UCIワールドツアー開幕戦のツアー・ダウンアンダーを走ったバイクをスタートリスト順に紹介していく最終回。アルペシン・ドゥクーニンク、XDSアスタナ、リドル・トレック、そしてグルパマFDJを取り上げる。



アルペシン・ドゥクーニンク

アルペシン・ドゥクーニンクのキャニオン Aeroad CFR photo:Kei Tsuji

絶対的エースのマチュー・ファンデルプール(オランダ)を擁するアルペシン・ドゥクーニンクは、クラシックハンターやスプリンターを中心に据えるチームらしくキャニオンのAeroad CFR一択。山岳コースでUltimate CFRを使うモビスターと異なる機材選択がチームカラーを現している。

コンポーネントとホイールは引き続きシマノDURA-ACEだが、2025年はタイヤがヴィットリアからピレリに変更されている。「ピレリ史上最速」を掲げて昨年デビューしたP ZERO RACE TLR RSの30cモデルを、丘陵ステージも含めてDURA-ACEのC60ホイールと組み合わせて運用していた。

チームは積極的にC60ホイールを運用。タイヤはピレリにスイッチした photo:Kei Tsuji

スルーアクスルのスキュアーは付けたまま。モビスターとの違いが興味深い photo:Kei Tsuji
補給タイミングが記されたステッカー。選手ごとに内容は異なる photo:Kei Tsuji



各チームはディスクローター径を前160mm/後140mmでほぼ足並みを揃えているが、アルペシンは変わらず前後140mm。スルーアクスルのスキュアーは付ける派(モビスターは外している)だ。ホイール交換時のチーム戦略の違いが見て取れる。



XDSアスタナ

XDSをタイトルスポンサーに迎えたアスタナ。X-LABのAD9をレースデビューさせた photo:Kei Tsuji

機材的に大きな注目を集めたのがXDSアスタナだ。1995年創業の中国バイクブランドをタイトルスポンサーに迎え、同社のプレミアムブランドとして立ち上がった「X-LAB」の最新エアロロードAD9をプロレースデビューさせている。

チームグラフィックを纏うAD9は、強烈に太いダウンチューブや大きなフロントフォークフィンを備えていることが特徴。チームプレゼンテーションでは軽量モデルもお目見えしたが、このダウンアンダーではAD9で統一されていた。

XDS社のプレミアムブランドとして立ち上がった「X-LAB」 photo:Kei Tsuji

フォーク先端のエアロフィンが目立つ photo:Kei Tsuji
タイヤはヴィットリアからコンチネンタルに photo:Kei Tsuji



シマノのDURA-ACEにヴィジョンのMETRONホイール、プロロゴのサドルといった各種サプライヤーは共通であるものの、タイヤはヴィットリアからコンチネンタルにスイッチ(GRANDPRIX 5000S TR)。ハンドル類もエアロ形状のMETRONシリーズを使い、バイク全体のエアロ感は強め。アルベルト・ベッティオルのイタリア王者カラー、アーロン・ゲイトのニュージーランド王者カラー、ヘノック・ムルブランのエリトリア王者カラーとチームピットは非常に華やかだ。



リドル・トレック

リドル・トレックは引き続き第8世代のMadone SLRを駆る photo:Kei Tsuji

リドル・トレックが使うのはもちろんMadone SLR Gen8一択。ブルー、レッド、イエローと鮮やかなスポンサーカラーに彩られたバイクには、スラムのRED AXSコンポーネントとボントレガーのホイール、ハンドルセット、サドル、スラム傘下のタイムペダル、トレックが取り扱うピレリタイヤと、トレックxスラムのアメリカンカラー濃いアッセンブルとなっている。

チーム内ではマッズ・ピーダスン(デンマーク)が積極的にフロントシングルギアを運用することで知られるが、今回のダウンアンダーではフロントダブル。54/41Tチェーンリングがチームの基本だ。レッドブル・ボーラ・ハンスグローエはチームカラーが差し色に入ったREDを使っているが、リドルは通常の供給専用グラフィックが与えられている模様。

ボントレガーのAeolusホイールとピレリのP-ZEROタイヤ。トレックカラーの強い組み合わせだ photo:Kei Tsuji

ペダルはスラム傘下のタイム photo:Kei Tsuji
Madone用に開発されたRSL Aeroウォーターボトル&ケージを運用する photo:Kei Tsuji



ユニークなのがMadone同時開発のエアロボトルを運用していること。これまで車体専用設計のエアロボトルは開発されても使いづらさゆえチームから敬遠されることが常だったが、その常識を打ち破った製品となるかに注目。



グルパマFDJ

グルパマ・FDJのメインバイクはウィリエールのFilante SLR photo:Kei Tsuji

2024年に長年パートナーシップを組んできたラピエールからウィリエールにスイッチし、今年はホイールをウィリエール傘下となったミケに変更するなど、機材のイタリア化が進むグルパマFDJ。バイクはエアロモデルのFilante SLRを中心に使い、クライマーは昨年デビューしたVerticale SLRを山岳ステージで使う。ホイールはハイエンドのKleos RDホイールで、50mm、もしくは62mmをコースに合わせて使い分ける。

ホイールはミケにスイッチ。ハイエンドのKleos RDシリーズを使う photo:Kei Tsuji

今年からコンチネンタルのAero111タイヤを投入 photo:Kei Tsuji
56/44Tのチェーンリングを投入している photo:Kei Tsuji



コンポーネントは引き続きシマノDURA-ACEで、このダウンアンダーでは56/44Tという巨大なフロントチェーンリングを使用していた。シマノ販売ラインナップの最大ギアは54-40Tであり、それだけプロレースの高速化が進んでいる証と言える。

チームは長らくコンチネンタルタイヤを使用しており、今年はフロントタイヤにAero111を投入。リアはGRANDPRIX 5000S TRで、軽量品の5000TT TRは日常使いされていない模様。

text:So Isobe
photo:Kei Tsuji