力はイタリア国内に知れ渡っている。
今年、メンショフはカルロス・サストレ(スペイン)をアシストに従えての出場。ビッグレース出場をことごとく逃しているジェオックス・TMCにとって、このジロはシーズン最大の目標レース。全力でマリアローザを狙ってくるはずだ。
山岳レースと聞いて忘れてはならないのがアンドローニ・ジョカトリ。エマヌエーレ・セッラ(イタリア)、ホセ・ルハノ(ベネズエラ)、ホセ・セルパ(コロンビア)のクライマー三人衆のポテンシャルは高い。
他にもステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)やドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)らが虎視眈々とマリアローザを狙う。イタリアチャンピオンのジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)は、イタリア統一150周年を祝う特別なゼッケン150番をつけての出場だ。
text:Kei Tsuji in Torino, Italy
2008年に急遽ジロに出場し、マリアローザを獲得したコンタドールが戻ってくる。3度のツール・ド・フランス覇者であり、母国スペインのブエルタ・ア・エスパーニャを2008年に制しているコンタドールは、間違いなく現役最強のグランツールレーサーだ。
しかしコンタドールにはドーピング疑惑についての審議の行方がいまだに見えないという不安がつきまとう。昨年3度目の総合優勝を果たしたツール期間中のドーピング検査でクレンブテロール陽性が判明。暫定的に出場停止処分が下されたが、今年2月になってスペイン自転車競技連盟が処分取消を決定した。
これに対し、UCI(国際自転車競技連合)はCAS(スポーツ仲裁裁判所)に上訴。その判決が7月のツール出場に影響を及ぼす可能性があるため、コンタドールは早い時期にジロ出場を決めた。
コンタドールは山岳を得意とするクライマーであると同時に、タイムトライアルでも強さを発揮。山岳の厳しさが際立つ今年のジロはコンタドール向きだ。「2008年は何も分からないままジロを走ったけど、確実に今年のコースの方が厳しい。勝負は最後の個人TTまでもつれ込むかもしれない」。
サクソバンク・サンガードのエースとして3週間の闘いに挑むコンタドール。昨年マリアローザを着用し、マリアビアンカ(新人賞)を獲得したリッチー・ポルト(オーストラリア)の出場も決まっており、頼れるアシストたちとともに3週間の闘いに挑む。
そんなコンタドールの最大の対抗馬と目されているのが、昨年ブエルタ・ア・エスパーニャを制したニーバリ。
昨年のジロではイヴァン・バッソ(イタリア)を献身的にアシストし、山岳ステージで優勝するとともに、自身最高のジロ総合3位という成績を残した。そして今年、母国イタリア最大のロードレースで、連覇が懸かったリクイガス・キャノンデールのエースとして、トリノに降り立つ。
シチリア島メッシーナ出身のニーバリは、エトナ火山にゴールする第8ステージでの勝利を切望している。「このジロのために、できるだけのことはやってきた。後は結果を出すだけだ。シチリアのステージでは地元のファンの期待に走りで応えたい」。ジロ初制覇に向けて機は熟した。
リクイガス・キャノンデールと並ぶイタリアチームのランプレ・ISDは、昨年大会総合4位のミケーレ・スカルポーニ(イタリア)をエースに立てる。これまでステージ通算3勝を飾っているスカルポーニは、7度目のジロでマリアローザ獲得を目指す。
近年は登坂力に磨きをかけており、前哨戦のジロ・デル・トレンティーノで総合優勝を果たした。イタリアで巻き起こるドーピング騒動で名前が浮上しているが、問題なくジロをスタートする予定だ。
山岳ステージで注目したいのが、ピュアクライマーとして知られるホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)。「これほど自分向きのジロはかつてない」と語るロドリゲスは、山岳ステージでリードを広げるはず。苦手な個人TTさえ克服することができれば、確実に総合上位に絡んでくるだろう。
ロドリゲスには、2007年大会覇者のダニーロ・ディルーカ(イタリア)という強力な後ろ盾がいる。ロドリゲスが失速した場合は、ドーピングによる出場停止処分から復帰したディルーカがマリアローザを狙うことになる。
今年、コンタドールの離脱によって空いたアスタナのポジションに、2年連続ツール総合トップ10入りを果たしているロマン・クロイツィゲル(チェコ)が就いた。2009年のツール・ド・ロマンディ覇者クロイツィゲルにとって、これが初めてのジロ・デ・イタリア。2007年TOJ(ツアー・オブ・ジャパン)覇者のフランチェスコ・マシャレッリ(イタリア)がアシストを務める。
昨年マリアローザを着用し、総合2位でジロを終えたダビ・アローヨ(スペイン、モビスター)にも注目したい。2009年のTOJ富士山ステージで40分21秒のコースレコードを叩き出し、総合優勝したセルヒオ・パルディージャ(スペイン)がメンバー入り。モビスターはドーピング騒動の影響によりマルツィオ・ブルセギン(イタリア)をメンバーから外している。
他にも、昨年ブエルタで2つの山岳ステージを制し、マイヨロホを着用(第14ステージで落車リタイア)したイゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)や、ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)も要チェック。いずれも山岳力に秀でたオールラウンダーだ。
ワイルドカード枠で出場するプロコンチネンタル5チームも負けてはいない。2009年大会覇者のデニス・メンショフ(ロシア、ジェオックス・TMC)は、持ち前の安定感ある走りで2度目の大会制覇を目指す。プロコンチネンタルチームに移籍してますます影が薄くなった感があるが、その実力はイタリア国内に知れ渡っている。
今年、メンショフはカルロス・サストレ(スペイン)をアシストに従えての出場。ビッグレース出場をことごとく逃しているジェオックス・TMCにとって、このジロはシーズン最大の目標レース。全力でマリアローザを狙ってくるはずだ。
山岳レースと聞いて忘れてはならないのがアンドローニ・ジョカトリ。エマヌエーレ・セッラ(イタリア)、ホセ・ルハノ(ベネズエラ)、ホセ・セルパ(コロンビア)のクライマー三人衆のポテンシャルは高い。
他にもステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)やドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)らが虎視眈々とマリアローザを狙う。イタリアチャンピオンのジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)は、イタリア統一150周年を祝う特別なゼッケン150番をつけての出場だ。
text:Kei Tsuji in Torino, Italy
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