2024年2月よりレース活動を休止していたラルス・ファンデンベルフ(オランダ、グルパマFDJ)が引退を発表した。同選手は心臓のトラブルを抱え、1年間リハビリに励みながらレース復帰を目指していた。



引退を発表したラルス・ファンデンベルフ(オランダ、グルパマFDJ) photo:CorVos

ファンデンベルフは自身のSNSで、「悪夢が現実となってしまった。1年に及ぶリハビリと努力の結果、プロから引退せざるを得なくなった」と報告。「この冬は長く困難な道のりを経て、ようやく調子を取り戻しつつあった。だが検査の結果、心臓の専門医が(レース復帰の)リスクが高すぎると判断し、僕のプロキャリアは悲痛な結末を迎えた」と、引退を報告した。

ファンデンベルフはグルパマFDJの下部チームから、2021年に昇格した26歳。これまでジロ・デ・イタリアに2度出場し、2023年にはツール・ド・フランスのメンバーに選ばれた。プロでの勝利はなかったものの、2023年のルート・ドクシタニの第4ステージで2位に入り、その際3位だったのは弟のマライン(EFエデュケーション・イージーポスト)だった。

ファンデンベルフの最後のレースとなったのは、2024年2月24日のフォーン・アルデシュ・クラシック。その後レース復帰を目指したものの、実現することはなかった。

昨年2月よりレースから離れていたラルス・ファンデンベルフ(オランダ、グルパマFDJ) photo:CorVos

ファンデンベルフは、「この現実をいまだ受け入れることができない。プロになって4年で、小さい頃からの夢は途絶えてしまった。26歳でもう追いかけることのできない野心を抱え、プロ初勝利や弟と同じチームで走る夢も叶わなかった。その失望は言葉にできないほどだ」と、正直な心境を吐露した。

心臓の不調により引退した選手で言えば、ソンニ・コルブレッリ(イタリア)が思い出される。2021年パリ〜ルーベ覇者であるコルブレッリは、2022年のレース直後に意識を失い、ICD(皮下植込み型除細動器)を埋め込む手術を施し、そのまま引退した。

「いまはショックも落ち着き、感謝の気持ちが湧いてきた。健康でここにいることや、(復帰に向け)努力できたことに感謝している。この気持ちを大切にし、大切な人々と時間を過ごしながら健康維持に励みたい。そして新たな目標を見つけ、それに全力を注ぎたい」と、ファンデンベルフは締めくくった。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos