2010年12月19日、関西シクロクロスの第5戦が神戸市の北神戸田園スポーツ公園で開催され、ジュニア全日本チャンピオンの沢田時(ENDLESS/Pro Ride)が素晴らしい走りを見せる中、辻善光(宇都宮ブリッツェン)がC1で優勝。女子は片山梨絵(SPECIALIZED)が圧勝した。

C1 松井正史(シマノドリンキング)らを先頭にスタートC1 松井正史(シマノドリンキング)らを先頭にスタート photo:Kei Tsujiレースの舞台は神戸市北部の山間に位置する北神戸田園スポーツ公園。スタジアムや体育館、球技場のある複合施設だ。関西シクロクロスに初登場したのは2003年で、今年で8回目の開催となる。16年の歴史を残る関西シクロクロスの中では比較的新しい。

見渡しの良い2.6kmのコースは非常にテクニカル。特に、グラウンドと草地を繋ぐ坂セクションは勾配があり、しかもテクニカルなコーナーが続く。足元をすくわれる滑りやすいキャンバーや逆バンクのコーナー、バイク乗車ではクリア出来ない幅1m弱の溝など、見た目以上に難易度は高く、一瞬たりとも気が抜けない。

C1 シケインを越える沢田時(ENDLESS/Pro Ride)C1 シケインを越える沢田時(ENDLESS/Pro Ride) photo:Kei Tsuji地面は粘土質で、かつては泥だらけのレースが名物だったが、数年は地面が乾燥気味。とは言え霜によって地面はウェットな状態で、時間とともに路面コンディションが変化した。

クリスマス直近の北神戸は、年に一度の「クリスマスクロス」。サンタのコスチュームや帽子、トナカイの帽子を被る出場者や観客、大会スタッフ、カメラマンがあちこちに。そんなアットホームな雰囲気が関西シクロクロスの魅力の一つ。お馴染みDJガラパさんのMCが一層レースを盛り上げる。

C1 辻善光(宇都宮ブリッツェン)C1 辻善光(宇都宮ブリッツェン) photo:Kei TsujiC1には31名がエントリー。プロローグを制している永良大誠(マトリックスパワータグ)や、第3戦由良川で昇格した辻善光(宇都宮ブリッツェン)、シリーズランキング2位(1位は渡欧中の辻浦)の松井正史(シマノドリンキング)らが優勝候補だ。

1周目からレースをリードしたのは、先週のシクロクロス全日本選手権ジュニアで優勝した沢田時(ENDLESS/Pro Ride)。1994年1月生まれの16歳で、今年のMTB Jシリーズ・エキスパートクラスで3勝を飾り、シリーズランキング1位に輝いた期待の若手だ。シクロクロスでは年齢制限により一人だけ40分間(C1は60分間)でレースが終わる。

C1 先頭の辻を追う伊澤優大(岩井商会レーシング)C1 先頭の辻を追う伊澤優大(岩井商会レーシング) photo:Kei Tsuji「最初の数周は滑りやすい路面の感覚が掴めなかった」と語る2番手の辻を引き離す走りを見せた沢田。そのタイム差は20秒まで広がり、独走を維持したまま40分でレースを終えた。これまで何度もC1で上位争いを繰り広げているが、先頭でレースを終えるのはこれが初めて。

沢田が去ると赤いブリッツェンジャージの辻が先頭に。事前に「パワーで踏む区間が少なくて、テクニカルなポイントが多いので自分向きではない」と語っていたが、丁寧な走りで独走をキープ。後続の伊澤優大(岩井商会レーシング)は懸命に追走したが、周回を終える毎にそのタイム差は6秒、7秒、15秒と広がる。最終的に辻は伊澤を20秒引き離してゴールした。

C1 ガッツポーズでゴールする辻善光(宇都宮ブリッツェン)C1 ガッツポーズでゴールする辻善光(宇都宮ブリッツェン) photo:Kei Tsuji

表彰台の真ん中に立った辻はレースを振り返る。「今週はずっと(宇都宮ブリッツェンの)合宿が入っていたので、カラダはヘトヘトでした。しかもシクロクロスバイクに乗るのは2週間ぶりで、苦手な泥のコース。でもどうしても勝ちたくて、バイクに慣れるために抑え気味にスタート。慣れてから後半にかけてペースを上げ、最後は余裕をもってゴールできました」

優勝した辻は28ポイントを獲得し、シリーズランキングの8位に急浮上した。辻は「1月のチーム合宿はキャンセルしたので、残り全戦出場したい」と語る。この日3位に入り、シリーズランキング首位に立った松井正史(シマノドリンキング)は63ポイントで、その差35ポイント。最終戦桂川まで5戦残っており、シリーズランキングの行方にも注目したい。

先に40分でレースを終えた沢田時(ENDLESS/Pro Ride)先に40分でレースを終えた沢田時(ENDLESS/Pro Ride) photo:Kei TsujiC1 サンタ衣装のガラパさんと辻善光(宇都宮ブリッツェン)C1 サンタ衣装のガラパさんと辻善光(宇都宮ブリッツェン) photo:Kei TsujiCL1 マスターの選手と一緒に走る片山梨絵(SPECIALIZED)CL1 マスターの選手と一緒に走る片山梨絵(SPECIALIZED) photo:Kei Tsuji

CL1 ポーズを決めてゴールする片山梨絵(SPECIALIZED)CL1 ポーズを決めてゴールする片山梨絵(SPECIALIZED) photo:Kei TsujiCL1には、シクロクロス全日本選手権で2位に入った片山梨絵(SPECIALIZED)が出場。「コースを試走した時、先週の砂とはまた違う泥の難しさを感じた」と語りながらも、持ち前のテクニックで安定した走りを見せ、序盤から他を寄せ付けずに圧勝した。

2週間前の第3戦由良川から関西シクロクロスを転戦していた片山は、シクロクロスバイクが板についてきた様子。この第5戦を最後に関東に戻り、翌週はGPミストラルに出場したいと語る。

C2は全日本選手権ジュニアで沢田に次いで2位に入った中井路雅(瀬田工業高校自転車競技部)が独走勝利。CM1はビンセント・フラナガン(PEDALFORTH.com)が制した。

CM1 独走するビンセント・フラナガン(PEDALFORTH.com)CM1 独走するビンセント・フラナガン(PEDALFORTH.com) photo:Kei TsujiC2 ガッツポーズでゴールする中井路雅(瀬田工業高校自転車競技部)C2 ガッツポーズでゴールする中井路雅(瀬田工業高校自転車競技部) photo:Kei Tsuji


レースの模様はフォトギャラリーで!

C1
1位 辻善光(宇都宮ブリッツェン)       1h04'24"
2位 伊澤優大(岩井商会レーシング)        +20"
3位 松井正史(シマノドリンキング)       +1'30"
4位 入江克典(シマノドリンキング)       +1'46"
5位 村岡俊典(JPスポーツテストチーム)     +1'51"
6位 稲益拓也(DARK BLUE BIKERS)       +2'14"
7位 船岡洋(tacurino.net)            +2'23"
8位 久保伸次(岩井商会レーシング)       +2'37"
9位 松本哲(グランデパール播磨)        +2'51"
10位 水谷祐太(シマノドリンキング)      +2'58"

CL1
1位 片山梨絵(SPECIALIZED)         33'56"
2位 宮内佐季子(CLUB viento)         +3'00"
3位 埜真賢美(Teamクルーズ)         +3'46"
4位 中道のぞみ(Salata bianca kobe)       +4'18"
5位 東陽子(Team Johnny)           +7'30"

CM1
1位 ビンセント・フラナガン(PEDALFORTH.com) 41'15"
2位 藤井修                    +14"
3位 佐野光宏(ストラーダR)           +21"
4位 岩本雅秀(チーム泥んこプロレス)      +1'16"
5位 吉中和彦(ユーロワークス)         +1'26"

C2
1位 中井路雅(瀬田工業高校自転車競技部)     39'28"
2位 小野良太(sonic racing)            +25"
3位 松本祐典(アキファクトリー)         +1'19"
4位 中川隆司(つうばいつう)           +1'30"
5位 細渓拓男(Salata bianca kobe)        +2'13"

CL2
1位 坂口聖香(Team POLPO)           28'45"
2位 清水友恵(CSヤマダ)             +1'19"
3位 寺田有希(typeB)               +2'32"

CM2
1位 小澤達司(エキップアサダ後援会)       34'41"
2位 ピーター・ステラチー              +14"
3位 赤井宏充(masahikomifune.com)        +41"

text&photo:Kei Tsuji