ティレーノ〜アドリアティコ第2ステージでジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)が圧勝。完璧なリードアウトを得て今季5勝目を掴んでいる。



開催国イタリアの期待を背負うジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) photo:RCS Sport

ティレーノ〜アドリアティコ2025 第2ステージコースプロフィール photo:RCS Sport
同時開催されているパリ〜ニースと並び、欧州プロレース界に本格的なステージレースシーズン到来を告げるティレーノ〜アドリアティコ(UCIワールドツアー)の第2ステージは、ピサ近郊のカマイオーレとフォッローニカを結ぶ192kmコースが舞台となった。

ティレニア海沿いに南下(ただし海岸線は走らない)するコースは、序盤と126km地点の山岳ポイントを除いてひたすら真っ平ら。コースプロフィール通りのザ・平坦ステージであり、ミラノ〜サンレモを目指すスプリンターにとっては格好の予行練習の場だ。

この日はマヌエーレ・タロッツィ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)の一人逃げでスタート。ピサの斜塔横を通過しながら5分近いリードを得たタロッツィは山岳ジャージ獲得に向けて絶好のチャンスを得たものの、スプリンターチームの牽引によってタイム差が縮まったタイミングで、タロッツィと同じくワイルドカード枠で出場しているUCIプロチームのポルティ・ビジットマルタがその夢の打ち砕きにかかった。

バルディアーニのタロッツィにポルティのトネッリとバイスが合流 photo:RCS Sport

メイン集団はスプリンターチームがコントロール photo:RCS Sport

春の訪れ近い山岳区間を走る photo:RCS Sport

メイン集団からポルティのアレッサンドロ・トネッリとダヴィデ・バイス(共にイタリア)がアタックしてタロッツィに合流し、2対1のチームプレーの結果山岳ポイントをバイスが先頭通過。この日終了時点での山岳ジャージ獲得を果たしている。

平穏な展開で距離を消化する中で起きたのが、残り40km地点、フィードゾーンでの集団落車だった。遅い速度での落車だったものの、ダメージを負ったダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)はリタイアに。仏レキップ紙の元チームメイトのアレクシ・ブリュネル(トタルエネルジー)のインタビューで確執が報じられたゴデュにとってはストラーデ・ビアンケに続く落車DNFとなった。

すぐに逃げていたメンバーを捉え、メイン集団は一気に集団スプリント体制へ。残り1kmからは序盤からレースをコントロールしていたリドル・トレックが一気に主導権を奪い、食い下がるグルパマFDJやAG2Rラモンディアルを抑え込みながら残り400mの直角右コーナーへ。リドルトレインに連れられたジョナタン・ミラン(イタリア)が絶好のポジションでフィニッシュラインを見据えた一方、ブライアン・コカール(フランス、コフィディス)はポジションをロストしてしまった。

シモーネ・コンソンニ(イタリア)によるリードアウトを得たミランがビッグギアを踏み抜いてトップスピードに乗せる。背後についたマイケル・ゼイラート(オランダ、チューダープロサイクリング)を寄せ付けない爆発力で勝利した。

圧倒的なスプリントで勝利したジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) photo:RCS Sport

表彰式に現れたジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) photo:RCS Sport

「昨年と同じフィニッシュだったので、どのようにアプローチすればいいかを正確に知っていたんだ。最後の数キロで集中することが本当に重要で、チームは計画どおり完璧に導いてくれた。今日は完璧だったよ。彼らの素晴らしい努力には感謝してもしきれない。僕たちはレースをコントロールし、先頭をキープし、混乱を避け、エネルギーを温存し続けた」と、早くも今季5勝目(うち1勝はチームTT)を掴んだミランは言う。「最終コーナーではスピードが速すぎると思ったけれど、計画どおりすべてがうまくいった。これはチーム全員の素晴らしい仕事だった」と加えている。

総合首位は前日の個人タイムトライアルで勝利したフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)がキープ。翌日は239kmという超ロングステージで、最後には距離18kmに及ぶ超級山岳を越えてフィニッシュする。勾配が緩いため山岳自体の難易度は高くないものの、クライマー勢によるハイスピードヒルクライムを見ることができそうだ。

ティレーノ〜アドリアティコ2025第2ステージ結果
1位 ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) 4:45:13
2位 マイケル・ゼイラート(オランダ、チューダープロサイクリング)
3位 ポール・ペンウェット(フランス、グルパマFDJ)
4位 オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)
5位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、リドル・トレック)
6位 サム・ベネット(アイルランド、デカトロンAG2Rラモンディアル)
7位 ジェイク・スチュワート(イギリス、イスラエル・プレミアテック)
8位 ティム・ファンダイク(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
9位 ブライアン・コカール(フランス、コフィディス)
10位 エンリーコ・ザノンチェッロ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)
個人総合成績
1位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) 4:57:30
2位 ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) +0:19
3位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) +0:22
4位 ヨハン・プリースパイタースン(デンマーク、アルペシン・ドゥクーニンク) +0:28
5位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:29
6位 デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック) +0:34
7位 マティア・カッタネオ(イタリア、スーダル・クイックステップ) +0:36
8位 ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) +0:37
9位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) +0:38
10位 マイケル・ゼイラート(オランダ、チューダープロサイクリング) +0:40
その他の特別賞
ポイント賞 ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)
山岳賞 ダヴィデ・バイス(イタリア、ポルティ・ビジットマルタ)
ヤングライダー賞 ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ
text:So Isobe
photo:CorVos

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