2010年9月3日、ブエルタ・ア・エスパーニャに出場しているチームスカイのマッサージャー、チェマ・ゴンザレス氏が入院先の病院で息を引き取った。享年43歳。死因は細菌感染による敗血性のショックで、選手たちを苦しめているウィルス性の胃腸炎とは関係ないとされる。チームスカイは今回の訃報を受け、チーム全体がブエルタから撤退することを決めた。

亡くなったチームスカイのマッサージャー、チェマ・ゴンザレス氏亡くなったチームスカイのマッサージャー、チェマ・ゴンザレス氏 photo:team Skyチームスカイの発表によると、ブエルタに帯同していたゴンザレス氏は、開幕地セビーリャで体調を崩し、同地の病院へ搬送。そのまま入院して治療を受けていた。原因は細菌感染で、病原菌が全身に回ったことにより内蔵を損傷。治療の甲斐無く、第7ステージ開催中に敗血症を起こして死に至った。

チームのデーヴィッド・ブレールスフォード代表はチーム公式サイトの中で「チェマの訃報を伝えるにあたり、チーム全体が悲しみに打ちのめされている。良き友を失ってしまった。彼の家族が最後まで見届けた。家族の心痛を心より察する」とコメントしている。

チームスカイのデーヴィッド・ブレールスフォード代表チームスカイのデーヴィッド・ブレールスフォード代表 photo:team Skyブエルタ出場中の選手たちには第7ステージのゴール後に訃報が伝えられた。

1967年生まれのゴンザレス氏は選手出身のマッサージャーで、過去にはエウスカルテルやサウニエルドゥバルで働いていた。ブレールスフォード代表によると、ゴンザレス氏は選手やスタッフに好かれる人柄だったと言う。

チームスカイはブエルタ開幕時から体調不良を訴える選手が続出。胃腸炎により発熱や嘔吐を繰り返したジョンリー・オーガスティン(南アフリカ)とベン・スウィフト(イギリス)が早々にリタイアし、第7ステージではフアンアントニオ・フレチャ(スペイン)がバイクを降りた。フレチャは前夜に病院で診察を受け、嘔吐が治まらなければリタイアすべきだと医師に診断されていた。

チームの発表によると、今回ゴンザレス氏が患った細菌感染は、選手や他のスタッフを苦しめているウィルス性の胃腸炎とは異なる。選手たちの胃腸炎の原因としてチーム内の食中毒が挙げられているが、選手とスタッフが常時違うものを食べていたためその真偽は不明。いまだ詳しい原因は判明していない。第8ステージのスタート前にはゴンザレス氏に1分間の黙祷が捧げられる予定だ。

今回の訃報を受け、チームスカイはブエルタからの撤退を決定した。これはチーム全体とゴンザレス氏の家族の了承を受けての決定。ブレールスフォード代表は「来週行なわれるチェマの葬式には、もちろんチーム全体が参列し、彼への敬意を表したい。チーム内で話し合いを行ない、レース撤退が最善の選択だと判断した。体調不良に苦しむ選手や他のスタッフをケアする必要がある。今回の決定に理解を示してくれたレース主催者とUCIに感謝している」とコメントしている。

亡くなったゴンザレス氏に心から哀悼の意を表します。

text:Kei Tsuji
photo:team Sky

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