ツアー・オブ・ターキー第2ステージはカザフスタンの急成長株、ヴァレンティン・イグリンスキー(アスタナ)がゴールスプリントを制し、遅れてしまった総合リーダーのアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)から、リーダージャージを奪った。日本チャンピオンの宮澤崇史はスタート直後に落車するも、無事に走りきっている。

美しい海岸線を走る第2ステージ

本格的なラインレースがスタートする第2ステージ。スタートはトルコ西部に位置するクシャダス。ビーチリゾートとして国内外から多くの観光客が集まる港町。カラッと晴れ渡った青空に、透き通った日差しが降り注いでいる。

スタート地点のクシャダスは明媚なリゾート地スタート地点のクシャダスは明媚なリゾート地 photo:Sonoko Tanaka伝統衣装を身にまとうトルコの子どもたち伝統衣装を身にまとうトルコの子どもたち photo:Sonoko Tanaka


ターコイズブルーのリーダージャージを着るのはアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)。同チームの宮澤崇史に訊くと「今回はコンディションが万全ではない選手もいるし、ジロのセレクションもあるので、あくまでも狙いはステージ。チームでも狙いに行くし、自分もステージを狙っていきたい」と話す。

宮澤崇史はジロ出場を狙う

イタリアンチャンピオン、ジョヴァンニ・ヴィスコンティを擁することからワイルドカードでジロ・デ・イタリア出場権を得た同チーム。所属する宮澤崇史のジロ出場ヘ期待が高まるが、選考基準は実力だけではない。そして暫定出走リストは発表されているが、じっさいの出場メンバーはまだ未確定とのこと。「ステージ上位入賞など好成績を出すことも大切だけど、チームは何を求めているのか?ということを意識して走りたい」と話す宮澤。ジロに出場できるか否かも重要になってくるが、いい形でレースを走り終えてほしいと思う。

スタート前に笑顔を見せる宮澤崇史(日本、ファルネーゼ・ヴィーニ)スタート前に笑顔を見せる宮澤崇史(日本、ファルネーゼ・ヴィーニ) photo:Sonoko Tanakaチームメイトと笑顔で走る宮澤崇史(日本、ファルネーゼ・ヴィーニ)チームメイトと笑顔で走る宮澤崇史(日本、ファルネーゼ・ヴィーニ) photo:Sonoko Tanaka


高速スプリントを制したイグリンスキー

アップダウンを重ねる第2ステージアップダウンを重ねる第2ステージ photo:Sonoko Tanakaレースがスタートしたのは11時35分。丘陵地帯を走る178kmの第2ステージは3kmのニュートラル走行のあと、正式スタートが切られた。スタートからアタックがかかるが、決定的な逃げはなかなか決まらない。スタートから4km地点付近で宮澤崇史がスリップし落車したが、序盤で集団に復帰する。スプリンター擁するチームが集団をコントロールし、ゴールは大集団でのスプリントで迎えた。

残り1km地点を過ぎて一度下ってから、ゴールに向かうという超高速での危険なスプリント。スプリントになるとわかった段階でゴールのカメラマンラインが5mほど後ろに下げられた。

ハイスピードスプリントを制したヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)ハイスピードスプリントを制したヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ) photo:Sonoko Tanakaそしてアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)と競うようにして、ゴールに飛び込んできたのは、アスタナの選手。実況は「アラン・デーヴィス!」と声を上げたが、写真を見返すと何か違う……。「彼がスプリンターだったなんて知らなかった」と話すのは、スプリントに敗れ2位でゴールしたペタッキ。そう、優勝したのはデーヴィスではなく、イグリンスキー兄弟の弟、ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン)だった。昨シーズンの終わりに開催されたツアー・オブ・ハイナンの総合優勝以来となる今季初勝利を手にした。

リーダージャージを着るグアルディーニはゴール前約20km地点の登りで集団から脱落し、4分10秒遅れでゴール。イグリンスキーが総合首位となった。

イグリンスキーのコメント
「今日の勝利はとても感動的だった。ペタッキをマークすると同時に、チームは自分のためにうまく動いてくれた。チームがいなければ勝てなかったと思うよ、自分は強いスプリンターではないからね。将来はグランツールで活躍できる選手になりたいと思っている。それは今年や来年……という話ではないけど、近い将来だね」

落車してしまった宮澤崇史

宮澤崇史は「滑りやすいとは聞いていたけど、タイヤがスリップして落車してしまった。それからは、うまく動けなかったな……」とレースを振り返るが、終盤にかけて破れたジャージで積極的に集団を牽引する彼の力強い姿があった。

集団のペースアップを図る宮澤崇史(日本、ファルネーゼ・ヴィーニ)集団のペースアップを図る宮澤崇史(日本、ファルネーゼ・ヴィーニ) photo:Sonoko Tanaka

ケガは心配だが、幸い重傷ではなさそうなので、明日からまた気持ちを切り替えて、持ち前のアグレッシブルな走りを見せてくれるだろう。


※宮澤の健闘、荒涼としたトルコの風景はフォトギャラリーからお楽しみください。


ツアー・オブ・ターキー第2ステージ結果
1位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)        4h23'28"
2位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
3位 エラ・ファヴィッリ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
4位 ホアンパブロ・フォレロ(コロンビア、コロンビアエスパシオン・カフェデコロンビア)
5位 ステファン・ファンダイク(オランダ、ヴェランダズヴィレムス・アクセント)
6位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
7位 ヤロスラフ・マリチャ(ポーランド、サクソバンク・サンガード)
8位 ミラック・カル(トルコ、コンヤ・トーキーシュケルスポル・ヴィヴェロ)
9位 ジョルジオ・ブランビラ(イタリア、デローザ・チェラミカフラミニア)
10位 アンドレア・グレンデーネ(イタリア、タイプ1)
146位 宮澤崇史(日本、ファルネーゼ・ヴィーニ)                 +57"

総合成績
1位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)      6h59'12"
2位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)          +04"
3位 ケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)           +06"
4位 エラ・ファヴィッリ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
5位 ステファン・ファンダイク(オランダ、ヴェランダズヴィレムス・アクセント)+10"
6位 マニュエル・ベレッティ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
7位 ミラック・カル(トルコ、コンヤ・トーキーシュケルスポル・ヴィヴェロ)
8位 ディエゴ・ミラン(スペイン、カハルラル)
9位 アンドレア・グレンデーネ(イタリア、タイプ1)
10位 ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
149位 宮澤崇史(日本、ファルネーゼ・ヴィーニ)              +1'07"

チーム成績首位
カハルラル

ポイント賞
ホアン・ヴィレガス(コロンビア、コロンビアエスパシオン・カフェデコロンビア)

山岳賞
ホアン・ヴィレガス(コロンビア、コロンビアエスパシオン・カフェデコロンビア)


photo&text:Sonoko Tanaka

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