今大会最後の丘陵ステージで争われたツール・ド・フランス・ファム第6ステージで、23歳のセドリーヌ・ケルバオル(フランス、セラティツィット・WNTプロサイクリング)が独走勝利。総合勢に食らいついたフォスが2位に入り、マイヨヴェールを手に入れている。



8月16日(金)第6ステージ
ルミルモン〜モルトー 159.2km(丘陵)


前日に落車し、スタート地点に姿を現したデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos
この日24歳の誕生日を迎えたヴィクトワール・ベルトー(フランス、コフィディス・ウィメン) photo:CorVos


ツール・ド・フランス・ファム2024第6ステージ コースプロフィール image:A.S.O.

2024年ツール・ド・フランス・ファム・アヴェク・ズイフト(UCIワールドツアー)もあと3日。第6ステージはアルプス山脈に向かう移動日のようなステージで、翌日から山岳決戦が始まるためクライマーではない選手たちにとって勝利を狙う最後のチャンスとなる。

ルミルモンを出発後は最初の3級山岳を除くと80kmほど平坦路が続き、後半は低難易度のカテゴリー山岳が連続。特に最後の3級山岳コート・デ・フィン(距離1.8km/平均6.9%)はスプリンターを退けるには十分。頂上からは15kmの下り&平坦路がフィニッシュ地点のモルトーまで続いていく。

スタート地点には前日ステージの終盤に落車し、マイヨジョーヌを失ったデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)の姿があった。フォレリングは「アザと痛みはあるが予想よりも悪い状態ではなかった」と語り、スタートを切ったレースは逃げを目指す選手たちが激しいアタックを繰り返す。その結果エレン・ファンダイク(オランダ、リドル・トレック)やグレース・ブラウン(オーストラリア、FDJスエズ)など強力な選手を含む18名の逃げグループが形成された。

強力なメンバーを含む18名の逃げグループ photo:CorVos

マイヨヴェール(ポイント賞ジャージ)を着るシャーロッテ・コール(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)がメイン集団に残った一方で、25点差で追うマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)は逃げに入る。コース前半の平坦路を終えた時点で逃げとプロトンの差は2分まで拡がるい。バーチャルで総合リーダーに立ったジュスティネ・ヘキエーレ(ベルギー、AGインシュランス・スーダル)は山岳ポイントを加算し、この日マイヨアポワ(山岳賞ジャージ)の着用を叶えた。

レースは後半に入り、59.3km地点に設定された中間スプリントをフォスが先頭で通過。フォスが最大25ポイントを獲得してトップタイに並ぶ一方、連続する丘にコールは遅れていった。

残り31.6kmから始まるラ・ロッシュ・デュ・プレトル(距離5.5km/平均5.6%)に、1分差で突入したプロトンからはマビ・ガルシア(スペイン、リブ・アルウラー・ジェイコ)がアタック。これが引き戻されるなか、ほぼ同時期に逃げ集団からニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス・プロタイム)が加速して5名に絞り、ヘキエーレの猛追を振り切ったフィッシャーブラックが頂上を先頭通過した。

2分差で逃げを追うプロトン photo:CorVos

山岳ポイントを獲得し、マイヨアポワ(山岳賞ジャージ)着用の権利を得たジュスティネ・ヘキエーレ(ベルギー、AGインシュランス・スーダル) photo:CorVos

この登りで逃げはフィッシャーブラックとヘキエーレ、ブラウンの3名に絞られ、3級山岳コート・デ・フィン(距離1.8km/平均6.9%)に突入する。しかし山岳ポイントを量産という目的を果たしたヘキエーレが早々と遅れ、前を18秒差で追うメイン集団からはフランス王者ジュリエット・ラブース(DSMフィルメニッヒ・ポストNL)がアタック。マイヨジョーヌを着るカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)など総合勢がマークするなか、一気にペースを上げたプロトンは逃げを捉えた。

その後集団が牽制に入り、その隙を突いてセドリーヌ・ケルバオル(フランス、セラティツィット・WNTプロサイクリング)が飛び出す。23歳の若手ケルバオルは下りで追従したパウリーナ・ローイヤッカース(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)を引き離し、残り13kmで単独先頭に立った。

前フランスTT王者のケルバオルは得意な独走力を披露し、登りで遅れたフォスが復帰したプロトンに対し24秒の差をつける。FDJスエズが先導した追走はスピードが上がらなかったため、ケルバオルが単独でフィニッシュラインに到着。昨年のマイヨブラン(ヤングライダー賞)がキャリアハイとなる勝利を手に入れた。

残り13kmで単独先頭に立ち、母国フランスで独走勝利を飾ったセドリーヌ・ケルバオル(フランス、セラティツィット・WNTプロサイクリング photo:CorVos

「こんな形(独走)で勝ったのは初めて。登りでは脚の感覚が良く、いつも早く仕掛けてしまうので今回はタイミングを見計った。下りで差を拡げなければならないことは分かっており、平坦路に入ってタイムトライアル・モードに切り替えた。最後は自分を信じて踏み続けた」と、ケルバオルは母国勝利の喜びをそう語った。

最終山岳でプロトンから遅れ、下りで追いついたフォスが2位。30ポイントを加算した結果コールを抜いて、マイヨヴェールを着用した。

総合順位ではケルバオルが総合2位に入ると共にマイヨブランを獲得。ニエウィアドマが総合首位のまま、翌日から2日間の山岳決戦が始まる。

勝利を喜ぶセドリーヌ・ケルバオル(フランス、セラティツィット・WNTプロサイクリング photo:CorVos

粘りの走りでマイヨヴェール(ポイント賞)を着用したマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
マイヨジョーヌを守ったカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム) photo:CorVos


ツール・ド・フランス・ファム2024第6ステージ
1位 セドリーヌ・ケルバオル(フランス、セラティツィット・WNTプロサイクリング) 4:04:41
2位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) +0:21
3位 リアヌ・リッパート(ドイツ、モビスター)
4位 カーリーン・スウィンケルス(オランダ、UAEチームADQ)
5位 ルシンダ・ブラント(オランダ、リドル・トレック)
6位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)
7位 プック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)
8位 タリタ・デヨンフ(オランダ、ロット・デスティニー)
9位 エヴィータ・ムジック(フランス、FDJスエズ)
10位 ジュリエット・ラブース(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム) 15:32:31
2位 セドリーヌ・ケルバオル(フランス、セラティツィット・WNTプロサイクリング) +0:16
3位 クリステン・フォークナー(アメリカ、EFオータリー・キャノンデール) +0:19
4位 プック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) +0:22
5位 ジュリエット・ラブース(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +0:56
6位 タリタ・デヨンフ(オランダ、ロット・デスティニー) +1:04
7位 シリン・ファンアンローイ(オランダ、リドル・トレック) +1:07
8位 パウリーナ・ローイヤッカース(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) +1:08
9位 リアヌ・リッパート(ドイツ、モビスター) +1:16
10位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) +1:19
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) 145pts
2位 シャーロッテ・コール(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) 120pts
3位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム) 79pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 ジュスティネ・ヘキエーレ(ベルギー、AGインシュランス・スーダル) 18pts
2位 プック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) 15pts
3位 シルヴィア・ペルシコ(イタリア、UAEチームADQ) 13pts
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 プック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) 15:32:53
2位 シリン・ファンアンローイ(オランダ、リドル・トレック) +0:45
3位 マリオン・ビュネル(フランス、サンミッシェル・マヴィック・オーベル93) +4:49
チーム総合成績
1位 リドル・トレック 46:41:07
2位 FDJスエズ +4:22
3位 AGインシュランス・スーダル +5:57
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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