前哨戦でプロ初勝利を挙げたばかりのパヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)が、ファンアールトを下したブエルタ第5ステージ。ハンドル投げの僅差だった両者やマイヨロホを着るログリッチなどのコメントを紹介します。



ステージ優勝 パヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)

ハンドルを投げるパヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

本当に信じられない勝利。数日前にプロ初勝利を挙げたばかりだった。そんな僕が初出場のブエルタで勝つなんていまだに信じられないよ。終盤にチームの全員が素晴らしい走りをして、世界トップクラスのロングスプリンターであるワウト(ファンアールト)に勝った。

チームメイトに「今日は勝てる気がするので僕を信じてくれ」と伝えた。スプリントは始まってからは懸命に踏み込み、ただフィニッシュラインを目指した。

初出場のブエルタで勝利を飾ったパヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) photo:CorVos

―前回ブエルタでチェコ出身の選手が勝ってから11年の時が経っていた。

彼(ゼネク・スティバル)にその時の話を聞いた時に「いつか僕も勝てればいいな」と言ったのだが、まさか初出場で勝てるなんて思っていなかった。これがチェコの自転車界が再びトップに返り咲くキッカケになることを願っている。

―君自身がスプリンターとして今後活躍していくキッカケになったと思うか?

クラシックライダーであって自分自身をスプリンターと思ったことはない。これからどうなるか見てみよう。

ステージ2位&マイヨプントス ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)

2位ながらマイヨプントス(ポイント賞)を守った ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

別にスプリントが僕と彼(カーデン・グローブス)だけに限られた戦いだとは思っていない。今日は勝利を手に入れたと思ったのだが、ハンドルを早いタイミングで投げてしまったようだ。なぜなら影でフィニッシュラインの位置を勘違いしてしまったからね。写真判定で僅差であることがわかり、あの影がなければ違った結果になっていたかもしれない。

もう少し向かい風が吹いていると思ったが、集団の速度は速かった。カーデンの後ろからロングスプリントを仕掛けるという、頭に思い描いた通りの走りができた。だが誰かが迫ってきたことを感じた。あの暑さの中ではミスも犯してしまうもの。あれ(勘違いが)敗因だし、その代償は大きかった。

彼に直接祝福を伝えることはできなかったが、彼の走りは素晴らしかった。とても良い一騎打ちの戦いができた。だが今日勝っていればマイヨプントスでアドバンテージを得られたので残念だ。

マイヨロホ プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)

マイヨロホを着て走るプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

チームによる良い走りのおかげで、常に集団の先頭付近に位置を取ることができた。(残り50kmからのペースアップは)僕らに横風分断を狙う意思はなく、集団全体のスピードが上がっただけだ。

ビットネルの勝利について語るDSMフィルメニッヒ・ポストNLのフィル・ウェスト監督

勝利を喜ぶパヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) photoUnipublic

今日はパヴェル(ビットネル)でスプリント勝利を狙いにいった。2度の集団スプリントを経て、今回は総力を結集して彼に最良のチャンスを与えたかった。選手たちは常に冷静さを保ち、トリッキーだった残り30kmからもお互いを見失うことなくまとまって走ることがっできた。そして彼を最適な位置まで運ぶことができた。彼とチームにとって素晴らしいスプリントとなった。この勝利は我々に喜びと誇りを与えてくれた。

終盤に落車、棄権したルイ・コスタ(ポルトガル)について伝えるEFエデュケーション・イージーポストのコメント

残り10kmで落車し、リタイアしたルイ・コスタ(ポルトガル、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

ルイ・コスタとオウェイン・ドゥールが終盤に落車し、オウェインは広範囲に及ぶ擦過傷を負いながらもステージ完走を果たした。残念ながらルイは棄権せざるを得ず、病院で受けたレントゲン検査の結果骨折がないことが確認された。彼はこの後家に戻り、回復に努める。我々はルイの回復を祈っている。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos