9月20日にカナダ・モントリオールで開幕したロード世界選手権。初日の男子エリート個人タイムトライアルはレムコ・エヴェネプール(ベルギー)が2位のフィリッポ・ガンナ(イタリア)に57秒の大差をつけ、史上初となる4連覇を達成した。橋川丈は43位だった。



43位:橋川丈 photo:CorVos

毎年9月に行なわれるワールドツアー、グランプリ・シクリスト・ド・モンレアルの舞台として、自転車ロードレースファンにも馴染み深いモントリオール。この街を開催地とする今年のロード世界選手権は、初日に男子エリート個人タイムトライアルが行なわれた。39.2kmのコースは概ね平坦路だが、サーキット周辺にはヘアピンコーナーもあり、加減速を繰り返すテクニカルなレイアウト。フィニッシュ手前には距離約400m、平均勾配6.1%の登りが待ち受けるものの、重量級のTTスペシャリストにも十分に勝つチャンスがあるコースとなった。

アルカンシエルを巡る戦いに臨んだのは、昨年の全日本選手権U23個人TTを制した橋川丈(キナンレーシングチーム)を含む60名の選手たち。まずはアジアやアフリカ勢がトップタイムを更新していき、ヤシャ・ズッタリン(ドイツ)が暫定トップに立つなか、カスパー・アスグリーン(デンマーク)が出走者で初めて47分の壁を突破。過去4度デンマークTT王者に輝いたアスグリーンのタイムは、しばらくの間破られることがなかった。

3位:ポール・セクサス(フランス) photo:CorVos

そのアスグリーンのトップタイムを更新したのは、19歳でロード世界選手権の男子エリートカテゴリーに2年連続で臨んだポール・セクサス(フランス)だった。10.7km地点の第1中間計測では1秒74だったアスグリーンとの差は、フィニッシュが近づくにつれ拡大していき、最終的に35秒上回るタイムをマーク。ホットシートに座り、後続選手たちの走りを見守った。

そのなかでも目を見張る走りを披露したのは、ヤコブ・セーデルクヴィスト(スウェーデン)だった。昨年のU23TT世界王者は第1計測でセクサスのタイムを約9秒更新。23歳のスウェーデンTT王者は第2計測(21.9km)、第3計測(29.8km)でもセクサスを上回ったが、終盤の左コーナーで落車し、最終的には全体の5位と表彰台を逃す結果となった。

5位:ヤコブ・セーデルクヴィスト(スウェーデン) photo:CorVos

6位:イサーク・デルトロ(メキシコ) photo:CorVos

今年のツール・ド・フランスでは総合でセクサスを上回り、マイヨブラン(ヤングライダー賞)を獲得した22歳のイサーク・デルトロ(メキシコ)も好走を見せる。しかしセクサスには届かず、ブエルタ・ア・エスパーニャでTT勝利を飾ったシュテファン・キュング(スイス)も本来の走りができなかった。そんななか、注目を集めたのが優勝候補の1人であるフィリッポ・ガンナ(イタリア)だ。

第1計測では、暫定トップだったセーデルクヴィストよりも10秒以上遅れて通過したガンナ。しかし距離が進むにつれ徐々にスピードに乗り、第3計測でセーデルクヴィストのトップタイムを上回る。そしてセーデルクヴィストが落車したコーナーを抜け、セクサスのタイムを15秒73更新する、ここまでの最速タイムを叩き出した。

2位:フィリッポ・ガンナ(イタリア) photo:CorVos

優勝:レムコ・エヴェネプール(ベルギー) photo:CorVos

だが、最終出走者として走り出したレムコ・エヴェネプール(ベルギー)の走りは、最初から圧倒的だった。「6km地点でチーム独自のタイム計測を行い、自分がリードしていると分かって少し気持ちを落ち着けることができた」とレース後に語ったエヴェネプールは、第1計測でセーデルクヴィストに9秒差をつけると、約10km進んだ第2計測ではその差を34秒に拡大した。

自身が「難しいコースだった」と振り返る道のりを順調に進み、最終的にガンナのタイムを57秒も更新したエヴェネプール。無線からタイム差を聞き、勝利を確信すると舌を出し、最後は右手で4連覇を表わす4本指を掲げてフィニッシュした。

ロード世界選手権2026男子エリートタイムトライアル表彰台:2位ガンナ、1位エヴェネプール、3位セクサス photo:CorVos

史上初の4連覇を達成したレムコ・エヴェネプール(ベルギー) photo:CorVos

2位に1分14秒差をつけた昨年と同じく、約1分差をつける盤石の走りで、初優勝した2023年から前人未到の4連覇を達成したエヴェネプール。「本当に信じられない。ここに来て勝ち、4度目のタイトルを獲得することが目標だった。それが僕のモチベーションだったんだ。支えてくれたチームのみんなと、素晴らしい機材を用意してくれたスペシャライズドに感謝したい」と喜びを語った。

1週間後に迎えるロードレースでは、達成すれば史上初となる同一大会での男子エリート個人TTとロードレースの2冠を狙うエヴェネプール。「これから少し回復に充てる時間を取って、その後は次の日曜日に集中するつもりだ」と意気込みを語った。

また全体の22番目にスタートした橋川は5分45秒遅れの43位で、自身初となる世界選手権男子エリート個人TTを終えている。
ロード世界選手権2026 男子エリートタイムトライアル結果
1位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー) 44:53
2位 フィリッポ・ガンナ(イタリア) +0:57
3位 ポール・セクサス(フランス) +1:13
4位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ) +1:25
5位 ヤコブ・セーデルクヴィスト(スウェーデン) +1:26
6位 イサーク・デルトロ(メキシコ) +1:38
7位 シュテファン・キュング(スイス) +1:44
8位 カスパー・アスグリーン(デンマーク) +1:48
9位 ダーン・ホーレ(オランダ) +2:02
10位 カラム・ソーンリー(イギリス)
43位 橋川丈 +5:45
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos