2011/03/03(木) - 08:15
待ちに待ったスプリングクラシックの季節がやってきた。3月から4月にかけて、世界のトップ選手たちがイタリアのリグーリア海岸やフランドルの農道を駆け抜ける。ただテレビで観戦するのもいいけど、実際のコースを走ってみると尚一層レースを楽しめるはず。ヨーロッパにはそんなシクロスポルティフが溢れている。
各国から熱狂的シクロファンが走りに来る (c)Makoto.AYANO
コース上に付けられる市民シクロの案内標識 (c)Makoto.AYANO
ヨーロッパで開催されるクラシックレースの多くは、一般参加型のシクロスポルティフを併催している。ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)やトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)といったクラシックスターが走るコースを実際に走るチャンスだ。ここでは代表的なシクロスポルティフを6つ挙げてみたい。
エロイカ・ストラーデビアンケ 10月2日開催(プロレースは3月6日) 大会ホームページ
トスカーナ州の未舗装路を駆け抜ける photo:Cor Vosエロイカの歴史はプロレースのそれよりも長い。シクロスポルティフの成功を受け、オーガナイザーが2007年にプロレースを初開催した。今年で5回目を迎えるプロレースは今週末に開催されるが、シクロスポルティフの開催日は10月2日。すでに2000人を超える参加者が登録を終えており、ランプレ・ISDのプロ選手も招待選手として走る予定だ。
コースは38km、75km、135km、205kmの4種類用意され、それぞれ距離や難易度が異なる。しかしどれもストラーデビアンケ(白い道)と呼ばれる未舗装路を含んでおり、距離が短くてもライドを堪能できるはず。オーガナイザーはヴィンテージバイクの使用を推奨している。なお、コースの案内標識は年中立っているので、イベント開催日以外でも自由に走ることができる。
ミラノ〜サンレモ 6月5日開催(プロレースは3月19日) 大会ホームページ
リグーリア海に沿ったアップダウンを繰り返す photo:Cor Vos今から40年前、レースのお膝元サンレモのクラブチームUCサンレモがミラノ〜サンレモのスポルティフイベントを初開催した。今年はプロレースの約2ヶ月半後にあたる6月5日に開催。ミラノからサンレモまで、300km近い世界最長のコースを辿る。もちろんトゥルキーノ峠やチプレッサ、ポッジオなどの登りがコースに組み込まれている。
「他のスポルティフと同様に、プロ選手と同じコースを走る絶好のチャンスだ。一般ライダーはそれだけで大きな喜びを得られるはず。みんな同じコースを走りたいんだ。一度地滑りでコースの変更を余儀なくされたことがあるけど、その時は参加者から不満が漏れたよ。」そう語るのはUCサンレモのファブリツィオ・スジーニ代表だ。
コース設定は290kmの1種類だけ。昨年は850名が参加し、740名が完走した。スジーニ氏は2004年大会に出場し、9時間10分で完走した。昨年トップでゴールしたミケーレ・マスケローニ氏のタイムは7時間49分で、平均スピードは37.58km/h。ちなみにプロレースの優勝タイムは6時間57分だった。
ロンド・ファン・フラーンデレン 4月2日開催(プロレースは4月3日) 大会ホームページ
ロンド・ファン・フラーンデレンの石畳の激坂を登る (c)Makoto.AYANO
聖地カペルミュールを制覇せよ! (c)Makoto.AYANO
数あるシクロスポルティフの中で特に有名なのがロンド・ファン・フラーンデレンだ。プロ選手たちが走る前日に、有名な急坂や石畳の登りを走ることができる。昨年は冷たい雨というクラシックらしい天候の中で開催。カンチェラーラが勝った翌日のプロレースは好天だった。
コース設定は3種類で、登場する急坂の数と距離が異なる。5カ所の急坂が詰め込まれた75km、12カ所の急坂を含む150km、そして18カ所の急坂を含む260kmの3種類。もちろん有名なコッペンベルグも登場する。短い2つのコースはニノーヴェを発着。260kmコースはプロレース同様ブルージュをスタートする。
昨年は2000名が参加し、その多くが翌日のプロレースを観戦した。ベルギービール片手に、カンチェラーラの走りを堪能したはずだ。
パリ〜ルーベ 4月9日開催(プロレースは4月10日) 大会ホームページ
乾燥したパヴェから砂埃が舞い上がる photo:Cor Vosパリ〜ルーベの長い歴史の中で、今年初めてASOがシクロスポルティフ「パリ〜ルーベ・チャレンジ」を主催する。これまでは、地元クラブチームのVCルーベが同様のスポルティフイベントを2年に1回の頻度で開催してきた。
フランスのサン・カンタンをスタートする162kmのコースには、18区間・合計31.6kmのパヴェが詰め込まれている。ゴール地点はルーベのヴェロドロームだ。コース発表に立ち会ったかつての優勝者ベルナール・イノー氏は「参加者へのアドバイスは、ベストなラインを見つけて走ること。一般ライダーもラインを見極めながら、なるべくグループの先頭で走ることが必要だ」と語っている。
プロレース同様、マヴィックが大会をサポート。コース3カ所にメカニカルサポートポイントを設置する。ASOは参加者の上限を3000人と決めており、出場するならば今すぐ登録を。
アムステル・ゴールドレース 4月16日(プロレースは4月17日) 大会ホームページ
アムステル・ゴールドレースを締めくくるカウベルグの登り photo:Cor Vosマーストリヒト近郊の入り組んだ丘陵地帯を駆け抜けるアムステル・ゴールドレース。プロ選手たちでさえ、標識を見落とすとコースが分からなくなるという複雑なコースが設定されている。一般ライダーは、交通規制が敷かれたコースをプロレースの前日に走ることができる。
スタート地点は全てファルケンブルグで、ゴール地点は有名なカウベルグ。ゴール後は、大会のスポンサーであるアムステル・ゴールドビールがついてくる。オーガナイザーはいくつものオプションを用意しており、最も短いコースは65km。最長は17カ所の急坂を含むは250kmだ。
よほどのクラシック好きならば、3週間のヨーロッパ滞在でロンド・ファン・フラーンデレン、パリ〜ルーベ、アムステル・ゴールドレースの3連続スポルティフ参加が可能。もちろん翌日のレース観戦付きだ。
リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ 7月30日(プロレースは4月24日) 大会ホームページ
急勾配で知られるサンロシュの坂を上る選手たち photo:A.S.O.リエージュ〜バストーニュ〜リエージュのシクロスポルティフは、プロレースの3ヶ月後に開催される。真夏のアルデンヌ地方は天候に恵まれることが多いため、暖かい太陽の下、ラ・ルドゥットのような登りを楽しみながら走ることができる。
フルコースはプロレースと同じくリエージュを発着する。リエージュ南部に広がる丘陵地帯を245kmかけて駆け抜ける。獲得標高は3700mオーバー。もしあなたがアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)タイプのライダーではないのなら、130km(獲得標高1800m)や170km(獲得標高2700m)のショートコースも選択肢の一つだ。参加者数は3500名前後を予定。すでにホームページでの登録が始まっている。
「こっちでいいのかな?」 (c)Makoto.AYANO
パヴェの振動を体験してみる? (c)Makoto.AYANO
コッペンベルグを体験してみればプロの凄さが理解できる (c)Makoto.AYANO
市民シクロでは補給食が用意されることが多い (c)Makoto.AYANO
※なお、執筆者のグレゴー・ブラウンはロンド・ファン・フラーンデレンとミラノ〜サンレモのスポルティフに出場予定だ。
text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji
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ヨーロッパで開催されるクラシックレースの多くは、一般参加型のシクロスポルティフを併催している。ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)やトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)といったクラシックスターが走るコースを実際に走るチャンスだ。ここでは代表的なシクロスポルティフを6つ挙げてみたい。
エロイカ・ストラーデビアンケ 10月2日開催(プロレースは3月6日) 大会ホームページ
コースは38km、75km、135km、205kmの4種類用意され、それぞれ距離や難易度が異なる。しかしどれもストラーデビアンケ(白い道)と呼ばれる未舗装路を含んでおり、距離が短くてもライドを堪能できるはず。オーガナイザーはヴィンテージバイクの使用を推奨している。なお、コースの案内標識は年中立っているので、イベント開催日以外でも自由に走ることができる。
ミラノ〜サンレモ 6月5日開催(プロレースは3月19日) 大会ホームページ
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「他のスポルティフと同様に、プロ選手と同じコースを走る絶好のチャンスだ。一般ライダーはそれだけで大きな喜びを得られるはず。みんな同じコースを走りたいんだ。一度地滑りでコースの変更を余儀なくされたことがあるけど、その時は参加者から不満が漏れたよ。」そう語るのはUCサンレモのファブリツィオ・スジーニ代表だ。
コース設定は290kmの1種類だけ。昨年は850名が参加し、740名が完走した。スジーニ氏は2004年大会に出場し、9時間10分で完走した。昨年トップでゴールしたミケーレ・マスケローニ氏のタイムは7時間49分で、平均スピードは37.58km/h。ちなみにプロレースの優勝タイムは6時間57分だった。
ロンド・ファン・フラーンデレン 4月2日開催(プロレースは4月3日) 大会ホームページ
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数あるシクロスポルティフの中で特に有名なのがロンド・ファン・フラーンデレンだ。プロ選手たちが走る前日に、有名な急坂や石畳の登りを走ることができる。昨年は冷たい雨というクラシックらしい天候の中で開催。カンチェラーラが勝った翌日のプロレースは好天だった。
コース設定は3種類で、登場する急坂の数と距離が異なる。5カ所の急坂が詰め込まれた75km、12カ所の急坂を含む150km、そして18カ所の急坂を含む260kmの3種類。もちろん有名なコッペンベルグも登場する。短い2つのコースはニノーヴェを発着。260kmコースはプロレース同様ブルージュをスタートする。
昨年は2000名が参加し、その多くが翌日のプロレースを観戦した。ベルギービール片手に、カンチェラーラの走りを堪能したはずだ。
パリ〜ルーベ 4月9日開催(プロレースは4月10日) 大会ホームページ
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フランスのサン・カンタンをスタートする162kmのコースには、18区間・合計31.6kmのパヴェが詰め込まれている。ゴール地点はルーベのヴェロドロームだ。コース発表に立ち会ったかつての優勝者ベルナール・イノー氏は「参加者へのアドバイスは、ベストなラインを見つけて走ること。一般ライダーもラインを見極めながら、なるべくグループの先頭で走ることが必要だ」と語っている。
プロレース同様、マヴィックが大会をサポート。コース3カ所にメカニカルサポートポイントを設置する。ASOは参加者の上限を3000人と決めており、出場するならば今すぐ登録を。
アムステル・ゴールドレース 4月16日(プロレースは4月17日) 大会ホームページ
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よほどのクラシック好きならば、3週間のヨーロッパ滞在でロンド・ファン・フラーンデレン、パリ〜ルーベ、アムステル・ゴールドレースの3連続スポルティフ参加が可能。もちろん翌日のレース観戦付きだ。
リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ 7月30日(プロレースは4月24日) 大会ホームページ
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フルコースはプロレースと同じくリエージュを発着する。リエージュ南部に広がる丘陵地帯を245kmかけて駆け抜ける。獲得標高は3700mオーバー。もしあなたがアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)タイプのライダーではないのなら、130km(獲得標高1800m)や170km(獲得標高2700m)のショートコースも選択肢の一つだ。参加者数は3500名前後を予定。すでにホームページでの登録が始まっている。
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※なお、執筆者のグレゴー・ブラウンはロンド・ファン・フラーンデレンとミラノ〜サンレモのスポルティフに出場予定だ。
text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji
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