トルコのコンヤで開催されていたUCIトラックネイションズカップが閉幕。日本ナショナルチームは金メダルこそ手が届かなかったものの、銀メダル1、銅メダル4という活躍を見せている。



3月14日〜16日まで開催されたUCIトラックネイションズカップ。日本からは選手16名が参戦した photo:JCF

UCIが開催するトラック最高峰の戦いがネイションズカップ。かつてのワールドカップから名称変更した戦いは例年3戦開催されていたものの、今年は3月14日〜16日までトルコのコンヤで開催された1戦のみ。日本からは2024年の世界選手権で優勝し、アルカンシエルを射止めた山﨑賢人と窪木一茂、佐藤水菜や、ネイションズカップ初参戦の若手を含む16選手が参戦を果たした。

大会初日に行われた男子チームスプリントで、日本は長迫吉拓・太田海也・小原佑太というパリ五輪参戦メンバーをラインナップ。予選を2位で終えた日本は続く1開戦でパリ五輪で記録した42秒078を上回る42秒007をマークして日本新記録を更新。決勝戦ではイギリスに僅か0.134秒届かず惜しくも銀メダルに。しかし41秒台到達、世界選手権での金メダルにも希望を見出す結果となっている。

男子チームスプリント:長迫吉拓・太田海也・小原佑太組が銀メダル獲得 photo:JCF

女子エリミネーション:池田瑞紀が3位銅メダル photo:JCF

同じく初日開催となった女子エリミネーションでは池田瑞紀が「周りを観察しながら、いつもより冷静に走ることができた」と強豪勢に混じって終盤まで生き残り、3位銅メダルを獲得した。

また、この初日に開催された男子チームパシュートでは、松田祥位・橋本英也・兒島直樹・窪木一茂で臨んだ日本チームが1開戦で落車リタイアという事態に。橋本は左鎖骨骨折という残念な結果に終わっている。

男子オムニアム:急遽参戦した窪木一茂が銅メダル獲得 photo:JCF

男子ケイリン:世界王者の山﨑賢人は決勝戦に残れず photo:JCF
男子オムニアム:銅メダルを獲得した窪木一茂 photo:JCF



男子ケイリン:中野慎詞は3位銅メダル photo:JCF

スクラッチ、テンポレース、エリミネーション、ポイントレースの4種目で総合成績を競うオムニアムには、負傷した橋本の代わりに窪木一茂が急遽参戦。冬の沖縄合宿で体調を崩し、今回もメディカルチームに出場判断を仰いだという窪木だったが、250mx40周=10kmのスクラッチを2位で好発進した窪木はテンポレースで7位、エリミネーションで5位と駒を進め、ポイントレースで3位に。結果的に148ポイントで3位銅メダル獲得に成功した窪木だったが、「結果には満足していません。2位の選手は17歳だそうですが、35歳の僕も負けるわけにはいかないし、気持ちも入るし、次は負けないようにしたい」と話している。

男子ケイリンには山﨑賢人と中野慎詞が参戦。アルカンシエルでの初陣となった山﨑は1回戦で敗れるも敗者復活戦経由で準決勝へ。2人同時出走となった準決勝では中野が1着、山﨑は勝ち上がりに残れず7-12位決定戦へ。迎えた決勝戦では2人を揃えたフランスがレースを作る中、不利な状況で粘り切った中野は3位銅メダル。「悔しい結果です。もっと積極的に仕掛ければ優勝するチャンスはあったと思います。このミスを世界選手権で活かしたい」とのコメントを残している。

女子ケイリン:佐藤水菜が3位銅メダル photo:JCF

また、最終日に行われた女子ケイリンでは、アルカンシエルを着る佐藤水菜が1回戦と準決勝を共に1着で勝ち抜けて決勝戦へと進んだ。マチルド・グロ(フランス)など強豪が揃った大一番は予想通りの高速レースとなり、佐藤は3位フィニッシュ。「一ヶ所のポイントを逃したことで自分に勝機がなくなった。こういうレースはオリンピック以来で経験がなかったので、次の世界選で表彰台に立てるように頑張りたいと思います」と話している。佐藤は同日開催の女子スプリント予選(200mFTT)で自信のベストを上回る10秒170を叩き出して日本新記録を更新(最終成績は5位)している。

この3日間で日本ナショナルチームは金メダルこそ手が届かなかったものの、銀メダル1と、銅メダル4を獲得。今年の10月22日から26日までチリのサンティアゴで開催される世界選手権に向けての現在位置を掴むこととなった。

text:So Isobe