2024/12/16(月) - 17:30
過酷なナミュール要塞特設コースで開催されたUCIシクロクロスワールドカップ。クラッシュ多発のテクニカルレースで好調のセイリン・アルバラード(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)とマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)がライバルから逃げ切った。
マチュー・ファンデルプール(オランダ)とワウト・ファンアールト(ベルギー)の参戦を待つ欧州シクロクロスサーキットは、いよいよ年末年始の過密スケジュール期間へと踏み込みつつある。アントワープ州のヘーレンタルスで開催されたX2Oトロフェー第4戦の翌日、選手たちはベルギーのワロン地域にあるナミュールへ。1600年代に建設されたナミュール要塞を舞台にしたUCIシクロクロスワールドカップ第3戦で再戦を果たした。
高低差20mに及ぶ激坂登りに始まり、ワンミスが命取りになる名物の長いキャンバー区間、何度も現れる担ぎ上げと急勾配ドロップオフ、さらに泥まみれの石畳登坂など、世界屈指のテクニックを誇る選手たちですら手を焼くテクニカルレイアウトがこの大会の特徴。3年ぶりにワールドカップに戻ってきた「ナミュール要塞の戦い」で、各カテゴリー共に激しいレースが繰り広げられた。
女子エリート:攻めの走りでアルバラードが逃げ切る ブラント2位、世界女王はミスに泣く

序盤戦にリードを奪うカタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス・プロタイム)とマリー・シュライバー(ルクセンブルク、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos
女子エリートレースには、今年MTBクロスカントリーの世界女王となったパック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)が今季初参戦。「例年通りものすごく難しいコンディション。自分を信じてレースを楽しみたい」と言うMTB世界女王、そして前日からの2連勝を狙うシクロクロス世界女王フェム・ファンエンペル(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)ら、66名の選手たちが一気にスタート直後の激坂区間を駆け上がった。
スタートからアクセル全開で飛び出したのはマリー・シュライバー(ルクセンブルク)とカタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー)のSDワークス若手コンビ。トップ勢が少し離れた距離から先頭2人を追いかける中、カメラは名物のキャンバー区間でアルカンシエルが地面に転がり落ちる姿を捉えた。

キャンバー区間で2度の落車を喫したフェム・ファンエンペル(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:UCI
最下段ラインを走っていたファンエンペルは前輪をネットに絡め取られ転倒。時間をかけながら復帰して前を追ったものの、さらに2周目の同区間でもクラッシュ、さらにメカトラブルを喫してしまう。「試走を上手くこなせたので自信があったけれど、あまりにもタイムロスを被ったのでもう勝ちを狙えなかった。それでもダメージがなかったので前を追い続けた」と言う世界女王はこの日勝負に絡むことはなく、最終的に7位でレースを終えることとなった。
先頭2人に勢いよく追いついたのは絶好調のセイリン・アルバラード(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)で、中盤には持ち前のテクニックを武器にピーテルスが合流。しかし時を同じくして、スリッピーな轍の処理が冴えるアルバラードが独走態勢に持ち込んだ。

強烈な追い上げで勝利まであと一歩に迫ったルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:UCI 
今季初戦となったパック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)は軽やかな走りで3位入賞 photo:UCI

攻めの走りで独走勝利を挙げたセイリン・アルバラード(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) photo:CorVos
逃げるアルバラードに対してチームメイトのピーテルスとバシュが追い、W杯ランキングリーダーのルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が遥か後方から徐々に追い込む展開でレースは進む。リードを20秒以上まで広げて最終周回に入ったアルバラードだったが、泥区間で前輪を取られて転倒し、続くキャンバー区間でもベストラインを外してしまう。リスク覚悟で攻め、急激に差を縮めるブラントを辛くも抑えてフィニッシュラインに飛び込んだ。
「泥で全く前が見えなくて何度かミスをしてしまった。ルシンダはもの凄く強くてプレッシャーが厳しかったけれど、それまで大きなリードを得ていたのでなんとか逃げ切ることができた。本当に嬉しい」と言うアルバラードが、およそ1ヶ月前のX2Oトロフェー第3戦に続く優勝を獲得。強烈に追い込んだブラントは2位、CX初戦のピーテルスが3位となり、ブラントがW杯首位の座を危なげなく守っている。
男子エリート:最終周回の攻防戦をファントーレンハウトが制す
今月はまさにマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)の月。W杯第2戦ダブリンラウンド、そして前日のへーレンタルスに続き、この日は中盤から徐々に追い上げる走りで先頭争いに加わった。

男子エリートレースがスタート。混戦のまま激坂区間に突入する photo:UCI
梶鉄輝(オランダベース・ウォータスライ)が参戦した男子エリートレースでダッシュを決めたのはケヴィン・クーン(スイス、シャルル・リエジョア・ロースタリー)。若手のヘルベン・クイペルス(ベルギー、シャルル・リエジョア・ロースタリー)とエミエル・フェルストリンゲ(ベルギー、クレラン・コレンドン)が先頭グループに加わった一方、CX界のスター選手たちは難コースに手を焼くことになった。
欧州王者ティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)は2度のパンクに見舞われ、エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)は長年悩まされている左脚の神経痛が発症してリタイア。ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)も戦線に加わることができなかった。
着実にポジションを上げ続けたファントーレンハウトがいよいよ先頭に立ってペースアップを図り、たまらずクイペルスが脱落(のちに激しく落車して救急搬送に)してしまう。一方若手のフェルストリンゲはファントーレンハウトに対して対等に渡り合い、時にペースメイクするなど今季一番の走りを披露した。後半に入って好調のトーン・アールツ(ベルギー、デスハフト・ヘンス・FSP)が合流し、三つ巴の様相を呈しつつ最終周回に突入した。

アールツとの最終バトルを繰り広げるマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) photo:UCI

劇的な勝利を挙げたマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) photo:CorVos
周回序盤の登坂区間で加速したフェルストリンゲに対し、アールツが渾身のカウンターアタックで数秒のリードを奪いとった。復帰後初優勝に向けて青信号を灯したアールツだったがしかし、件のキャンバー区間でバランスを崩し、コースネットに絡め取られて前転してしまう。痛恨のミスで地面に転がったアールツの横をするりとパスしたファントーレンハウトがフィニッシュまで逃げ切った。

UCIシクロクロスワールドカップ2024-2025 第4戦 男子エリート表彰台 photo:UCI
「まだ勝てるチャンスがあるとは思っていなかったよ。アールツのアタックに遅れてしまったけれど、彼が転倒した時に間一髪ギリギリで追い抜くことができた。チャンスをものにしようと全開で踏み続けたよ」と言うファントーレンハウトが2日間完全優勝を達成した。失意のアールツが2位、殊勲の走りを披露したフェルストリンゲが3位表彰台に滑り込んでいる。
マチュー・ファンデルプール(オランダ)とワウト・ファンアールト(ベルギー)の参戦を待つ欧州シクロクロスサーキットは、いよいよ年末年始の過密スケジュール期間へと踏み込みつつある。アントワープ州のヘーレンタルスで開催されたX2Oトロフェー第4戦の翌日、選手たちはベルギーのワロン地域にあるナミュールへ。1600年代に建設されたナミュール要塞を舞台にしたUCIシクロクロスワールドカップ第3戦で再戦を果たした。
高低差20mに及ぶ激坂登りに始まり、ワンミスが命取りになる名物の長いキャンバー区間、何度も現れる担ぎ上げと急勾配ドロップオフ、さらに泥まみれの石畳登坂など、世界屈指のテクニックを誇る選手たちですら手を焼くテクニカルレイアウトがこの大会の特徴。3年ぶりにワールドカップに戻ってきた「ナミュール要塞の戦い」で、各カテゴリー共に激しいレースが繰り広げられた。
女子エリート:攻めの走りでアルバラードが逃げ切る ブラント2位、世界女王はミスに泣く

女子エリートレースには、今年MTBクロスカントリーの世界女王となったパック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)が今季初参戦。「例年通りものすごく難しいコンディション。自分を信じてレースを楽しみたい」と言うMTB世界女王、そして前日からの2連勝を狙うシクロクロス世界女王フェム・ファンエンペル(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)ら、66名の選手たちが一気にスタート直後の激坂区間を駆け上がった。
スタートからアクセル全開で飛び出したのはマリー・シュライバー(ルクセンブルク)とカタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー)のSDワークス若手コンビ。トップ勢が少し離れた距離から先頭2人を追いかける中、カメラは名物のキャンバー区間でアルカンシエルが地面に転がり落ちる姿を捉えた。

最下段ラインを走っていたファンエンペルは前輪をネットに絡め取られ転倒。時間をかけながら復帰して前を追ったものの、さらに2周目の同区間でもクラッシュ、さらにメカトラブルを喫してしまう。「試走を上手くこなせたので自信があったけれど、あまりにもタイムロスを被ったのでもう勝ちを狙えなかった。それでもダメージがなかったので前を追い続けた」と言う世界女王はこの日勝負に絡むことはなく、最終的に7位でレースを終えることとなった。
先頭2人に勢いよく追いついたのは絶好調のセイリン・アルバラード(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)で、中盤には持ち前のテクニックを武器にピーテルスが合流。しかし時を同じくして、スリッピーな轍の処理が冴えるアルバラードが独走態勢に持ち込んだ。



逃げるアルバラードに対してチームメイトのピーテルスとバシュが追い、W杯ランキングリーダーのルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が遥か後方から徐々に追い込む展開でレースは進む。リードを20秒以上まで広げて最終周回に入ったアルバラードだったが、泥区間で前輪を取られて転倒し、続くキャンバー区間でもベストラインを外してしまう。リスク覚悟で攻め、急激に差を縮めるブラントを辛くも抑えてフィニッシュラインに飛び込んだ。
「泥で全く前が見えなくて何度かミスをしてしまった。ルシンダはもの凄く強くてプレッシャーが厳しかったけれど、それまで大きなリードを得ていたのでなんとか逃げ切ることができた。本当に嬉しい」と言うアルバラードが、およそ1ヶ月前のX2Oトロフェー第3戦に続く優勝を獲得。強烈に追い込んだブラントは2位、CX初戦のピーテルスが3位となり、ブラントがW杯首位の座を危なげなく守っている。
男子エリート:最終周回の攻防戦をファントーレンハウトが制す
今月はまさにマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)の月。W杯第2戦ダブリンラウンド、そして前日のへーレンタルスに続き、この日は中盤から徐々に追い上げる走りで先頭争いに加わった。

梶鉄輝(オランダベース・ウォータスライ)が参戦した男子エリートレースでダッシュを決めたのはケヴィン・クーン(スイス、シャルル・リエジョア・ロースタリー)。若手のヘルベン・クイペルス(ベルギー、シャルル・リエジョア・ロースタリー)とエミエル・フェルストリンゲ(ベルギー、クレラン・コレンドン)が先頭グループに加わった一方、CX界のスター選手たちは難コースに手を焼くことになった。
欧州王者ティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)は2度のパンクに見舞われ、エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)は長年悩まされている左脚の神経痛が発症してリタイア。ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)も戦線に加わることができなかった。
着実にポジションを上げ続けたファントーレンハウトがいよいよ先頭に立ってペースアップを図り、たまらずクイペルスが脱落(のちに激しく落車して救急搬送に)してしまう。一方若手のフェルストリンゲはファントーレンハウトに対して対等に渡り合い、時にペースメイクするなど今季一番の走りを披露した。後半に入って好調のトーン・アールツ(ベルギー、デスハフト・ヘンス・FSP)が合流し、三つ巴の様相を呈しつつ最終周回に突入した。


周回序盤の登坂区間で加速したフェルストリンゲに対し、アールツが渾身のカウンターアタックで数秒のリードを奪いとった。復帰後初優勝に向けて青信号を灯したアールツだったがしかし、件のキャンバー区間でバランスを崩し、コースネットに絡め取られて前転してしまう。痛恨のミスで地面に転がったアールツの横をするりとパスしたファントーレンハウトがフィニッシュまで逃げ切った。

「まだ勝てるチャンスがあるとは思っていなかったよ。アールツのアタックに遅れてしまったけれど、彼が転倒した時に間一髪ギリギリで追い抜くことができた。チャンスをものにしようと全開で踏み続けたよ」と言うファントーレンハウトが2日間完全優勝を達成した。失意のアールツが2位、殊勲の走りを披露したフェルストリンゲが3位表彰台に滑り込んでいる。
UCIシクロクロスワールドカップ2024-2025 第4戦 女子エリート結果
1位 | セイリン・アルバラード(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) | 48:17 |
2位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +0:09 |
3位 | パック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) | +0:34 |
4位 | カタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス・プロタイム) | +0:57 |
5位 | マリー・シュライバー(ルクセンブルク、SDワークス・プロタイム) | +1:13 |
6位 | アンマリー・ワースト(オランダ、シクロクロスレッズ) | +1:23 |
7位 | フェム・ファンエンペル(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | +1:37 |
8位 | インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、クレラン・コレンドン) | +1:51 |
9位 | ゾーイ・バックステッド(イギリス、キャニオン・スラム) | +1:54 |
10位 | レオニー・ベントフェルド(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +2:12 |
UCIシクロクロスワールドカップ2024-2025 第4戦 男子エリート結果
1位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | 1:03:23 |
2位 | トーン・アールツ(ベルギー、デスハフト・ヘンス・FSP) | +0:11 |
3位 | エミエル・フェルストリンゲ(ベルギー、クレラン・コレンドン) | +0:30 |
4位 | ピム・ロンハール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | +0:45 |
5位 | ティボー・デルグロッソ(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | +0:58 |
6位 | ローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・コレンドン) | +1:05 |
7位 | ケヴィン・クーン(スイス、シャルル・リエジョア・ロースタリー) | +1:08 |
8位 | イェンテ・マイケルズ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | +1:20 |
9位 | ヨラン・ウィズーレ(ベルギー、クレラン・コレンドン) | +1:39 |
10位 | ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +1:56 |
text:So.Isobe
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