最終日の個人タイムトライアルで今大会6勝目を挙げ、3度目の総合優勝に花を添えたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)。「言葉にできない喜び」と語り、また「黄金期にあるいまの自転車ロードレースを楽しみながら戦っていきたい」と21日間の戦いを締めくくった。



ステージ優勝&総合優勝 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

最終ストレートで歓声に応える余裕を見せたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

レース直後インタビュー

言葉で表現できないほどの喜びだ。ツールではミスを犯す辛い2年間を過ごしてきた。でも今年は全てが完璧なまま進み、ここで勝てたことが本当に嬉しい。グランツールにおいて全ステージを、自信を持って臨むことができたは初めてのこと。いつかは教えないが、ジロですらバッドデイがあったのに。

今年のツール・ド・フランスは初日から今日まで楽しんで走ることができ、また素晴らしいサポートを受けた。誰も悲しませたくなかったので、彼らのためにも精一杯楽しんだ。

世界最高のサーキットであるモナコのF1コースからスタートできたのは嬉しかった。スタートしてからはレムコ(エヴェネプール)とのタイム差だけを聞いており、最初の山岳から調子の良さを感じていた。(パートナーで自転車選手である)ウルシュカ(ジガート)に小言を言われるほど、今年は何度もこのコースを試走していたんだ。その練習を無駄にはしたくなかったので、全てをコントロールして走りきった。

待っていたチームメイトたちとステージ優勝と総合優勝を喜ぶタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

ジロに出場したのは「ツールで結果を残せなかった時の保険だ」と言う人もいた。確かにツールで勝てなかったら、そうなっていたことだろう。ジロでの総合優勝だけでも十分素晴らしい1年だったと言えるが、ツールは違うレベルにあり、また連続で総合優勝するためにはそれ以上のレベルが必要だ。だからこそ嬉しいし、達成した僕らを誇りに思う。

次なる目標は世界選手権で勝つこと。(現世界王者の)ファンデルプールは手強いだろうが、彼からアルカンシエルを奪い取りたい。選手キャリアを通して一度はあのジャージを着てみたいし、それまでに時間はある。

ここ2年間、いまが総合争いの黄金期だという意見を耳にする。もし僕がその中の1人ではなかったとしても、いまが過去最高の時代であると言うだろう。少なくとも総合争いに関して言えばレムコ(エヴェネプール)とヨナス(ヴィンゲゴー)、プリモシュ(ログリッチ)がいて、そこに若手が台頭してきている。だからこそ、この時を楽しみながら戦いたい。



表彰式スピーチ

チーム総合の表彰式で胴上げされるタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

ここで話す準備をしていなかったから、ここでスピーチするのが怖かったよ(笑)。ツール・ド・フランスで総合優勝することができて本当に嬉しいし、ここまでの道のりはクレイジーと言えるものだった。特にここにいるヨナス(ヴィンゲゴー)とレムコとの戦いはね。またプリモシュ(ログリッチ)や総合争いしていた皆の走りによって、歴史上で最もクレイジーなツールの一つとなった。

マーク・カヴェンディッシュが36勝目を飾るなど(*正しくは35勝)、僕らはこのツールで様々な出来事の証人となった。沿道で応援してくれたファンに感謝したい。君たちが一番だ。ありがとう。また毎年安全性などを向上させ、いつも素晴らしいレースを運営してくれるスタッフにも感謝したい。

2024年ツール・ド・フランス総合表彰台:2位ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)、1位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)、3位レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

登りではポテトチップスを投げつけられ、僕の栄養士が怒っていたよ。ツール期間中チップスとビールは禁止だからね(笑)。

また僕をサポートしてくれた家族や友人、チームメイト、チームスタッフやスポンサーなど、皆がこの勝利を支えてくれた。ここに向けて僕らは何年もに渡り、取り組んできた。本当に嬉しいし、本当にありがとう。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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