2011/03/01(火) - 11:30
オーストラリアを代表するクラシックスター、スチュアート・オグレディ(レオパード・トレック)は、今年限り、もしくは来年限りでの現役引退を考えている。37歳になった今もまだまだクラシックレースで自ら勝利を狙える実力の持ち主。新生レオパード・トレックに欠かせない人物だ。
チームメイトにコースを説明するスチュアート・オグレディ(オーストラリア、レオパード・トレック) photo:Kei Tsujiサウスオーストラリア州アデレード出身のオグレディは、今から16年前、1995年にフランスのGANチームでプロデビューした。以降、ツール・ド・フランスではステージ3勝を飾り、マイヨジョーヌも着用した。アテネ五輪ではマディソンで金メダルを獲得し、世界選手権団体追い抜きでは2度チャンピオンに輝いている。
オグレディの最後のビッグな勝利は、2007年のパリ〜ルーベ。ファビアン・カンチェラーラ(スイス)のアシストとしてパヴェ決戦に挑んだオグレディは、調子の上がらないディフェンディングチャンピオンに代わってパヴェでアタック。気温が上がり、乾燥して砂埃舞う中、独走勝利を飾った。
ツアー・ダウンアンダー最終ステージでアタックを繰り返したスチュアート・オグレディ(オーストラリア、レオパード・トレック) photo:Kei Tsuji今シーズンサクソバンクからレオパード・トレックに移籍したオグレディとカンチェラーラ。2人は揃ってロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベに出場する予定。8歳年上のオグレディにもまだクラシック勝利のチャンスは残されている。
「ここ数年そうであったように、ファビアンが好調をキープしていれば、自分の役目はアシストだ。レースをコントロールして、ファビアンを好位置で解き放つ。あとは彼が仕事を完遂するだけだ。」
ゴール後のスチュアート・オグレディ(オーストラリア、レオパード・トレック) photo:Kei Tsujiレオパード・トレックに合流するまでの5年間、オグレディはビャルヌ・リース監督率いるサクソバンク(チームCSC)で過ごした。先にレオパード・トレックへの移籍を決めたのはオグレディ。カンチェラーラがサクソバンクとの契約を破棄したことで、再び2人は同チームで走ることになった。
「クラシックレースで全責任を負わなければならないと思っていたところに、ファビアンが合流した。もう大喜びだったよ。」オグレディは屈託のない笑顔で語る。
2010年ツール・ド・フランス メイン集団を率いるスチュアート・オグレディ(オーストラリア、当時サクソバンク) photo:Kei Tsuji「ファビアンのような選手がチームの中にいるだけで、クラシックの勝利がグンと近くなる。別チームで走る彼と一騎打ちなんてしたくない。おそらく瞬殺される。パリ〜ルーベで勝つチャンスなんて無いだろう。意外に思うかも知れないけど、彼が同じチームにいると、自分にもチャンスが回ってくる。ファビアンは必然的に激しくマークされるので、そこでアタックすれば自分にもチャンスがある。」
サクソバンク時代のもう一つの任務は、アンディ・シュレク(ルクセンブルク)のような若手選手の世話をすることだった。オグレディのアシストを受けたアンディは、2年連続ツール総合2位に入っている。
2010年ツール・ド・フランス パリ〜ルーベ優勝経験者のスチュアート・オグレディ(オーストラリア、当時サクソバンク)がアンディを完璧にサポート photo:Makoto Ayanoレオパード・トレックに移籍したオグレディは、シュレク兄弟の心強いサポート役を継続。同じオーストラリア出身のウィリアム・クラークの良い指南役にもなる。
「これまでマイヨジョーヌを追い求め、クラシックレースで勝ってきた。少し歳を取った今、チーム内の役割が変わってきている。自分が積んできた経験を若手に伝え、キャプテンを務めることが自分の役目。今までと変わったチャレンジが始まる。ツールの表彰台や難関山岳での優勝は、自分の身体能力では決して達成できないこと。自分がアシストした若手がそれを達成するのを見ると、また違った満足感を得ることができる。」
オグレディとレオパード・トレックの契約は1年間。オーストラリアの新チーム・グリーンエッジに合流するとの噂が流れているが、オグレディは否定も肯定もしない。現役引退や、もう一年レオパード・トレックで走る可能性もある。
「とにかく今シーズンに向けてのモチベーションは高い。新チームの一員として、新たなチャレンジが待っている。心臓がドクドク躍っているのが分かるようなビッグレースが好きなんだ。」
8月に38回目の誕生日を迎えるオグレディ。いよいよキャリアの仕上げ段階に入る。
スチュアート・オグレディ(オーストラリア、レオパード・トレック) photo:Kei Tsuji
アデレード出身のスチュアート・オグレディ(オーストラリア、レオパード・トレック) photo:Kei Tsuji
スチュアート・オグレディ(オーストラリア、レオパード・トレック) photo:Kei Tsuji
text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji
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オグレディの最後のビッグな勝利は、2007年のパリ〜ルーベ。ファビアン・カンチェラーラ(スイス)のアシストとしてパヴェ決戦に挑んだオグレディは、調子の上がらないディフェンディングチャンピオンに代わってパヴェでアタック。気温が上がり、乾燥して砂埃舞う中、独走勝利を飾った。
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「ここ数年そうであったように、ファビアンが好調をキープしていれば、自分の役目はアシストだ。レースをコントロールして、ファビアンを好位置で解き放つ。あとは彼が仕事を完遂するだけだ。」
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「クラシックレースで全責任を負わなければならないと思っていたところに、ファビアンが合流した。もう大喜びだったよ。」オグレディは屈託のない笑顔で語る。
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サクソバンク時代のもう一つの任務は、アンディ・シュレク(ルクセンブルク)のような若手選手の世話をすることだった。オグレディのアシストを受けたアンディは、2年連続ツール総合2位に入っている。
「これまでマイヨジョーヌを追い求め、クラシックレースで勝ってきた。少し歳を取った今、チーム内の役割が変わってきている。自分が積んできた経験を若手に伝え、キャプテンを務めることが自分の役目。今までと変わったチャレンジが始まる。ツールの表彰台や難関山岳での優勝は、自分の身体能力では決して達成できないこと。自分がアシストした若手がそれを達成するのを見ると、また違った満足感を得ることができる。」
オグレディとレオパード・トレックの契約は1年間。オーストラリアの新チーム・グリーンエッジに合流するとの噂が流れているが、オグレディは否定も肯定もしない。現役引退や、もう一年レオパード・トレックで走る可能性もある。
「とにかく今シーズンに向けてのモチベーションは高い。新チームの一員として、新たなチャレンジが待っている。心臓がドクドク躍っているのが分かるようなビッグレースが好きなんだ。」
8月に38回目の誕生日を迎えるオグレディ。いよいよキャリアの仕上げ段階に入る。
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text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji
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