2024/11/02(土) - 21:50
本日11月2日(土)に行われた第10回ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム。マイヨヴェールを着用するビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)がフィニッシュ手前でログリッチを引き戻し、初優勝に輝いた。
初開催の2013年から今年で第10回を迎えたツール・ド・フランスさいたまクリテリウム。毎年秋晴れの印象強い大会の天候は雨。しかしコース脇には例年に見劣りしない多くの観客が駆けつけ、大観衆の中をツール・ド・フランス本戦を沸かせた世界トップ選手たちが熱きバトルを繰り広げた。
今年のメイン会場はさいたまスーパーアリーナのコミュニティアリーナではなく、メモリアルレースにふさわしく360度に観客席が囲うメインアリーナ。また出場選手の中に総合優勝者タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)こそいないものの、ブエルタ・ア・エスパーニャの総合優勝者プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)とツールの区間優勝記録を更新したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザクスタン)が出場。
またマイヨヴェールを獲得したビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)や10回目の出場となった新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)など豪華メンバーが揃った。
オープニングセレモニーやパレードラン、そしてタイムトライアルレースと今年もスムーズにプログラムは進んでいった。13時20分より行われたチーム対抗によるタイムトライアルレース(距離3.2km)を制したのはシマノレーシングで、2位はバーレーン・ヴィクトリアス、TT日本人王者の金子宗平が率いるスペシャルチームジャパンforさいたまが3位にランクインした。
そして14時55分、2ヶ所のヘアピンコーナーを含む3.6kmコースを17周する、総距離61.2kmのクリテリウムメインレースがスタート。タイムトライアルで落車し、不出場となったベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)と山本元喜(キナンレーシングチーム)を除く集団から、3名が飛び出し、メイン集団は新城が牽引した。
サンディ・デュジャルダン(フランス、トタルエネルジー)や埼玉県上尾出身の藤田涼平(さいたま佐渡サンブレイブ)ら3名の逃げはすぐにメイン集団に飲み込まれ、その後はカヴェンディッシュを擁するアスタナが牽引する。2周目に設定された中間スプリントを狙うべく新城がアーリーアタック。しかし背後からカヴェンディッシュが迫り、別ラインから踏み込んだヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が先着した。
直後のアンダーパスの登りでクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・プレミアテック)とロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)を含む5名がエスケープ。また、現役を退く畑中勇介(キナンレーシングチーム)や天野壮悠(シマノレーシング)も入った集団は1つ目の山岳ポイントをバルデが先着。しかし2度目の中間スプリント(6周目)を前にプロトンが引き戻した。
2度目の中間スプリント(6周目)でヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)のロングスプリントは決まらず、ここもカヴェンディッシュやギルマイを退けたフィリプセンが先着する。直後に再び逃げ集団が出来上がり、8名の中には再びバルデが入った。
2度目の山岳ポイントはここもバルデが先頭通過し、メインアリーナの出口、ゴム素材の路面にタイヤをすべらせた孫崎大樹(キナンレーシングチーム)ら5名の落車が発生する。選手たちに大きな怪我はなかったものの、孫崎とロジャー・アドリア(スペイン、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)はリタイア。その後は落車を免れたジョン・デゲンコルプ(ドイツ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)ら3名が先頭でローテーションを回した。
逃げを引き戻した集団は3度目(10周目)の中間スプリントの争いに入り、フィリプセンとギルマイと三つ巴スプリントをカヴェンディッシュが制す。その後形成されたフルームら6名の逃げも、続く中間スプリントの前に引き戻され、今度はフィリプセンが先着。直後の逃げは新城とバルデ、そしてここまで集団の中で息を潜めていたログリッチという豪華な3名の先頭集団が形成された。
雨足が強まるなか見せ場を作る先頭の3名だが、後続はリード拡大を許してくれない。バルデが4度目の山岳ポイントをトップ通過し、ログリッチはレインウェアを脱ぎ捨てマイヨロホを披露。そしてラスト1周に入る前にバルデが遅れ、ログリッチと新城の2名がラストラップの鐘を聞く。
直後にログリッチは、「雨のため脚を消耗してしまった」とレース後語った新城を振り切る。単独先頭に立ったログリッチはその後ハイペースを維持し、約7秒のリードで最後のアンダーパスに突入。しかし後続集団は猛スピードでマイヨロホとの距離を縮め、アンテルマルシェのアシストの背中からギルマイがスプリントを開始した。
ビッグギヤを踏み続けるギルマイはフィニッシュ手前でログリッチを抜く。そして雨雲が太陽を隠し、暗闇となったフィニッシュラインにマイヨヴェールが飛び込んだ。
今年のツールで区間3勝を飾り、マイヨヴェールを獲得したギルマイが初出場で初優勝。「数多くのチャンピオンやレジェンドが揃うさいたまクリテリウムで勝つことができ、夢のようだよ。なぜなら子どもの頃、僕はサガンやフルーム、カヴェンディッシュ、ログリッチや強豪スプリンターと走ることを夢見ていたのだからね。本当に嬉しいよ。エリトリア人ファンによる応援は聞こえたし、彼らの声援は力となった」と、ギルマイは喜びを語った。
2位には脅威の粘りを見せたログリッチが入り、3位は今年限りで現役を退く予定のカヴェンディッシュ。4位はフィリプセン、日本人最上位の7位には初川弘浩(愛三工業レーシングチーム)が入り、終盤に見せ場を作った新城は9位だった。
その他の敢闘賞など特別賞の結果は以下の通り。
初開催の2013年から今年で第10回を迎えたツール・ド・フランスさいたまクリテリウム。毎年秋晴れの印象強い大会の天候は雨。しかしコース脇には例年に見劣りしない多くの観客が駆けつけ、大観衆の中をツール・ド・フランス本戦を沸かせた世界トップ選手たちが熱きバトルを繰り広げた。
今年のメイン会場はさいたまスーパーアリーナのコミュニティアリーナではなく、メモリアルレースにふさわしく360度に観客席が囲うメインアリーナ。また出場選手の中に総合優勝者タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)こそいないものの、ブエルタ・ア・エスパーニャの総合優勝者プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)とツールの区間優勝記録を更新したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザクスタン)が出場。
またマイヨヴェールを獲得したビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)や10回目の出場となった新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)など豪華メンバーが揃った。
オープニングセレモニーやパレードラン、そしてタイムトライアルレースと今年もスムーズにプログラムは進んでいった。13時20分より行われたチーム対抗によるタイムトライアルレース(距離3.2km)を制したのはシマノレーシングで、2位はバーレーン・ヴィクトリアス、TT日本人王者の金子宗平が率いるスペシャルチームジャパンforさいたまが3位にランクインした。
そして14時55分、2ヶ所のヘアピンコーナーを含む3.6kmコースを17周する、総距離61.2kmのクリテリウムメインレースがスタート。タイムトライアルで落車し、不出場となったベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)と山本元喜(キナンレーシングチーム)を除く集団から、3名が飛び出し、メイン集団は新城が牽引した。
サンディ・デュジャルダン(フランス、トタルエネルジー)や埼玉県上尾出身の藤田涼平(さいたま佐渡サンブレイブ)ら3名の逃げはすぐにメイン集団に飲み込まれ、その後はカヴェンディッシュを擁するアスタナが牽引する。2周目に設定された中間スプリントを狙うべく新城がアーリーアタック。しかし背後からカヴェンディッシュが迫り、別ラインから踏み込んだヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が先着した。
直後のアンダーパスの登りでクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・プレミアテック)とロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)を含む5名がエスケープ。また、現役を退く畑中勇介(キナンレーシングチーム)や天野壮悠(シマノレーシング)も入った集団は1つ目の山岳ポイントをバルデが先着。しかし2度目の中間スプリント(6周目)を前にプロトンが引き戻した。
2度目の中間スプリント(6周目)でヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)のロングスプリントは決まらず、ここもカヴェンディッシュやギルマイを退けたフィリプセンが先着する。直後に再び逃げ集団が出来上がり、8名の中には再びバルデが入った。
2度目の山岳ポイントはここもバルデが先頭通過し、メインアリーナの出口、ゴム素材の路面にタイヤをすべらせた孫崎大樹(キナンレーシングチーム)ら5名の落車が発生する。選手たちに大きな怪我はなかったものの、孫崎とロジャー・アドリア(スペイン、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)はリタイア。その後は落車を免れたジョン・デゲンコルプ(ドイツ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)ら3名が先頭でローテーションを回した。
逃げを引き戻した集団は3度目(10周目)の中間スプリントの争いに入り、フィリプセンとギルマイと三つ巴スプリントをカヴェンディッシュが制す。その後形成されたフルームら6名の逃げも、続く中間スプリントの前に引き戻され、今度はフィリプセンが先着。直後の逃げは新城とバルデ、そしてここまで集団の中で息を潜めていたログリッチという豪華な3名の先頭集団が形成された。
雨足が強まるなか見せ場を作る先頭の3名だが、後続はリード拡大を許してくれない。バルデが4度目の山岳ポイントをトップ通過し、ログリッチはレインウェアを脱ぎ捨てマイヨロホを披露。そしてラスト1周に入る前にバルデが遅れ、ログリッチと新城の2名がラストラップの鐘を聞く。
直後にログリッチは、「雨のため脚を消耗してしまった」とレース後語った新城を振り切る。単独先頭に立ったログリッチはその後ハイペースを維持し、約7秒のリードで最後のアンダーパスに突入。しかし後続集団は猛スピードでマイヨロホとの距離を縮め、アンテルマルシェのアシストの背中からギルマイがスプリントを開始した。
ビッグギヤを踏み続けるギルマイはフィニッシュ手前でログリッチを抜く。そして雨雲が太陽を隠し、暗闇となったフィニッシュラインにマイヨヴェールが飛び込んだ。
今年のツールで区間3勝を飾り、マイヨヴェールを獲得したギルマイが初出場で初優勝。「数多くのチャンピオンやレジェンドが揃うさいたまクリテリウムで勝つことができ、夢のようだよ。なぜなら子どもの頃、僕はサガンやフルーム、カヴェンディッシュ、ログリッチや強豪スプリンターと走ることを夢見ていたのだからね。本当に嬉しいよ。エリトリア人ファンによる応援は聞こえたし、彼らの声援は力となった」と、ギルマイは喜びを語った。
2位には脅威の粘りを見せたログリッチが入り、3位は今年限りで現役を退く予定のカヴェンディッシュ。4位はフィリプセン、日本人最上位の7位には初川弘浩(愛三工業レーシングチーム)が入り、終盤に見せ場を作った新城は9位だった。
その他の敢闘賞など特別賞の結果は以下の通り。
ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム2024結果
1位 | ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ) | 1:35:09 |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | |
3位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザクスタン) | |
4位 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
5位 | ニコラス・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ・カザクスタン) | +0:05 |
6位 | ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | |
7位 | 初川弘浩(愛三工業レーシングチーム) | |
8位 | サンディ・デュジャルダン(フランス、トタルエネルジー) | |
9位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) | |
10位 | 天野壮悠(シマノレーシング) |
その他の特別賞
ポイント賞 | |
スプリント賞 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) |
山岳賞 | ロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) |
敢闘賞 | クリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・プレミアテック) |
ヤングライダー賞 | ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ) |
最優秀日本人チーム賞 | シマノレーシング |
チーム総合成績 | アスタナ・カザクスタン |
チームタイムトライアル | シマノレーシング |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Yuichiro Hosoda
photo:Yuichiro Hosoda