2011/01/25(火) - 11:31
ゴールスプリント真っ最中にコルナゴCFSの選手に前に入られ、顔から地面に落ちた新城は、左顔面を血に染めてのフィニッシュ。手当を受けている間、「新城は大丈夫なのか、頭は打っていないのか、ここでリタイアか?」 関係者やメディアには大きな動揺が走った。
暑さもピークの午後2時頃、かげろうのむこうにゴールスプリントの集団が浮かぶ。第2ステージのフィニッシュラインを両手をあげて駆け抜けたのは、昨日の勝利でイエロージャージをまとったアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)。しかしそのゴールの200mほど手前で落車が発生、新城らが巻き込まれていた。
怪我の状況を心配する我々に、ユーロップカーのスタッフは優しい笑顔で言う。「大丈夫だよ、ほおの怪我と、あと口の中だけ。重大なけがじゃないから、安心して」。しかし病院に行くまで、まだ状況はわからない。
いっぽう、愛三工業レーシングチームのチームカー付近にいくと、「品川真寛がゴール手前で落車に巻き込まれて、いま手当を受けている」という。状況からすると新城と同じ落車かもしれない(※)。こちらも「戻ってくるまで様子がわからない」。
※ゴール1km手前の落車に巻き込まれたことが後になって判明
「えーと今日ですか?最後、スプリントでマナンと連携できなくて…ユキヤが転んじゃって、」と福島晋一(トレンガヌ・プロアジア)に話をきいていると、手当てを終えた新城が戻ってきた。
「ユキヤ、大丈夫か?」心配そうにかけより、そっと肩に手をおき「小さな弟を心配する大きなお兄さん」を思わせるあたたかいまなざしを向ける福島。
口をあけて、「歯が…」と指差す新城。「とにかく病院へ行ったほうがいい」と福島。「まずはホテルに戻って、それから病院だ」。
スタッフとチームカーに乗り、フィニッシュ地点をあとにする新城。スタッフや日本のカメラマンたちがそれを見送る。
24日夜7時頃現在で、それぞれのチームスタッフによると、新城は「ほおの擦過傷と、奥歯が欠けたが、骨折や脳の異常はない」とのこと。品川も「擦過傷と打ち身で、骨折はしていない。明日出走できるかは明日まで様子を見て」とのことだ。
この日、宮澤崇史も、フィニッシュにこすれた跡のあるジャージで現れた。「今日は思ったように走れましたが、残り1kmで落車してしまったので…。彼を巻き込まなかったのでよかったです」と、グアルディーニを指さして笑顔を見せた。痛みもあるだろうに、こういう宮澤のコメントのプロ意識には、いつも感心させられてしまう。
この日の第2ステージは、カンガからバターワースまで比較的直線状にマレー半島を南下する145.4km。途中に3つのスプリントポイントがあり、山岳ポイントはない。まさにスプリンター向きの平坦なコースだ。
スタート数分前に出発するプレスカーのバンに乗り、コースを南へ。第1スプリントポイントまでは、町中の道をいく。片側2車線の開けた道路で、両側に今日も隊列を応援する元気な子どもたちの姿が見える。
第1スプリントポイント、まず1、2位に入ったのは2人で逃げていたDeon Locke(オーストラリア、チームチャンピオンシステム)とHamid Shirisisan(イラン、スレン)。そして5分ほどして、大人数の集団が姿を現した。3、4位は後ろを振り返り後続を確認するアヌアル・マナン(マレーシア、トレンガヌ・プロアジア)、そして左手をあげガッツポーズのイエロージャージのグアルディーニ、そして大きく広がった集団が続く。
プレスカーは、ここからはハイウエイを通ってフィニッシュに先回りだ。選手たちのルートとは同じではないだろうが、この日のコースはひたすら平坦、ということを実感する窓外の風景。背後に小さな丘、手前に広がるのはおそらくは水田。思わず脳裏に浮かんだのは、成田空港に行くとき窓の外に広がる、印旛沼のほとりの風景だ。もっとも、農家の柿の木のかわりに、ここではヤシの木が生えているのだが。
10時30分にスタートしたこの日のレースは14時過ぎにフィニッシュ。昨日に続き、グアルディーニの強さを印象づけるレースとなった。日本人の最高位は土井雪広(スキル・シマノ)の35位だ。
西谷(愛三工業レーシング)は37位。「最後は列車をうまく組んで、綾部、品川、盛、福田、西谷の並びで行きました。自分が盛さんを抜くときに、前に出きってしまって、かけるタイミングが早すぎたかなと思います」と福田真平。「西谷が後ろから来た選手にあわせてもがいたが、最後は差されてしまった」という。
明日の第3ステージは、タイピンからシティアワンまでの144.9km。レース序盤の約17kmの山岳ポイント賞地点、標高差約130mのブキ・ガンタンの登りで誰かがうまく逃げるか、そのあとのスプリントポイントが3カ所ある比較的平坦な部分でレースがどう動くか。
蒸し暑い第2ステージのレースを終えた夕方、空の色はどんよりとした灰色になり、フィニッシュからホテルに移動するプレスカーの窓には霧のような雨粒が吹きつけられてきた。天気予報のサイトによると、タイピンの明日は雨模様の曇り、そして最低気温が29度、最高気温は30度。はたして、明日はどんなレースになるのだろうか。
1月25日、現地時間午前11時の情報
ユーロップカーのチームのスタッフによると、新城は首の怪我の大事をとり、出走を取りやめた。本日はクアラルンプールの病院でMRIなどの精密検査を行うという。
品川真寛(愛三工業)は左半身の擦過傷と打撲、右足の痛みはあるが、第3ステージを出走する。
photo&text:Yuko.SATO
暑さもピークの午後2時頃、かげろうのむこうにゴールスプリントの集団が浮かぶ。第2ステージのフィニッシュラインを両手をあげて駆け抜けたのは、昨日の勝利でイエロージャージをまとったアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)。しかしそのゴールの200mほど手前で落車が発生、新城らが巻き込まれていた。
怪我の状況を心配する我々に、ユーロップカーのスタッフは優しい笑顔で言う。「大丈夫だよ、ほおの怪我と、あと口の中だけ。重大なけがじゃないから、安心して」。しかし病院に行くまで、まだ状況はわからない。
いっぽう、愛三工業レーシングチームのチームカー付近にいくと、「品川真寛がゴール手前で落車に巻き込まれて、いま手当を受けている」という。状況からすると新城と同じ落車かもしれない(※)。こちらも「戻ってくるまで様子がわからない」。
※ゴール1km手前の落車に巻き込まれたことが後になって判明
「えーと今日ですか?最後、スプリントでマナンと連携できなくて…ユキヤが転んじゃって、」と福島晋一(トレンガヌ・プロアジア)に話をきいていると、手当てを終えた新城が戻ってきた。
「ユキヤ、大丈夫か?」心配そうにかけより、そっと肩に手をおき「小さな弟を心配する大きなお兄さん」を思わせるあたたかいまなざしを向ける福島。
口をあけて、「歯が…」と指差す新城。「とにかく病院へ行ったほうがいい」と福島。「まずはホテルに戻って、それから病院だ」。
スタッフとチームカーに乗り、フィニッシュ地点をあとにする新城。スタッフや日本のカメラマンたちがそれを見送る。
24日夜7時頃現在で、それぞれのチームスタッフによると、新城は「ほおの擦過傷と、奥歯が欠けたが、骨折や脳の異常はない」とのこと。品川も「擦過傷と打ち身で、骨折はしていない。明日出走できるかは明日まで様子を見て」とのことだ。
この日、宮澤崇史も、フィニッシュにこすれた跡のあるジャージで現れた。「今日は思ったように走れましたが、残り1kmで落車してしまったので…。彼を巻き込まなかったのでよかったです」と、グアルディーニを指さして笑顔を見せた。痛みもあるだろうに、こういう宮澤のコメントのプロ意識には、いつも感心させられてしまう。
この日の第2ステージは、カンガからバターワースまで比較的直線状にマレー半島を南下する145.4km。途中に3つのスプリントポイントがあり、山岳ポイントはない。まさにスプリンター向きの平坦なコースだ。
スタート数分前に出発するプレスカーのバンに乗り、コースを南へ。第1スプリントポイントまでは、町中の道をいく。片側2車線の開けた道路で、両側に今日も隊列を応援する元気な子どもたちの姿が見える。
第1スプリントポイント、まず1、2位に入ったのは2人で逃げていたDeon Locke(オーストラリア、チームチャンピオンシステム)とHamid Shirisisan(イラン、スレン)。そして5分ほどして、大人数の集団が姿を現した。3、4位は後ろを振り返り後続を確認するアヌアル・マナン(マレーシア、トレンガヌ・プロアジア)、そして左手をあげガッツポーズのイエロージャージのグアルディーニ、そして大きく広がった集団が続く。
プレスカーは、ここからはハイウエイを通ってフィニッシュに先回りだ。選手たちのルートとは同じではないだろうが、この日のコースはひたすら平坦、ということを実感する窓外の風景。背後に小さな丘、手前に広がるのはおそらくは水田。思わず脳裏に浮かんだのは、成田空港に行くとき窓の外に広がる、印旛沼のほとりの風景だ。もっとも、農家の柿の木のかわりに、ここではヤシの木が生えているのだが。
10時30分にスタートしたこの日のレースは14時過ぎにフィニッシュ。昨日に続き、グアルディーニの強さを印象づけるレースとなった。日本人の最高位は土井雪広(スキル・シマノ)の35位だ。
西谷(愛三工業レーシング)は37位。「最後は列車をうまく組んで、綾部、品川、盛、福田、西谷の並びで行きました。自分が盛さんを抜くときに、前に出きってしまって、かけるタイミングが早すぎたかなと思います」と福田真平。「西谷が後ろから来た選手にあわせてもがいたが、最後は差されてしまった」という。
明日の第3ステージは、タイピンからシティアワンまでの144.9km。レース序盤の約17kmの山岳ポイント賞地点、標高差約130mのブキ・ガンタンの登りで誰かがうまく逃げるか、そのあとのスプリントポイントが3カ所ある比較的平坦な部分でレースがどう動くか。
蒸し暑い第2ステージのレースを終えた夕方、空の色はどんよりとした灰色になり、フィニッシュからホテルに移動するプレスカーの窓には霧のような雨粒が吹きつけられてきた。天気予報のサイトによると、タイピンの明日は雨模様の曇り、そして最低気温が29度、最高気温は30度。はたして、明日はどんなレースになるのだろうか。
1月25日、現地時間午前11時の情報
ユーロップカーのチームのスタッフによると、新城は首の怪我の大事をとり、出走を取りやめた。本日はクアラルンプールの病院でMRIなどの精密検査を行うという。
品川真寛(愛三工業)は左半身の擦過傷と打撲、右足の痛みはあるが、第3ステージを出走する。
photo&text:Yuko.SATO
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