最後の1級山岳を越えてクライマックスへと向かうツアー・オブ・ターキー第6ステージ。ステージを制したのは、序盤から逃げに乗ったアンドレ・グライペル(オメガファーマ・ロット)。また圧倒的なチーム力でアレクサンドル・エフィムキン(チームタイプ1)が総合首位に浮上。スタート時にリーダーであったトーマス・ピーターソンは4位へと順位を下げた。

陽光眩い海岸線を行く集団陽光眩い海岸線を行く集団 photo:Bruno.Bade

総合争いが激化した最後の山岳ステージ

最後の山岳ステージとなったツアー・オブ・ターキー第6ステージ。フェトヒイからフィニケまでの184kmは、途中2級、1級山岳を越えるコースで競われた。第7、第8ステージは平坦となるため、総合上位の選手にとっては総合優勝を狙うとても重要なステージとなった。

スタート前に露店で靴磨きを受けるアレッサンドロ・ペタッキ(ランプレ)スタート前に露店で靴磨きを受けるアレッサンドロ・ペタッキ(ランプレ) photo:Bruno.Badeスタート前の宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)スタート前の宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ) photo:Sonoko.TANAKA

昨日のステージで総合優勝の射程圏内にいる選手は5人に絞られている。スタート前、首位につけるのは、トーマス・ピーターソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)、続いて2位キャメロン・ウルフ(オーストラリア、リクイガス・キャノンデール)、3位アレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1)、4位アンドレイ・ゼイツ(カザフスタン、アスタナ)、5位ティボー・ピノ(フランス、FDJ)となっている。

トルコの国旗はためくフェトヒイの街をスタートする選手たちトルコの国旗はためくフェトヒイの街をスタートする選手たち photo:Sonoko.TANAKA彼らの所属チームの“チーム力”が今日の結果を決定づけることとなった。
50km地点で形成された12人の逃げグループにアレクサンドル・エフィムキン(総合3位)擁するタイプ1、アンドレイ・ゼイツ(総合4位)のアスタナ、ティボー・ピノ(総合5位)のFDJは選手を送り込む。そこにはステージ優勝を狙うスプリンターのアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)も加わった。

そして残り60km地点で、30人ほどの追走グループが形成される。総合3、4、5位につけるエフィムキン、ゼイツ、ピノが含まれたが、総合首位のトーマス・ピーターソンと2位のキャメロン・ウルフは加わることができなかった。
エフィムキンら3人の思惑は一致した。「総合1位、2位の選手を引き離すこと」。彼らは協力しながら、そこから先頭集2級山岳へ向かうアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)ら先頭グループ2級山岳へ向かうアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)ら先頭グループ photo:Sonoko.TANAKA団に合流し、新しいリーダーはエフィムキンが獲得した。“6ステージで6人目のリーダーが誕生”とキャップフレーズが出回るほど、ターコイズブルージャージは毎日持ち主を代えている。


貫禄の逃げ切り優勝を果たしたグライペル

先頭集団ではステージ優勝争いが始まったが、余裕ともいえる貫禄でアンドレ・グライペルがスプリントを制した。昨年はステージ5勝し、大会の顔ともなっているグライペル。昨年は所属チームであったHTCコロンビアの強力なトレインがあったというが、今ステージは自分だけの力で掴んだ勝利だ。

圧倒的なスプリントでステージを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)圧倒的なスプリントでステージを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット) photo:Sonoko.TANAKA

アンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)を囲む総合上位の表彰台アンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)を囲む総合上位の表彰台 photo:Sonoko.TANAKAアンドレ・グライペルのコメント
「今日の勝利は去年とは違うものだった。序盤でできた逃げにチームメイトは誰も乗ることができなかったけど、自分はラッキーだったと思う。昨日までのステージで疲れを感じていたから、あまり逃げに乗ったことをよく思っていなかったけど、エフィムキンが総合首位を狙う動きは自分にとってプラスに働くって気がついたんだ。彼らに付いていって、スプリントに備えて待てばよかったのだから。

去年のこの大会では、チームメイトが動いて自分は休むことができた。でも今回はステージ優勝を自分でコントロールしている。そのことをよく思っているし、残りの2ステージも狙いに行きたいと思う」
新しくリーダーとなったアレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1)新しくリーダーとなったアレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1) photo:Sonoko.TANAKA

アレクサンドル・エフィムキンのコメント
「総合3位というポジションに満足していなかったんだ。チームの監督は赤い山岳賞ジャージをもっていたけど、それよりもターコイズブルーの総合ジャージの方が魅力的だと話し、自分もそれが欲しいと思うようになった。ターコイズブルーは自分の好きな色でもあるしね。

そしてチームタイプ1には感謝しているよ。どんな状況でもチームは強力にアシストしてくれる。自分たちならこのジャージを最終日までキープできると思う。またアスタナとFDJとのいい関係も味方してくれるだろうね」


グアルディーニのアシストに徹する宮澤崇史

ファルネーゼヴィーニ・ネーリのスプリンター、アンドレア・グアルディーニ(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)を平坦ステージで勝負させるため、山岳では彼をアシストするのが仕事だと話している宮澤崇史は、この日もチームメイトともにグルペットでゴール。タイム差だけを見るとトップから大幅に遅れているように感じるが、それはチームの様々な作戦があってのことだ。山岳では集団後方で力強くチームを牽引する宮澤の姿がある。明日からの平坦ステージで、グアルディーニが見せ場を作ってくれるだろう。
レース後の宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)レース後の宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ) photo:Sonoko.TANAKA

ツアー・オブ・ターキー第6ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)
2位 エゴイ・グラシア(スペイン、カハルラル)
3位 バルトス・フザルスキー(ポーランド、ネットアップ)
4位 フランシス・モレー(フランス、FDJ)
5位 ヨナス・ヨルゲンセン(デンマーク、サクソバンク・サンガード)
6位 ニコラ・ウデ (フランス、コフィディス)
7位 アンドレア・ノエ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
8位 レオポルド・コーニグ(チェコ、ネットアップ)
9位 リカルド・チアリーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)
10位 アレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1)
107位 宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)

総合成績
1位 アレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1)27h17'12"
2位 アンドレイ・ゼイツ(カザフスタン、アスタナ)+1'13"
3位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)+1'33"
4位 トーマス・ピーターソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)+1'50"
5位 キャメロン・ウルフ(オーストラリア、リクイガス・キャノンデール)+2'17"
6位 バルトス・フザルスキー(ポーランド、ネットアップ)+11'12"
7位 エゴイ・グラシア(スペイン、カハルラル)+11'17"
8位 ウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、FDJ)+11'19"
9位 リカルド・チアリーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)+11'23"
10位 ニコラ・ウデ (フランス、コフィディス)
126位 宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)+1h36'44"


チーム成績首位
FDJ

ポイント賞
アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)

山岳賞
ルイスフェリップ・ラヴェルデ(コロンビア、コロンビアエスパシオン・カフェデコロンビア)


photo&text.Sonoko.TANAKA

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