2024/12/02(月) - 11:32
12月1日に愛知県新城市で東海シクロクロス第3戦 iRC TIRE CUPが開催された。子供から大人までのAJOCCカテゴリーレースが実施されるなか、最高峰となるME1を千田尚孝(自転車村R)が制した。480人が参加し熱戦が繰り広げられたレースの模様をレポート。
中部・東海地方一帯で開催されている東海シクロクロスシリーズ。各大会それぞれが地域色豊かなレースを展開する。自転車による地域活性化に力を入れる愛知県新城市で開催された第3戦はiRC TIREの井上ゴム工業が冠スポンサーとなりレースを盛り上げる。
2016年から新城市で続く同大会も8年目を迎える。メイン会場に新東工業株式会社の敷地を使用し、初心者・入門者用のMTBパークである「東郷ケッターパーク」の林間コースを用いる。「ケッタ」とは名古屋弁で自転車の意味。初心者用MTBトレイルがレースコースとなる。
雑木林の斜面につけられたトレイルは木々の間を縫ってクネクネと曲がるコーナーを繰り返し、ふかふかの土コーナーには木の根っこも多く露出している。MTB初心者向けコースとはいえ、シクロクロスバイクで走るには超テクニカルとなる。
高低差の大きなコースには昨年からはドロップオフや階段脇の斜面の急登、そして土のパンプトラックも追加され、さらに変化がついて面白くなった。新東工業の敷地に出ても砂利と芝は重く、思うように進む路面は少ない。
コースは難しいが、シクロクロス入門者を大事にするこの大会では、前日の土曜日に下位カテゴリー(ME4、MM3、WE3、WE2、アンダー、キッズクラス、ファミリー)を対象としたレーシングスクールを開催。今回レースを初めて走る人や走り方が分からないという人でも安全にレースを楽しめるようなサポート体制があるのも魅力だ。
そしてiRC TIRE CUPと冠がつくとおり、iRCタイヤ 井上ゴム工業が大会を全面バックアップ。ブースではタイヤにまつわるサポートを展開。もし参加者がパンクやエア漏れなどタイヤトラブルに見舞われても同社の技術スタッフが強力にサポートしてくれるのだ。
そしてこの日はiRC技術スタッフの中根千磨さん(iRC グローバル技術品証)が講師をつとめる「インナーセーバー組付講習会」が開催された。いわゆる「タイヤインサート」についての理解を深めてもらおうという狙いで、そのメリットと取り付け方法が説明された。そしてこの日は数量限定でインナーセーバーの販売も実施。購入特典として、iRCスタッフによる工賃無料での組付サービスまで行われた。
インナーセーバーにはリム打ちパンクやカーボンリム破損を防ぐ効用があるが、同時にチューブレスCXタイヤのパフォーマンスを大きく向上させることができる。タイヤのヨレを生じさせずに低空気圧を可能にし、コーナリング性能も向上させる。まさにこのコースなら使わない選択肢は無いほどの武器となる。筆者(CW編集部・綾野)も前後SERAC CXにインナーセーバーを用いてレースを走った(2年前にはこの組み合わせで優勝、今回は最後尾スタートで23位でした)。
iRCからレース参加者には今年、アクリル製のスマホホルダがノベルティとしてプレゼントされた。またいつものようにブチョーコーヒーのランチ&ドリンクも無料サービスされ、なんとも太っ腹なレースでもある。
昼には500年の歴史があるという「長篠陣太鼓保存会」の地元中学生による迫力満点の陣太鼓演奏が行われた。一帯が史跡の設楽原(したらがはら)にあたる林間コース脇には、かつてこの地が長篠の戦いの舞台となったことを示す「家康本陣地」の石碑もあるという、歴史好きにはたまらないレースでもある。
森の斜面に付けられた土と根っこのテクニカルコースに大勢の選手たちが手を焼き、喘ぎ、ときに転び、渋滞しながらもラインを争って自転車を進める様は戦国時代の武将たちの合戦に似ているようにも思えてくる。
女子最上位カテゴリーのWE1では小島亜友花(Krone)が独走優勝を決めるが、その後ろから時差スタートしたWE2の丹野夏波が迫る力走を見せた。丹野はBMXの全日本&アジアチャンピオンのタイトルをもつトップライダーで、シクロクロスはこれが初レース。ずば抜けたテクニックとパワーを見せつけ、最後は憧れのポガチャルの勝利ポーズ(Take a Bow)を披露してフィニッシュした。
男子エリートのE1ではトム・ボシス(Poli)がホールショットで先行し、20分間トッ
プを走ったが林間のパンプトラック区間で弾んだチェーンが外れて食い込み、バイクを担いで長く走ることになり、取り返せない遅れを喫する。
代わって先頭に立ったのは2位につけていた佐藤あきら(人力車)だったが、中盤以降にかけてペースを上げた千田尚孝(自転車村R)が追いつき、しばしのランデブーに。じつは千田と佐藤は高校時代からの同級生で、20年来の自転車仲間だという。
後半、千田が佐藤を引き離して独走し、危なげなく勝利。フィニッシュ後には旧知の仲のワン・ツーフィニッシュを2人とその友人たちで喜びを分かち合っていた。千田は東海CX第1戦に続く2勝目。
「2週後の全日本選手権に向けて毎週レースに出ていますが疲労感も少なく、JCXでもコンスタントにトップ10に入れているし、今年は調子がいいなぁと思っています。2位の佐藤は高校生のときから知った仲だし、一緒に練習したりレースに行ったりしている20年来の悪友です(笑)。でも初めてのワン・ツーはさすがに感慨深いですね。出身は愛知県北名古屋市ですが地元の東海CXシリーズをフル参戦するのは初めて。昨年は仕事で東北に赴任していたので東北CXシリーズチャンピオンになったので、東北に元気を送りたくてこのジャージ(東北CXシリーズ総合チャンピオンジャージ)を着て走っています」。
東海シクロクロスのレースのトリはマスターズMM1とME2。つまりもっとも熱いオジさんたちと、最高峰E1昇格を狙う猛者たちの時差混走レース。MM1は今季好調の杉原貴弘(チーム バケラッタ)が筧太一(ブチョーコーヒー)を下して勝利。ME2は若手の平山雷斗(ブチョーコーヒー)が勝利した。
8年続けているということは、12歳で初めて出場した子供が成人になる時間の流れ。「ずっと続けて出場している選手が居て、ケッターパークを拠点にMTBやシクロクロスで遊び、レースがあるときはコース設営のお手伝いをする。だからレース準備も素早くでき、運営は楽でした」と主催者の蜂須賀智也さん(東海シクロクロスのオーガナイザー)は言う。地元に根ざしたグラスルーツなCXレースの大切さを感じるアットホームな大会だった。
中部・東海地方一帯で開催されている東海シクロクロスシリーズ。各大会それぞれが地域色豊かなレースを展開する。自転車による地域活性化に力を入れる愛知県新城市で開催された第3戦はiRC TIREの井上ゴム工業が冠スポンサーとなりレースを盛り上げる。
2016年から新城市で続く同大会も8年目を迎える。メイン会場に新東工業株式会社の敷地を使用し、初心者・入門者用のMTBパークである「東郷ケッターパーク」の林間コースを用いる。「ケッタ」とは名古屋弁で自転車の意味。初心者用MTBトレイルがレースコースとなる。
雑木林の斜面につけられたトレイルは木々の間を縫ってクネクネと曲がるコーナーを繰り返し、ふかふかの土コーナーには木の根っこも多く露出している。MTB初心者向けコースとはいえ、シクロクロスバイクで走るには超テクニカルとなる。
高低差の大きなコースには昨年からはドロップオフや階段脇の斜面の急登、そして土のパンプトラックも追加され、さらに変化がついて面白くなった。新東工業の敷地に出ても砂利と芝は重く、思うように進む路面は少ない。
コースは難しいが、シクロクロス入門者を大事にするこの大会では、前日の土曜日に下位カテゴリー(ME4、MM3、WE3、WE2、アンダー、キッズクラス、ファミリー)を対象としたレーシングスクールを開催。今回レースを初めて走る人や走り方が分からないという人でも安全にレースを楽しめるようなサポート体制があるのも魅力だ。
そしてiRC TIRE CUPと冠がつくとおり、iRCタイヤ 井上ゴム工業が大会を全面バックアップ。ブースではタイヤにまつわるサポートを展開。もし参加者がパンクやエア漏れなどタイヤトラブルに見舞われても同社の技術スタッフが強力にサポートしてくれるのだ。
そしてこの日はiRC技術スタッフの中根千磨さん(iRC グローバル技術品証)が講師をつとめる「インナーセーバー組付講習会」が開催された。いわゆる「タイヤインサート」についての理解を深めてもらおうという狙いで、そのメリットと取り付け方法が説明された。そしてこの日は数量限定でインナーセーバーの販売も実施。購入特典として、iRCスタッフによる工賃無料での組付サービスまで行われた。
インナーセーバーにはリム打ちパンクやカーボンリム破損を防ぐ効用があるが、同時にチューブレスCXタイヤのパフォーマンスを大きく向上させることができる。タイヤのヨレを生じさせずに低空気圧を可能にし、コーナリング性能も向上させる。まさにこのコースなら使わない選択肢は無いほどの武器となる。筆者(CW編集部・綾野)も前後SERAC CXにインナーセーバーを用いてレースを走った(2年前にはこの組み合わせで優勝、今回は最後尾スタートで23位でした)。
iRCからレース参加者には今年、アクリル製のスマホホルダがノベルティとしてプレゼントされた。またいつものようにブチョーコーヒーのランチ&ドリンクも無料サービスされ、なんとも太っ腹なレースでもある。
昼には500年の歴史があるという「長篠陣太鼓保存会」の地元中学生による迫力満点の陣太鼓演奏が行われた。一帯が史跡の設楽原(したらがはら)にあたる林間コース脇には、かつてこの地が長篠の戦いの舞台となったことを示す「家康本陣地」の石碑もあるという、歴史好きにはたまらないレースでもある。
森の斜面に付けられた土と根っこのテクニカルコースに大勢の選手たちが手を焼き、喘ぎ、ときに転び、渋滞しながらもラインを争って自転車を進める様は戦国時代の武将たちの合戦に似ているようにも思えてくる。
女子最上位カテゴリーのWE1では小島亜友花(Krone)が独走優勝を決めるが、その後ろから時差スタートしたWE2の丹野夏波が迫る力走を見せた。丹野はBMXの全日本&アジアチャンピオンのタイトルをもつトップライダーで、シクロクロスはこれが初レース。ずば抜けたテクニックとパワーを見せつけ、最後は憧れのポガチャルの勝利ポーズ(Take a Bow)を披露してフィニッシュした。
男子エリートのE1ではトム・ボシス(Poli)がホールショットで先行し、20分間トッ
プを走ったが林間のパンプトラック区間で弾んだチェーンが外れて食い込み、バイクを担いで長く走ることになり、取り返せない遅れを喫する。
代わって先頭に立ったのは2位につけていた佐藤あきら(人力車)だったが、中盤以降にかけてペースを上げた千田尚孝(自転車村R)が追いつき、しばしのランデブーに。じつは千田と佐藤は高校時代からの同級生で、20年来の自転車仲間だという。
後半、千田が佐藤を引き離して独走し、危なげなく勝利。フィニッシュ後には旧知の仲のワン・ツーフィニッシュを2人とその友人たちで喜びを分かち合っていた。千田は東海CX第1戦に続く2勝目。
「2週後の全日本選手権に向けて毎週レースに出ていますが疲労感も少なく、JCXでもコンスタントにトップ10に入れているし、今年は調子がいいなぁと思っています。2位の佐藤は高校生のときから知った仲だし、一緒に練習したりレースに行ったりしている20年来の悪友です(笑)。でも初めてのワン・ツーはさすがに感慨深いですね。出身は愛知県北名古屋市ですが地元の東海CXシリーズをフル参戦するのは初めて。昨年は仕事で東北に赴任していたので東北CXシリーズチャンピオンになったので、東北に元気を送りたくてこのジャージ(東北CXシリーズ総合チャンピオンジャージ)を着て走っています」。
東海シクロクロスのレースのトリはマスターズMM1とME2。つまりもっとも熱いオジさんたちと、最高峰E1昇格を狙う猛者たちの時差混走レース。MM1は今季好調の杉原貴弘(チーム バケラッタ)が筧太一(ブチョーコーヒー)を下して勝利。ME2は若手の平山雷斗(ブチョーコーヒー)が勝利した。
8年続けているということは、12歳で初めて出場した子供が成人になる時間の流れ。「ずっと続けて出場している選手が居て、ケッターパークを拠点にMTBやシクロクロスで遊び、レースがあるときはコース設営のお手伝いをする。だからレース準備も素早くでき、運営は楽でした」と主催者の蜂須賀智也さん(東海シクロクロスのオーガナイザー)は言う。地元に根ざしたグラスルーツなCXレースの大切さを感じるアットホームな大会だった。
ME1リザルト
1位 | 千田尚孝(自転車村R) | 1:01:35.7 |
2位 | 佐藤あきら(人力車) | +0:02 |
3位 | 稲益拓也(DENSO RACING) | +1:04 |
4位 | 河野成寿(DESTRA cx team) | +1:12 |
5位 | 畑中勇介(KINAN RacingTeam) | +1:26 |
6位 | 岡理裕(SPADE ACE) | +1:29 |
7位 | トム・ボシス(Poli) | +1:36 |
8位 | 岩田祐樹(36隊/cyclespaceHalo) | +2:36 |
9位 | 大原満(Aisan Cycling Club) | +2:41 |
10位 | 高智紀(Squadra di LAVORANTE/NTN) | +3:04 |
ME2リザルト
1位 | 平山雷斗(ブチョーコーヒー) |
2位 | 落合裕紀(ENGINE11 K-CRIT) |
3位 | 相田洸太郎(ORCA CYCLING TEAM) |
その他カテゴリーのリザルト
ME3 | 四方麻旺(ORCA CYCLING TEAM) |
ME4A | 中西健児 |
ME4B | 星野ケンイチ(自転車村R) |
WE1 | 小島亜友花(Krone) |
WE2 | 丹野夏波 |
WE3 | 菅野直美(麒麟華麗倶楽部) |
MM1 | 杉原貴弘(チーム バケラッタ) |
MM2 | 松邨優一(松邨柔道クラブ) |
MJ | 平山雷斗(ブチョーコーヒー) |
MU17 | 蜂須賀巧真(BUCYO COFFEE/URBAN DEER Cycling Team) |
MU15 | 瀬戸山紀介(KINAN Racing Team MIE junior) |
WU15 | 綱嶋勇音(ボンシャンス) |
CK3 | 田畑拓瑞(TCKR) |
CK2 | 佐野真麻(ORCA CYCLING TEAM) |
CK1 | 石田隼斗(TCKR) |
text&photo:Makoto AYANO
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