キナンレーシングチームは、「キックオフミーティング2024-2025」を愛知県の春日井市内で開催し、2025年体制を披露。新加入選手を含む2025年所属選手が、集まったファンの前に初めて立った。あわせて、使用機材をオルベアに変更することも発表された。



多くのファンやスポンサー関係者が集まったキックオフミーティング photo:Satoru Kato

12月15日、和歌山県新宮市を拠点に活動する「キナンレーシングチーム」は、2024年シーズンの締めくくりと2025年シーズンへの決起を込めてのパーティー「キックオフミーティング2024-2025」を開催。愛知県春日井市内の会場には、ファンやスポンサー関係者などが多数集まった。その席上、恒例となった2025年体制をお披露目。新加入選手を含むメンバーが初めてファンの前に揃った。

柚木伸元と宇賀隆貴を除く9名がファンの前に揃った photo:Satoru Kato

既に発表されている通り、畑中勇介が引退し、孫崎大樹、白川幸希、レイモンド・クレダー、ライアン・カバナ、福田慎平らが退団。新たに、レイン・タラマエ、ネイサン・アール、宇賀隆貴、新宮颯太、橋本英也ら5名が加入して11名体制となる。

キックオフミーティングには、柚木伸元と宇賀隆貴を除く9名が出席。新加入選手は早速集まったファンと交流した。また、同日に開催されていたシクロクロス全日本選手権に出場した柚木がU23で優勝。速報として連絡が入り、会場を沸かせた。

春日井市の石黒直樹市長による乾杯でスタート photo:Satoru Kato
「今年は満足できる結果が少なかった」と今シーズンを振り返る株式会社キナンの角口会長 photo:Satoru Kato


サインに応じるレイン・タラマエ photo:Satoru Kato

宮崎泰史が新加入の新宮颯太をファンに紹介 photo:Satoru Kato
ファンからのサインの求めに応じるネイサン・アールと橋本英也 photo:Satoru Kato


キナンレーシングチーム2025年体制は以下表の通り。ブエルタ・ア・エスパーニャやジロ・デ・イタリアでステージ優勝したこともあるレイン・タラマエ、ツアー・オブ・ジャパンで総合2連覇したネイサンアール、東京、パリ五輪代表の橋本英也らの加入は大きなトピックだ。さらには今年のジャパンカップ・オープンレース優勝の宇賀隆貴、日本大学在学中の新宮颯太ら、将来が期待される若手2名が揃う。
キナンレーシングチーム2025年体制
新加入選手 継続選手
レイン・タラマエ(エストニア,アンテルマルシェ・ワンティ) ドリュー・モレ(オーストラリア)
ネイサン・アール(JCLチーム右京,オーストラリア) 山本元喜
宇賀隆貴(さいたま佐渡サンブレイブ) 柚木伸元
新宮颯太(日本大学在学中) 宮崎泰史
橋本英也(チームブリヂストンサイクリング) トマ・ルバ(フランス)
新城雄大(キャプテン)
スタッフ
監督 石田哲也 コーチ 畑中勇介
ケアラー 安見正行 マッサー 森 典隆
メカニック 荻田 晴 メカニック 星野貴大
メカニック 横井利明 メディアオフィサー 福光俊介
アドバイザー 鈴木新史 KINAN春日井サイクルターミナル 伊坪かずや
チームアシスタント 村上紀子
畑中勇介の最後の引退セレモニーも行われた photo:Satoru Kato
和歌山県地域おこし協力隊に就任する唐見実世子さんが「クマイチ・スタンプラリー」をPR photo:Satoru Kato


発足から1年が経ったキナンレーシングチームみえジュニア photo:Satoru Kato

新デザインのジャージを着てオルベアのバイクと共に入場する新城雄大ら photo:Satoru Kato

2025年はオルベアのバイクを使用する photo:Satoru Kato

2025年仕様のチームジャージがお披露目された。これまでは白と紺をメインカラーとして使用してきたが、来シーズンは赤いビブショーツを組み合わせたデザインに一新される。加えて使用バイクはコルナゴからオルベアにスイッチ。軽量モデルのオルカ、エアロモデルのオルカエアロ、タイムトライアル用のオルデュの3種を使用し、キナンレーシングチーム専用のカラーデザインが用意される。

キナンレーシングチームが2025年シーズンに使用するオルベアのバイク3種 photo:Satoru Kato

キナンレーシングチームの2025年初戦は1月末にUAEで開催される「シャールジャ・ツアー」を予定。以降、アジアツアーや国内レースに出場し、チーム最大の目標とする「ツール・ド・熊野」での総合優勝を目指す。



キックオフミーティングに出席した新加入の4名に話を聞いた。

レイン・タラマエ「日本に来て良い驚きが続いている」

グランツールのステージ優勝経験もあるレイン・タラマエが加入 photo:Satoru Kato

「ツール・ド・フランスをはじめヨーロッパで長いこと走ってきて引退も考えたが、ヨーロッパとは違うアジアのレースに興味を持っていた。ジャパンカップとツール・ド・フランスさいたまクリテリウムに出場したことがあって、日本が魅力的な国だと感じていたので、かつてチームメイトだったダミアン・モニエに日本のレースのことを聞いてみた。

良いチームがいくつかあると教えてもらい、その中にキナンレーシングチームの名前があった。それでトマ・ルバと石田監督にコンタクトを取り、チームのことについて話を聞いてみた。他にアジア圏のチームと交渉していたが、トマは日本で一番良いチームだと勧めてくれ、石田監督と話をして本当に加入してほしいと思っていることが伝わってきたので、加入を決めた。

とは言え、小さなチームだと思って日本に来てみたけれど、想像以上に大きな規模で驚いた。今のチームではチームプレゼンテーション(=キックオフミーティング)なんてやってなかったし、チームハウスがあることにも驚いた。驚いてばかりいるけど、このまま良い驚きがシーズンインまで続いて欲しいね。

キナンレーシングチームみえジュニアのメンバーに早速アドバイスするレイン・タラマエ photo:Satoru Kato

まずはどこかのレースで勝ちたいと思っているし、チームメイトの勝利に貢献したいとも思っている。特に日本人選手がビックレースで優勝できるようアシストしたいし、若い選手の手助けをしたい。

ツール・ド・熊野がチーム最大の目標だけれど、オーガナイザーに長い登りのステージを作ってもらえば勝てるかもしれない。でもどちらかと言えばセミスプリンターに有利なレースなので、スプリンターではない僕は勝つのは簡単ではないと感じている。でもチームの誰かが勝てるようにしたい。

初戦はシャールジャ・ツアー。UAEのレースは何度か出場しているけれど、シャルージャ・ツアーは初めてなので、どうなるのか楽しみだ」



ネイサン・アール「200%の力で臨みたい」

JCLチーム右京から移籍するネイサン・アール photo:Satoru Kato

「日本で新しいチャレンジが出来る場を探していた。JCLチーム右京はヨーロッパでの活動をメインにするようになったが、私はツアー・オブ・ジャパンやツール・ド・熊野で再び優勝したいと考えていて、キナンレーシングチームが自分のベストを出せるチームだと感じて加入を決めた。

2022年、2023年とツアー・オブ・ジャパンを連覇したネイサン・アールは、3度目の優勝に意欲を見せる photo:Satoru Kato

来年はキナンレーシングチームと共に再びトップとなり、ツアー・オブ・ジャパンやツール・ド・熊野で優勝できるようにトレーニングを積み、ファンやスポンサーの皆さんに喜んでもらえるような結果を出したい。

特にキナンの角口会長をはじめ熊野での優勝を期待されているが、簡単ではないことはよく知ってる。プレッシャーは感じているが、高いモチベーションと200%の力で臨みたい。初戦はシャールジャ・ツアーの予定で、4月のオセアニア選手権でUCIポイントを持ち帰れるようにしたい」



橋本英也「強力なメンバーが揃う中で成長するキッカケを」

チームブリヂストンサイクリングから移籍する橋本英也 photo:Satoru Kato

「チームブリヂストンサイクリングに7年間在籍し、2度の五輪をはじめ様々な経験をさせてもらったことに感謝しています。次に挑戦することを考えた時、出場したことの無いアジアツアーを走ってみたいと思い、それが出来るキナンレーシングチームへの加入を決めました。

9月の全日本選手権トラックでは、エリミネイションで優勝した橋本英也 photo:Satoru Kato

地元の岐阜が近いこともあってAACAカップによく出ていましたが、以前から石田監督に誘われていたこともあり、改めて話を聞いてアジアツアーで勝つという目標で一致しました。東海地区と親和性のあるチームでファンとの距離が近く、良いチームだと思います。今年も強いメンバーが揃っていましたが、来年はさらに強力なメンバーが揃い、その環境の中で走ることはさらに成長するキッカケを得られると考えています。今から楽しみですね。

チームの中でスプリントとスピードは僕が一番優っていると思うので、それが活かせるステージで結果を残せるようにしたいです。競輪も並行して出場していきますが、次のロサンゼルス五輪でメダル、その次のブリスベン五輪で金メダルを獲得出来るように頑張ります」



新宮颯太「チームも大学も全力で臨みたい」

日本大学在学中の新宮颯太 photo:Satoru Kato

「先に加入していた柚木とは同期で日本大学の寮で同室なので、色々と話を聞いて自分がレベルアップ出来るチームだと感じていました。キナンレーシングチームと大学の自転車部と並行して活動することになりますが、チームに貢献する走りが出来るようになりたいし、自分の結果も出せるようにしたいので、どちらも全力で臨みたいと思っています。来年の目標は全日本選手権での表彰台と、海外レースに出場してみたいです。大学はまだ2年ありますが、その先も自転車競技を続けて自分の限界まで挑戦してみたいと思っています」

Jプロツアー新城ロードレースでは、U23大会選抜チームで出場した新宮颯太(左から3番目) photo:Satoru Kato


text&photo: Satoru Kato

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