「この勝利はチームに贈る」。リタイアと体調不良が相次いだチームを背負い、タデイ・ポガチャルがアルプ・デュエズを初制覇。逃げを次々と捉える圧倒的な走りで、31年前にパンターニが刻んだ最速登坂記録も塗り替えた。



ステージ優勝 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)

インタビューに答えるタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.

レース直後インタビュー
─いつも以上に喜んでいるように見えたが?

いつも通りだったと思う。だけどアルプ・デュエズでの初勝利だ。クレイジーな雰囲気に包まれた登りで、今日はチーム一丸となって走り、勝利できてよかった。

フェリックス(グロスシャートナー)が最終山岳の序盤で良いペースを刻んでくれた。その1つ前の山岳から僕らはすでに全力だった。逃げ集団がとても強力だったからね。アルプ・デュエズに入り、1kmほど登ったところで脚の調子が良いと感じた。集団にはライバルがそれほど多く残っておらず、僕のアタックに反応できる選手も少ないだろうと思い、仕掛けた。

その後はフィニッシュラインを目指して踏み続け、途中でアダム(イェーツ)の力を借りた。それが大きな後押しになった。個人TT(第16ステージ)の時に体調を崩していた彼が回復し、最後にアシストしてくれたことが本当にうれしかった。その後は彼の後ろから飛び出し、強力な逃げの選手たちと対峙した。彼らが牽制していたことも、僕が追いつく上で有利に働いた。

今日は僕がステージ優勝のチャンスをつかむ番だった。そして明日は、イサーク(デルトロ)が美しいマイヨブランと総合表彰台を守り抜く番だ。

タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)のマイヨジョーヌ通算着用日数は80日目に突入 photo:A.S.O.

表彰式後記者会見
─アルプ・デュエズで挙げた初めての勝利となった。どれだけ特別かを教えてくれ。

全ての記者が「アルプ・デュエズの特別さ」について質問するので、僕も特別であることを実感してきた。だが、本当に実感するのは今大会が終わってからなのかもしれない。もちろん特別で、大きな価値のある勝利だと思っている。

アダムは個人TTの時、顔が壁のように真っ白だったが、最後のアシストをしてくれるまでに回復した。フェリックスは他のメンバーの分まで働かなければならず、ティム(ウェレンス)は体調を崩し、ブランドン(マクナルティ)もリタイアを余儀なくされた。それでも今日はチームとして勝利を狙い、つかみ取ることができた。だからこの勝利はチームに贈る。

─パンターニの最速登坂記録を更新した。それについてどう思うか?

正直、パンターニのタイムは意識していなかった。記録を更新したと聞き、それ自体はうれしかったが、僕は良いレースをして、勝つことに集中していただけだ。31年前の記録を破れたのはうれしいことだ。

勝利の可能性を感じ始めたのは、無線で先頭集団がアタック合戦を繰り広げていると聞いた時だ。残り5km付近で先頭集団とのタイム差を聞き、「このペースを維持すれば、右コーナーの前に追いつけるかもしれない」と思った。実際にその通りの展開となり、残り4km付近、フェンスが始まるあたりで前を走る3人が見えた。

アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツXRG)のアシストへ感謝を語ったポガチャル photo:A.S.O.

彼らが牽制しているのが見えたので、捕まえられると思った。ただ、誰かが脚をためている可能性もあると疑っていた。すると右コーナーでセップ(クス)がアタックし、「また始まったのか?!」と思った。だが、それが彼の最後の力を振り絞ったアタックだった。また、レニー(マルティネス)を抜いた時には背後につかれ、「マジかよ」と思った。その後リチャル(カラパス)を捉えたが、その時点で全員の脚は限界に達していたと思う。

そこからは3人でのスプリントを避けたかったので、仕掛けた。フィニッシュまでのコースは熟知していたので、持てる力をすべて出し切った。過去の勝利のなかでも、特に厳しい戦いだった。

逃げに乗った選手たちを称えたい。彼らは勇気があるだけでなく、同じチームから複数人を逃げに送り込む賢い走りを見せた。だから今日は、チームとチームの戦いだった。

ライバルを置き去りにしてアルプ・デュエズを登るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.

─前にいる選手たちを次々と追い抜いていくのは、どんな気持ちか?

逃げ集団から遅れた選手たちは、ペースを緩め、頂上までたどり着くことを目標に切り替えている。例えば今日はテハダと目が合い、笑みを交わした。また、追い抜いた選手のなかには、「背後について、僕がどれだけ速いか見てみよう」と、実際についてくる選手もいる。

それは僕への称賛だと思うし、モチベーションにもつながる。今日はたくさんの選手が前にいた。繰り返しになるが、今日逃げた選手たちに称賛を送りたい。

ステージ4位 セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)

調子は良く、チームにとっても素晴らしい一日となった。最終山岳ではカラパスとマルティネスを相手に良い戦いができた。残念ながら勝利には届かなかったが、自分の走りには満足している。

ステージ6位&総合3位&マイヨブラン イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)

イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)はマイヨブランを維持 photo:A.S.O.

今日はとても良いレースとなり、タデイ(ポガチャル)が輝く姿を見ることができてうれしい。初めてのアルプ・デュエズは最高だった。正直、最初はヘアピンが想像以上に鋭く、少し怖かった。何度かヒヤッとする瞬間もあったが、結果には満足している。

明日は(セクサスと)激しいバトルになるだろうが、残すは明日と明後日の2日間だけだ。明日も今日と同じように臨むつもりだが、序盤はもう少し混沌とするかもしれない。それでも終盤は今日と似た展開になるだろう。

マイヨヴェールのリードを拡大したマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)

中間スプリント先頭通過を達成したマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:A.S.O.

今日の走りを誇りに思うし、協力してくれたチームメイトに感謝する。少し楽観的すぎる計画を立てたが、実行に移したところ、うまくいった。結果として25ポイントを積み上げることができた。数日前のミスがなければもっと差が広がっていただろうが、それでも、そのミスをいくらか埋め合わせることはできた。アルプ・デュエズに駆けつけ、最高の雰囲気を作ってくれた観客に感謝したい。

text:Sotaro.Arakawa
photo:A.S.O. CorVos

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