激しい展開の末、スプリントで決着したツアー・オブ・グワンシーの最終第6ステージ。ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)が今大会5勝目でシーズン19勝目を挙げ、ポール・ダブル(イギリス、ジェイコ・アルウラー)が総合優勝した。



総合リーダージャージを着用するポール・ダブル(イギリス、ジェイコ・アルウラー) photo:Team Jayco AlUla

日本で宇都宮ジャパンカップロードレースが行われた10月19日、中国・広西チワン族自治区でツアー・オブ・グワンシー(UCIワールドツアー)の最終第6ステージが行われた。舞台となったのは2級山岳を含むコースを5周回する全長134.3km。2級山岳は平均勾配11.5%と厳しいが、登坂距離は1.3kmと短く、スプリンターにも十分勝機があると見られた。

前日の山頂フィニッシュを制し、総合リーダージャージを着用するポール・ダブル(イギリス、ジェイコ・アルウラー)を先頭にレースはスタート。序盤からアタックが連続する激しい展開となったものの、逃げは形成されず、後半戦に入りようやく5名の逃げが決まった。その中にはこれが現役ラストレースとなり、2020年のツール・ド・フランス第8ステージで逃げ切り勝利を飾ったナンス・ペテルス(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)が入った。

常にプロトンに位置を取るポール・ダブル(イギリス、ジェイコ・アルウラー) photo:Team Jayco AlUla

メイン集団の主導権を握ったのは、スプリントステージで4戦4勝と圧倒的な強さを誇るポール・マニエ(フランス)のスーダル・クイックステップではなく、EFエデュケーション・イージーポストだった。そしてこの日最後の2級山岳に突入した残り20km地点で、ヴィクトル・ラフェ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)がアタック。総合2位で逆転の総合優勝を狙うラフェは逃げを捉え、単独で頂上を通過した。

虚を突かれたダブルを含むプロトンは、ラフェに20秒の差を許す。しかしスプリントに持ち込みたいUAEチームエミレーツXRGが、集団を先導して残り12kmでラフェを吸収。ペースが落ち着くと登りで遅れたマニエらも復帰し、複数のアタックはことごとく潰れ、今大会は2日ぶり5回目の集団スプリントへ。

パトリック・エディ(オーストラリア、ピクニック・ポストNL)のロングスプリントは決まらず、その背後からイヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)が先頭に出る。しかし勝利したのは、圧巻のトップスピードを披露し、前にいた選手たちをごぼう抜きしたマニエだった。

今大会5勝目を飾ったポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

前日の山頂フィニッシュを除き、5つのスプリントステージで5勝を飾ったマニエ。「この大会には高い目標を持って臨んだが、まさかここまでの結果になるとは思っていなかった。まさか5ステージも勝てるとは。特に幅の広い道路でのスプリントだった。初日の勝利が気持ちを落ち着かせてくれ、それ以降の勝利はボーナスみたいなものだった。中国での忘れられない経験になった」と語った。

1シーズン19勝はフランス人として30年ぶりで、スーダル・クイックステップにとってはトム・ボーネン(ベルギー)とマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)に続く3人目の快挙だ。

そして先頭集団でフィニッシュしたダブルがリーダージャージを守り、ワールドツアーで自身初の総合優勝をつかんだ。

総合優勝したポール・ダブル(イギリス、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos
ツアー・オブ・グワンシー2025第5ステージ結果
1位 ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) 2:55:59
2位 スタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド、コフィディス)
3位 ポール・ペンウェット(フランス、グルパマFDJ)
4位 ヨルディ・メーウス(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
5位 イヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)
6位 ピエール・ゴーテラ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)
7位 アンドレア・パスクアロン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
8位 ライリー・ピックレル(カナダ、イスラエル・プレミアテック)
9位 ルーカス・ネルーカー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)
10位 パトリック・エディ(オーストラリア、ピクニック・ポストNL)
個人総合成績
1位 ポール・ダブル(イギリス、ジェイコ・アルウラー) 22:37:12
2位 ヴィクトル・ラフェ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) +0:15
3位 ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG) +0:16
4位 ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) +0:19
5位 ヨルゲン・ノードハーゲン(ノルウェー、ヴィスマ・リースアバイク) +0:23
6位 キアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)
7位 カミル・ボヌー(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ) +0:30
8位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:31
9位 ベン・ツィーホフ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
10位 ルーカス・ネルーカー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)
その他の特別賞
ポイント賞 ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)
山岳賞 シモン・グリエルミ(フランス、アルケア・B&Bホテルズ)
ヤングライダー賞 ヨルゲン・ノードハーゲン(ノルウェー、ヴィスマ・リースアバイク)
チーム総合成績 ヴィスマ・リースアバイク
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos