リドル・トレックが登りで人数を絞ったジロ・デ・イタリア第1ステージ。アルバニアが舞台の集団スプリントでマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)がファンアールトらを退け、勝利と共にマリアローザに袖を通した。

2度目の総合優勝を狙うプリモシュ・ログリッチ(スロベニア) photo:RCS Sport 
元チームメイトと談笑するトーマス・ピドコック(イギリス) photo:RCS Sport

総合優勝者に与えられるトロフェオ・センツァフィーネ photo:RCS Sport
5月9日から6月1日までの3週間、天に向かい螺旋を描く「トロフェオ・センツァフィーネ」を賭けて戦うジロ・デ・イタリアが開幕した。今年で108回目を迎えた今年のグランツール初戦は、史上初となるイタリアの対岸、アドリア海に面した国アルバニアが出発地点。4日目からイタリア本土に渡り、北上し、今年も大会は首都ローマで締めくくられる。
その初日の舞台はアルバニア第2の都市であるドゥラスで、そこからUの字を描くように東の首都ティラナに向かう164kmのコース。中盤に2級山岳が設定され、終盤は3級山岳を含む22kmコースを2周する丘陵ステージだ。
逃げ切りや総合勢が動く可能性もあり、しかし大会初日のため、緊張感の高い集団がスプリントに持ち込むのが大方の予想となった。

ジロ・デ・イタリア2025第1ステージ コースプロフィール image:RCS Sport

アルバニアのドゥラスを出発した選手たち photo:RCS Sport
アクチュアルスタートが切られると、スムーズに5名による逃げグループが形成される。その中には2021年にステージ優勝しているタコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ)やシルヴァン・モニケ(ベルギー、コフィディス)など、いずれも経験豊富な選手が揃う。追いかけるメイン集団は、ヴィスマ・リースアバイクやリドル・トレック、アルペシン・ドゥクーニンクなどスプリンターを擁するチームが先導した。
逃げグループが2級山岳グラチェンに入るとファンデルホールンが遅れ、今大会最初の山岳ポイントはモニケが獲得。プロトンのペースを作るヴィスマは2分以上のリードを許さないタイトなコントロールを見せる。そして今大会初導入された、ボーナスタイムが与えられるレッドブルKMはマヌエーレ・トロッツィ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)が先着した。
終始ヴィスマが先導した集団は、残り40km地点で逃げ集団をキャッチ。ひと塊に戻ったプロトンは、最大勾配13%の3級山岳(距離6.9km/平均4.6%)に入るとリドル・トレックがペースを上げる。それによりスプリンターであるオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)やサム・ベネット(アイルランド、デカトロンAG2Rラモンディアール)などが遅れ、シェイプアップされたプロトンが1度目のフィニッシュラインを通過した。

タコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ)ら5名が逃げグループを形成した photo:RCS Sport

アルバニアのファンが選手たちを応援 photo:RCS Sport
リドルは2度目の3級山岳でもハイペースに持ち込み、マイヨプントス(ポイント賞)の有力候補であるカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がその犠牲になる。ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が何とか集団に食らいつく一方、プロトンからはテイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)がドロップ。2年連続で総合6位に入っているイネオスのエースが、初日からタイムを失うこととなった。
リドルは登りと下りでのアタックを抑制するように先導し、エースであるマッズ・ピーダスン(デンマーク)に理想的な状況を作り出す。集団スプリントに向けて緊張感が高まる中、プロトンではハイスピードの下りコーナーでミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ)とジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG)、コービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)の3名が落車。ヴァインとストロングがレース復帰した一方で、ランダは胸椎骨折により初日でレースを去った。

2度登る3級山岳で高速牽引し、集団の人数を減らすリドル・トレック photo:CorVos

2度目の3級山岳で遅れかけるも、チームメイトのアシストで食らいついたワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
そして36名に絞られた集団が、大観衆の待つ最終ストレートに到着。マティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック)のリードアウトからピーダスンが踏み込み、大会初日の勝者を決めるスプリントの幕が上がった。
真っ先にトップスピードに乗ったピーダスンの背後では、ファンアールトやオールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター)、フランチェスコ・ブザット(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ)などがもがく。フィニッシュラインの手前でファンアールトがピーダスンに並び、同時にハンドルを投げる。しかしピーダスンが先着。両拳を突き上げた。

ファンアールトを退け、初日勝者となったマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:RCS Sport
登りでライバルを減らし、盤石のリードアウトから大会初日を制したピーダスン。「ステージ優勝に加え、マリアローザを着用できるなんて信じられない。特にチームによる素晴らしい走りを結果に繋げることができたので嬉しいよ。集団にワウト(ファンアールト)がいると苦労する。彼は決して過小評価してはならない選手だからね。チームが一丸となって掴んだ特別な勝利だ」と、2023年以来自身2度目のジロ区間優勝をそう喜んだ。
一方、敗れたファンアールトは「この数日間コンディションが悪く、今日も万全ではなかった。最終山岳で限界に達していたものの、全力で集団に食らいついた。だから2位という結果でも満足だ」と語っている。
過去マトリックスパワータグに所属し、今年ワールドチームへの移籍を果たしたアウラールが3位。初出場のジロでいきなりその実力を示した。

マリアローザ着用を喜ぶマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:CorVos



5月9日から6月1日までの3週間、天に向かい螺旋を描く「トロフェオ・センツァフィーネ」を賭けて戦うジロ・デ・イタリアが開幕した。今年で108回目を迎えた今年のグランツール初戦は、史上初となるイタリアの対岸、アドリア海に面した国アルバニアが出発地点。4日目からイタリア本土に渡り、北上し、今年も大会は首都ローマで締めくくられる。
その初日の舞台はアルバニア第2の都市であるドゥラスで、そこからUの字を描くように東の首都ティラナに向かう164kmのコース。中盤に2級山岳が設定され、終盤は3級山岳を含む22kmコースを2周する丘陵ステージだ。
逃げ切りや総合勢が動く可能性もあり、しかし大会初日のため、緊張感の高い集団がスプリントに持ち込むのが大方の予想となった。


アクチュアルスタートが切られると、スムーズに5名による逃げグループが形成される。その中には2021年にステージ優勝しているタコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ)やシルヴァン・モニケ(ベルギー、コフィディス)など、いずれも経験豊富な選手が揃う。追いかけるメイン集団は、ヴィスマ・リースアバイクやリドル・トレック、アルペシン・ドゥクーニンクなどスプリンターを擁するチームが先導した。
逃げグループが2級山岳グラチェンに入るとファンデルホールンが遅れ、今大会最初の山岳ポイントはモニケが獲得。プロトンのペースを作るヴィスマは2分以上のリードを許さないタイトなコントロールを見せる。そして今大会初導入された、ボーナスタイムが与えられるレッドブルKMはマヌエーレ・トロッツィ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)が先着した。
終始ヴィスマが先導した集団は、残り40km地点で逃げ集団をキャッチ。ひと塊に戻ったプロトンは、最大勾配13%の3級山岳(距離6.9km/平均4.6%)に入るとリドル・トレックがペースを上げる。それによりスプリンターであるオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)やサム・ベネット(アイルランド、デカトロンAG2Rラモンディアール)などが遅れ、シェイプアップされたプロトンが1度目のフィニッシュラインを通過した。


リドルは2度目の3級山岳でもハイペースに持ち込み、マイヨプントス(ポイント賞)の有力候補であるカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がその犠牲になる。ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が何とか集団に食らいつく一方、プロトンからはテイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)がドロップ。2年連続で総合6位に入っているイネオスのエースが、初日からタイムを失うこととなった。
リドルは登りと下りでのアタックを抑制するように先導し、エースであるマッズ・ピーダスン(デンマーク)に理想的な状況を作り出す。集団スプリントに向けて緊張感が高まる中、プロトンではハイスピードの下りコーナーでミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ)とジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG)、コービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)の3名が落車。ヴァインとストロングがレース復帰した一方で、ランダは胸椎骨折により初日でレースを去った。


そして36名に絞られた集団が、大観衆の待つ最終ストレートに到着。マティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック)のリードアウトからピーダスンが踏み込み、大会初日の勝者を決めるスプリントの幕が上がった。
真っ先にトップスピードに乗ったピーダスンの背後では、ファンアールトやオールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター)、フランチェスコ・ブザット(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ)などがもがく。フィニッシュラインの手前でファンアールトがピーダスンに並び、同時にハンドルを投げる。しかしピーダスンが先着。両拳を突き上げた。

登りでライバルを減らし、盤石のリードアウトから大会初日を制したピーダスン。「ステージ優勝に加え、マリアローザを着用できるなんて信じられない。特にチームによる素晴らしい走りを結果に繋げることができたので嬉しいよ。集団にワウト(ファンアールト)がいると苦労する。彼は決して過小評価してはならない選手だからね。チームが一丸となって掴んだ特別な勝利だ」と、2023年以来自身2度目のジロ区間優勝をそう喜んだ。
一方、敗れたファンアールトは「この数日間コンディションが悪く、今日も万全ではなかった。最終山岳で限界に達していたものの、全力で集団に食らいついた。だから2位という結果でも満足だ」と語っている。
過去マトリックスパワータグに所属し、今年ワールドチームへの移籍を果たしたアウラールが3位。初出場のジロでいきなりその実力を示した。

ジロ・デ・イタリア2025第1ステージ結果
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 3:36:24 |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | |
3位 | オールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター) | |
4位 | フランチェスコ・ブザット(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ) | |
5位 | トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) | |
6位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、XDSアスタナ) | |
7位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
8位 | マックス・プール(イギリス、ピクニック・ポストNL) | |
9位 | ニコラ・コンチ(イタリア、XDSアスタナ) | |
10位 | ダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア、ポルティ・ビジットマルタ) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 3:36:14 |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:04 |
3位 | オールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター) | +0:06 |
4位 | フランチェスコ・ブザット(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ) | +0:10 |
5位 | トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) | |
6位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、XDSアスタナ) | |
7位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
8位 | マックス・プール(イギリス、ピクニック・ポストNL) | |
9位 | ニコラ・コンチ(イタリア、XDSアスタナ) | |
10位 | ダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア、ポルティ・ビジットマルタ) |
マリアチクラミーノ(ポイント賞)
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 25pts |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 18pts |
3位 | マヌエーレ・トロッツィ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ) | 17pts |
マリアアッズーラ(山岳賞)
1位 | シルヴァン・モニケ(ベルギー、コフィディス) | 18pts |
2位 | ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ) | 10pts |
3位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) | 9pts |
マリアビアンカ(ヤングライダー賞)
1位 | フランチェスコ・ブザット(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ) | 3:36:24 |
2位 | マックス・プール(イギリス、ピクニック・ポストNL) | |
3位 | ダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア、ポルティ・ビジットマルタ) |
チーム総合成績
1位 | リドル・トレック | 10:49:12 |
2位 | モビスター | |
3位 | XDSアスタナ |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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