2024年ツール・ド・フランスに出場した22チームのバイクを3チームごとに連載形式で紹介していくシリーズ第2弾。バーレーン・ヴィクトリアスとチューブラータイヤに固執するコフィディス、ヴァンリーゼルのプロトモデルを投入したデカトロン・アージェードゥーゼールの使用機材をお届けします。



バーレーン・ヴィクトリアス|メリダ REACTO、SCULTURA

サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア)の山岳決戦用SCULTURA。リミットぎりぎりの6.8kgを達成 photo:Kei Tsuji

TEAM SLの表記があるヴィジョンの軽量一体型ハンドル。一般販売されていないモデルだ photo:Kei Tsuji
FSAの一般ラインナップには存在しないシートポスト。社外もしくは供給専用品か photo:Kei Tsuji



メリダを長年継続採用するバーレーン・ヴィクトリアスは、平坦ステージではエアロモデルのREACTOをメインに、山岳ステージでは軽量クライマーモデルのSCULTURAをメインに使用。ホワイトベースにバーレーンをイメージしたスカイブルーとゴールドの差し色が爽やかな印象だ。

サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア)の決戦用SCULTURAはリミットギリギリの6.8kgを達成。軽量化を突き詰めるために最低限のコーティングのみを行なったペイントで、FSAステッカーが貼られたシートポストも通常品とは異なるように見える。TEAM SLロゴのある軽量一体型ハンドルも未発表品で、昨年大会でミケル・ランダ(スペイン)が使用していた特殊ハンドルのベースとなったものだろう。

平坦ステージではエアロモデルのREACTOがメイン photo:Kei Tsuji

写真のセットアップはペア重量1290gを達成したヴィジョンの新型ホイール「METRON 37 SL DISC」で、コンチネンタルのタイムトライアル用タイヤGrand Prix 5000TT TR(28)をセットしている。



コフィディス|ルック 795 Blade RS

コフィディスが駆るルック 795 Blade RS photo:Kei Tsuji

コフィディスは昨年ツール・ド・フランスで先行投入されたルックの795 Blade RS(日本での表記は795 Blade2RS)を使用。出場チームの中で唯一のチューブラータイヤ使用チームであり、同じくフランスのミシュランPOWER CUPを採用。一部チューブレスタイヤを使う選手も確認できた。

ルック製のSRM可変長クランクを採用。ペダルはもちろんルックのKEO BLADE photo:Kei Tsuji
カーボンTiのチェーンリング photo:Kei Tsuji


唯一のチューブラータイヤ使用チーム。ミシュランのPOWER CUPを採用する photo:Kei Tsuji

シマノのDURA-ACEで組まれるが、クランクはルックが開発し、SRMに供給しているアーム長調整式タイプで、チェーンリングはカーボンTiとバラエティに富む印象。もちろんペダルはルックのKEO BLADEを組み合わせ、コリマのホイールなど全体的にフランス色が強い。



デカトロン・アージェードゥーゼール|ヴァンリーゼル RCR、FCR

デカトロン・アージェードゥーゼールが実戦投入したヴァンリーゼルのFCR photo:Kei Tsuji

発表されているRCRよりも圧倒的なボリューム。空力を意識していることが分かる photo:Kei Tsuji
ベネットとガルがこのFCRを実戦投入した photo:Kei Tsuji



今季最も話題を呼んだバイクといえばこの一台だろう。チームメンバーは今季からメインスポンサーについた仏大手スポーツブランド、デカトロンが展開するヴァンリーゼルに乗る。

メインバイクはオールラウンドモデルのRCRで、スプリンターのサム・ベネット(アイルランド)はトップチューブにFCRというモデル名が表示されている、明らかにフレーム形状が扁平したエアロモデルに乗った。総合エースのフェリックス・ガル(オーストリア)も平坦ステージでFCRを使用。正式発表が待ち望まれるモデルと言えるだろう。24歳でフランス王者に輝いたポール・ラペラのためにフレンチトリコロールが加えられたRCRも用意された。

使用率を急上昇させるカーボンTi製チェーンリング photo:Kei Tsuji
スイスサイドのHADRON² Ultimateホイールを使用 photo:Kei Tsuji


ポール・ラペラの仏王者カラーモデル photo:Kei Tsuji

コンチネンタルのフロント専用タイヤであるエアロ111を実戦投入 photo:Kei Tsuji

ホイールはスイスサイドのHADRON² Ultimate。38mm、50mm、62mm、そして80mmと4タイプのリムハイトが用意され、ハブにはSINCのセラミックベアリングを投入している。コンチネンタルのフロント専用タイヤであるエアロ111を投入(発表前から使用していたのでロゴは消されていた)したことも大きな話題だ。

コンポーネントはシマノDURA-ACE。バーレーン・ヴィクトリアスやUAEチームエミレーツ同様、カーボンTi製チェーンリングを多くの選手が採用していたことも話題。

text:So Isobe,Kei Tsuji
photo:Kei Tsuji

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