2025/04/13(日) - 16:30
本日4月13日(日)に開催される第122回パリ〜ルーベ。全30箇所/総距離55.3kmのパヴェ区間を駆け抜ける「北の地獄」に臨むのは、3連覇狙うファンデルプールや初出場ポガチャル。さらにファンアールトなど注目選手たちとコース詳細を紹介する。

30箇所の石畳セクターが登場する今年のパリ〜ルーベ photo:CorVos

パリ〜ルーベ2025 コースマップ photo:CorVos シクロクロスとMTB仕込みの卓越したバイクハンドリングに鋭いアタック、そしてスプリント力を持つマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)。さらにチームには2年連続2位のヤスペル・フィリプセン(ベルギー)という強力なスプリンターを擁し、前世界王者は盤石の体制を敷く。
そんな絶対王者に、初出場のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)はどう挑むか。それが今年で第122回目を迎えたパリ〜ルーベ、別名「北の地獄」と呼ばれる石畳レース最大の注目点だ。
近代オリンピックと同じ1896年に第1回大会が開催されたパリ〜ルーベは、荒れた石畳(パヴェ)が特徴のワンデーレース。選手たちはパヴェで跳ねるバイクを抑え込みながら合計30箇所/総距離55.3kmのパヴェ区間を駆け抜ける。ここ30年で最長となった昨年からパヴェ区間は1つ増え、総距離は大きく変わらず400mと若干短くなった。

30箇所の石畳(パヴェ)セクター photo:CorVos
パリ北部の街コンピエーニュを出発するコースは基本的にフラットだが、平野部を蛇行しながら進むため細かいアップダウンが続き、獲得標高差は1,300mほどに達する。そして目指すはベルギー国境近くの街、ルーベにあるヴェロドロームだ。
レース序盤、95.8kmのフラットな舗装路を経て、「No.30 トロワヴィル〜アンシー」から地獄と呼ばれる石畳区間がスタートする。最大の難易度である5つ星が与えられているのは「No.19 アランベール」と「No.11 モンサン・ぺヴェル」、そしてフィナーレに近い「No.4 カルフール・ド・ラルブル」の3区間。いずれも全長は2kmを超え、握りこぶし大の石が不規則に敷き詰められた「悪路」は、レースの勝敗を大きく左右する。
また、パリ〜ルーベの開催で注目されるのは当日の天候。朝方のにわか雨はレース開始までには上がる見込みで、コースの一部が濡れている可能性はあるものの、ひどい泥コンディションには至らず、むしろ砂埃を抑える効果が期待される。一方で、例年以上に強い横風が予想され、集団を分断するエシュロンが発生しやすい状況となりそうだ。
ファンデルプール vs ポガチャルの熱き戦いが再び

4勝目を目指す今季好調のマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
選手たちが分厚いグローブをしてもなお手に血豆を作る過酷なレースで、グローブすらせず連覇を決めたファンデルプールが本命であることに間違いはない。勝てばオクタヴ・ラピーズ(フランス、1909-11年)とフランチェスコ・モゼール(イタリア、1978-80年)に続く史上3人目となる3連覇の偉業となる。
1週間前のロンド・ファン・フラーンデレンではポガチャルに敗れたが、今大会には2年連続2位のヤスペル・フィリプセン(ベルギー)がいる。集団スプリントが濃厚となった場合、チームプレイを惜しまないファンデルプールがフィリプセンのアシストに回る可能性もあるため、チームとしての戦略も注目される。

入念な試走で初出場するタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
一方のポガチャルは、昨年末から出場の噂があり、今年3月に主催者が参戦を発表した。過酷な石畳への適応は未知数だが、石畳が登場するロンドでは18kmを独走して優勝。その圧倒的な独走力からファンデルプール最大のライバルと目されている。
本人も「パリ〜ルーベは未経験の領域だ」と認めつつ、「でも経験豊富なチームメイトによる強力なサポートがある。今の自分のコンディションならば、挑戦すべき良いタイミングだと思う」と意気込みを語っている。ちなみにパリ〜ルーベ・ジュニアには2度(2015、16年)に出場しており、13位と30位で完走している。
ファンアールトはサプライズを起こせるか?

試走するワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
ロンドの走りにより優勝候補に挙げられたポガチャルと対極に、コンディションが不安視されているのがワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)だ。ロンドではチームの盤石なアシストがありながら4位と表彰台を逃し、ポガチャルのアタックに何度も遅れるシーンが目立った。しかし本人は「調子自体は悪くない。良い作戦で優勝候補たちを驚かせたい」と語る。2022年は2位で翌年は3位、昨年は怪我で不出場だったため、悲願の初制覇に向けモチベーションは高いはずだ。
上記3強に続く有力候補として、昨年3位のマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)やパワフルな走りが魅力のフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が挙げられる。リドルはヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー)やジョナタン・ミラン(イタリア)など実力者を揃え層が厚く、今季好調のガンナはその大柄な体格は石畳では有利に働く。また同じ理由で、2022年の3位シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)の走りにも注目される。

マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:CorVos
若手では、今季躍進する19歳マシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)や22歳のローレンス・ピシー(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が良い。もちろん、ヴェロドロームでの集団スプリントに持ち込まれれば、ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)やティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)といったスプリンターにも勝機が見えてくるだろう。


そんな絶対王者に、初出場のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)はどう挑むか。それが今年で第122回目を迎えたパリ〜ルーベ、別名「北の地獄」と呼ばれる石畳レース最大の注目点だ。
近代オリンピックと同じ1896年に第1回大会が開催されたパリ〜ルーベは、荒れた石畳(パヴェ)が特徴のワンデーレース。選手たちはパヴェで跳ねるバイクを抑え込みながら合計30箇所/総距離55.3kmのパヴェ区間を駆け抜ける。ここ30年で最長となった昨年からパヴェ区間は1つ増え、総距離は大きく変わらず400mと若干短くなった。

パリ北部の街コンピエーニュを出発するコースは基本的にフラットだが、平野部を蛇行しながら進むため細かいアップダウンが続き、獲得標高差は1,300mほどに達する。そして目指すはベルギー国境近くの街、ルーベにあるヴェロドロームだ。
レース序盤、95.8kmのフラットな舗装路を経て、「No.30 トロワヴィル〜アンシー」から地獄と呼ばれる石畳区間がスタートする。最大の難易度である5つ星が与えられているのは「No.19 アランベール」と「No.11 モンサン・ぺヴェル」、そしてフィナーレに近い「No.4 カルフール・ド・ラルブル」の3区間。いずれも全長は2kmを超え、握りこぶし大の石が不規則に敷き詰められた「悪路」は、レースの勝敗を大きく左右する。
また、パリ〜ルーベの開催で注目されるのは当日の天候。朝方のにわか雨はレース開始までには上がる見込みで、コースの一部が濡れている可能性はあるものの、ひどい泥コンディションには至らず、むしろ砂埃を抑える効果が期待される。一方で、例年以上に強い横風が予想され、集団を分断するエシュロンが発生しやすい状況となりそうだ。
ファンデルプール vs ポガチャルの熱き戦いが再び

選手たちが分厚いグローブをしてもなお手に血豆を作る過酷なレースで、グローブすらせず連覇を決めたファンデルプールが本命であることに間違いはない。勝てばオクタヴ・ラピーズ(フランス、1909-11年)とフランチェスコ・モゼール(イタリア、1978-80年)に続く史上3人目となる3連覇の偉業となる。
1週間前のロンド・ファン・フラーンデレンではポガチャルに敗れたが、今大会には2年連続2位のヤスペル・フィリプセン(ベルギー)がいる。集団スプリントが濃厚となった場合、チームプレイを惜しまないファンデルプールがフィリプセンのアシストに回る可能性もあるため、チームとしての戦略も注目される。

一方のポガチャルは、昨年末から出場の噂があり、今年3月に主催者が参戦を発表した。過酷な石畳への適応は未知数だが、石畳が登場するロンドでは18kmを独走して優勝。その圧倒的な独走力からファンデルプール最大のライバルと目されている。
本人も「パリ〜ルーベは未経験の領域だ」と認めつつ、「でも経験豊富なチームメイトによる強力なサポートがある。今の自分のコンディションならば、挑戦すべき良いタイミングだと思う」と意気込みを語っている。ちなみにパリ〜ルーベ・ジュニアには2度(2015、16年)に出場しており、13位と30位で完走している。
ファンアールトはサプライズを起こせるか?

ロンドの走りにより優勝候補に挙げられたポガチャルと対極に、コンディションが不安視されているのがワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)だ。ロンドではチームの盤石なアシストがありながら4位と表彰台を逃し、ポガチャルのアタックに何度も遅れるシーンが目立った。しかし本人は「調子自体は悪くない。良い作戦で優勝候補たちを驚かせたい」と語る。2022年は2位で翌年は3位、昨年は怪我で不出場だったため、悲願の初制覇に向けモチベーションは高いはずだ。
上記3強に続く有力候補として、昨年3位のマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)やパワフルな走りが魅力のフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が挙げられる。リドルはヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー)やジョナタン・ミラン(イタリア)など実力者を揃え層が厚く、今季好調のガンナはその大柄な体格は石畳では有利に働く。また同じ理由で、2022年の3位シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)の走りにも注目される。

若手では、今季躍進する19歳マシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)や22歳のローレンス・ピシー(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が良い。もちろん、ヴェロドロームでの集団スプリントに持ち込まれれば、ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)やティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)といったスプリンターにも勝機が見えてくるだろう。
パリ〜ルーベ歴代優勝者
2024年 | マチュー・ファンデルプール(オランダ) |
2023年 | マチュー・ファンデルプール(オランダ) |
2022年 | ディラン・ファンバーレ(オランダ) |
2021年 | ソンニ・コルブレッリ(イタリア) |
2020年 | 中止 |
2019年 | フィリップ・ジルベール(ベルギー) |
2018年 | ペテル・サガン(スロバキア) |
2017年 | グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー) |
2016年 | マシュー・ヘイマン(オーストラリア) |
2015年 | ジョン・デゲンコルプ(ドイツ) |
2014年 | ニキ・テルプストラ(オランダ) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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