2025/04/15(火) - 18:00
ウィリエールの国内担当者キット北村さんの「ストラーデ・ビアンケ市民レース」参戦記をお届けします。5大モニュメント制覇を目指す彼が、思わぬチャンスを得て、イタリアの友人たちとの交流や数々のドタバタを経験しながら、イタリアのクラシックへ挑みます。

レースの1ヶ月前に参戦を決めたストラーデ・ビアンケの市民レースに参加してきました photo:Kitto Kitamura
2019年から5大モニュメント制覇を目指しているウィリエールの日本国内担当者"キット北村さん"。 5大モニュメントを残すはミラノ~サンレモだけなのだが、ミラノ~サンレモのプロレースが3月下旬で台北サイクルショーとスケジュールがバッティング!さらにミラノ~サンレモの市民レースは6月で、市民レースなのにプロと同じ300㎞のコース設定ということで、かなり及び腰。
そんな心境だったので、『次のレースは近年"第6のモニュメント"と呼ばれ始めているストラーデ・ビアンケかなぁ?』と想像はしていました。しかし、昨秋アスタナ・カザクスタンチームの来日の引率で手を取られ、ストラーデ・ビアンケのエントリー開始時期を失念!エントリー開始から申し込みが一瞬で埋まったようで、気付いた時にはあっと言う間にエントリー期間が終了していた!という由々しき事態が発生。
また、昨年末の数週間にも渡る体調不良で、モチベーションがだだ下がり2025年はヨーロッパ遠征自体をお休みする予定でした。2025年2月、イタリア出張中にたまたまイタリアの友達に出会った事で事態は急展開しました!
それでは、"ストラーデ・ビアンケのプロローグ"のお話です。

MTBチーム発表会でしおらしく聞いていると見知らぬ男性に肩を叩かれる photo:Kitto Kitamura
レース1ヶ月前、イタリア出張中にウィリエール・ヴィットリアMTBチームのプレゼンテーションに出席する事になりました。プレゼンテーションをしおらしく聞いていると、後ろのイタリア人の中年男性に肩を叩かれます。振り返りますが全く知らない方です。実はこの見知らぬ中年男性は、ウィリエールコンセプトストア:プントロッソ・パドヴァの店長であるイゴール・ザッギアさんでした。
元々イゴールさんとはフェイスブック友達としてSNS上でメッセージのやり取りはしていましたが、実際にお会いするのは初めて。彼はSNS上で顔を出していないので、私は彼の顔を知りません。突然、見知らぬイタリア人男性からの自己紹介が始まり、初めて彼がイゴール・ザッギアさん御本人であることを認識しました。

初対面のイゴールさんから「自転車借りてシエナに行くか?」の誘い photo:Kitto Kitamura
そして、イゴールさんと彼女のエレナさんがストラーデ・ビアンケにチームプレゼンテーションのある3月7日(金)の朝にシエナに向かう事を聞きました。"キット北村はストラーデ・ビアンケに行かないのか?うちの店(プントロッソ・パドヴァ)で自転車を借りて、シエナエリアまで一緒に行くか?"と言ってくれているのですから、大チャンス到来です!
すぐさま、ストラーデ・ビアンケのツアーオペレーターであり、昨年のアムステルゴールドでお世話になったロンドンのサイクリング旅行会社:スポルティブブレイクス社に連絡を取りました。幸いにも一人部屋のホテル枠が一部屋だけ空いていたので、スポルティブブレイクス社の持っているエントリーチケットとツアー参加申し込みをウィリエール・ヴィットリアMTBチームのプレゼンテーション会場で行いました。イタリア出張後、パドヴァで合流なのでヴェネチア行きの安い飛行機のチケットを物色しました。

3週間ぶりのヴェネチア空港、計画変更で浮かない表情の北村さん photo:Kitto Kitamura
時は流れ、イタリア出張から3週間ぶりに再びヴェネチア空港に到着しました。しかし、キット北村はえらい浮かない顔をしております。それもそのはず、イタリア出発3日前の土曜日にイゴールさんから『シエナのホテル代が高くて、3月7日(金)からのシエナ入りに彼女の許可が下りず、プロのレースのある3月8日(土)の夜に現地入りする事になった!』と伝えてきたからでした。
こんな事なら"ミラノ空港かローマ空港着の飛行機を予約し、シエナ近郊のウィリエール専門のレンタルバイク屋さん:ジッポバイク(Gippo Bike)で自転車を借りる算段にすれば良かった!"と後悔しても後の祭り。致し方なくウィリエールのスタッフで仲の良いマルコ・ポッジアーナさんとアルベルト・スキザットさんに連絡をし、マルコさんにはバイクを、アルベルトさんにはシーコンのバイクケースをお借りすることになりました。
またパドヴァに行く必要が無くなったので、もう少しでキャンセル料が発生してしまうギリギリのタイミングでパドヴァのホテルを何とかキャンセルし、急遽マルコさん家に泊めてもらえる事になりました。その結果、重たいスーツケースとバイクケースを引きずって、電車を2回乗り継ぎ5時間かけてシエナに向かうという大変面倒な旅行日程になりました。もうイタリア人と20年付き合っているので、こういったドタキャントラブルは日常茶飯事ですので慣れっこです。
https://www.gippobike.com/en/

獺祭を手土産に有名デザイナーのジョニーさん宅へ滞在 photo:Kitto Kitamura
以前にシクロワイアードの読者の皆様にお伝えしましたが、モニュメントを制する旅は自腹でレースを転戦しておりまして、去年のアルデンヌクラシック三連戦で大幅に予算オーバーしたために今回の旅ではかなり節制をせざるをえません。ただでさえストラーデ・ビアンケのエントリーチケット購入のため、スポルティブブレイクス社のパックツアーに参加して予算を使っているので、削れる経費はもう食費と宿泊費ぐらいしかありません。
そこで数日間はイタリア人の友達の家を渡り歩く生活をすることにしました。イタリア到着初日は色々な有名自転車メーカーのグラフィックやジロ・デ・イタリアの公式ウェア等をデザインするジョニー・モールさん家です。宿泊代として獺祭のお酒を渡しておきましたが、私を泊める条件として"フィリッポ・ポッツァートさん(以下ピッポさん)のカーニバルナイトクリテリウムレース(仮装パーティー)でゲストコメンテーターとして盛り上げてくれ!"という事で、ジョニーさん家に到着早々、ジョニーさんは忍者のコスチュームに着替えて、私はジロ・デ・イタリア応援コスチュームに着替えて、ピッポさんのオフィスへと向かいます。
https://www.jonnymole.com/en/

イタリア到着わずか4時間でピッポさん主催のナイトクリテに到着 
ピッポさんが引退後に立ち上げた公道封鎖のナイトサーキット

レースパスやメダルがキャビネットのノブに掛けられたオフィス 
オフィス廊下に鎮座する引退時のラマートカラーバイクの肖像画
まだイタリアに到着して4時間ぐらいしか経過しておりませんが、ピッポさん主催のカーニバルナイトクリテリウムレース会場に到着しました。ピッポさんは引退後にイベント屋さんを始めており、大きな自転車イベントを立ち上げて成功させています。プレイボーイを地で行くイケメンのピッポさんでしたが、結婚し息子が生まれた事で大きく気持ちの変化があったのでしょう、精力的に仕事に取り組んでいるという噂を方々から聞いております。
ピッポさんの引退レースであったジャパンカップの夜(宇都宮で夜遊びしたあの夜)以来ぶりにお会いしました。時折SNS上では連絡を取り合っていましたが、本当に直接お会いするのは久しぶりです。イケメン顔は以前のままですが、腰回りにだいぶお肉が付いていて太っていたので驚きました。ちなみにピッポさんと忍者姿のジョニーさんはとても仲良しです。

パトカーや救急車も協力する地元密着型の個人イベント photo:Kitto Kitamura
ピッポさん主催のカーニバルサーキットです。他にもピッポさんは色んなイベントを行っているので、ぜひピッポさんのウェブサイトにアクセスしてみてください。
https://linktr.ee/ppsportevents
レースが始まるまで、ピッポさんのオフィスを探索です。よく見るとオフィスには様々なお宝が飾られていますね。レースのパスやイベントのメダルがキャビネットのノブに掛けられていました。
オフィスの廊下には、アーティストに描いてもらったピッポさんの走る姿がドーンと鎮座していました。ウィリエール・セッレイタリアチームで引退されていますので、バイクがチェント10エアーのラマートカラーですね。

宇都宮以来のピッポさんは相変わらずイケメンだが腰回りに贅肉 photo:Kitto Kitamura

ミニーマウス姿のマルチェロとアラブ富豪姿のマルコのMCコンビ photo:Kitto Kitamura
パトカーや救急車もこの小さなイベントをサポート。警察や救急隊が夜中の個人開催のレースをサポートするなんてちょっと日本では考えられないですよね。ソックスメーカーのMBウェア、タイヤメーカーのヴィットリア、地元のジャイアントディーラーがブース出展していました。
カーニバルナイトクリテリウムレースの大会MCはこの2人、ミニーマウス姿のマルチェロ・フィネッリさんとアラブの富豪姿のマルコ・ピアヌラさんです。2人はポッドキャストを中心に、色んなイベントでMC活動を行っているようです。彼らポッドキャスター2人と大会を盛り上げます。
https://www.scannellatoriseriali.com/

夜7時、仮装とガチ勢、タンデムやリカンベントも入り混じるスタート photo:Kitto Kitamura

事故なくレース終了、カウガール・シスター・ミニーマウスが彩る表彰式 photo:Kitto Kitamura
夜7時、いよいよレーススタートです。日本では信じられませんが一部公道を封鎖してカーニバルナイトクリテリウムがスタートです!仮装でポイントを稼ぐ人とガチな走りでポイントを稼ぐ人、タンデム自転車やリカンベントも参戦です。
無事にレースは事故無く終わり、皆がゴールすると打ち上げ花火が打ち上げられました。仮装組の表彰が終り、ガチ勢の表彰です。カウガールやシスター、ミニーマウスが表彰に花を添えます。

20年来の友マルコさん宅で家族帰宅までの下ごしらえ photo:Kitto Kitamura
ジョニーさん家に泊まって翌朝チッタデッラの街を観光し、昼過ぎからマルコさん家に居候です。マルコさんと私は同年齢でかれこれ20年のお付き合いなんです。マルコさんの家族が帰ってくるまで、テーブルのセットや晩御飯の下ごしらえをしておきます。
マルコさんのペットの金魚です。『金魚の飼い方が分からないのにずっと生きているので不思議なんだ。』との話。飼い始めてから、ずっと陽射しに当てていないようなので、金魚を日光浴させました。
マルコさんが犬も飼っているという事で、犬好きなキット北村はウキウキしていましたが、金属製の犬でした。近所のアーティストが作ってくれたそうで、マルコさんはこの犬が大のお気に入りなんだそうです。

「飼い方不明なのに生き続ける不思議な金魚」の初めての日光浴 
犬好きの北村さんが期待した犬はアーティスト作の金属製 photo:Kitto Kitamura

家族の帰宅で本格的な晩餐準備 
マルコさんのお父さんも交えての晩餐と乾杯
夕方5時にマルコさんの奥さんと娘さんが帰ってきたので、本格的に晩御飯の調理開始です。全然自転車ネタではなくてすみません。しかし、この後ストラーデ・ビアンケに関わる悲劇が私の身に起こります。
無事に料理を作り終えて、近くに住むマルコさんのお父さんも来られて乾杯です。マルコさんの妻のアンナさんですが、2人が結婚する前から知っているので奥さんとはかれこれ15年ぐらいのお付き合いです。そして、食べ終えた後に悲劇が…。

エマちゃんとのマリオカート熱戦で繰り出されたヒップアタックが腰を直撃 photo:Kitto Kitamura
ガラスの腰を持つキット北村。ここ1ヶ月ストレッチや姿勢に十二分に気を付けていましたが、マルコさんの娘のエマちゃんとマリオカートでバトルしていた時に悲劇が起こります。あまりにもヒートアップし過ぎて、コントロールの邪魔をするためにお互いヒップアタックの応酬です。エマちゃんが体重を載せてヒップアタックして私の上に乗ってきた際に、グキッと腰を痛めてしまいました。即、マリオカートのプレイヤーをお父さんのマルコさんに交代しました。
ここで忘れてはならないのは、イタリアへ再訪する前に、私がストラーデ・ビアンケで使う自転車を点検・整備してくれたウィリエールのメカニックの皆さん達です!皆んなありがとう!今回人生初めてのスラムコンポで上手く使えるか?実はちょっと心配です。

ウィリエールのメカニック全員集合。人生初のスラムコンポに不安を覚える photo:Kitto Kitamura
マルコさん家に泊まって翌朝、マルコさんに近所の無人駅まで送ってもらって、いよいよシエナ駅に向かいます。マルコさんとアルベルトさんにお借りした自転車とバイクケースはなるべく傷つけないように大事に運びます!
スーツケースとバイクケースで移動するとこんな感じになります。久しぶりにシーコンのバイクケースを使いましたが、やはりとても便利ですね。確か今年の2月の出張で、ウィリエール本社にアスタナ・カザクスタンチームの使い古しのシーコンのバイクケースが沢山倉庫に転がっていたので、今度盗んで帰ろうと思います。(笑)

マルコさんに無人駅まで送ってもらい借り物自転車を大事に運ぶ 
スーツケースとシーコンバイクケースでの長距離移動の様子

日立製の黒い鈍行列車で12分の乗り継ぎ時間に戦々恐々 
乗客少ない列車内でバイクケースをドーンと置ける幸運
パドヴァ行きの鈍行列車は黒色です。驚いたのが日本の日立製の車両なんですね。無人駅なので電車がちゃんと来るのか心配していましたが無事に出発できました。パドヴァ駅で高速列車に乗り継ぎなんですが、乗り継ぎ時間が12分ぐらいしかないので、遅延してしまうと指定席券がパーになります。
丁度乗車した時間帯に乗る人が少ないのか、スーツケースとバイクケースを周りの目を気にすることなくドーンと置けました。無事にパドヴァ駅に遅延することなく鈍行列車は到着したんですが…。
パドヴァ駅の7・8番線のエレベーターの様子がおかしいです。ボタンを押しても動きません。

パドヴァ駅7・8番線の不審なエレベーター、ボタンを押しても反応なし 
使用不可の貼り紙発見、軽いギックリ腰でも階段で荷物運搬

出発3分前ギリギリで「フレッチャ・ロッサ(赤い矢)」に乗り換え成功 
海外旅行の経験を活かし最後尾席にバイクケースを巧みに収納
よくよく目を凝らして見ると、エレベーターの扉には使用不可の貼り紙が!軽いギックリ腰なのに、スーツケースとバイクケースを階段で運ばねばならず。あぶら汗を掻きました。
出発ギリギリ3分前に高速列車に乗り継ぎに成功。高速列車は赤色で"フレッチャ・ロッサ(赤い矢)"と呼ばれています。
キット北村は海外旅行に慣れておりまして、フレッチャ・ロッサの車両の最後尾席に上手くバイクケースがはまる事を知っていました。ちょうどシーコンのバイクケースが収まり、車掌さんにもお小言を言われません。

フィレンツェ駅での25分の乗り継ぎ時間に安堵の表情 
フィレンツェ〜シエナ間の「イタリア満員電車」で大荷物の肩身の狭さ

長~い200mのエスカレーターが一部故障、腰痛に追い打ちの階段移動 
シエナの初日宿に到着、早速レセプション会場探索に向かう
フレッチャ・ロッサが無事にフィレンツェ駅に到着。フィレンツェ駅では乗り継ぎ時間が25分ぐらいあるので焦る事無く乗り継げたんですが…。
フィレンツェからシエナに向かう乗客が多いのでしょうか?満員電車でした。(日本に比べたらスカスカな感じですが、イタリアの満員電車はこんな感じです。)スーツケースとバイクケースが大きいので肩身が狭いです。
シエナ駅に到着して、シエナ駅から坂を登った旧市街にあるホテルを目指します。旧市街に向けて、長い長~い200メートルは続くエスカレーターが伸びています。沢山荷物があっても楽々移動できるはずなんですが、エスカレーターの一部区間が故障して使えませんでした。パドヴァ駅に続き、スーツケースとバイクケースをエスカレーター隣の階段で運ばねばならず、ガラスの腰にダメージが蓄積していきます。
無事にシエナの初日の宿に到着し、バイクケースをホテルに置いてシエナの旧市街にあるストラーデ・ビアンケのレセプション付近の探索に出発します。

メディチ家要塞前の公園に設置された謎の細かい文字列 photo:Kitto Kitamura

掲示板の参加者名簿に自分の名前発見、高まるストラーデへの機運 photo:Kitto Kitamura
メディチ家の要塞前にある公園にストラーデ・ビアンケのレセプション会場がありました。コースマップや諸注意が書かれていましたが、何やら細かい文字列が書かれていました。一体何でしょうか?
実はストラーデ・ビアンケにエントリーしている参加者の名前がアルファベット順に並んでいるのです。自分の名前も無事に見つかり、ストラーデ・ビアンケ挑戦への機運が高まってきました。

メカニック、コーディネーター、マネージャーのタクシーに偶然出会い便乗 photo:Kitto Kitamura
翌朝、サイクリング旅行会社:スポルティブブレイクス社が用意した次のホテルに移動する日です。スポルティブブレイクス社は山が2つ並んだオレンジ色のロゴです。ヨーロッパの色んなイベントのツアーを企画されているので、海外レースに興味がある方は、ぜひ一度ウェブサイトを見てください。
https://sportivebreaks.com/
前日泊まったホテルからシエナ駅へと一旦坂を下りて、シエナ駅にたまたま居合わせたスポルティブブレイクス社の皆さんが乗っているタクシーに便乗します。左からメカニックのジェイクさん、チケット等を手配しているコーディネーターのモルフェンさん、そして、マネージャーのイアンさんです。

ヴィスマ・リースアバイクのチームカーが並ぶホテル到着 
ヴィスマ・リースアバイクの車には監督とスタッフのみ
ホテルエグゼクティブに到着しました。駐車場にはヴィスマ・リースアバイクのチームカーが見えます。隣が郊外型のシェラトンホテルで、リドル・トレックのチームカーやピッポさんのイベント用のヴァンやテントが見えます。
ヴィスマ・リースアバイクのチームカーは停まっていましたが、どうもチーム監督やスタッフだけのようです。

チーム監督との対面が後日「キットキタム~ラ!」と呼ばれる伏線に photo:Kitto Kitamura
スポルティブブレイクス社はヴィスマ・リースアバイクチームと業務提携しているようで、それがキッカケでチーム監督さんを紹介してもらいました。今年からヴィスマ・リースアバイクチームはサドルにプロロゴを採用しているので使い心地をチーム監督さんに聞きました。せっかくなんでプロロゴのサルヴァトーレGMにもビデオチャットで繋いで、色々と今後の打ち合わせをしました。キット北村企画のヴィスマ・リースアバイクのスペシャルサドル案が上手く進めば良いですね。
ここでヴィスマ・リースアバイクのチーム監督さんやスタッフさんに名前を憶えて頂けたのは嬉しいんですが、後日チームブースエリア内で"キットキタム~ラ!"と大声で名前を呼ばれるのはとても恥ずかしい…。
チェックイン時間までヴィスマ・リースアバイクのスタッフさんと雑談していましたが、ようやく午後1時に部屋の準備が出来たので荷物を部屋に入れて、バイクを組み立て始めます。

ヴィスマスタッフと雑談、午後1時にようやく部屋へ荷物搬入 
室内持込禁止で薄暗いガレージでの組立、プレゼンに急ぐ
残念ながら、ホテルエグゼクティブは室内に自転車持ち込み禁止なので、ちょっと薄暗いガレージで自転車を組み立てます。午後4時からチームプレゼンテーションが始まるので、自転車を組み立て終えると、シャワーを浴びてすぐにプレゼンテーション会場へと出発します。
次回、ストラーデ・ビアンケ2025観戦記に続きます…。
Special Thanks to
Igor Zaggia (Punto Rosso Zerolite Padova)
Jonny Moletta (Jonny Mole)
Filippo Pozzato (P.P. Sport Events)
Marcello Finelli (Scannellatori Seriali)
Marco Pianura (Scannellatori Seriali)
Marco Poggiana (Wilier Triestina)
Anna Poggiana
Emma Poggiana
Team Wilier Triestina Mechanics
Alberto Squizatto (Wilier Triestina)
Salvatore Truglio (Prologo)
Jake Greene (Sportive Breaks)
Morven Brown (Sportive Breaks)
Ian Clarke (Sportive Breaks)
Team Visma Lease-a-Bike
Team Sportive Breaks
photo&Report : Kitto Kitamura

2019年から5大モニュメント制覇を目指しているウィリエールの日本国内担当者"キット北村さん"。 5大モニュメントを残すはミラノ~サンレモだけなのだが、ミラノ~サンレモのプロレースが3月下旬で台北サイクルショーとスケジュールがバッティング!さらにミラノ~サンレモの市民レースは6月で、市民レースなのにプロと同じ300㎞のコース設定ということで、かなり及び腰。
そんな心境だったので、『次のレースは近年"第6のモニュメント"と呼ばれ始めているストラーデ・ビアンケかなぁ?』と想像はしていました。しかし、昨秋アスタナ・カザクスタンチームの来日の引率で手を取られ、ストラーデ・ビアンケのエントリー開始時期を失念!エントリー開始から申し込みが一瞬で埋まったようで、気付いた時にはあっと言う間にエントリー期間が終了していた!という由々しき事態が発生。
また、昨年末の数週間にも渡る体調不良で、モチベーションがだだ下がり2025年はヨーロッパ遠征自体をお休みする予定でした。2025年2月、イタリア出張中にたまたまイタリアの友達に出会った事で事態は急展開しました!
それでは、"ストラーデ・ビアンケのプロローグ"のお話です。

レース1ヶ月前、イタリア出張中にウィリエール・ヴィットリアMTBチームのプレゼンテーションに出席する事になりました。プレゼンテーションをしおらしく聞いていると、後ろのイタリア人の中年男性に肩を叩かれます。振り返りますが全く知らない方です。実はこの見知らぬ中年男性は、ウィリエールコンセプトストア:プントロッソ・パドヴァの店長であるイゴール・ザッギアさんでした。
元々イゴールさんとはフェイスブック友達としてSNS上でメッセージのやり取りはしていましたが、実際にお会いするのは初めて。彼はSNS上で顔を出していないので、私は彼の顔を知りません。突然、見知らぬイタリア人男性からの自己紹介が始まり、初めて彼がイゴール・ザッギアさん御本人であることを認識しました。

そして、イゴールさんと彼女のエレナさんがストラーデ・ビアンケにチームプレゼンテーションのある3月7日(金)の朝にシエナに向かう事を聞きました。"キット北村はストラーデ・ビアンケに行かないのか?うちの店(プントロッソ・パドヴァ)で自転車を借りて、シエナエリアまで一緒に行くか?"と言ってくれているのですから、大チャンス到来です!
すぐさま、ストラーデ・ビアンケのツアーオペレーターであり、昨年のアムステルゴールドでお世話になったロンドンのサイクリング旅行会社:スポルティブブレイクス社に連絡を取りました。幸いにも一人部屋のホテル枠が一部屋だけ空いていたので、スポルティブブレイクス社の持っているエントリーチケットとツアー参加申し込みをウィリエール・ヴィットリアMTBチームのプレゼンテーション会場で行いました。イタリア出張後、パドヴァで合流なのでヴェネチア行きの安い飛行機のチケットを物色しました。

時は流れ、イタリア出張から3週間ぶりに再びヴェネチア空港に到着しました。しかし、キット北村はえらい浮かない顔をしております。それもそのはず、イタリア出発3日前の土曜日にイゴールさんから『シエナのホテル代が高くて、3月7日(金)からのシエナ入りに彼女の許可が下りず、プロのレースのある3月8日(土)の夜に現地入りする事になった!』と伝えてきたからでした。
こんな事なら"ミラノ空港かローマ空港着の飛行機を予約し、シエナ近郊のウィリエール専門のレンタルバイク屋さん:ジッポバイク(Gippo Bike)で自転車を借りる算段にすれば良かった!"と後悔しても後の祭り。致し方なくウィリエールのスタッフで仲の良いマルコ・ポッジアーナさんとアルベルト・スキザットさんに連絡をし、マルコさんにはバイクを、アルベルトさんにはシーコンのバイクケースをお借りすることになりました。
またパドヴァに行く必要が無くなったので、もう少しでキャンセル料が発生してしまうギリギリのタイミングでパドヴァのホテルを何とかキャンセルし、急遽マルコさん家に泊めてもらえる事になりました。その結果、重たいスーツケースとバイクケースを引きずって、電車を2回乗り継ぎ5時間かけてシエナに向かうという大変面倒な旅行日程になりました。もうイタリア人と20年付き合っているので、こういったドタキャントラブルは日常茶飯事ですので慣れっこです。
https://www.gippobike.com/en/

以前にシクロワイアードの読者の皆様にお伝えしましたが、モニュメントを制する旅は自腹でレースを転戦しておりまして、去年のアルデンヌクラシック三連戦で大幅に予算オーバーしたために今回の旅ではかなり節制をせざるをえません。ただでさえストラーデ・ビアンケのエントリーチケット購入のため、スポルティブブレイクス社のパックツアーに参加して予算を使っているので、削れる経費はもう食費と宿泊費ぐらいしかありません。
そこで数日間はイタリア人の友達の家を渡り歩く生活をすることにしました。イタリア到着初日は色々な有名自転車メーカーのグラフィックやジロ・デ・イタリアの公式ウェア等をデザインするジョニー・モールさん家です。宿泊代として獺祭のお酒を渡しておきましたが、私を泊める条件として"フィリッポ・ポッツァートさん(以下ピッポさん)のカーニバルナイトクリテリウムレース(仮装パーティー)でゲストコメンテーターとして盛り上げてくれ!"という事で、ジョニーさん家に到着早々、ジョニーさんは忍者のコスチュームに着替えて、私はジロ・デ・イタリア応援コスチュームに着替えて、ピッポさんのオフィスへと向かいます。
https://www.jonnymole.com/en/




まだイタリアに到着して4時間ぐらいしか経過しておりませんが、ピッポさん主催のカーニバルナイトクリテリウムレース会場に到着しました。ピッポさんは引退後にイベント屋さんを始めており、大きな自転車イベントを立ち上げて成功させています。プレイボーイを地で行くイケメンのピッポさんでしたが、結婚し息子が生まれた事で大きく気持ちの変化があったのでしょう、精力的に仕事に取り組んでいるという噂を方々から聞いております。
ピッポさんの引退レースであったジャパンカップの夜(宇都宮で夜遊びしたあの夜)以来ぶりにお会いしました。時折SNS上では連絡を取り合っていましたが、本当に直接お会いするのは久しぶりです。イケメン顔は以前のままですが、腰回りにだいぶお肉が付いていて太っていたので驚きました。ちなみにピッポさんと忍者姿のジョニーさんはとても仲良しです。

ピッポさん主催のカーニバルサーキットです。他にもピッポさんは色んなイベントを行っているので、ぜひピッポさんのウェブサイトにアクセスしてみてください。
https://linktr.ee/ppsportevents
レースが始まるまで、ピッポさんのオフィスを探索です。よく見るとオフィスには様々なお宝が飾られていますね。レースのパスやイベントのメダルがキャビネットのノブに掛けられていました。
オフィスの廊下には、アーティストに描いてもらったピッポさんの走る姿がドーンと鎮座していました。ウィリエール・セッレイタリアチームで引退されていますので、バイクがチェント10エアーのラマートカラーですね。


パトカーや救急車もこの小さなイベントをサポート。警察や救急隊が夜中の個人開催のレースをサポートするなんてちょっと日本では考えられないですよね。ソックスメーカーのMBウェア、タイヤメーカーのヴィットリア、地元のジャイアントディーラーがブース出展していました。
カーニバルナイトクリテリウムレースの大会MCはこの2人、ミニーマウス姿のマルチェロ・フィネッリさんとアラブの富豪姿のマルコ・ピアヌラさんです。2人はポッドキャストを中心に、色んなイベントでMC活動を行っているようです。彼らポッドキャスター2人と大会を盛り上げます。
https://www.scannellatoriseriali.com/


夜7時、いよいよレーススタートです。日本では信じられませんが一部公道を封鎖してカーニバルナイトクリテリウムがスタートです!仮装でポイントを稼ぐ人とガチな走りでポイントを稼ぐ人、タンデム自転車やリカンベントも参戦です。
無事にレースは事故無く終わり、皆がゴールすると打ち上げ花火が打ち上げられました。仮装組の表彰が終り、ガチ勢の表彰です。カウガールやシスター、ミニーマウスが表彰に花を添えます。

ジョニーさん家に泊まって翌朝チッタデッラの街を観光し、昼過ぎからマルコさん家に居候です。マルコさんと私は同年齢でかれこれ20年のお付き合いなんです。マルコさんの家族が帰ってくるまで、テーブルのセットや晩御飯の下ごしらえをしておきます。
マルコさんのペットの金魚です。『金魚の飼い方が分からないのにずっと生きているので不思議なんだ。』との話。飼い始めてから、ずっと陽射しに当てていないようなので、金魚を日光浴させました。
マルコさんが犬も飼っているという事で、犬好きなキット北村はウキウキしていましたが、金属製の犬でした。近所のアーティストが作ってくれたそうで、マルコさんはこの犬が大のお気に入りなんだそうです。




夕方5時にマルコさんの奥さんと娘さんが帰ってきたので、本格的に晩御飯の調理開始です。全然自転車ネタではなくてすみません。しかし、この後ストラーデ・ビアンケに関わる悲劇が私の身に起こります。
無事に料理を作り終えて、近くに住むマルコさんのお父さんも来られて乾杯です。マルコさんの妻のアンナさんですが、2人が結婚する前から知っているので奥さんとはかれこれ15年ぐらいのお付き合いです。そして、食べ終えた後に悲劇が…。

ガラスの腰を持つキット北村。ここ1ヶ月ストレッチや姿勢に十二分に気を付けていましたが、マルコさんの娘のエマちゃんとマリオカートでバトルしていた時に悲劇が起こります。あまりにもヒートアップし過ぎて、コントロールの邪魔をするためにお互いヒップアタックの応酬です。エマちゃんが体重を載せてヒップアタックして私の上に乗ってきた際に、グキッと腰を痛めてしまいました。即、マリオカートのプレイヤーをお父さんのマルコさんに交代しました。
ここで忘れてはならないのは、イタリアへ再訪する前に、私がストラーデ・ビアンケで使う自転車を点検・整備してくれたウィリエールのメカニックの皆さん達です!皆んなありがとう!今回人生初めてのスラムコンポで上手く使えるか?実はちょっと心配です。

マルコさん家に泊まって翌朝、マルコさんに近所の無人駅まで送ってもらって、いよいよシエナ駅に向かいます。マルコさんとアルベルトさんにお借りした自転車とバイクケースはなるべく傷つけないように大事に運びます!
スーツケースとバイクケースで移動するとこんな感じになります。久しぶりにシーコンのバイクケースを使いましたが、やはりとても便利ですね。確か今年の2月の出張で、ウィリエール本社にアスタナ・カザクスタンチームの使い古しのシーコンのバイクケースが沢山倉庫に転がっていたので、今度盗んで帰ろうと思います。(笑)




パドヴァ行きの鈍行列車は黒色です。驚いたのが日本の日立製の車両なんですね。無人駅なので電車がちゃんと来るのか心配していましたが無事に出発できました。パドヴァ駅で高速列車に乗り継ぎなんですが、乗り継ぎ時間が12分ぐらいしかないので、遅延してしまうと指定席券がパーになります。
丁度乗車した時間帯に乗る人が少ないのか、スーツケースとバイクケースを周りの目を気にすることなくドーンと置けました。無事にパドヴァ駅に遅延することなく鈍行列車は到着したんですが…。
パドヴァ駅の7・8番線のエレベーターの様子がおかしいです。ボタンを押しても動きません。




よくよく目を凝らして見ると、エレベーターの扉には使用不可の貼り紙が!軽いギックリ腰なのに、スーツケースとバイクケースを階段で運ばねばならず。あぶら汗を掻きました。
出発ギリギリ3分前に高速列車に乗り継ぎに成功。高速列車は赤色で"フレッチャ・ロッサ(赤い矢)"と呼ばれています。
キット北村は海外旅行に慣れておりまして、フレッチャ・ロッサの車両の最後尾席に上手くバイクケースがはまる事を知っていました。ちょうどシーコンのバイクケースが収まり、車掌さんにもお小言を言われません。




フレッチャ・ロッサが無事にフィレンツェ駅に到着。フィレンツェ駅では乗り継ぎ時間が25分ぐらいあるので焦る事無く乗り継げたんですが…。
フィレンツェからシエナに向かう乗客が多いのでしょうか?満員電車でした。(日本に比べたらスカスカな感じですが、イタリアの満員電車はこんな感じです。)スーツケースとバイクケースが大きいので肩身が狭いです。
シエナ駅に到着して、シエナ駅から坂を登った旧市街にあるホテルを目指します。旧市街に向けて、長い長~い200メートルは続くエスカレーターが伸びています。沢山荷物があっても楽々移動できるはずなんですが、エスカレーターの一部区間が故障して使えませんでした。パドヴァ駅に続き、スーツケースとバイクケースをエスカレーター隣の階段で運ばねばならず、ガラスの腰にダメージが蓄積していきます。
無事にシエナの初日の宿に到着し、バイクケースをホテルに置いてシエナの旧市街にあるストラーデ・ビアンケのレセプション付近の探索に出発します。


メディチ家の要塞前にある公園にストラーデ・ビアンケのレセプション会場がありました。コースマップや諸注意が書かれていましたが、何やら細かい文字列が書かれていました。一体何でしょうか?
実はストラーデ・ビアンケにエントリーしている参加者の名前がアルファベット順に並んでいるのです。自分の名前も無事に見つかり、ストラーデ・ビアンケ挑戦への機運が高まってきました。

翌朝、サイクリング旅行会社:スポルティブブレイクス社が用意した次のホテルに移動する日です。スポルティブブレイクス社は山が2つ並んだオレンジ色のロゴです。ヨーロッパの色んなイベントのツアーを企画されているので、海外レースに興味がある方は、ぜひ一度ウェブサイトを見てください。
https://sportivebreaks.com/
前日泊まったホテルからシエナ駅へと一旦坂を下りて、シエナ駅にたまたま居合わせたスポルティブブレイクス社の皆さんが乗っているタクシーに便乗します。左からメカニックのジェイクさん、チケット等を手配しているコーディネーターのモルフェンさん、そして、マネージャーのイアンさんです。


ホテルエグゼクティブに到着しました。駐車場にはヴィスマ・リースアバイクのチームカーが見えます。隣が郊外型のシェラトンホテルで、リドル・トレックのチームカーやピッポさんのイベント用のヴァンやテントが見えます。
ヴィスマ・リースアバイクのチームカーは停まっていましたが、どうもチーム監督やスタッフだけのようです。

スポルティブブレイクス社はヴィスマ・リースアバイクチームと業務提携しているようで、それがキッカケでチーム監督さんを紹介してもらいました。今年からヴィスマ・リースアバイクチームはサドルにプロロゴを採用しているので使い心地をチーム監督さんに聞きました。せっかくなんでプロロゴのサルヴァトーレGMにもビデオチャットで繋いで、色々と今後の打ち合わせをしました。キット北村企画のヴィスマ・リースアバイクのスペシャルサドル案が上手く進めば良いですね。
ここでヴィスマ・リースアバイクのチーム監督さんやスタッフさんに名前を憶えて頂けたのは嬉しいんですが、後日チームブースエリア内で"キットキタム~ラ!"と大声で名前を呼ばれるのはとても恥ずかしい…。
チェックイン時間までヴィスマ・リースアバイクのスタッフさんと雑談していましたが、ようやく午後1時に部屋の準備が出来たので荷物を部屋に入れて、バイクを組み立て始めます。


残念ながら、ホテルエグゼクティブは室内に自転車持ち込み禁止なので、ちょっと薄暗いガレージで自転車を組み立てます。午後4時からチームプレゼンテーションが始まるので、自転車を組み立て終えると、シャワーを浴びてすぐにプレゼンテーション会場へと出発します。
次回、ストラーデ・ビアンケ2025観戦記に続きます…。
Special Thanks to
Igor Zaggia (Punto Rosso Zerolite Padova)
Jonny Moletta (Jonny Mole)
Filippo Pozzato (P.P. Sport Events)
Marcello Finelli (Scannellatori Seriali)
Marco Pianura (Scannellatori Seriali)
Marco Poggiana (Wilier Triestina)
Anna Poggiana
Emma Poggiana
Team Wilier Triestina Mechanics
Alberto Squizatto (Wilier Triestina)
Salvatore Truglio (Prologo)
Jake Greene (Sportive Breaks)
Morven Brown (Sportive Breaks)
Ian Clarke (Sportive Breaks)
Team Visma Lease-a-Bike
Team Sportive Breaks
photo&Report : Kitto Kitamura
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