シュレクチームの主砲ベンナーティ　グランツール全戦出場を希望

シュレク兄弟（ルクセンブルク）率いるルクセンブルクチームに移籍するダニエーレ・ベンナーティ（イタリア）が、ガゼッタ紙とのインタビューで来シーズンの意気込みを語った。ベンナーティはチームの中で数少ないスプリンターの一人。グランツール全戦出場、ステージ優勝、そしてポイント賞獲得を目指している。

3年間所属したリクイガスを離れるダニエーレ・ベンナーティ（イタリア） photo:Cor Vos「これは素晴らしいチャンス。チームの中でナンバーワンのスプリンターであり、モチベーションは上がっている。ジロ、ツール、そしてブエルタに出場して、そして勝ちたい」

来シーズンに向けて動き出したベンナーティは、ガゼッタ・デッロ・スポルト紙のインタビューでそう意気込んだ。

ツアー・オブ・オマーンでシーズン初勝利を飾ったダニエーレ・ベンナーティ（イタリア） photo:A.S.O.「ジロにはこれまで1回しか出場したことがないけど、ステージ3勝を飾り、マリアチクラミーノを獲得した。ツールではこれまで逃げでステージ優勝していて、シャンゼリゼの集団スプリントで勝ったこともある。いつかマイヨヴェールを獲得してみたい。そして、ブエルタには特別な執着がある。厳しいレースになるのは間違いないが、全戦完走したい」

ベンナーティは早い時期からシーズンインし、春先のステージレース、そして春のクラシックを走る予定。ルクセンブルクチームはファビアン・カンチェラーラ（スイス）とベンナーティを中心に北のクラシックを闘う。

ツアー・オブ・オマーンでシーズン初勝利を飾ったダニエーレ・ベンナーティ（イタリア） photo:A.S.O.「シーズン初戦はオマーンとカタール。それからストラーデ・ビアンケを走り、ティレーノ〜アドリアティコ、ミラノ〜サンレモと続く。その頃には勝利が回ってきていると思う。そして（2005年に3位に入っている）ヘント〜ウェベルヘム。パヴェや壁が登場するレースではアキレス腱の古傷が再発する恐れがあるので、フランドルとパリ〜ルーベは走らない。ジロで主役になるためには、やむを得ない選択だ」

かつてマーク・カヴェンディッシュ（イギリス）と双璧を成す若手スプリンターとして期待されたベンナーティだが、近年はそのスプリント力に陰りを見せる。リクイガスに所属していたベンナーティは、今シーズン3勝に留まった。スプリンターにしては寂しい数字だ。

「確かに自分で期待していたほど勝てなかった。でも新しいチームの組織やプログラムは素晴らしく、良いスタートが切れそうだ。登りに関しては、他のスプリンターに対してアドバンテージがある。ルーカ・グエルチレーナ監督と協力して、失ったスプリント力の改善を目指したい。スピードの強化、つまり出力アップに取り組む」

ベンナーティはスプリントの檜舞台に戻ってくることができるだろうか。注目は、ベンナーティがトレインを得るのかどうか。「今はチームと話し合っている段階。チームにはベルギー人のワウテル・ウェイラントがいる。彼の役割はとても大切になるだろう」総合を狙うシュレク兄弟がチームにいるため、グランツールでトレインを組むような多くのスプリント要員は期待できない。

ルクセンブルクチームはまだ正式名称ばかりか、メインスポンサーの名前も発表していない。全ては1月6日に明らかにされる予定だ。「名前やジャージを含め、全貌はチームプレゼンテーションで明らかにされる。でもトレックのバイクはすでに手元にあって、乗り始めている。感触は良いよ」

チームは25名の選手と契約済み。サクソバンクからの移籍組は8名だ。「チームの大半は元サクソバンクだけど、イタリア派もいる。パトロンのフラヴィオ・ベッカ氏だけでなく、監督に就いたルーカ・グエルチレーナとアドリアーノ・バッフィもイタリア人だ。選手としてはダヴィデ・ヴィガノとジャコモ・ニッツォーロがいる。それに、トレーニングキャンプのルームメイトは、イタリア語を話すファビアン・カンチェラーラだった」

チームは11カ国の選手が集まる多国籍なメンバー編成。チームの共用語は英語で、ベンナーティは現在英語のレッスンに通っている。「他の人の会話はほぼ全て理解できるけど、自分の意志を伝えるのが難しい。シーズン半ばには問題ないレベルに達しているとカンチェラーラは太鼓判を押してくれた。ヴィガノは最初全く英語を話さなかったのに、1年間チームスカイに所属したことで、流暢に話すまでになった。ネオプロのニッツォーロと自分にとっては英語デビューの年でもある。でも彼は若いので吸収が速そうだ」

これまでイタリアチームを渡り歩いてきた生粋のイタリアンスプリンター、ベンナーティ、30歳。大きく環境を変えた新天地で、巻き返しを図る。

text:Kei Tsuji