全国高等学校総合体育大会(インターハイ)自転車競技最終日は、京都府南丹市の美山町でロードレースが行われた。男子は序盤から先行した3名が逃げ切り、井上悠喜(松山学院高校)が優勝。女子は綱嶋凛々音(北桑田高校)が地元大会で連覇を達成した。



美山町の山間を走るコース photo:Satoru Kato
シマノのサポートカーには発表されたばかりの新型ホイールが用意された photo:Satoru Kato


インターハイ最終日は、美山町でのロードレース。近年のジュニアの全日本選手権で使用される美山町の山間に設定された1周10.3kmの周回コースは、前半は平坦基調、後半6km付近から高低差約100mを一気に登って下るレイアウトだ。

最終日も朝から晴れ、午前中でも30℃を超える暑さではあるものの、前日までの岸和田競輪場よりも標高が高い場所のためか若干気温の低さを感じられる。とは言え、走る選手は猛暑の中でのレースに変わりはなく、フィニッシュ後に水浴びが出来る簡易プールを用意するなど暑さ対策が講じられた。



男子 井上悠喜がインターハイロード初優勝

男子ロードレース スタートと同時に井上悠喜(松山学院高校)が飛び出す photo:Satoru Kato

男子ロードレース 1周目を終えて6名が先行 photo:Satoru Kato

朝8時にスタートした男子のレースは7周72.1km。号砲と同時にスタートアタックをかけるように最前列から飛び出したのは井上悠喜(松山学院高校)。この動きに追従した5名が1周目から先行し、後続との差を広げる。

男子ロードレース 序盤から先行した3名 photo:Satoru Kato

男子ロードレース 田中颯(北桑田高校)らが追走集団を形成するが差が広がる photo:Satoru Kato

3周目に入ると、先頭集団は井上、寺町悠希(帯広南商高校)、關口煌大(渋川高校)ら3名に絞られ、先頭から遅れた選手と後続から合流した選手ら5名が追走集団を形成する。この中には選抜大会のロード勝者で地元北桑田高校の田中颯も含まれていたが、先頭の3名との差は周回が進むごとに広がっていく。

「ナショナルチームで一緒のメンバーだったのでローテーションも回っていたし、このまま行けると思った」と井上が言うように、後続との差はその後も開き続ける。残り2周となる6周目、追走集団との差は1分、その後方のメイン集団との差は2分以上まで開き、先行した3名の逃げ切りが確実となった。

男子ロードレース スプリントで前に出る井上悠喜(松山学院高校) photo:Satoru Kato

男子ロードレース 井上悠喜(松山学院高校)が優勝 photo:Satoru Kato

最終周回、最後の登りで寺町が仕掛けると井上が追従。登りの頂上付近で井上がアタックして先行するも、その後の下りで寺町が追いつき、勝負は2人のスプリントへ。最後は井上が寺町の前に出て先着し、美山の夏空に向かって何度も吠えた。

男子ロードレース 表彰式 photo:Satoru Kato

井上悠喜コメント
「逃げを決めるタイミングはスタートしか無いと考えていたので、直後に飛び出しました。そうしたら脚質もよく知ってる2人が来てくれたので、後続との差を広げて行くことができました。最後は寺町君とのスプリント勝負になり、早駆けしたところにしっかり合わせて追い抜いて勝てました。

前日のポイントレースも狙っていたのですが、何も出来ないまま終わってしまいチームに貢献出来ずとても悔しかったので、今日のロードは絶対勝つと思って臨みました。勝てて嬉しくて、ゴール後は思い切り感情が出ましたね。

昨年から海外レースに出場する機会が増えて、そこで結果を出して自分の将来設計も出来てきて、卒業後はアンダー23に上がるタイミングで海外チームに行けるようになりたいと思っています」

ロードレース総合表彰 photo:Satoru Kato



女子 綱嶋凛々音がインターハイロード連覇

女子ロードレース 37名がスタート photo:Satoru Kato

女子ロードレース 1周目から3名が先行 photo:Satoru Kato

男子のレース終了後に行われた女子のレースは3周30.9km。1周目から昨年のインターハイロード勝者の綱嶋凛々音(北桑田高校)、市川啓子(松任高校)、塩貝穂佳(北桑田高校)ら3名が先行。2周目に入ると数名の追走集団が追いつき、そこから新たに綱嶋、阿部理沙(別府翔青高校)、小田島寛奈(青山学院高校)ら3名が先行する。

女子ロードレース 2周目から先行した3名 photo:Satoru Kato

「6月の全日本選手権では逃げをつくってもすぐ追いつかれてしまったので、タイム差を聞くまで安心出来なかった」と言う綱嶋だったが、後続との差は広がり続け、勝負は先行する3名に絞られた。

女子ロードレース 綱嶋凛々音(北桑田高校)と阿部理沙(別府翔青高校)のスプリント勝負 photo:Satoru Kato

女子ロードレース 綱嶋凛々音(北桑田高校)がインターハイ連覇 photo:Satoru Kato

最終周回の登りに入ると阿部のアタックに綱嶋が追従し、小田島が遅れる。最後はスプリント勝負となり、綱嶋が先着。インターハイロード連覇を地元大会で決めた。

女子ロードレース 表彰式 photo:Satoru Kato

綱嶋凛々音コメント
「6月の全日本の時はスローペースなレースだったので、そうならないように自分から動こうと思っていました。最初に先行した3名の時はうまくペースが上がらず後ろから追いつかれてしまいましたが、その追いついたメンバーも含めて逃げようと思っていたところ、3名が残って差が開いたのでこのまま行けるかなと感じました。残り半周は牽制が入ったけれどペースを維持するようにして、最後の登りでアタックするつもりでした。でも脚が攣りかけて動けず、阿部(理沙)選手が仕掛けた動きについて行きました。

前日のポイントレースで落車して怪我をしてしまい、なんとか治るように色々手を尽くしましたが、直前に怪我していたところに貼ってあった防水シートが剥がれてしまい、テープで応急処置をしてスタートしました。走っている間もダンシングした時にハンドルが何度も当たっていたのですが、気にしていられないので頑張って意識を飛ばしていました。そんな状況で勝てるとは思っていなかったので、インターハイ連覇と地元優勝を達成出来て嬉しいです。地元の方々の応援も力になりました。

高校卒業後は大学に進学して自転車を続けます。逃げて勝つことが気持ちいいと知ったので、来年ジュニア最後の全日本と、再来年アンダーに上がっての全日本でも逃げて勝てるように力をつけていきたいと思っています」



松山学院が9度目の総合優勝

9度目の総合優勝を決めた松山学院高校 photo:Satoru Kato

ロードレース終了をもって今年のインターハイ自転車競技の全日程が終了。男子総合順位は、ロードレースでさらにポイントを加算した松山学院高校が首位を譲らず、平成29年(2018年)大会以降、コロナ禍による中止を挟み9度目の総合優勝を達成した。

近年のインターハイは一部強豪校が表彰台を占めるようなことは少なく、今大会でも全参加校中約1/3が表彰台に乗る結果となったという。それでも松山学院高校の総合連覇は止まらなかった。来年10度目の総合優勝となるか。

2027年のインターハイは、トラックは平塚競輪場、ロードは宮ヶ瀬湖周回コースで開催される。
インターハイ2026 ロードレース結果
男子(72.1km) 女子(30.9km)
1位 井上 悠喜(松山学院高校) 1時間43分27秒 綱嶋 凛々音(北桑田高校) 54分2秒
2位 寺町 悠希(帯広南商高校) +0秒 阿部 理沙(別府翔青高校) +0秒
3位 關口 煌大(渋川高校) +9秒 小田島 寛奈(青山学院高校) +30秒
4位 稲葉 恵人(横浜立野高校) +2分14秒 塩貝 穂佳(北桑田高校) +1分14秒
5位 橋本 貫志(苫小牧東高校) +2分36秒 大谷 奈々(鳥取西高校) +1分16秒
6位 倉谷 希輝(たちばな高校) 市川 啓子(松任高校) +1分21秒
7位 各務 遼音(松山学院高校) 小林 碧(並木中等高校) +1分42秒
8位 眞鍋 肇太(保土ケ谷高校) 土肥 夏子(高松工芸高校) +2分0秒
インターハイ2026 男子学校対抗総合順位
1位 松山学院高校 46p
2位 岐阜第一高校 28p
3位 岡山工業高校 23p
4位 北桑田高校 19p
5位 瀬田工業高校 19p
6位 九州学院高校 18p
7位 帯広商業高校 14p
8位 作新学院高校 13p
8位 苫小牧東高校 13p

text&photo:Satoru Kato
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