2日連続集団スプリントに持ち込まれたグリー・ツアー・オブ・グワンシー第2ステージで、23歳のネオプロ(プロ1年目)ワーレ・ファンヘルウーヴェ(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が金星つかむ。カンターら退けワールドツアー初勝利を飾った。



ツアー・オブ・グワンシー第2ステージに向かう選手たち photo:CorVos

中国の南部、広西チワン族自治区で開催中のグリー・ツアー・オブ・グワンシーは2日目を迎えた。崇左(すうさ)市から北西の靖西(せいせい)市に向かう181.5kmコースは、集団スプリントが予想される平坦路。終盤に登坂距離11.7kmの3級山岳を登るものの、平均勾配は3.3%のためスプリンターを退けるほどではない。

クリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・プレミアテック)が乗った逃げ集団は8名。またその中には2023年4月のロンド・ファン・フラーンデレンで落車し、脳震盪から約1年半に渡るリハビリを経て8月に復帰したタコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ)の姿も。強力な逃げを追うメイン集団は、初日を制したロット・デスティニーやUAEチームエミレーツ、バーレーン・ヴィクトリアスなどが牽引した。

フルームも入った逃げ集団は8名 photo:CorVos

中国らしい景色の中を駆ける photo:CorVos

風光明媚な中国の景色を駆け抜けた逃げ集団は、残り40km地点から始まる3級山岳に入る。そこで今年もツール・ド・フランス出場を逃したフルームが遅れ、頂上をドリース・デボント(ベルギー、デカトロンAG2Rラモンディアル)が先頭で通過。デボントはコース中央に設定された3級山岳でもトップ通過していたため、山岳賞ランキングで首位に立った。

スプリントに持ち込みたいプロトンに対し、6名となった逃げ集団は必死にローテーションを回す。フラムルージュ(残り1km)通過直後に捉まった逃げからは、ファンデルホールンがマルティン・スヴルチェク(スロバキア、スーダル・クイックステップ)と共にアタック。しかしこの動きは最終ストレートの入口で引き戻され、勝負は2日連続の集団スプリントへ。

リードアウトとして先頭に立ったワーレ・ファンヘルウーヴェ(ベルギー、スーダル・クイックステップ)は後ろを振り向き、ルーク・ランパーティ(アメリカ)の姿を探す。しかしライバルに囲まれ行き場を失ったエースを確認したファンヘルウーヴェは、自身のスプリントに切り替える。トップスピードに乗ったファンヘルウーヴェにはマックス・カンター(ドイツ、アスタナ・カザクスタン)も届かず、ハンドル投げの僅差をファンヘルウーヴェが制した。

集団スプリントを制したワーレ・ファンヘルウーヴェ(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

「僕の役割はルーク(ランパーティ)のリードアウトだったが、彼は囲まれてしまった。だから自ら踏み込み、勝利のために全力を出した。厳しいトレーニングを積み、中国には高いモチベーションで乗り込んだ。友人たちには”勝って帰ってくる”と伝えていたんだ。本当に嬉しいよ」とファンヘルウーヴェは語った。

ファンヘルウーヴェは下部チームから今年昇格した23歳。春のクラシックレースで経験を積み、5月のダンケルク4日間レースでプロ初勝利。そして9月のワンデーレースで披露した好調を、ワールドツアーでの金星につなげた。

また惜しくも敗れたカンターは、ボーナスタイムを加算し総合首位に浮上している。

ワールドツアー初勝利を飾ったワーレ・ファンヘルウーヴェ(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos
グリー・ツアー・オブ・グワンシー2024第2ステージ結果
1位 ワーレ・ファンヘルウーヴェ(ベルギー、スーダル・クイックステップ) 3:49:29
2位 マックス・カンター(ドイツ、アスタナ・カザクスタン)
3位 ジェイク・スチュワート(イギリス、イスラエル・プレミアテック)
4位 アルベルト・ブルットメッソ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
5位 マテウジュ・ゴヴェカル(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)
6位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、モビスター)
7位 イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック)
8位 フアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)
9位 ヘイス・ファンフッケ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)
10位 ナトナエル・テスファツィオン(エリトリア、リドル・トレック)
個人総合成績
1位 マックス・カンター(ドイツ、アスタナ・カザクスタン) 7:07:21
2位 ヘイス・ファンフッケ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)
3位 スタン・デウルフ(ベルギー、デカトロンAG2Rラモンディアル) +0:01
4位 フィリプ・マチェユク(ポーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
5位 ドリース・デボント(ベルギー、デカトロンAG2Rラモンディアル)
6位 ルネ・ヘレホーツ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)
7位 フアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ) +0:02
8位 ジェイク・スチュワート(イギリス、イスラエル・プレミアテック)
9位 ロバート・スタナード(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:05
10位 マルティン・スヴルチェク(スロバキア、スーダル・クイックステップ)
その他の特別賞
ポイント賞 マックス・カンター(ドイツ、アスタナ・カザクスタン)
山岳賞 ドリース・デボント(ベルギー、デカトロンAG2Rラモンディアル)
ヤングライダー賞 フィリプ・マチェユク(ポーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
チーム総合成績 イスラエル・プレミアテック
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

最新ニュース(全ジャンル)