5月19日から26日までの8日間に渡り開催されたツアー・オブ・ジャパンは、ジョバンニ・カルボー二(JCLチーム右京)の個人総合優勝で幕を閉じた。レースを終えての各賞ジャージを獲得した4選手と、JCLチーム右京マヌエーレ・ボアーロ監督のコメントを紹介する。



区間2勝&総合優勝 ジョバンニ・カルボーニ(イタリア、JCLチーム右京)

個人総合優勝 ジョバンニ・カルボー二(JCLチーム右京) photo:Satoru Kato

8日間を通してとてもハードなレースだった。なぜならヨーロッパと違いアップダウンの激しい周回コースだったから。でもファンにとっては何度も選手を見ることができるので良いレースなのだと思う。最後までこのグリーンジャージを守ることができて本当に嬉しいよ。

第3ステージで優勝して以降、リーダージャージを着続けたジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京) photo:Satoru Kato

大会を通して最もタフだったのは富士山ステージ。そして一番僕の脚質に向いていたのは僕が勝った第3ステージ(いなべ)で総合タイムを得ることができた。

日本で初めてのレースだったが、とても良い感覚を得た。日本のファンの素晴らしさをレースを通して感じることができ、再びここに戻ってきて総合優勝を飾りたい。またアシストしてくれたチームメイトも素晴らしい走りを見せてくれ、そのおかげで総合優勝できたと思っている。



新人賞ジャージ ニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム、カザフスタン)

新人賞 ニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム) photo:Satoru Kato

とても良いレースだったし、運営も大変スムーズだった。だからこそ、すぐにでも日本に戻ってきたいよ。またこのホワイトジャージは僕に似合うと思っており、富士山で守ることができた。

富士山を全力で登ることはとてもキツかった。また勝つことができた第5ステージ(信州飯田)もかなり厳しいレイアウトだったが、脚の調子がとてもよかったので勝つことができた。

第5ステージのウィニングポーズで受話器を置く仕草を見せたニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム) photo:Satoru Kato

もちろん僕はスプリンターではなく、第5ステージのようなレイアウトが最も適している。そこまで急勾配ではない2.5kmぐらいの短い坂が連続するようなレースが好きだね。

調子がよければタイムトライアルやスプリントなどあらゆる局面で良い走りができる自信がある。富士山では5位に入ったものの、モンヴァントゥーやラルプデュエズのような長い登りは苦手だ。将来はグランツールでステージ優勝をするような選手になりたいよ。



ポイント賞ジャージ 寺田吉騎(シマノレーシング)

最終日までポイント賞ジャージを守り切った寺田吉騎(シマノレーシング) photo:Satoru Kato

今日は朝から(ポイント賞ジャージを)守れるか不安だったけれど、チーム全体が僕のポイント賞を守り、あわよくばステージ優勝を、と動いてくれた。ポイント賞周回で狙える雰囲気があると感じ、チーム全員でトレイン組んで2回1位通過することが出来た。ミーティングで話し合った通り、信じられないくらいうまくいった。他チームも僕たちがポイント賞を取りに行くという姿勢を見せたことでリスペクトしてくれていたのも大きいと思う。

2回獲ったことでリーダーの(ジョバンニ・)カルボー二選手(JCLチーム右京)か、マックス・ウォーカー選手(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)が優勝しない限りポイント賞ジャージは確定した。でもマックス・ウォーカー選手は飛び出して逃げ切ってしまう可能性があったのでヒヤヒヤしていた。

第1ステージ2位で新人賞ジャージを獲得した寺田吉騎(シマノレーシング)その後ポイント賞を目標に切り替えたと言う photo:Satoru Kato

ポイント賞ジャージを獲れるなんて信じられない気分。まったく想定していなかったけれど、初日に新人賞を獲って、ポイント賞の順位を見たら、こっち(ポイント賞)の方が可能性あるのではないかと思った。新人賞は富士山で手放すことになってしまうだろうから、すぐに切り替えたことが良かったと思う。

この大会でロードレースの走り方をいっぱい学ぶことが出来た。この経験をチームと共有したり新しく入る選手にも伝えていき、今後の全てのレースに活かしていきたい。

マックス・ウォーカー選手は日本のレースとヨーロッパのレースは違うと言っていたが、ツール・ド・ラヴニールは今年が最後の出場チャンスになるので走ってみたい。その前に全日本選手権があるけれど、ここまで結果を出したら徹底マークされると思う。伊豆のコースはあまり得意ではないけれど、出来る限り準備して臨みたい。

応援したファンと記念撮影に収まるシマノレーシングのメンバー photo:Satoru Kato



山岳賞ジャージ 中井唯晶(シマノレーシング)

最終日は寺田吉騎のポイント賞ジャージのために中井唯晶(シマノレーシング)も集団コントロールに加わった photo:Satoru Kato

今日は普通に完走すれば山岳賞は確定するので、よっちゃん(寺田)のポイント賞ジャージも獲って絶対2枚持って帰ることを目標に、プラスしてステージ優勝も視野に走った。昨年もチャレンジして獲れなかった山岳賞ジャージを獲得できてとても嬉しいし、最終日の東京で着られるのはとても光栄。山岳賞ジャージは歴代の先輩方が獲ってきたものなので、そこに名前を連ねてもらえることはすごいことだと思う。

第5ステージの信州飯田で山岳賞を獲りに行く中井唯晶(シマノレーシング) photo:Satoru Kato

一番厳しかったのは第5ステージの信州飯田。いなべ(第3ステージ)と美濃(第4ステージ)は、個人総合優勝争いも激しくなかったので、その隙をぬって山岳賞を獲りに行かせてもらえてすんなり決まったけれど、飯田は厳しいコースレイアウトで動きも激しかった。その中で1回でも1位通過出来たことが大きかったと思うし、それで大きく近づけたと思う。

第7ステージの相模原で山岳賞をほぼ手中にした中井唯晶(シマノレーシング)表彰台で喜びの表情を見せた photo:Satoru Kato

今年に入って実はあまり調子が良くなくて、ツール・ド・熊野前に体調を崩してしまった。それで入部(正太朗)さんから助言をもらってツアー・オブ・ジャパンに合わせてきた。チームではよっちゃんをはじめ若い選手の調子が良く、初日を終えて上位にチームメイトが何人も入ったのをみて良い刺激をもらった。それでチーム内で切磋琢磨したらこの結果が付いてきた感じだ。

昨年Jプロツアー総合優勝して、今回山岳賞を獲って、残す赤はあとひとつと思っている。最大の目標は全日本選手権。この波に乗れば良いとは思うけれど、もう1回気持ちを切り替えていきたい。



区間4勝と総合優勝を得たJCLチーム右京のマヌエーレ・ボアーロ監督

ジョバンニ・カルボー二の個人総合優勝を支えたJCLチーム右京のメンバー ©️TOJ2024

僕たちにとってTOJは重要なレースで、ツール・ド・熊野から皆良いコンディションで臨むことができた。チームが一丸となったことがこの良い結果に繋がったのだと思う。

カルボーニが第3ステージで逃げから勝利と総合首位に立ったため、それ以降のステージではチームは総合リーダージャージを守る戦略を取った。もちろん同時にマルチェッリの勝利を狙いながら、富士山(第6ステージ)までレースのコントロールを担当した。

第4ステージ以降、JCLチーム右京の集団コントロールは石橋学や小石祐馬らが中心となった photo:Satoru Kato

そして富士山では(昨年区間優勝している)ネイサン・アールが胃腸系のトラブルに見舞われてしまったんだ。だから我々はカルボーニで勝負することにし、彼は素晴らしい走りを見せてくれた。

総合首位を守りながら更にステージ優勝を重ねるためには、他のチームの協力が必須だ。そして今大会はそれがあまり得られなかった。逃げ切り勝利の決まった第4ステージのようにね。

第6ステージ富士山で勝利し、山本大喜と抱き合うジョバンニ・カルボー二 後ろでマヌエーレ・ボアーロ監督も喜ぶ ©️TOJ2024

今日の作戦は総合優勝を守りながらも、マルチェッリの調子次第でスプリント勝負することだった。またマルチェッリがダメならば山本で勝利を狙おうと思っていた。だけど周回を重ねるにつれマルチェッリは調子を上げていき、レース中盤で「今日はいける」と言ったので勝負したんだ。

今日は石橋や小石、山本など(アシストに徹した)選手たちも、本当に素晴らしい走りを見せてくれた。


text:Satoru Kato & Sotaro.Arakawa
photo:Satoru Kato

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