ブエルタの抗議活動を受けUCIが声明発表　非難のみで具体策の公表なし

UCI（国際自転車競技連合）は先日閉幕したブエルタ・ア・エスパーニャ最終日のレース中止を受け、声明を発表した。選手たちを危険にさらすデモ行為や、それに賛意を示したとされるスペイン首相を非難したものの、再発防止に向けた具体策の言及はなかった。

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9月14日にマドリードにフィニッシュする予定だったブエルタ・ア・エスパーニャ第21ステージは、イスラエルへの抗議を掲げるデモ活動によって中止された。マドリードでは数千人のデモ隊と警官が衝突し、20名以上の警官が負傷、数十人が逮捕される事態となった。

それから一夜明けた15日、UCI（国際自転車競技連合）が公式声明を発表した。内容は主に、最終ステージの中止や選手を危険にさらす連日のデモ行為への非難、さらにスポーツの政治利用に対する非難に終始した。

また、「スペインの首相および政府が、競技の円滑な運営を妨げる可能性のある行動を支持し、場合によっては抗議者に称賛を示したことを遺憾に思う」と述べた。これはスペインのペドロ・サンチェス首相が「パレスチナのために動くスペイン国民のような人々に対して、われわれは敬意と称賛を持っている」というコメント、さらに外務大臣が「イスラエル・プレミアテックがブエルタから排除されるべきという意見を支持する」とした発言を指す。

しかし、UCIによる同声明で具体的な措置は示されなかった。

このUCIの今回の事案に対する消極的な姿勢には、ブエルタに出場したミハウ・クフィアトコフスキ（ポーランド、イネオス・グレナディアーズ）をはじめ、多くの批判が集まっている。クフィアトコフスキは自身のSNSで「UCIや関係当局が早い段階で適切な判断を下せなかった結果、抗議者が望んだ通りになってしまった。これは長期的に見て自転車ロードレースに非常に悪い影響を与える」と綴った。

UCIは2022年に、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、即時にロシアとベラルーシ籍チームのUCIレース参加を禁止。それによりロシア籍のガスプロム・ルスヴェロが解散に追い込まれた過去がある。そのため今回のUCIの消極的な態度について「ダブルスタンダード」であるとの批判が集まっている。

このときのUCIによる判断は、IOC（国際オリンピック委員会）がロシアとベラルーシ選手の国際大会除外を決めたことを受けてのもの。現時点でIOCはイスラエルのオリンピックおよびその他の国際大会への出場を認めているため、UCIも独自の判断を控えている可能性がある。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos