シマノ、マトリックス、近藤房之助さん、そして香川県知事までかけつけた大会は大賑わい。真鍋和幸(マトリックスパワータグ・コラテック)が地元でロードレースを、との願いが叶い第1回大会が行われた。

シマノレーシングとマトリックスパワータグ・コラテック。豪華なゲストだシマノレーシングとマトリックスパワータグ・コラテック。豪華なゲストだ photo:Hideaki.TAKAGI四国での貴重なロードレース
10月31日(日)、香川県三豊市で第1回みとよサイクルロード宝山湖大会が行われた。
四国でのロードレース開催は少ない。とりわけ今回のような未登録者や県外からの参加者に配慮したレースは貴重なもの。いっぽうで四国では今までも強豪選手を輩出しており、アトランタオリンピック出場の真鍋和幸(マトリックスパワータグ・コラテック)はその代表格。真鍋氏の「今までお世話になった方々に恩返しをしたい」という願いがかない、地元の三豊市でレースが開催された。

会場は香川県西部の三豊市。旧山本町にあたる場所だ。そして香川と言えばさぬきうどん。10年ほど前から全国区になり、特に中賛・西賛地方はその本場。会場では暖かいさぬきうどんが振舞われ参加者は無料、誰もが舌鼓を打った。

スクールのみんなで記念撮影スクールのみんなで記念撮影 photo:Hideaki.TAKAGIいっぽうで香川県民にとっては特に夏場の水不足は深刻な問題。吉野川から香川用水を引いているが万全でないため、2009年に香川用水に調整池が建設された。それが今大会の会場の宝山湖だ。

コースはその宝山湖の外周歩道と市道を組み合わせた1周3.5km、平坦基調で2箇所に上りがある。上りのたびにふるいにかけられ、見た目以上にきついもの。

前日にサイクルスポーツ教室が開催
10月30日(土)にはサイクルスポーツ教室が開かれた。
まずは室内でウィーラースクールジャパンのブラッキー中島さんによる説明。小学生から大人、保護者まで参加して、シマノレーシングやマトリックスパワータグ・コラテックの選手の話や実演も交えて楽しく学んだ。

プロ選手が前に出るプロ選手が前に出る photo:Hideaki.TAKAGIその後は屋外で2グループに分かれた教室が開催。
小中学生対象にはウィーラースクールが講師陣。シマノレーシングの野寺秀徳監督、畑中勇介、鈴木譲、島田真琴、阿部嵩之、平塚吉光各選手がサポート。地元の子供たちは講師や選手たちの一挙手一投足に視線が釘付け、反応のいい子供たちに会場が和む。

もうひとつは高校生以上のレース初心者対象で、マトリックスパワータグ・コラテックの真鍋和幸、阿部良之、永良大誠各選手が講師陣。実際に翌日のコースを一緒に走りながら、安全に速く走るコツを教わった。

オープン参加優勝は島田真琴(シマノレーシング)。シマノ入りして初優勝?オープン参加優勝は島田真琴(シマノレーシング)。シマノ入りして初優勝? photo:Hideaki.TAKAGI6クラスのロードレース
10月31日(日)はロードレース。
初心者、女性・壮年、小学生、チャンピオン、上級者、中級者の計6クラスで行われた。

最初のレースは初心者クラスで3周する10.5km。終始積極的に走り優勝したのは二川浩司(讃岐やいの会)。「近くでレースがあると聞いたので出ました。第1回大会の一人目の優勝者で嬉しいです」と語る。

シマノ・マトリックスのガチンコ勝負のチャンピオンクラス
チャンピオンは15周52.5kmで行われた。野寺監督がエスコート役で同時にスタート。地元の星川恵利奈(湘南ベルマーレ)もここに入る。
チャンピオンクラスゴールチャンピオンクラスゴール photo:Hideaki.TAKAGIシマノレーシング5人とマトリックスパワータグ・コラテック3人は、2km約3分30秒のハンデをつけてスタート。プロ選手が後から追いかける形のガチンコ勝負。
観戦者からはプロ選手の走りにどよめきが起こる。一目で速く、そして綺麗に見えるのだ。プロ選手たちは9周目に、それこそあっという間にメイン集団に追いつく。ここでカウンターアタックに出たのはなんと野寺監督。一気に50mほどの差をつけて抜け出し喝采を浴びる(でも次の周回ではバテていました)。
プロ選手たちだけで次の周回で抜け出し、熾烈な争いを島田真琴(シマノレーシング)が制してオープン参加者内で優勝。

プレゼンターの浜田恵造香川県知事プレゼンターの浜田恵造香川県知事 photo:Hideaki.TAKAGIチャンピオンクラスとしては岡昌太朗(ユニヴェール)が優勝。「チームメイトの生田さん森兼さん福森君が動いてくれたおかげで実業団ERクラスの自分が勝てました。真鍋さんの力で開かれたこの第1回大会で優勝できて嬉しいです」と優勝の岡は語る。

近藤房之助さんと川相賢太郎さんが参加の中級者クラス
最終レースの中級者は8周28kmで行われた。午後から降り出した雨がやや強くなる頃だったが、一段と盛り上がった。ここにミュージシャンの近藤房之助さんと川相賢太郎さんが参加したのだ。前日に近くの会場でコンサートを終えた二人は、そのままこの日のレースに参加。完走はできなかったが、近藤さんは「いやあ、練習不足ですよ」と言いながらも顔は満面の笑み。
近藤房之助さんと川相賢太郎さんが参加の中級者クラス近藤房之助さんと川相賢太郎さんが参加の中級者クラス photo:Hideaki.TAKAGIそれもそのはず、近藤さんはランドナーから始めた自転車歴30年という生粋のサイクリスト。ふだんはロングライドやヒルクライムに出場、お忍びで参加することも多いのだ。
近藤さんは表彰式で選手とともに写真に納まり、暖かい空気が流れた。

第1回は濃密な大会
午前中には開催地の横山忠始三豊市長が、そして午後には浜田恵造香川県知事が訪れ、スターターや表彰式に同席した。各クラス40人が定員という大会で驚くほどの来賓とゲストだ。計測はもちろん非接触のタグ方式だし、協賛企業も数多い。1000人規模の大会となんら変わりない体制で実施できたのは、ひとえに真鍋氏と香川県の自転車競技を支援する人たちの熱意の賜物だ。今回は初回ということでクラスと人数を絞ったが、来年以降も開催してさらに改善を図りたいと主催者は語る。

実行委員長の中西克人さんは「きっかけは5年ほど前にMTBの合田啓介選手と実行委員が出会ったこと、そして地元に真鍋選手そして星川選手がいることでした。ここには良い自然環境がある、子供たちにも取り組みやすい。そして皆さんの協力も得られて開催することができました」と語る。

近藤房之助さんがプレゼンター近藤房之助さんがプレゼンター photo:Hideaki.TAKAGI野寺監督は「真鍋さんからのお誘いで来ました。地元の方の温かい雰囲気のレース、コースも面白い、休む区間、上りやタイトなコース面白いです。選手はかなりガチで走りました。僕自身ももがきましたよ。スクールも、地元の子供たちが楽しそうにやっていたのでこちらも嬉しかったです」と語る。

地元の星川は「チャンピオンクラスは速いです!男子と一緒に走っていい刺激になりました。いつもは一人で練習しています。普段お世話になっている真鍋さんが地元で大会を開いていただいて嬉しいです」と語る。

「人の縁に恵まれました」三豊市在住の真鍋和幸(マトリックスパワータグ・コラテック)念願かなってレース開催「人の縁に恵まれました」三豊市在住の真鍋和幸(マトリックスパワータグ・コラテック)念願かなってレース開催 photo:Hideaki.TAKAGI地元で大会を開いた真鍋は「人の縁に恵まれて大会を開くことができました。自分がオリンピックに出たらやりたいと思っていたことがようやくできました。自分たちが走る場を作ること、県外から来てもらうこと、そして子供たちに見せて世代を繋いでいくことが大事と思います」と語る。

つぎの香川でのイベントは11月28日の「さぬきシクロクロス」だ。辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー)ら豪華な選手の招待が予定されている。

photo&text:高木秀彰