アンディとフランクのシュレク兄弟(ルクセンブルク)が立ち上げる新ルクセンブルクチームは未だにその全貌が明らかにされていない。ここにきてファビアン・カンチェラーラ(スイス)移籍の可能性も浮上。UCI(国際自転車競技連合)が定めたメンバー発表のデッドラインが迫っている。

サクソバンク離脱が決まっているシュレク兄弟サクソバンク離脱が決まっているシュレク兄弟 photo:Cor Vos「すでにスポンサーとの契約交渉を終えており、チームの運営資金は確保済み。来月にはチーム名を明らかに出来るだろう」。新チームのマネージャーを務めるブライアン・ニガード氏はデンマークのスポーツ番組の中でそう語っている。

「10月にはメインとなる15名の選手をUCIに提出する。チームのメンバーは最終的に25名前後の見通しだ」。

キム・アンデルセン監督とアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)キム・アンデルセン監督とアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) photo:Cor Vosチームスカイのプレス担当を務めていたデンマーク出身のニガード氏は、新チーム立ち上げのため6月にチームを離脱。かつてスタッフとして携わっていたサクソバンクから同じくデンマーク出身のキム・アンデルセン監督を引き抜いた。デンマーク人ブライアン・ホルム監督はチームHTC・コロンビアに残留する。

ルクセンブルクチームは“ルクセンブルク・プロサイクリング・プロジェクト”という名でUCIのプロツアーライセンスを申請済み。プロツアー8チーム枠に対して、14チームがライセンスの申請を行なった。UCIのライセンス委員会は11月20日に暫定チームリストを発表するとしている。

タイトルスポンサーの社名がチーム名になる可能性は高い。しかしまだチーム名は流動的だ。ルクセンブルクのル・クオティディアン紙によると、“チームルクセンブルク”という名称になる可能性もあるという。

ニガード氏によると、チームの立ち上げにはルクセンブルクの実業家フラヴィオ・ベッカ氏が関わっており、同氏がシュレク兄弟の獲得を後押しし、新スポンサー獲得に奔走している。最大5社がスポンサーにつく見通しで、ロシアの大手通信会社の名前も挙がっている。

シュレク兄弟は過去2年間に渡ってスペシャライズド社のバイクを駆ったが、来シーズンは使用バイクを同じアメリカのトレック社に変更する。シュレク兄弟はトレック・マドンを駆ってアルベルト・コンタドール(スペイン)らと戦う。

プロツアーライセンス獲得に向けて、ニガード氏とアンデルセン監督はスポンサーと所属選手を明らかにする必要がある。シュレク兄弟は8月15日に自身のTwitterで新チームへの移籍を発表。リーナス・ゲルデマン(ドイツ)、ヨースト・ポストゥーマ(オランダ)、ブリース・フェイユ(フランス)、ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア)、ヤコブ・フグルサング(デンマーク)、スチュアート・オグレディ(オーストラリア)、イェンス・フォイクト(ドイツ)、ドミニク・クレンメ(ドイツ)の名前も挙がっているが、シュレク兄弟以外の選手の移籍話は噂の域を出ない。

ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)はシュレク兄弟の新チームに移籍?ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)はシュレク兄弟の新チームに移籍? photo:Kei Tsujiそしてここにきてファビアン・カンチェラーラ(スイス)が移籍する可能性が出てきた。

今年ロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベを制した世界TTチャンピオンは、サクソバンクとの契約が2011年末まで残っている。しかしカンチェラーラは自身のウェブサイトで以下のようにコメント。波紋を広げている。

「(サクソバンク以外の)他のチームが自分に興味を示していることは紛れも無い事実。幾つかのチームから興味深い提案を受けたことをここでハッキリと言っておく必要がある。中にはロードレースの枠を超えた長期的な条件の提示もあった。現在ビャルヌ・リース監督とそのことについて話し合っているんだ。幸い彼は今ブエルタを訪れているので、順調に話は進んでいるよ」。

カンチェラーラは過去に地元スイスのBMCレーシングチームと交渉したことを認めている。条件によっては、違約金を払ってサクソバンクを1年前倒しで離脱する可能性がある。その移籍先がルクセンブルクチームなのかどうかは分からない。確実なのは、シュレク兄弟がカンチェラーラという心強い相棒の合流を望んでいるということ。

カンチェラーラと新ルクセンブルクチーム。その未来像は近いうちに明らかにされることだろう。

text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji

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