2009/04/16(木) - 15:30
今注目の国産ブランド「エヴァディオ」。ハイパフォーマンスカーボンロード「ヴィーナス」をリリースするが、レースを志すエントリーライダーにお勧めのバイクがこのアルミフレームの「バッカス」だ。
バッカスのフレームは7005アルミのトリプルバテットチューブを使用している。このチューブを大口径薄肉化することで軽量化を実現。より剛性を高めるためにチェーンステーも口径を増し、最大Φ37.1mmを採用している。
シートステーはセオリーどおりならカーボンバック搭載とすべきところだが、あえてアルミを採用し、当初アッセンブルすることを検討したチューブ径Φ19mmを細身のΦ16mmのシートチューブ材へ変更したという。加えて大胆にベンドさせたことで振動吸収性を高めることに成功している。
フルアルミながら振動吸収性を高める工作を行うことで、乗りやすく、カーボンバックとするよりもコストを抑えることができた。ユーザーにとってもうれしい配慮だ。
走りのキモとなるフロントフォークにはVenusと同じリブ内蔵カーボンフォーク「エヴァフォーク」を採用。実績ある高性能カーボンフォーク搭載で、エントリーモデルといえどもそのパフォーマンスは十分に高そうだ。
良質なアルミの質感が活かされ、軽快で、踏力に対しキビキビと反応する。
低速スピードでの加速性に優れ、コーナーからの立ち上がりは十分なレベルにあると思う。上りでもひと踏みごとにレスポンスの良さを感じた。
ただし、高速域での伸びにもの足りない部分があった。ハイスピードが長く続くような場面よりも、コンパクトなレース設定のクリテリウムに向いていそうだ。加速が得意だが、カーボンバイクに比べて伸びがない点は、アルミバイク共通の特質だろう。
カーボン全盛の近年において振動吸収性はトップレベルまでとはいえないが、突き上げ感はよく抑えられ、バランス良くキレのある走りを得ているのだから、両方を得るのは贅沢というもの。アルミフレームに生じていまいがちな雑味はよく抑えられている。
全体の印象では、あらゆる性能のバランスが取れており、初心者でも安心して乗れる一台ではないだろうか。レースで使うのなら、ヒルクライムやクリテリウムに良さそうだ。
ひと踏み目からアルミらしいシャキシャキとしたフレッシュな加速性が楽しめる。ホイールはフルクラム・レーシング7というエントリーモデルがアッセンブルされるが、加速性や上りでのキレは価格を考えれば妥協できる性能だ。
ただし(完成車として見た場合)上りでアタックするような走りでの「一瞬の加速」や、もがくような走りでは若干重さを感じてしまう。剛性自体は高そうだが、ホイールやタイヤといったパーツによってフレーム本来の性能を発揮できていない感じは受ける。
つまりバッカスは「高性能」なホイールが似合うフレームということ。レースやハイレベルな走りをするときは高性能なホイールを履かせたい。
フォークの剛性感とフレームのバランスもよく、一体感を感じられた。ヘッド周りの剛性感も高く、パワーライドでもロスを感じるようなしなりはなく、問題ないレベル。
フレーム自体のショック吸収性はアルミ然としているものの、フォークのおかげで乗り味は悪くない。
重量こそカーボンフレームに比べ200〜300g重くなるが、真っ直ぐ走れて・曲がれて・止まれる、信頼できるレース性能を実現している。こういうバイクに乗ってスキルを学びたいものだ。
フレームマテリアル 7005アルミ トリプルバテッド
フォーク エヴァディオ・フォークRPS(オフセット: 45mm 重量 327g(コラム長300mm))
フレームサイズ (C-T、mm)/重量 400/1230g、440/1250g、480/1290g、520/1370g、540/1390g
カラー カルマブラック パールホワイト(アップチャージでオーダー可能)
希望小売価格 123,900円(フレームセット)
フレームセット付属品(シートピラー、カーボTOPキャップ(ステンレスボルト付、カーボンヘッドコラム用アンカーナット、ヘッドセット、カーボンスぺーサー、シートクランプ 34.9φ用CNC MADE / Carbon Frame用)
※テストしたのは2009年4月に限定発売されたシマノ105+フレクラムレーシング7完成車モデル
(¥207,900/税込)
浅見和洋(なるしまフレンド)
プロショップ「なるしまフレンド原宿店」スタッフ。身長175cm、体重65kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質は厳しい上りがあるコースでの活躍が目立つクライマータイプだ。ダンシングでパワフルに走るのが得意。最近の嗜好は日帰りロングランにあり、例えば東京から伊豆といった、距離にして300kmオーバーをクラブ員らと楽しんでいる。
なるしまフレンド
山本健一(バイクジャーナリスト)
身長187cm、体重68kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質はどちらかといえばスピードマンタイプで上りは苦手。1000mタイムトライアル1分10秒(10年前のベストタイム)がプチ自慢。インプレッションはじめ製品レビューなどがライフワーク的になっている。インプレ本のバイブル、ロードバイクインプレッション2009(エイ出版社)の統括エディターもつとめる。
text:山本健一
edit&photo:綾野 真
フルアルミフレームの優位性を説く
バッカスのフレームは7005アルミのトリプルバテットチューブを使用している。このチューブを大口径薄肉化することで軽量化を実現。より剛性を高めるためにチェーンステーも口径を増し、最大Φ37.1mmを採用している。
シートステーはセオリーどおりならカーボンバック搭載とすべきところだが、あえてアルミを採用し、当初アッセンブルすることを検討したチューブ径Φ19mmを細身のΦ16mmのシートチューブ材へ変更したという。加えて大胆にベンドさせたことで振動吸収性を高めることに成功している。
フルアルミながら振動吸収性を高める工作を行うことで、乗りやすく、カーボンバックとするよりもコストを抑えることができた。ユーザーにとってもうれしい配慮だ。
走りのキモとなるフロントフォークにはVenusと同じリブ内蔵カーボンフォーク「エヴァフォーク」を採用。実績ある高性能カーボンフォーク搭載で、エントリーモデルといえどもそのパフォーマンスは十分に高そうだ。
インプレッション
アルミのメリットが存分発揮されている
浅見和洋(なるしまフレンド)良質なアルミの質感が活かされ、軽快で、踏力に対しキビキビと反応する。
低速スピードでの加速性に優れ、コーナーからの立ち上がりは十分なレベルにあると思う。上りでもひと踏みごとにレスポンスの良さを感じた。
ただし、高速域での伸びにもの足りない部分があった。ハイスピードが長く続くような場面よりも、コンパクトなレース設定のクリテリウムに向いていそうだ。加速が得意だが、カーボンバイクに比べて伸びがない点は、アルミバイク共通の特質だろう。
カーボン全盛の近年において振動吸収性はトップレベルまでとはいえないが、突き上げ感はよく抑えられ、バランス良くキレのある走りを得ているのだから、両方を得るのは贅沢というもの。アルミフレームに生じていまいがちな雑味はよく抑えられている。
全体の印象では、あらゆる性能のバランスが取れており、初心者でも安心して乗れる一台ではないだろうか。レースで使うのなら、ヒルクライムやクリテリウムに良さそうだ。
エントリーモデルとして良質な運動性能
山本健一(バイクジャーナリスト)ひと踏み目からアルミらしいシャキシャキとしたフレッシュな加速性が楽しめる。ホイールはフルクラム・レーシング7というエントリーモデルがアッセンブルされるが、加速性や上りでのキレは価格を考えれば妥協できる性能だ。
ただし(完成車として見た場合)上りでアタックするような走りでの「一瞬の加速」や、もがくような走りでは若干重さを感じてしまう。剛性自体は高そうだが、ホイールやタイヤといったパーツによってフレーム本来の性能を発揮できていない感じは受ける。
つまりバッカスは「高性能」なホイールが似合うフレームということ。レースやハイレベルな走りをするときは高性能なホイールを履かせたい。
フォークの剛性感とフレームのバランスもよく、一体感を感じられた。ヘッド周りの剛性感も高く、パワーライドでもロスを感じるようなしなりはなく、問題ないレベル。
フレーム自体のショック吸収性はアルミ然としているものの、フォークのおかげで乗り味は悪くない。
重量こそカーボンフレームに比べ200〜300g重くなるが、真っ直ぐ走れて・曲がれて・止まれる、信頼できるレース性能を実現している。こういうバイクに乗ってスキルを学びたいものだ。
フレームスペック
フレームマテリアル 7005アルミ トリプルバテッド
フォーク エヴァディオ・フォークRPS(オフセット: 45mm 重量 327g(コラム長300mm))
フレームサイズ (C-T、mm)/重量 400/1230g、440/1250g、480/1290g、520/1370g、540/1390g
カラー カルマブラック パールホワイト(アップチャージでオーダー可能)
希望小売価格 123,900円(フレームセット)
フレームセット付属品(シートピラー、カーボTOPキャップ(ステンレスボルト付、カーボンヘッドコラム用アンカーナット、ヘッドセット、カーボンスぺーサー、シートクランプ 34.9φ用CNC MADE / Carbon Frame用)
※テストしたのは2009年4月に限定発売されたシマノ105+フレクラムレーシング7完成車モデル
(¥207,900/税込)
インプレライダーのプロフィール
浅見和洋(なるしまフレンド)
プロショップ「なるしまフレンド原宿店」スタッフ。身長175cm、体重65kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質は厳しい上りがあるコースでの活躍が目立つクライマータイプだ。ダンシングでパワフルに走るのが得意。最近の嗜好は日帰りロングランにあり、例えば東京から伊豆といった、距離にして300kmオーバーをクラブ員らと楽しんでいる。
なるしまフレンド
山本健一(バイクジャーナリスト)
身長187cm、体重68kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質はどちらかといえばスピードマンタイプで上りは苦手。1000mタイムトライアル1分10秒(10年前のベストタイム)がプチ自慢。インプレッションはじめ製品レビューなどがライフワーク的になっている。インプレ本のバイブル、ロードバイクインプレッション2009(エイ出版社)の統括エディターもつとめる。
text:山本健一
edit&photo:綾野 真
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