「落車した瞬間、すべてが終わったと思った」と振り返ったタデイ・ポガチャルは、チームメイトの援護で「勝利への希望を取り戻せた」と語った。一方、連覇を逃したファンデルプールは「もうハンドルを握っていられなかった」と明かしている。



優勝 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)

落車で左側にダメージを負ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

レース直後インタビュー

落車した瞬間、すべてが終わったと思った。レースで最も重要な箇所(チプレッサ)の直前だったからね。でも幸い、すぐにバイクに戻ることができ、僕自身にもバイクにも大きなダメージはなかった。

するとチームメイトの姿が見えたんだ。フロリアン(フェルミールス)とフェリックス(グロスシャートナー)が僕を先頭集団へ戻すべく、全力を尽くしてくれた。彼らのおかげで勝利への希望を取り戻せたし、脚の状態もまだ良かった。チプレッサではブランドン(マクナルティ)とイサーク(デルトロ)が引き継いでくれた。もしチームメイトがいなければ、おそらく僕は(右折せず)そのままサンレモのフィニッシュまで直進していただろうね(笑)。

─ポッジオでマチュー・ファンデルプールが本調子ではない(遅れた)ことも、勝利への望みとなったか。

先頭集団では皆(ピドコックとファンデルプール)が協力し、ローテーションを回してくれて本当に嬉しかった。ただ、昨年と違い少し向かい風が吹いていたので、ポッジオまでの繋ぎ区間の難易度は高かった。ポッジオでは今年のほうが風向きが良かったので、そこで全力で仕掛けた。

ポッジオでファンデルプールを振り落とした photo:CorVos

そこで単独先頭に立つことができれば理想的だったが、トム・ピドコックは本当に強かった。それに素晴らしいレースをしたマチューにも脱帽だ。最終的には僕とトムの2人になり、スプリントでは運よく僕が勝てた。

トムがとても速い選手なのはみんな知っている。パンチ力があって速く、とても良い状態に見えた。だからスプリントで彼が僕を先頭に出させた時は少し怖かったし、できるだけ長く待とうとした。結局、本当に際どい勝負だったので彼にも賛辞を送りたい。

表彰式後インタビュー

僅差のスプリントを制したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

落車した時に、ここまで積み重ねてきた練習が頭をよぎった。それがすべて無駄になったのだとね。このレースのために練習していたものの、怪我で出場さえかなわなかったマイケル・マシューズのことも考えた。だけどチームメイトの姿を見て、再び希望が湧いてきたんだ。

もしこのままずっとこのレースで勝てなかったら、ミラノ〜サンレモを恨み続けていただろう。けど今日、ようやく勝つことができた。来年はTVか沿道でみんなを応援しているかもしれないね(笑)。

今年はこのミラノ〜サンレモとパリ〜ルーベに向け、準備を進めてきたんだ。1つ目の目標が達成できた。だから次なる目標はロンド・ファン・フラーンデレン、そしてパリ〜ルーベだ。

2位 トーマス・ピドコック(イギリス、ピナレロQ36.5プロサイクリング)

ポガチャルと健闘を称え合うトーマス・ピドコック(イギリス、ピナレロQ36.5プロサイクリング) photo:CorVos

とても嬉しい。今日は少し変な感覚があり、まるで今年最初のレースを走っているような感覚だった。チプレッサの時点ではまだ先が長かったので、積極的にはいかなかったが、頂上まで残り300〜500mのところで、自分で先頭との差を埋めないといけないと分かっていた。

チームとしてのプランは、レースの主導権を握り、最初の登りで集団をできるだけひとつに保つことだった。チームは1日を通してレースをコントロールし、勝利を狙える展開に導いてくれた。ミラノ〜サンレモは本当に特殊なレースで、調子が良いだけでは十分ではない。僕が特に好きなレースの1つだけれど、ひとつミスをすれば全てを失ってしまう。本当に特別なレースだ。

3位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)

表彰台に上がったワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

正直、落車しなければ勝てたとは思わない。終盤で既に劣勢の戦いを強いられていたからね。ラスト2〜3kmで表彰台争いであることに気が付き、狙いに行った。だから3位という結果は敗北というよりも、勝ち取った結果だと思っている。

不運にも落車後に自分のバイクに乗り換えるまで時間を要した。もちろん勝利できれば、僕を集団復帰させてくれたチームメイトの走りに報いることができただろう。

8位 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)

チプレッサでポガチャルのアタックに食らいついたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック) photo:CorVos

大きな落車の場面で、左側から別の選手が突っ込んできて、手を怪我した。ダメージ自体はそれほど大きくないと思うが、とても痛んだ。チームメイトが力強い牽引で集団復帰させてくれたが、その時点で既にベストの状態ではないと感じていた。ポッジオでは、昨年のガンナ同様、自分のペースで登った。しかしポガチャルとピドコックが牽制し合うことはなかった。

重要な場面で彼ら(ポガチャルとピドコック)と一緒にいることができたので、調子自体は良かった。だが無線で「もうハンドルを握っていられない」と伝えた。それでもやれるだけのことはやった。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos