サーヴェロの日本販売代理店を務める、東商会のショールームで開催されたメディア・ショップ向け新型P5発表会。ポジションの幅が広がり、エアロ性能を向上しつつ、快適さも向上した、最新TTバイクを見ていこう。



サーヴェロの日本販売代理店を務める、東商会のショールームで新型P5の発表会が行われた photo:Michinari TAKAGI

先日リリースされたばかりのサーヴェロの新型TTバイク"P5"が日本に上陸し、サーヴェロの日本販売代理店を務める東商会のショールームで新型P5の発表会が行われた。

先代のP5のディスクブレーキモデルが登場した2019年から5年という月日が経つ中で、ジロ、ツール、ブエルタの3つのグランツール、東京五輪の個人タイムトライアルを制したチャンピオンバイクである。

サーヴェロ P5 photo:Michinari TAKAGI

ベースバーの位置は旧モデルより10mm低くなった photo:Michinari TAKAGI

ツール・ド・フランスを戦うヴィスマ・リースアバイクの新たな武器としてレースに投入されている。新型のP5ではベースバーのスタックを独立して調整可能となった。付属してくるスペーサーキット(5mmx4枚)を使用する事で20mmまでスタックを高くすることができる。加えて、別売のスペーサーキットを追加することで、さらに20mm追加し最大40mmまでスタックを高くすることも可能となった。

ベースバーはチームからの要望でスペーサーを装着しない場合、前作より10mm低くなる。パッドからバーへの落差がよりアグレッシブになりエアロ性能が向上。さらに、大型化する油圧ブレーキレバーに対応するため、グリップリーチを10mm短縮された。

付属してくるスペーサーキット(5mmx4枚)を使用する事で20mmまでスタックを高く photo:Michinari TAKAGI
大型な油圧ブレーキレバーに対応するため、グリップリーチを10mm短縮された photo:Michinari TAKAGI


手前から48と51、54サイズ photo:Michinari TAKAGI

絞られるようなデザインになったことにより前面投影面積が小さくなった photo:Michinari TAKAGI

サイズは48と51、54、56の4種類の展開に。サイズに関わらず同じフィット感とハンドリングを実現したジオメトリーを採用していることも特徴だ。

フロントフォークの形状も変更され、絞られるようなデザインになったことにより前面投影面積が小さくなった。仕様も前作は1インチコラムを採用していたのに対し、ステアリングシャフトを用いたエアロヒンジ構造を採用し、ハンドリングの安定に繋がっている。ベースバーはM6ボルト4本でフォークに固定されるようになった。

1インチコラムの代わりにステアリングシャフトを採用するエアロヒンジ方式へと変更される photo:Michinari TAKAGI
ライザーポストが旧モデルと比べて細くなり、延長された photo:Michinari TAKAGI


ステアリングシャフトを採用し、ハンドリングの安定に繋がっている photo:Michinari TAKAGI

新型P5では20°、25°、30°まで角度をつけられ、7段階の調整が可能に photo:Michinari TAKAGI

ライダーのより幅広いポジションに適合するためライザーポストが改良された。これまでの旧モデルのP5では0°、5°、10°、15°の4段階から、 新モデルのP5では20°、25°、30°まで角度をつけることが可能になり、7段階でポジションを出せるようになった。

ライザーポストが前モデルと比べて細くなり、延長されたため、ベースバー上面とアームパッド上面の最大落差は17cmまで拡大され、TTポジションで長距離を走るトライアスロン向きのポジショニングの幅が広がった。ちなみに、ライザーポストは旧モデルと新モデルで互換性はなく、流用は不可能となっているため注意が必要だ。

30°仕様のセッテイング photo:Michinari TAKAGI

ベースバー上面とアームパッド上面の最大落差は17cmまで拡大 photo:Michinari TAKAGI

アームレストとアームパットは大型化 photo:Michinari TAKAGI

アームレストの位置は旧モデルでは12通りだったが、アームレストの大型化と調整ネジの箇所が増加したことになり、新モデルでは18通りに増加している。TTポジションをより最適化したいライダーにとって嬉しい変更点だろう。アームパットも同様に大型化され、肘や腕への圧力も分散されることで、快適性も向上した。

ワイドリムやワイドタイヤに対応するフレームクリアランスを拡大されている。現行モデルのS5やR5と同様に、実測値で34mm幅のタイヤを装着した際に、片側4mmのクリアランスが確保できるようになった。

ワイドリムやワイドタイヤに対応するフレームクリアランスを拡大 photo:Michinari TAKAGI

完成車に装着されるタイヤはツール・ド・フランスで既に使用されているCorsa Pro TLR 700x29Cが搭載されるという。ヴィスマ・リースアバイクが使用し、完成車ホイールとして搭載されるリザーブのホイールは28Cのタイヤでは細く、30Cのタイヤでは太いため、29Cのタイヤが完成車購入時のみ付属してくる。

シートステー周りは「ファストバック・シートステー」を採用し、横剛性はそのままに垂直方向の剛性を22%低減し、パワー伝達性能はそのまま快適性が向上している。UCIの新しい3:1規格に合わせ表面積が増えて、接合部が拡大されたデザインになった。

UCIの新しい3:1規格に合わせ表面積が増えて、接合部が拡大(左:旧モデル、右:新モデル) photo:Michinari TAKAGI

シートステー周りは「ファストバック・シートステー」を採用 photo:Michinari TAKAGI

内蔵クランプはコンパクトになり、キャップも付属する photo:Michinari TAKAGI
パワー伝達性能はそのまま快適性が向上 photo:Michinari TAKAGI


カラーは艶ありのブラックでレーシーな印象のFive Blackとネイビーをベースとしたカラーに、イエローとミントカラーのグラデーションカラーのロゴがデザインされたDeep Dahliaの2色展開となる。

ラインアップはシマノ完成車とフレームセットの販売となる。価格は発表時から価格の見直しが行われて、DURA-ACE DI2完成車が242万円(税込)、ULTEGRA DI2完成車が184.8万円(税込)と変更された。完成車には4iiiiのPRECISION PRO 3+パワーメーターが搭載されている。フレームセットは価格変更なしで、121万円(税込)となっている。

固定力も優れるAerobottle 500 photo:Michinari TAKAGI

ネイビーをベースにイエローとミントカラーのグラデーションカラーのロゴがデザインされたDeep Dahlia photo:Michinari TAKAGI

そして、発表会の最後には東商会がトライアスリートの平柳美月さんをサポートすることが発表された。「ニースで開催されるアイアンマン世界選手権の表彰台を目指してトレーニングをしています!もう一度、プロの基準を突破して、来年はプロとして活動していきたいです。」と今後の抱負を語った。

発表会の最後には東商会がトライアスリートの平柳美月さんをサポートすることが発表された photo:Michinari TAKAGI


photo&text:Michinari TAKAGI
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