2024/07/25(木) - 12:00
梅雨明けきらぬ7月7日。長野県大町市を中心とした一帯で北アルプス山麓グランフォンドが開催された。日本屈指の山岳ロングライドとして知られる同大会に今年から新たに加わった「グルメフォンド・ミドル」クラスを走ったレポートをお届けしよう。(後編はこちら)
世間において、今月頭のトピックと言えばなんといっても都知事選。史上最高人数の立候補者数に始まり世間の耳目を大いに騒がせた一大イベントを前に、私は日々ニュースサイトではなく天気予報サイトをリロードしていた。
そう、今年の北アルプス山麓グランフォンドが開催されたのは七夕、都知事選の投開票日と同じ7月7日。選挙戦線の動静よりも、梅雨前線の動向のほうがよほど気になっていたのだ。
期日前投票を済ませ、一路中央道を西へ。長野道に入り、安曇野ICを降りて1時間ほど走れば大会のスタート/フィニッシュ地点である鹿島槍スポーツヴィレッジに辿りつく。未明の到着となったが、どうやら雨は降っていない。雨雲レーダーを見ても、今日は1日降ることはなさそうだ。
夏の朝は早いもので、あっという間に明るくなってくる。車を降りれば、ヒンヤリとした空気に包まれる。ふと温度計を見れば19℃と、既に蒸し暑い東京からは信じられない涼しさだ。そして、遠くには北アルプスの山々がくっきりと。おそらく2018年大会ぶりの快晴の下、北アルプス山麓グランフォンドが始まった!
朝イチに集まったのは大会最長距離となるスペシャルクラスへ出走する皆さん。距離160㎞、獲得標高3,50mという国内屈指の難易度を誇る山岳ルートで、北アルプス山麓グランフォンドの代名詞とも言えるクラスだ。スタートラインに集まった皆さん、いかにもクライマー然とした方々ばかり……かと思いきや、まさかのファットバイクで参加されている方もいるなど、(もちろん脚力あってこそのチョイスなのでしょうが)なかなかバラエティ豊かな面子が揃う。
大町市長の挨拶ののち、一斉にスタートしていくスペシャルクラス参加者を見送ったら、自分のスタートに備えて準備を始める。明け方こそ肌寒さを感じていたが、晴天も相まってどんどん気温は上昇し、半袖ジャージとレーパンの夏装備で走り出せる状況に。予報的には1日快晴とのことだが、万が一の通り雨に備えてウィンドブレーカーを一枚持っていけば心配ない。ちなみにスタート会場にはブヨがいるとのことで、虫よけを吹いておくが吉だ。
さて、今回私が参加するのは「グルメフォンドミドル」クラス。スペシャルクラスを筆頭に全5クラスが用意されるなかで、2番目に距離/獲得標高の短いルートだ。前回までは単なる「ミドル」クラスとして開催されていたが、今回は3つのグルメエイドを追加し「グルメフォンドミドル」クラスへとリニューアルした。
なんだ、下から2番目か。しかもグルメフォンドってことは、走るより食べるメインなクラスなんでしょ?と思ったそこのあなた。あえて言いましょう、「それ、間違いです!」
距離90km、獲得標高1,600mというコースプロフィールは、確かにスペシャルクラスの約半分くらいの難易度かもしれない。でもそれは比較対象がかなーり偏っていることを忘れてはいけない(笑)。
例えば近隣で開催されるAACRことアルプスあづみのセンチュリーライドは、距離こそ160kmと長いが、獲得標高は約1,300mほど。短けれどもしっかり登る「山岳グルメフォンド」が、この北アルプス山麓グランフォンドのグルメフォンドミドルクラスなのだ。
それを証明するかのように、スタート直後に右折すると早速小熊山への登りが始まる。まさに走り出して3秒でヒルクライム。仕事柄、全国津々浦々のロングライドに参加してきたが、ここまで最初の登坂区間が近いイベントは記憶に無い。なんとなれば登りはじめてもMCアケさんの声が聞こえているのだから。
そもそも、スタート地点の鹿島槍スポーツヴィレッジ自体が大町温泉郷からかなり登った先にあるのだ。初参加の方なら「とりあえず一旦降りるんだな」と思ってしまってもおかしくはない。そんな思い込みをあざ笑うかのように「グルメフォンド」という羊の皮は、スタート直後から脱ぎ捨てられた。
大会最高標高地点となる小熊山の登りは、ザ・林道!!といった趣。木陰も多く、フレッシュな脚も相まって皆さん良いペースで走っていく。しかも嬉しいことに、この朝イチの小熊山区間は安全のために一般車両通行止めとされているので、気兼ねなく走れるのだ。
最初のピークを越え、幾つかのアップダウンの先にこのルートのハイライトとなる絶景ポイント「小熊山パラグライダー場」が現れた。眼下に木崎湖とその背後に広がる松本平を一望するビューポイントに、みなさんももちろん足を止めて記念撮影。天気によってはこの絶景も見れないが、この日はくっきりと下界を見渡すことが出来た。
この先は眼下に眺めた木崎湖へ向けて一路ダウンヒルとなる。パラグライダーならそのまま飛び降りるところだが、自転車は九十九折れの林道を下っていく。前夜に振った雨の影響もあり、路肩は荒れ気味なので気をつけて。当日は日差しも強く、日向の照り返しと木陰のコントラストも強かったため、良いレンズを搭載したアイウェアがあれば更に安心できただろう。
木崎湖まで下りきったら、一路北へと針路をとる。仁科三湖のほとりを走り、安曇野アートラインを経由して白馬へ入ると、長野五輪で使われたジャンプ台や美しい白馬岳をバックに流れる松川など、次々とビューポイントが現れ、目を楽しませてくれる。
そうしていると最初のエイドステーションである白馬岩岳エイドへ到着。MTBライダーにとってはお馴染みの白馬岩岳マウンテンリゾートの駐車場の一角に設けられたエイドでは、地元産の全粒粉の特製冷麦が待っていた。
少し長めの区間だったこともあり、お腹も減ってきていたのでここで炭水化物は嬉しい。しかも「おかわりもできまーす!」と元気のいい声が聞こえてくる。もちろんノータイムでお代わりし、カロリー補給はバッチリ(笑)。
ちなみにここまでで走行距離は既に30kmオーバー。全行程の1/3を走ったことになる。しかしエイドは全部で7つ。つまり残り60kmで6つのエイドをこなさなければ(?)ならない計算だ。そう、「グルメフォンド」の真髄はこの先にあるのだ……。
というわけで、後編へ続きます。(後編はこちら)
世間において、今月頭のトピックと言えばなんといっても都知事選。史上最高人数の立候補者数に始まり世間の耳目を大いに騒がせた一大イベントを前に、私は日々ニュースサイトではなく天気予報サイトをリロードしていた。
そう、今年の北アルプス山麓グランフォンドが開催されたのは七夕、都知事選の投開票日と同じ7月7日。選挙戦線の動静よりも、梅雨前線の動向のほうがよほど気になっていたのだ。
期日前投票を済ませ、一路中央道を西へ。長野道に入り、安曇野ICを降りて1時間ほど走れば大会のスタート/フィニッシュ地点である鹿島槍スポーツヴィレッジに辿りつく。未明の到着となったが、どうやら雨は降っていない。雨雲レーダーを見ても、今日は1日降ることはなさそうだ。
夏の朝は早いもので、あっという間に明るくなってくる。車を降りれば、ヒンヤリとした空気に包まれる。ふと温度計を見れば19℃と、既に蒸し暑い東京からは信じられない涼しさだ。そして、遠くには北アルプスの山々がくっきりと。おそらく2018年大会ぶりの快晴の下、北アルプス山麓グランフォンドが始まった!
朝イチに集まったのは大会最長距離となるスペシャルクラスへ出走する皆さん。距離160㎞、獲得標高3,50mという国内屈指の難易度を誇る山岳ルートで、北アルプス山麓グランフォンドの代名詞とも言えるクラスだ。スタートラインに集まった皆さん、いかにもクライマー然とした方々ばかり……かと思いきや、まさかのファットバイクで参加されている方もいるなど、(もちろん脚力あってこそのチョイスなのでしょうが)なかなかバラエティ豊かな面子が揃う。
大町市長の挨拶ののち、一斉にスタートしていくスペシャルクラス参加者を見送ったら、自分のスタートに備えて準備を始める。明け方こそ肌寒さを感じていたが、晴天も相まってどんどん気温は上昇し、半袖ジャージとレーパンの夏装備で走り出せる状況に。予報的には1日快晴とのことだが、万が一の通り雨に備えてウィンドブレーカーを一枚持っていけば心配ない。ちなみにスタート会場にはブヨがいるとのことで、虫よけを吹いておくが吉だ。
さて、今回私が参加するのは「グルメフォンドミドル」クラス。スペシャルクラスを筆頭に全5クラスが用意されるなかで、2番目に距離/獲得標高の短いルートだ。前回までは単なる「ミドル」クラスとして開催されていたが、今回は3つのグルメエイドを追加し「グルメフォンドミドル」クラスへとリニューアルした。
なんだ、下から2番目か。しかもグルメフォンドってことは、走るより食べるメインなクラスなんでしょ?と思ったそこのあなた。あえて言いましょう、「それ、間違いです!」
距離90km、獲得標高1,600mというコースプロフィールは、確かにスペシャルクラスの約半分くらいの難易度かもしれない。でもそれは比較対象がかなーり偏っていることを忘れてはいけない(笑)。
例えば近隣で開催されるAACRことアルプスあづみのセンチュリーライドは、距離こそ160kmと長いが、獲得標高は約1,300mほど。短けれどもしっかり登る「山岳グルメフォンド」が、この北アルプス山麓グランフォンドのグルメフォンドミドルクラスなのだ。
それを証明するかのように、スタート直後に右折すると早速小熊山への登りが始まる。まさに走り出して3秒でヒルクライム。仕事柄、全国津々浦々のロングライドに参加してきたが、ここまで最初の登坂区間が近いイベントは記憶に無い。なんとなれば登りはじめてもMCアケさんの声が聞こえているのだから。
そもそも、スタート地点の鹿島槍スポーツヴィレッジ自体が大町温泉郷からかなり登った先にあるのだ。初参加の方なら「とりあえず一旦降りるんだな」と思ってしまってもおかしくはない。そんな思い込みをあざ笑うかのように「グルメフォンド」という羊の皮は、スタート直後から脱ぎ捨てられた。
大会最高標高地点となる小熊山の登りは、ザ・林道!!といった趣。木陰も多く、フレッシュな脚も相まって皆さん良いペースで走っていく。しかも嬉しいことに、この朝イチの小熊山区間は安全のために一般車両通行止めとされているので、気兼ねなく走れるのだ。
最初のピークを越え、幾つかのアップダウンの先にこのルートのハイライトとなる絶景ポイント「小熊山パラグライダー場」が現れた。眼下に木崎湖とその背後に広がる松本平を一望するビューポイントに、みなさんももちろん足を止めて記念撮影。天気によってはこの絶景も見れないが、この日はくっきりと下界を見渡すことが出来た。
この先は眼下に眺めた木崎湖へ向けて一路ダウンヒルとなる。パラグライダーならそのまま飛び降りるところだが、自転車は九十九折れの林道を下っていく。前夜に振った雨の影響もあり、路肩は荒れ気味なので気をつけて。当日は日差しも強く、日向の照り返しと木陰のコントラストも強かったため、良いレンズを搭載したアイウェアがあれば更に安心できただろう。
木崎湖まで下りきったら、一路北へと針路をとる。仁科三湖のほとりを走り、安曇野アートラインを経由して白馬へ入ると、長野五輪で使われたジャンプ台や美しい白馬岳をバックに流れる松川など、次々とビューポイントが現れ、目を楽しませてくれる。
そうしていると最初のエイドステーションである白馬岩岳エイドへ到着。MTBライダーにとってはお馴染みの白馬岩岳マウンテンリゾートの駐車場の一角に設けられたエイドでは、地元産の全粒粉の特製冷麦が待っていた。
少し長めの区間だったこともあり、お腹も減ってきていたのでここで炭水化物は嬉しい。しかも「おかわりもできまーす!」と元気のいい声が聞こえてくる。もちろんノータイムでお代わりし、カロリー補給はバッチリ(笑)。
ちなみにここまでで走行距離は既に30kmオーバー。全行程の1/3を走ったことになる。しかしエイドは全部で7つ。つまり残り60kmで6つのエイドをこなさなければ(?)ならない計算だ。そう、「グルメフォンド」の真髄はこの先にあるのだ……。
というわけで、後編へ続きます。(後編はこちら)
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